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VR information society




 この物語はフィクションです。

 登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません、また特定の宗教や思想、学問を貶める意図はありません。

 ぼくらから見て昔々の大昔の話をしよう。

 魔法少女の話の前に先ずは君から見た未来の世界のお話。


 これはぼくにとっては歴史の授業、君にとっては物語だ。


 この世界、と言っても普通に日本やアメリカのある25世紀。

 その誰もが知ってる大昔に起きた、300年前の悪夢の話をしよう。




 西暦2,199年世紀末の7月下旬。


 人口は1,000億、その全てを幸せにできる科学と法律と規律が出来上がり働かずにAIやロボットやドローンで生活できてしまう様な時代だった。



 人類は調子に乗っていたのだろう。



 自分たちにできないことはない。


 金さえあればなんでもできる。


 そんな神の如きを盲信できるほど人類は目が曇っていた。


 すぐ側まできていた金ではどうしようもない破滅の足音も聞こえていなかったのだ。



 始まりはなんて事のない風邪の様な症状だった。



「ゴホッ、グッ」



 最初は1人の異変だった、と言う話だ。なにせ詳しくしっかりとした情報は後世に残っていない。


 その1人は夏の日に珍しい風邪()()()症状になり病院、コンビニ、職場、家庭で“ソレ”を感染させた。


 その時代は人間がどこに居るか把握しようとすればできる情報端末を全人類が持っていた、それを元にしたデータからこの地獄の様な連鎖を人類は後から知ることになる。


 そしてその最初の1人が死ぬ。


 不審死。


 風邪の様な症状のあと2週間ほどで症状が治ったと思ったら寝ながら息をしなくなり死んでしまった。


 その時代、不審死も自殺も珍しくはなかったがあまりの唐突な死に疑問を抱いた遺族は警察に相談、そして調査が始まり30,000人体制の関係者が、()()()()()()()



 その数は被害者の、否、感染者の数でもある。


 遺体の解剖を執刀した者、搬送先の検死関係者何もかもが()()になってしまった。



 風邪。 


 全員が風邪の様な症状にみまわれた。


 そしてみんな揃って息をしなくなる、まるでそうなる様に決められたかのように。


 そしてそうなったらもうどうしようもない。




 致死率100%。




 この100%という確率は珍しい物ではない。

 狂犬病や狂牛病など前例はあった、そしてその凶悪な致死率は本来なら“確実に死ぬ”と言う絶対が感染力も殺す、何故なら感染源が死んでなくなってしまうからである。



 だが。



 その凶悪さは死んだ後も続くことになる。


 本来なら火葬して病原体ごと消える筈なのだが、まるで火葬された後の煙で拡散されている様に感染の広がりは止まることを知らなかった。


 更に先程言った“病原体”は厳密に言うと発見されていない。


 結果的にいうと接触も非接触も関係なく全世界に同時多発的にその風邪が蔓延していたのだ。


 ソレらしい雑菌の候補があったが全て根拠に欠け、最終的にも病原体の特定には至っていない。それほど人は混乱していた。



 何もないのに感染する病気として22世紀末、人類は栄華を極めた科学文明から一転、中世以下の暗黒時代へと突入する。


 正に地獄が始まったのだ。


 感染ルートを特定できないまま時間が過ぎ、疑心暗鬼が人を獣にしてしまい、人間と人間の殺し合いにまで発展する。


 区域で感染の範囲と確率が違うことに注目し、その特定の地区を封鎖。

 住んでいた人間を区別、否、差別したのである。 


 次第にその区画だけ文明レベルが落ち、簡素なコンクリートの建造物が増え、治安の悪化と共にスラム街と化す。


 そしてそれは世界中で平等に起き、世界地図に黒い血管の様な模様が作られた。


 その血管はスラム街の位置を指し次第に『大スラム街』と呼ばれマフィアなどの根城と化すがそれは別の話。





 世界各国で同時多発的に起きた名前のない大災害、この病気の症例を世紀末に起きた恐怖の大王とかけ『大王風邪』と呼ぶ様になった。





 大王風邪はその感染源がウィルスなのか、菌なのか、真菌なのか、細菌か?虫か?はたまた異常蛋白質なのか? 様々な憶測がある中その正体は科学的には証明されることはなかった。


 病原体の特定ができない、ワクチンも作れない、特効薬もなく、対処法もない。


 その事実は人を絶望させかつては1,000億以上いた人口も激減した。


 かつての暗黒期では明確な人口の把握は不可能だったが有力な説では2億5000万人以下、また一説では億を切ったとまで言われている。


 そんな状況では人は祈ることもできない。


 何故なら祈ることに意味がないことを知っているから。

 神に祈ろうと、神を信じようと大王風邪は平等に殺す。


 自然の猛威はこの世で最も平等である。





 しかし、人類は生き残った。


 救ったのは祈りでも、善意でも、勇気でもない。


 科学である。



 もっというなら機械工学と呼ぶべきだろう。



 『ナノマシン』



 兼ねてより人間の超回復と抗体を強化する事が必要だと言われてきた。

 そしてその方法として肉体に極小の細胞レベルの機械を注入し肉体に定着させ、人為的に超人的な人間になる。


 それのみが大王風邪から生き延びられる方法だ。


 何故それが拒否されてきたのか。

 それはとても信じられない事だが、根も歯もない悪い噂のせいだ。



 宗教的、倫理的に人間が()()()になる技術は一般的に受け入れがたく、ごく少数の人が奇病の治療に使った事からその人間を「吸血鬼」などと揶揄する者が現れ始めたのだ。


 当時の初期ロットのナノマシンは自己増殖力が高く鉄分やカルシウムなどを、常人より大目に摂取しなければならなかった、造血剤などの方法もあったが、一番効率のいいのは定期的な()()だった事が何も知らない人からすると、とても不気味だったのだろう。


 知識や理解のない人間の思い込みはナノマシン技術の発展を間接的に邪魔をし、大王風邪による大量感染と病死による大災害をもたらした。



 大王風邪の猛威が消えた明確な理由としてナノマシンにより強化された人間が体内でワクチンの様なものを獲得してのだろうという仮説だけが存在している。


 しかし、それは科学的には証明されていない。

 何故なら病原体が消えてしまったからだ。




 病原体を持っている可能性があるとすればそれはナノマシンを獲得していない少数派の人間だろう。


 大王風邪に感染せずナノマシンを定着させなかった人間の事だ。

 しかしその過程も長い年月のうちその系譜に定着させた人間がいると、その子供は進化したナノマシンを引き継ぎ「持たざる者」はいなくなった、筈だ。



 さて、生き残った人間は自分達の事を新人類と呼ぶ様になり、更に時代が進み過去のナノマシンを持たざる者を旧人類と呼びそれからの時代を〈新人類発展期〉と後の歴史家に呼ばれる事となる。


 だが、その束の間。


 人類はまだ試練を体験する事となる。


 世紀末の悪夢は新世紀を迎える時期に必ず起きた。


 2199年に起きた『大王風邪』を1stウェーブ。

 2299年に起きた『神の剪定』を2ndウェーブ。

 2399年に起きた『ガイアの悪魔降臨』を3rdウェーブと呼んだ。


 まぁだが所詮は2,500年現在では解決済みの過去の話である。


 2,499年に何かが起きると戦々恐々としていた人間たちには何も起きなかった、筈である。


 2,500年現在では『名のらない英雄が人知れず災害を解決した』と言うなんだかご都合主義な説をみんな信じている。



 まぁ、つまるところやっと人類は一息つけたのである。



 文明を取り戻し、再現し、更にはその総人口も三十億人程度となっていった。


 こうなるとあとは「娯楽」が大事になる。


 人体の中でナノマシンは定着と進化を繰り返し常にヴァージョンアップしていった、自己催眠の強化を可能にし脳に対する負荷を極力小さくした幻覚に似た仮想現実の視認能力を獲得し他者との共感も可能になった。


 つまるところ「全人類共感覚」と「視覚変化能力」から機械端末を使わないVRMMOを実現させたのである。


 旧人類には無い新しい情報社会「 VR information society (仮想現実情報化社会)」の始まりだ。



 これはそんな余暇を過ごす天国へ向かおうとする人類の物語。



 君たちにもいつかくる世界の物語だ。

挿絵(By みてみん)


以前からあった設定ですがコロナの件もあり、今まで伏せてきました。



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よろしくお願いします!


2021/12/15

誤字訂正報告ありがとうございます。

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お読みいただきありがとうございます。


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ざまぁ転生 〜ざまぁサレ役のイケメンに転生した作者の俺、追放されず復讐も諦めたのでヒロイン達のゆりゆり展開を物言わぬ壁になったつもりで見守りたい、のに最強ヒロイン達の勘違いが止まりません!〜

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