第一章 伍
ミリア「ああぁぁあぁ、そんな・・・」
親衛隊の無残な死を目の当たりにして王女ミリアは顔に手を当て突っ伏してしまう。
盗賊のリーダー「あーあ、せっかく回復魔法かけたのに死んじゃったねぇ~ へへへ 残念でした~」
茂みの中から見ていた俺でもあれは死んでいるのがすぐわかる。 先ほどまであれだけ威勢が良かった兵士が全く何も喋ろうとせず地面に横たわっている。
琉偉「馬鹿なやつだなぁ」
俺は素直にそう思った。 誰かを守るつもりが自分が攻撃を食らって死ぬなんてダサすぎる。 俺だったらまず自分を守る。
琉偉「今の俺ならだれかを守る前に攻撃してきたやつら倒しちゃうけどなぁ~、”今の俺なら”」
琉偉は笑顔でぽつりと呟く。 そして自分の感情があきらかに前と違うのもこの戦闘を見てて感じ取っている。 前だったら倒れている人を無視できないし、可哀そうとか助けようとか見てて思っていたのに今の自分は早く戦いたいとか自分の番が来ないかなぁとかそういう高揚感を感じているのだ。
琉偉「もうそろそろだな。 どっちでもいいから早く戦いたい・・・」
琉偉は自分が使える魔法を早く試したくて仕方ない、だがこの世界の右も左もわからないので恩を売る方法でこの場を利用したいのだ。 そしてそのためにはどちらかがやられそうになってもらわないといけない。 理想的には親衛隊側が追い込まれそこに琉偉が駆け寄り、盗賊を倒す これがベスト。 でもまぁ最悪逆でも自分の魔法を試して人と戦ってみたい、殺してみたい、という感情を理解できれば結果的には良い。
琉偉「すごく楽しみだ。。。」
もうそこにはいじめられていた時の琉偉の面影はなかった。