第10話 引き込まれた先は…
前話でブックマーク100件超えたという話をしたばっかなのにもう6件追加された…。
何があった?( ̄Д ̄;)
「くそっ!何処行きやがった!?」
「お前はあっちを探せ!俺はこっちを探す!」
ドアの向こう側で男達が俺を見失い叫んでいる。しばらくすると声は聞こえなくなったのでこの辺りから立ち去ったのだろう。
「ふぅ…。もう大丈夫みたいだな。あんた変な奴らに追われてたよ。気づかなかったのかい?」
俺を建物の中に引きずり込んだ女が腰に手を当ててため息をつきながら俺に言ってきた。
「気づいてはいましたが、まぁなんとかなるかなぁと…。」
「あんたねぇ…。もっと自分の体を大事にしな!」
「あいたっ!?」
女は俺の頭に手刀を食らわせると頭に手を置いて撫で始めた。
「まったく…。見たところ冒険者のようだけどあんまり無茶しちゃだめよ。いいかい?」
その後しばらくこの女に説教されてしまった…。まぁ傍から見れば俺弱そうに見えるんだろうな…。
「ちょっと!聞いてるのかい!」
うん…。説教はまだ続きそうだ…。
「はぁ…。もう無茶はしないんだよ?」
「はい…。わかりました…。」
俺はげんなりしながらレオナというこの女性に返事をする。
「ただでさえこの辺りは若い女が来るには危ない所なんだからね?」
「え?そうなんですか?」
レオナが言うにはここは夜蝶通りにある娼館だそうな。そりゃ若い女が来るには危ない所だな。
レオナも売春を生業としておりこの店で働いているらしい。
「へぇ。あんた私が娼婦って知っても態度変わらないんだね。」
「ええ、売春も重要なお仕事のうちの1つですしね。」
元々売春は狩りを除けば人類の中でも最古に位置するくらい古い歴史のある仕事だしな。
それに俺は中身は男だしそういうのには奇異は感じない。まぁ利用する事もないだろうが…。
「不思議な子だねぇ。大体何処かのお嬢様って子は汚物でも見るような目をするんだけどね。」
「私は貴族でもないですし、何処かのお嬢様って訳でもないですしねぇ。」
「ははっ!あんた気に入ったよ!よければここで働かないか?」
いやノーサンキューだよ流石にな…。
「いえ、今の所そういう予定はありませんので。」
「残念だねぇ。あんたならここで売れっ子になりそうなのにねぇ。」
レオナは俺の体をじっくり見て、ニヤニヤしながら言う。
「レオナさんだって十分お綺麗じゃないですか。」
俺も負けじとレオナの体を見るのだが、男好きしそうな薄手の服だから直視するには少し勇気がいるな…。
「あたしはもう30超えてるからねぇ。ここでも古株なもんだよ。」
どう見ても20代中頃にしか見えないんだけどな。
「ここに来る前は冒険者をやっていたからね。そのせいじゃないか?」
うん。それ理由になっていない気がするぞ。
「それでこの後どうする気だい?まだ連中がうろついているかもしれないし泊まっていっても構わないよ?」
「泊まらせていただけるのであれば助かりますが…。お客は取りませんよ?」
部屋で寝ていていきなり男が入ってきたらぶち殺しそうだしな。
「うちは無理やりはしないから大丈夫だよ。宿代と少し手伝いをしてもらえれば十分だね。」
宿代は銅貨5枚で、手伝いも掃除や料理の仕度でいいそうだ。
「じゃあお言葉に甘えさせていただきますね。」
「ああ。よろしくたのむ…。」
「なめんじゃねぇぞこら!!」
「きゃあぁぁぁっ!」
突然男の罵声と女の悲鳴が聞こえてきた。
「あの声は…。ミーシャかっ!?」
レオナは部屋を出ると悲鳴のした方へ駆け出した。
「はぁ…。厄介事は続きそうだ…。」
俺も愚痴を零しながらレオナの後に続いた。
「何があったんだ!?」
レオナは悲鳴がした部屋のドアを開けて中に飛び込んだ。部屋の中には頭の薄い太った男が憤慨した表情で立っており、その視線の先には倒れこんだ女が居た。
「れ…。レオナ姉さん…。」
女は頬を赤く腫らしておびえた表情でレオナを見ていた。どうやらこの男に殴られたようだ。
「ちっ!あんたうちの子になんてことをするんだ!」
レオナは男と女の間に割って入り、女をかばうように立ちふさがる。
「なんだぁお前は!」
男は拳を振り上げ、レオナに襲い掛かる。
「レオナさん危ない!」
俺は咄嗟に叫び、間に割って入ろうとした。
「おりゃあっ!」
「ぐはぁっ!?」
俺が割ってはいる前にレオナは男の手首を取ると豪快に投げ飛ばした。
床に叩きつけられた男はレオナに首を握られ苦しそうにもがいている。
「払うもの払ってさっさと出て行くか。それとも潰されるかどっちか選びな!」
「ひいぃぃぃっ!?」
男はレオナが脅すと、腰につけていた袋を置いて逃げ出した。
あれ…。ここは俺が助ける場面じゃなかったのか…?
俺が呆然としているとレオナが苦笑しながら話しかけてきた。
「店柄ああいう連中も少なくなくてね。まぁ慣れっこだ。」
なるほど…。元冒険者だしその辺の扱いには慣れているのな…。
俺が納得したように頷くのを見たあと、レオナは倒れている女に近づく。
「ミーシャ。大丈夫かい?」
「はい…。顔痛いですけど大丈夫です…。」
倒れていた女はミーシャというそうだが、頬は腫れており、目の周りも黒くなっていた。
「かわいそうに…。怪我が治るまでしばらく休みな。オーナーには私から言っておくよ。」
「うぅ…。でも迷惑を掛けるわけには…。」
ミーシャは申し訳なさそうにいうが、あの顔じゃ仕事は無理だろう。
「ちょっといいかしら?」
俺は2人に断りを入れてミーシャの脇にしゃがみ、頬に手を当てて診察する。
「これならすぐ治りそうね。ヒール。」
頬に当てた手にに魔力を込め、俺は治癒魔法を唱える。
手から緑色の光が出てミーシャの頬へ吸い込まれていと、頬の腫れは収まり、目の周りの黒ずみも消えた。
「え…?え…?」
ミーシャは驚きの余りに声を失ってきょろきょろしていた。
「あんた神官なのかい…?」
その光景を見ていたレオナが俺に問いかけてくる。
「いえ。でも魔法は得意ですからこのくらいなら問題ないですよ。」
「問題ないって…。治癒魔法は神官かそれに連なる家系以外ではなかなか使い手はいないんだぞ?」
おぅ…。森やダンジョンで治癒魔法バンバン使っていたがどうやらレアらしい。
「わ…。私今治癒魔法代を払えるほどのお金なんて…。」
ミーシャが青ざめた表情で震えていた。ってか治癒魔法代って何さ…?
「あんたねぇ…。治癒魔法が使い手が少ない事から治癒代は結構高いんだよ。今のだと普通なら銀貨2枚くらいで、高い所だと10枚は取るよ。」
いやたかが殴られた後を治すのに2万から10万zって高すぎるだろ!?
「ミーシャ心配しなくていいよ。私が払っておくから気にするな。」
そう言うとレオナが腰の袋から銀貨を取り出して俺に渡そうとする。
いやいや…。流石に受け取れないぞ…。
「まぁ…。私が勝手にやった事ですし宿代って事でいいですよ。」
俺はタダで言いといったのだが、レオナは気が済まないようで結構な時間言い争いをしていた。
結局の所、宿代って事でけりをつけた。
「まぁあんたがよければそれでいいんだが…。」
レオナは呆れたように言い、ミーシャはさっきから頭を下げっぱなしだ。
「でもミーシャ治ったとはいえ今日の所はゆっくり休みな。また明日から働けばいいよ。」
「わかりました…。本当にありがとうございました。」
ミーシャは深々と頭を下げると自分の部屋へと帰っていった。
「はぁ…。あんた本当にお人よしだねぇ。」
「流石にあの状況でお金を取るとは言えないですし、それにこれで商売をするつもりもありませんしねぇ。」
「別に悪いとは言ってないさ。むしろ私は気に入ったよ!」
レオナはそう言うと俺の背中をバンバン叩いてきた。
「痛いですってば…。お腹も空きましたし何か作りましょうか。」
「そうだねぇ。確か今日は厨房に野菜が色々あったはずだから使っていいよ。」
野菜か。材料を見てみないと何とも言えないがとりあえずサラダとスープは作るか。
「では皆の分を作りましょうかね。」
そういうと俺たちは厨房へと向かい、皆の夜食を作り出した。
ちなみに俺の作った夜食は好評でレオナに本気でここで働かないかと誘われたのはまた後のお話…。
今回は主人公暴れるチャンスはあったのに暴れる事はできませんでした(笑
そしてレオナ姉さん客の男を投げ飛ばすわ客を脅すわ治癒代を肩代わりしようとするわ…。
主人公よりも男前じゃね…?
ちなみにレオナ姉さんも今章のキーマンになる予定です。




