第8話 魔王の過去と噂話
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<聖典表章>
昔々、ある所に魔王がうまれました。
魔王はその強大な力で魔族領を瞬く間に統一しました。
魔王はそれだけでは飽き足らず、世界を手に入れようと世界中で暴れまわりました。
いつしか魔王は大魔王と呼ばれるようになりました。
大魔王の乱暴振りに困った世界中の人々は手を取り合い、16回魔王を倒すべく戦いを挑みました。
しかしどれだけ力を合わせても大魔王を倒す事はできず、全て返り討ちにされました。
世界中と戦えるほどの力を得た大魔王は嘆きました。
自分と対等に戦える相手はもういないのかと。
これにを見かねた女神様は大魔王にこう言いました。
遠い未来に大魔王と対等に戦える相手が現れると。
女神の私ならその時代に大魔王を送る事ができると。
大魔王は女神様の言葉を受け入れ、女神様は大魔王を遠い未来へと封印し、送り出しました。
大魔王を送り出した女神様は疲れ果て、永い眠りにつきました。
<聖典裏章>
昔々、ある所に魔王がうまれました。
魔王はその強大な力で魔族領を瞬く間に統一しました。
魔王はそれだけでは飽き足らず、世界を手に入れようと世界中で暴れまわりました。
いつしか魔王は大魔王と呼ばれるようになりました。
大魔王の乱暴振りに困った世界中の人々は手を取り合い、16回魔王を倒すべく戦いを挑みました。
しかしどれだけ力を合わせても大魔王を倒す事はできず、全て返り討ちにされました。
大魔王の乱暴で世界中の人々が苦しむ姿に心を痛めた女神様は大魔王に戦いを挑みました。
7日7晩の末、女神様は大魔王を封印する事に成功しました。
しかし女神様は傷つき、永い眠りへとつきました。
冒険者ギルドの図書館で俺についての記述が残ってないか探してみると、女神教の聖典に記述が残してあった。
女神教と言うのはこの世界での最大宗教で、この世界を創造した女神様を敬いましょうというものらしい。
聖典には俺の記述が2種類あり、どちらも似た内容だが女神が俺を未来に飛ばすか、倒して封印するかの違いだけだな。
まぁこの場合女神=運営だとすると表章の記述が近いのかな。俺のアバター自体はこの時代まで眠りについていたようなことをケイが言っていたしな。まぁ中身の俺は異世界から来ているんだし表章が全部当たってるという訳でもないな。
表章と裏章共に共通しているのは16回世界と戦ったという事だろうか。ゲームの時のイベント戦の回数と同じである。
違う部分はあるものの、ここまで共通する部分があるとなると何かしら現実世界とのかかわりはあるんではなかろうか?
そんな事を考えていると背後より人が近づくのを感じた。
「探し物は見つかったか?」
振り向くと顔に傷跡がある大柄な男が居た。ってギルドマスターなんだけどな。
「ええ、魔王に関する記述を探していたので見つかりましたよ。」
「どれどれ…。って聖典かよ。よくこんなお堅いもの読めるな…。」
ギルドマスターは肩越しに俺の読んでいた聖典を見ると表情を歪めた。ギルマスなのにこういうの苦手なのかよ…。
「読んだのは魔王の記述だけですけどね。でも大魔王の記述が表と裏と2つあるのですね。」
宗教の場合、見解が幾つかある場合1つにまとめちゃうと思うんだけどな。
「ああ、それはな。女神教には穏健派と武闘派の2つの派閥があるからな。」
ギルマスが言うには表章が穏健派の見解で、裏章が武闘派の見解らしい。
穏健派は女神様は慈愛に溢れた存在だという事で大魔王とは話し合いで解決したというほうがいいし、武闘派は女神様はこの世で最も偉大で強い存在という事で、大魔王を倒したというほうが都合がいいらしい。
穏健派も武闘派も女神様を信仰しているので武力衝突には至っていないが、権力闘争は常に起こっているそうだ。
「大変そうですねぇ。まぁ私には関係ないでしょうけど。」
「だな。でも女神教絡みの依頼もなくもないから覚えていたほうがいいぞ。」
できれば女神教からの依頼は受けないほうがいいな…。ギルマスには関係ないといったが俺に関係大有りだしな…。
「ああ、それとレイ。お前はDランク冒険者に格上げされたからここから出る前に手続きしておけよ。」
はい…?登録したばかりでGランクだったのにいきなり3ランクアップってなんだ…?クエスト1つも受けてないのに?
「お前…。Cランク冒険者のチームを軽くあしらっておいてGランクですっていうのは通じないだろ…。」
どうやらあの山賊風の冒険者達はCランク冒険者だったらしい。思ったより実力はあったのな…。
「とにかく、ギルド証の更新と昇格の手続きはしていけよ。」
そういい残すとギルドマスターは図書館から立ち去っていった。
それにしてもいきなりDランクかぁ…。また一悶着ありそうだな…。
俺た少しげんなりしながら聖典を元の棚に戻し、図書館を後にした。
「さて…。何処行こうかしら…。」
冒険者ギルドから出ると俺は辺りを見回しながら一人呟く。
このままアニマ商会本部に戻ってもいいんだが日はまだ高い。散策してみたいしな。
ただこの街は広いから地図がいるか。俺は冒険者ギルドの傍にある露店へ足を運んだ。
「いらっしゃいお嬢ちゃん。初めて見る顔だねぇ。」
露店の前で足を止めると、店主のおばさんが声を掛けてきた。
「ええ。今日この街に来て冒険者登録をしたの。」
「へぇ。お嬢ちゃんべっぴんさんだから冒険者なんかやらなくても暮らしていけるんじゃない?」
「ふふ。ありがとう。この街は活気があっていい所ね。」
「国境の守りの要所といってもここ最近戦争なんてないから平和なもんだよ。それより何かお探しかい?」
「ええ。ここに来たばかりだから地理に詳しくないので地図をおいてないかしらと思いましてね。」
「もちろん地図はおいてあるよ。ほらっ。1,000ゼニーだよ。」
この世界の通貨はゼニーという単位で統一されている。
使われているのは硬貨で、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨があるそうだ。
鉄貨が1ゼニー(z)、銅貨が100z、銀貨が10,000z、金貨が100,000z、白金貨が10,000,000zになるとクルムが言っていたっけ。
1,000ゼニーだと銅貨10枚で、現実世界と比べると1zが1円くらいだったから若干安いほうなのかな。
「では1枚頂きます。銅貨10枚ですね。」
「まいどあり。はいよっ。」
俺は銅貨10枚をおばさんに手渡すと街の地図を受け取った。
「地図には書いてないけど、ここの裏通りは治安がよくないからあまり通らないほうがいいよ。あんたべっぴんさんだからね。」
「スラム街という事でしょうか?」
「スラム街もあるけど、ここは通称夜蝶通りだからね。普通の女が通るには危ない所だわさ。」
「なるほど…。そういう通りですか…。」
つまりこの通りは春を売るお店が多いということらしい。
「まぁお嬢ちゃんがここで働いたら一番になりそうだけどね。」
「またご冗談を…。それよりもこの街の事について色々教えてくださらない?」
「そうねぇ…。このフォレスタの領主様は今じゃ腕のいい施政者って言われているけど昔はやんちゃ者で有名でねぇ。正直ここまで変わるとは思っていなかったよ。」
「へぇ…。そうなんですか?」
「ええ、荒くれ者を束ねるボスみたいな存在でね。この街を継ぐ事が決まる少し前から徐々に更生していったさね。」
「役職が人を変えるということもありますが、ここの領主は正にそうなのですね。」
「あんたもうまい事言うねぇ。息子の次期領主様もいい人と皆から言われているしこの街も安泰かね。ただ…。」
「ただ…?」
おばさんは意味深なことを言うと俺に顔を寄せ、耳打ちしてきた。
「あくまでも噂だけどね。領主様も息子も未だ荒くれ者を束ねているって黒い噂はあるよ。」
「噂ですか…。でも気をつけたほうがよさそうですね。」
まぁ元々領主やランスロットとは仲良くするつもりはないからいいけどな。それにしてもこんな噂を仕入れるこのおばちゃんは何者なんだろうか…。
「ありがとうおば様。また面白そうなお話ありましたら聞かせてくださいね。」
「ああ、お嬢ちゃんならいつでもおいで。」
露店のおばちゃんとの雑談を終え、俺は地図を見ながらメインストリートの方向へ歩き出した。
女神教は今後に関わってきそうな宗教団体ですねぇ。
ただ今章ではそんなに出てくる予定はありません。
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地図の値段と貨幣の価値を変えました。
地図5,000z→1,000z
貨幣
小貨幣と大貨幣の廃止
鉄貨(1z)/銅貨(100z)/銀貨(10,000z)/
金貨(100,000z)/白金貨(10,000,000z)




