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幼物語 「しょたこん」

 小学一年生!!!!!

 谷戸賢治は気構える!!!!!


(俺には男の友達がいない! ななちゃん達のせいで話しかけられない!! でも今日こそ俺は!!)


 体育のお時間である。


 一年一組は先月までお着替えは男女一緒だった。

 これは普通のことだ、男女に分けられるのは三年生から。

 成長期に入らない()()の彼ら彼女らはいちいち別々になる必要などなかったのだ。


 だがこの組は女子だけ成長期に突入している。


 原因は言うまでもなくケンちゃんの無自覚魅惑の影響である。


 小学一年一組 担当 白銀(しろがね)瑠衣(るい)は特別扱いにもう慣れた。


 認めたのだ、このクラスは自分の受け持ったどのクラスよりも異常なのだ。


(大王風邪以前の大昔は家で勉学に励むホームスクーリングってのが主流だったらしいけどちょっと考えちゃうわね)


 彼女は教室で着替える女子達を見ていた。


「んきゃぁあああ!!! 俺は男だ! 家庭科室に行くぅうう!!」


 一番可愛い女の子が他の女子に服をひん剥かれそうになりながら叫んでいた。

 男子の着替えは廊下奥の家庭科室である。


(ん? あれ? えーと)


「グヘヘへ❤︎ ちゃんと私のあげたクマさんパンツは履いてきたんでしょうねぇ❤︎」


「あんなの履くか!!! なんで前にお◯っこの穴がなくてちっちゃいリボンついてんだ! お、女の子用じゃねぇか!!」


「女の子でしょうがっ!!」


「男だよっ!!」


 実は内緒でパパに見せパンしたのはななちゃんには内緒である、脳破壊されると泣きながら暴れてしまう事を知っているからだ。


 瑠衣先生はその異様な光景を微笑ましい子供のじゃれあいを見る目で見ている。

 もう慣れっこだ。

 以前はメガネが吹っ飛んでいたが今はそんな事にはならない、一応何本か安いメガネを用意はしている。貯蔵は十分だ。


「先生ぇ!! 俺は男なのでここにいたらダメです!!」


 必死である。

 しかし一応ケンちゃんは男としてデータには残っている。


 ならばここにいてはいけないのだ。


(うーん賢治くん本当に男の子なのかしら? 最近はなんだか嘘ついてるんじゃないかって思うようになってきたわ。だってクラスで一番小さいし、お父様に似て色っぽいし)


 先生の視線はケンちゃんの下半身へと下がっていく。


(ひん剥いちゃおうかしら?)


 47歳の先生は良心がぶっ飛んでいる。


(おち◯◯んを直接見たわけじゃないからねぇ、実際に見ないと信じられない、見たいとかじゃないのよ? ただ本当に男の子なのか担任として確認しないと!!)


 女の子の◯ちん◯んが教員としてのナニに関係があるのかは分からないが興味津々な事は間違いないだろう。


(違うっ!! 私はナニを考えてるの!? 例えナニがなくても本人が男だと言えばそれは男なのよ! 私が生徒を信じないでどうするの!! まぁナニがあった方が私的には嬉しいけどっ!!?)


「和葉さん、暴力はやめなさい。賢治ちゃ、くん家庭科室に行っていいわよ」


「せんせい!! ありがとう!」


 目をキラキラさせてケンちゃんは和葉の手を振り解く。

 そしてアッカンベーしてそそくさと教室から出て行く、生意気である。


(ふふ、可愛い舌ね、またしゃぶりつきたいわ❤︎)


 和葉さんの愛はブレない。


「…………先生、本当に賢治の事を男だと信じてるんですか?」


 エグい妄想の割に表面上は冷静を装う。

 彼女は賢治を追いかけなかった。

 非童貞の彼氏面した女の余裕である。


 ◆


 一方家庭科室に行ったケンちゃんは男子達に話しかけていた。


「友達になりましょう!!! みなさん!」


「は? おまえハーレムくんじゃん? あっちいけよ」



 拒絶された。

 男児全員、性的な成長まだだが女全員を取られた嫉妬は感じている。

 嫌悪されて当然だ。


「むにゅぐうううううっ!!!」


 ケンちゃんは今にも泣きそうな顔だ。

 せっかく同性(と思い込んでる)とお話ができる機会があったのに全員もれなく自分を憎んでいる、悔しくて悲しくて声にならない。


(俺は友達が欲しいだけなのに!!)


「と、友達に、ぬにゃ!にゃり!!」


「あーもういいよ、そういうの女には可愛がられても俺らには効かねぇから!! ムカつくんだよ!」


「そうだそうだ!!」「ぶん殴られたくなかったら出てけ!!」「ムカつくんだよおまえ!!」


 迫害、聖女という生き物の最後はいつもそうだ。

 誰にも理解されず、処断され、その死を愚弄し、後になって聖人だったと評価する。


 彼女もそんな愚かな犠牲者の一人になる。


 嗚呼、愚かな人間どもはまた間違いを犯すのか??






 しかし、それは聖女本人が大衆より弱かった場合の悲劇である。



「…………なぁんて悪い子達なのだ、クソガキどもめ()()()()()()()()♡」


 聖女は怪しく微笑んだ。


 ◆


「信じるもナニも賢治ちゃn、くんは男の子です! 和葉さんだけではありませんよ!? 他の女子も一緒です! どうしてあんなに酷い仕打ちができるんです!?? あんなのかわいがりに見せかけたイジメです! 貴女達が囲い込むから賢治くんが男の中に入れなくて困ってるのよ?!」


 先生は声を荒げて言った。


 そこに嘘偽りはなく、20年以上幼少期の子供を預かった教員としての矜持があったのだ。


(嗚呼!! 今私ちゃんと学校の先生やれてる! これであの子達も反省してくれるはず! 基本的にはみんな良い子達だから!!)


 思い通り、全員少し自分達の今までの振る舞いに疑問を持ち始めた。

 小学一年生らしくはない、だが彼女達の精神には最適の怒り方であった。


 しかし、七緒和葉は動揺しない。

 彼女には揺るがない精神と矜持と正義と動機がある。


 賢治と仲良くえっちな事をしたい、それは第一の目的ではあるが別の目的もある、それはクラスの平穏を保つこと。


「先生、それはあくまでも賢治が弱い女の子だという想定で話していますよね? 賢治が男子全員合わせた力より弱いという想定で」


「賢治くんは男の子です!! イジメに強い弱いはありません! 無視だってイジメなんですよ!!?」


 一般論しか言わない先生に七緒はため息を漏らす。


「無視ができれば苦労はしません、それはメガネを何回も粉砕してしまった貴女ならわかるでしょう? あの娘は美しすぎる、だから見ずにはいられない。そしてその行動は常に受け身ではないのです、むしろ私たちが強くある度に輝き、そして強くなっている…………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


「な、ナニを言って!」


「先生のしたことは肉食の猛獣を羊達の中に入れたようなものだということです!!!」


「な、んだと?」


 ガラララ!!

「せんせい助けてぇ!!」


 引き戸を開けて女子の着替え中にやってきた男児、賢治ちゃんではない。

 男児の中の一人、賢治ちゃんに罵声を浴びせていた一人である、覗きに来たのではない。


「瀬川くん??」


「あの! なんか変で! あのハーレムおとこが来て! なんか、なんか変ですっっ!!!」


 普通の小学生に説明できない事態が起きた、それを理解した先生は家庭科室に向かう。




 家庭科室で見たものは、自分の想定外の光景であった。

 静まる男子、ナニが起きているのか理解ができずしかしイケナイ事だというのだけなんとなく分かる。


(け、賢治ちゃんが男児を籠絡しようとしているっ!!)


 調理場である家庭科室の机は少し低く設計されている、その机に男児の中で一番顔が整っている子を追いつめ机上に押し倒す女の子がいた、賢治である。


「どうしたんでゃい? 山崎きゅん? さっきまでにょ威勢はどこに行った?」


 頬を染めながら山崎の顎を優しく触る性女がそこにいた。


「あ、何を言って!! わ、わけわかんない!!」


「きゃわいいなぁ♡ やっぱりおとこのこはこうじゃあないと❤︎」


 目を細め、息を吹きかけ、クラス1のイケメンを食べようとしている。


 女豹と化した賢治だった。


 男児全員震え上がっている。

 助けようにも何をされているのか理解できず、下手に手を出すと自分が狙われると分かり恐怖で声も出せなかったのだ。


「よぉし、じゃあチュウしようか? まずそこから分からせてアゲル❤︎」


 パパの真似、ではなくこれは賢治の素である。


 女の子である賢治は男をそういう目でしか見ていない、その事に誰よりも早く気がついていたななちゃんはこの事態を避けるために男子(⚫︎)近づけなかったのである。


「あーやっぱこうなったかー、だから言ったのに〜」


 七緒は頭をかきながら苦虫を噛み潰したような顔をしている、しかし先生は押し黙り()()()()()()()()()()()


(な、なんて事! 男の子同士! 片方は何も知らない無知シチュ! エロい!! んほぉ!! 最高じゃないっ! このために20年ガキの面倒見てきたのよ! てぇてぇぜぇっっ!!)


 てぇてぇとは古代のスラングで『尊い』という意味である。


(ダメだこの女、賢治を男と妄想して堕ちてやがる。職務放棄だぞ? 仕方ない、ここは()()()()()()()()()()()())


 ななちゃんは役立たずの先生を無視して深呼吸。

 最初から賢治がショタコン暴走するのは想定内である。


 気を引き締める。


「黒ニーソ隊!! 全員気をつけ! 暴走したケンちゃんを取り押さえよ!!」


 声を張り上げ、女子達を従える。

 その声は男児達全員の耳に響き恐れを植え付ける、女子達が隊列を崩さず疾く正確にケンちゃんの四肢をつかんでいった。


 男児達は『彼女らには一生敵わない』と分かってしまう。


 統率された小学生女子の兵隊が完成した瞬間である。



 しかし賢治は動じない、耳にも入らない、彼女は目の前の獲物(イケメン)に夢中である。


 口づけまで3秒前。


「「「「どおおおっりゃあああっ!!」」」」


 しかしそんな集中力など無関係に女子は全員で賢治に襲い掛かり引っ張り物理的に引き離す!!


「にゅがあぁあああっ!! 止めろぉいい!!いじめだゃじょおおおお??!!!!」


 五体全てを引っぺがされ獲物から離された。

 腐女子(せんせい)だけは頬を手で押さえ悲劇のヒロインに同情した。


(男の子同士の愛が!! くっ!)


 どうやら47歳の先生も賢治のせいで性癖を歪められたようだ。


「ふふふ賢治、貴女って興奮すると赤ちゃん言葉になるのね? 可愛いわ❤︎」


 大人の女の表情な七緒和葉7歳。


「にゅぎょおおっ!! その目で俺を見りゅなぁあああ!!! 俺は男と一緒にお着替えするんだ! パパの本で見た様に分からせてやるんだぁあッッ!!」


 どうやらお嬢様はパパの持ってるエロ本(アーティファクト)を見て目覚めたようだ。


「「「賢治ちゃんはショタコン!!!」」」


「俺は小1(同級生)だぁああ!!!」


 廊下から伸びる無数の手に引っ張られ家庭科室の扉で踏ん張る賢治の姿は構図が若干ホラーだ。


「ぬぐぐぐ!! ウボァアアアア!!!」


 ついに腕力に負けお持ち帰りされるのであった。


「俺はまたやってくる!! 俺はあきらめんぞ! いつの日か絶対お前達のおともだちになってやるぞぉおおおおっ!!!」


 まるで魔王の捨て台詞のような事を最後に言い放ち消えていく賢治の姿は、まだ無垢なる彼らには恐怖の存在にしか見えていなかった。


「賢治、怖い」「へんたいっていうんだろ?アレ」

「ぜったい関わっちゃだめだアレ」「ばけもの」


「その通りよ男子ども、だから賢治には近づかない方がいいし手を出そうなんて考えないほうがいいわ。逆に酷いことされちゃうから」


 ななちゃんが腕を組み男児に偉そうに見下している。


「な、ななお()()()

「素敵」「美しい………」「強そう」


 それ以降、女子達に対する男児達の認識は変わり自分達を守ってくれる存在として正しく認識することになる。


(この羨望の眼差し、悪くない!)


 ななちゃんはドヤ顔である。











 ちなみにこの後賢治は女子全員に◯ち◯ちんを晒され、散々いじめられた後女子も履いたことのないブルマーを履かされるという辱めを受ける。

 出遅れたななちゃんは女子全員による唐突な寝取られにより脳が破壊され、泣きながら暴れまくるという大惨事が引き起こされる。


 しかしそれはまた別の話である。


ショタコンの魔王はあきらめない!

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ざまぁ転生 〜ざまぁサレ役のイケメンに転生した作者の俺、追放されず復讐も諦めたのでヒロイン達のゆりゆり展開を物言わぬ壁になったつもりで見守りたい、のに最強ヒロイン達の勘違いが止まりません!〜

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