いちご狩り
はじめまして。
小説という小説ではないような気もしますが、気にせず閲覧いただけると幸いです。
私はいちごが大好き。
私は小さい頃からいちご狩りをよくしていたの。
なぜって?
それはね、私が小さい頃にパパから教えてもらったの。それからいちご狩りが好きになったの。
真っ赤ないちごってとても綺麗なの。
とっても…とっても綺麗な色をしていたの。
最初はあまり好きじゃなかったの。
だって、私からもいちごが出るんだもの。
最初はびっくりしちゃったもん。
どうしていちごが出てくるのかって。
でも、ママに聞いたら、それはおめでたいことなのよって教えてくれたの。
お母さんからもいちごは出るし、あなた自身もいちごなのよってね。
そんなママはね、いちご狩りに行ったあと、帰って来なかったの。
私は泣いちゃったけど、パパが慰めてくれた。
その後、パパはいちご狩りを私に教えてくれた。
私は最初分からなかった。
いちご狩りは楽しいのかって。
でも、そうしないと生きられないこともあるんだよ、って教えられたの。
だから私はたくさんのいちごを狩ったの。
いつの間にか、私自身もいちごで染まった気がしたわ。
その内、いちご狩りは私にとって、最高の楽しみになったの。
パパもいちご狩りをしていたけど、私より多くいちごを狩ることはなかったみたい。
少し大きくなってから、私はパパに、ママはどうしてるのかなって聞いたの。
パパは大きなため息をついて、こう言ったの。
ママもいちごになってるんじゃないかなって。
私は少し驚いちゃった。
でも、私はそれが自然だって思ってたから、あまり悲しくはならなかったわ。
ある日、パパは突然いなくなった。
必死に探したけど、家にもいなかったし、近くでも見なかった。
でも、私はママと同じなのかなって思ったの。
それからは私はいちご狩りを一人でやり続けたの。
そしたら、あなた達が急に家に来るんだもん。
私びっくりしちゃった。
─お前は自覚がないのか?
ん?
何がおかしいの?
─お前は本気で"いちご"を狩ってる気でいるのか?
おかしいの?
あなた達だっていちごを狩ってるじゃない!
─どういうことだ?
あなた達も生きるためにいちごを狩ってるじゃない!
私は何もおかしくないわよ。
─なぜそう言いきれる!お前がやっていることは何一つ正しくはない!
─まあそう怒るな、我々とは思考回路が違うんだよ、いくら言ったところで変わらんさ。
─し、しかし…
ねぇねぇ。
─…なんだ。
あなた達のいちご狩りって楽しい?
─え?
私にはあなた達の基準がわからないわ。
どうして私と同じいちごを狩ってるのに、私は悪い人なの?
でもあなた達はいちごを狩ってるのにいい人って言われてる。
もしかすると、私のいちご狩りは楽しくないのかもしれないのかな…。
─君の目線で言うなら…そうだな…決して我々は楽しむためにいちごを狩ってる訳じゃないんだよ。生きるために、我々はいちご狩りをしている。
結局同じじゃない!何が違うの!?
─おい、そろそろまずいぞ、尋問するだけ無駄だ。
─そうだな、いくら手足を縛っているとはいえ、何をしだすか分からんからな。
何?
あなた達がいちご狩りが怖いの?
─なぜ君は怖くないんだ?
うーん…
そんなの分かんないよ…
─もういい。檻に連れていけ。
もう終わり?
やったー!
─待て待て、何も解放するとは言ってないぞ。
えー…いちご狩りに行きたいのにー。
─くっ…こいつ、死刑判決でも下るんじゃないか?
─おいおい、あまり大きな声でそんなことを言うな…!
─あ、あぁ…すまない…。
あ!
いい事思いついた!
─な、なんだ…?
いちご狩りに行けないなら、ここでいちご狩りをすればいいんだ!
─なにを…そんなことできるはずが…!?
─待て!!どうして手の縄が…!!
えへへー…パパに教えてもらったんだ!
─まずい!!早く彼女を捕らえろ!!
─逃がすな!危険なら威嚇用の銃を使っても構わん!
─し、しかし、それは…
─ぐだぐだしてる場合か!相手は話の通じない殺人鬼だぞ!!
久しぶりのいちご狩りだー!!!!!
─ぐわぁッ!!
─お、おい、大丈夫かッ!?
─首をあっさりと…凶器を持ってるのか!?
─ま、まさか…そんなことはないはずだ!
─だ、だとすれば…手刀…なのか…!?
─嘘をつくな!さすがにそんな力はないだろ!?
─話してる場合か!!!来るぞ!!!!
あはははははは!!!!
楽しいなあ!!!!!
─ぐわぁっ!!
─うごぉッ!!!
─チッ…どうする…?
考える暇なんてあるの?
久しぶりのいちご狩りだから腕が鳴るなぁ…!!
─上官に回せ!!No.92483が暴走した!!!急げ!!!
─回線繋げ!繋げ!奴に殺られる前に!!せめて!!
─うわああああああああ!!!
─もう来たのか!?
─扉を…!扉を閉めろ…
はー…もういちご狩り終わっちゃったー。
でも久しぶりだったから楽しかったなぁ…
たくさんのいちごが見れて良かったー!
─…ら…こちら…
あれ?
まだいちごが残ってたんだ?
─…!?
これでここら辺のいちごは最後かな?
─待て…待ってくれ!
うん?
─君はNo.92483だな!??
まあ、なんかそう言われてるみたいね。
何か言いたい事があるの?
─あ、あぁ…君の両親の話だ…
パパと…ママの?
─そうだ、君が両親の復讐で動いてるのは分かってる、だから…!!
どうして?
─ど、どうしてって…君は気にならないのか!?
…
─どうなんだ?
…どうして?
─え?
パパとママなんて関係ないよ?
─い、いやそうかもしれないが…
ふくしゅくとか、私よくわからないから!!
─え!?い、いやだとしても君には伝えるべきことがあるんだ!
ふーん…?
─君の両親はまだ生きている…そして君に更正して欲しいと願っt…
ねぇねぇ、あなたはどれだけいちごを狩ってきたの?
─え?
今さっきの人達に聞こうと思ってて忘れてたから、せっかくなら聞こうと思って!
─あ、え、いや、私は…
そうやってみんな否定する…
なんで!?
あなた達もいちごを狩ってるはずだよ!?
─待て、私には話が理解出来ない!いちご!?なぜいちごなんだ!?
なんでって…
知らない。
─え?
さっきからおじさんずっとえ?って言ってる…
あははは…!
おじさんは狩りがいがありそうだね!
─待ってくれ!まだ私は─
楽しかった…!
また狩れる日が来ると思うと楽しみだなー!
彼女はいちごを纏った。
わずか一瞬の出来事であった。
彼女をいちごまみれにした我々もまたいちご狩りのメンバーなのだ。
我々はいつになればいちごを狩らずにすむのか。
無理な話だ。
我々はそうしないと生きられないのだ。
西暦▒▒▒▒▒年 6月 19日
担当 対社会不適合者治安維持部 人事担当 ▒▒▒▒▒
ところどころ血で見えにくいところがある。
私がまともにいちごを口に入れられる日は少し遠そうだ。
内容はわかりやすくはしているつもりですが、わからなければ想像におまかせということで…
いちご大好きな方、本当に申し訳ありませんでした。