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酋長の おもいで
私は、はじめ、ドン・フン・ミエルダ酋長のウンコ話に戸惑っていた。
なぜ、こんなにも、ウンコという言葉を口にするのだろう?
恥ずかしくないのだろうか?
私は、そう疑問に思いつつも、酋長の言葉をひとつひとつ手帳に記録していった。
クリスタルのように透きとおった冷ややかな湖。
マンハッタンのビル群のように大きな白滝。
足を滑らしたら死は免れない、切り立った岩山。
セコイアの森林の奥深く、静寂な聖地。
酋長は驚くほど健脚で、さまざまな場所で、私に教えをさずけてくれた。
季節は変わり、
いつの間にか、私の疑問は氷解していた。
私たちは、みな、子供の頃はウンコが好きだったのだ。
人種は関係ない。
みんな好きだった。言葉に出すだけで笑っていた。
誰もがその言葉を口にして楽しんだ。
それがどうだ。
現代社会の大人たちは、純粋な心を忘れてしまった。
楽しみ、感じることをやめてしまった。
金や物に固執し、名声や肩書に執着する。
いつも評判を気にして、恥ずかしくない趣味や娯楽で、気を紛らわす。
その一方、この集落の人々は、私たち大人が失った原始的な感性を、大切に保ってきた。
ウンコ酋長は、私に、それを教えてくれたのだ。




