第6話 蟻人族と大蟻
蟻人族の少女をヒロインにする予定はないと書きましたが、書いているうちに可愛くなっちゃったので予定撤回します。
ただすぐヒロインになるわけでは…。
「それで…。これは一体どういう状況だ…?」
「私が聞きたいよ…。」
呆れ顔でため息をついてエドガーに返事をする。まずは状況を整理しよう。
蟻人族の少女と大有りを魔法で治療した後、盗賊の亡骸を処理しようとした。
しかし蟻人の少女が抱きついて離れてくれなかった。泣いてたし無理やり引き剥がすのも可哀想だしな…。
それで大蟻に言葉が通じるかどうか不安だったが亡骸の処理を頼んでみると引き受けてくれた。
どう処理したかは…思い出さないほうがいいな…。
その後少女が落ち着いてきたので近くにあった倒木に腰掛け、隣に座らせて何があったのか聞く為に手招きしたのだが…。
何を思ったのか少女は俺の膝の上に座ってきた。向かい合わせじゃないだけまだマシか…。
膝の上から落ちないように腰に腕を回した所でエドガー達がやってきた。それが今の状況だ。
「まずは自己紹介したほうがいいかな。私の名前はレイ・ミカゲというの。貴方のお名前教えてくれるかな…?」
そう尋ねながら少女の頭を撫でる。
「私は名前ないよ~?レイ様…、えへへ…♪」
少女は答えながら、もっともっととねだる様に頭を押し付けてきて頭部に生えている触角もぴこぴこ揺れている。
なんだが犬っぽいな…。
「あら…。それじゃお友達とかお母さんから呼ばれる時は不便じゃないかしら?」
「匂いでお互いわかるから大丈夫だよ~。それよりレイ様もっと♪」
少女は俺の胸に頭を押し付けてくる。ついさっきまで泣いていたのに今度は甘えん坊さんか。まぁ可愛いから許すが…。
「そうなの。それじゃ貴方のことはなんて呼べばいいかしら…?」
「う~ん…。レイ様が名前付けてっ♪」
そういうと、より甘えながら体を押し付けてくる。これ男の体だったら大惨事だぞ…?
先ほど抱きしめてあやしていた時から思っていたがこの子目が大きくて顔立ちも整っていて、黒い髪を腰まで伸ばしていて良家のお嬢様と言われても遜色ない。
一瞬見ただけだと普通の子と変わらないのだが、頭に触角が生えており、肘から手の甲までと膝から足首までが甲殻で覆われていて、胴体も甲殻かと思ったらどうやら大蟻の甲殻を使った鎧らしい。
狙ったわけじゃないが…後ろからだと胸当ての隙間から胸の谷間が見えるぞ…。というよりもこの子小柄なくせに結構あるな…。
邪まな気持ちを隠すように本当に名づけていいのか確認すると、元気よく返事をしてきた。まぁ名前をつけるくらいいいか。
「それじゃ…。アリスって呼んでもいいかしら…?」
「アリス…。アリス…。えへへ…♪」
何度も名前を呟いて、嬉しそうな声を漏らす。気に入ってくれたようで何よりだ。
「それでアリス。色々聞きたいことがあるのだけれどいいかしら…?」
そう尋ねると顔を横に向け、何でも聞いてと言ってくる。俺の役に立てるのが嬉しいようだ。
「まずは貴方達のことかな。蟻人族と大蟻であってるかしら?」
「うん、そうだよ。私達はね……」
アリスから聞いた情報を纏めるとこんな感じだ。
・アリスは蟻人族で、アリス達のコロニーは大蟻と共同生活をしている。
・数日前に巣が盗賊に襲われ、新しい場所に巣を作るための場所を探している。
・アリスと大蟻は新しい巣を作る場所を探している最中に盗賊に襲われた。
まぁこんな感じだ。盗賊がアリス達というか、蟻人族を狙ったのは武器と防具を奪うためだろうな。
アリスの着ている鎧も持っている槍もそれなりに使えるもののようだ。
エドガーに確認した所、盗賊たちの目的もそれでまず間違いないだろうと言った。
「この森の中だと武器防具を揃えるのはかなり大変だからな。蟻人族から奪うと言うのは十分ありえるだろう。」
「ふむふむ…。でもそれだと近くの街から手に入れたほうが安全じゃないかしら?」
「蟻人族は国によって亜人扱いだったり、魔物扱いだったりするからな。」
なるほど、実力さえあれば街で買ったり強奪するよりはリスクが少ないのか。蟻人族を魔物と言い張れば積荷は問われないだろうしな。
「そうなると…この国は蟻人族は魔物として扱ってるのかしら…?」
「いや、国と言うよりもこの森は王国と帝国の境にある緩衝地帯だからな。法律はまず通用しないと思うぞ。」
ここ無法地帯ですか…。まぁダンジョンに口を出されなさそうでいいか。
「ちなみに王国は亜人を人族よりも格下として見ているから奴隷や魔物扱いしているな。逆に王国は人族よりは劣るものの亜人にも権利を与えているぞ。」
帝国とは仲良くなれそうにないな。王国は話し次第では付き合いがあっても大丈夫そうか。
「ふむふむ、知らない事ばかりだからエドガーの助言は凄く助かるよ。」
「いいってことよ。このくらいならいくらでも聞いてくれ。」
そう言ってエドガーは胸を張る。その姿を見てアリスが小さくうなり声を上げているが…別に対抗する必要はないと思うぞ?
「ほら、そんな声ださないの。いい子いい子…。」
「あふぅっ…。えへへ…♪」
触角の付け根をそっと撫でるとアリスは嬉しそうに笑う。これがちょろインってやつか…?
「それで…。とりあえずアリスを巣に送るってことでいいかしら?」
また盗賊に襲われると危ないしな。巣に送るくらいならそう時間もかからないだろう。
「いいんじゃないか?このまま見捨てるのも可哀想だしな。」
エドガー達もアリスを送ることに賛同してくれる。ほんと人のいい奴らだ…。
「アリス。巣まで案内してくれるかしら?」
「うん!でもレイ様と離れたくない…。」
可愛いことを言ってくれる。でもずっとこのままにしておくわけにもいかないからな。
「ちゃんと手を握ってあげるから…。ね?」
「うん…。」
名残惜しそうに膝の上から離れて立ち上がる。素直でいい子だ。
「巣はここから遠いのかしら?」
尋ねながら探知を発動させて巣を探してみるが、流石に地下までは調べることができないようだ。
「んっと…歩いて一時間くらいかな…?」
アリスは俺の手を握り、上目遣いで答えてくる。
「思ったより遠いのね…。よくここまで来れたわね…。」
「この子に乗ってきたから!」
大蟻のほうを見ながらそう言う。というかお前馬扱いだったのな…。しかも呼ばれてなんだがドヤ顔してるように見えるし…。
だが馬扱いならいい事思いついたわ。
「なるほど…それならお願いがあるのだけれどいいかしら?」
「なぁにレイ様?」
「エドガー達…あのドワーフ一家のことね。彼らを大蟻に乗せてあげたいのだけれどいいかしら?代わりに私がアリスをおんぶしてあげるわよ。」
エドガー達を大蟻に乗せ、アリスをおぶればかなり時間を短縮できそうだ。
「レイ様の背中…えへへ…♪」
なんだかアリスがあっちの世界に行っているようだが…まぁ了承してもらえたって事でいいだろう。
「とりあえず…大蟻さんよろしくね…?」
そう大蟻に話しかけるとエドガー達が乗りやすいように身を屈ませた。
「嬢ちゃん…。わしら大蟻に乗った事なんてないぞ…?」
「何とかなるでしょう。言葉通じるようですし。」
まぁ気合で何とかしてくれ。
読んでいただきありがとうございます。
ロリ巨乳○の蟻っ娘ってどうですかね?(○は自主規制)
僕はありだと思います。アリだけに…。
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