第1話 思い立ったら吉日です?
お待たせしました。第2章の開始です。
レイがこの世界に来てからおおよそ1ヵ月後が舞台です。
俺がこの世界に来てから早1ヶ月が経過した。
当初はこの先どうなるものかと心配もしたが、拠点を構え、多くの仲間ができた。
例え元の世界に戻れなくとも十分生きていけるだろう。
「お嬢様、黄昏ている所済みませんが本日のご報告です。」
うん…。今いいところだったんだけど仕方がないか…。
屋敷のテラスでアリスとシュリとお茶を飲みながらケイの報告を聞く。
「エドガーから工房の拡張要請がありましたので工房部分を4倍の広さに拡張しました。」
エドガーには蟻人族と蜂人族の武具を作ってもらっており、そのせいで鍛冶LVが上がったのだろう。
この前話したときに扱える金属の種類が増えたと喜んでいたが、今ある設備では物足りなくなってきたとも言っていたな。
「工房の拡張に伴い、設備の増強を行いましたのでより良質、より多くの武具を生産できると思います。」
俺が指示を出す前にケイが設備の増強もしてくれたようだ。
「蟻人族の住居が手狭になったので、500名まで収容可能なものに建て直しました。」
あれ…?元々ここの蟻人族って30人くらいだったような…?
「今は約100名ほどになっておりますね。」
通常の蟻人族は交配相手のデータと魔力があれば作り出すことができるから増やそうと思えばすぐ増やせるんだが…。それでも元の3倍は多いだろ…。
「これでもまだ人手足りないほうですね。回す仕事はたっぷりありますので。」
俺の思考を読んだのか、ケイはまだ増やすつもりのようだ。まぁあんまり無茶させるなよ…。
「蟻人族の増加に伴い大蟻も順次数を増やしていますね。現在200匹ほどでしょうか。」
ダンジョンで得られる魔力と、牧場から得られる食料により大蟻の数も増えているそうだ。こっちも回す仕事はいっぱいあるんだろうな。
「蟻人族、大蟻の増加に伴い牧場の管理は彼らに任せてあります。その分浮いたゴーレムを54層の鉱山に回しております。」
鉱山は危険だから蟻人族の皆には任せられないからな。怪我でもしたら困るし…。
「また蟻人族の兵隊達と大蟻が自主的に地下ダンジョンに繰り出してレベルアップを図っているようですね。」
エドガー製作の槍が蟻人族の兵隊の皆に回りきった所で基本的な槍術の訓練をしたんだよな。
怪我したり死なないようにという意味で鍛えたのだが…。なんか自ら危険な所に行っているんだな…。
「ま…。まぁ無茶しないようにと伝えておいて…。」
「承知しました。次に…。」
今日の報告は多そうだな…。カップのお茶がなくなってしまったのでアリスに注いでもらう。
そういやアリスもシュリも大分メイドの仕事が板についてきたようだな。
「ご主人様?どうかなされました?」
「そんなに顔をまじまじと見てどうしたのよ?」
「いや、2人とも成長したなと思ってね。」
そう褒めると2人とも顔を赤らめて恥ずかしがる。初々しいなぁ。
この2人会った当初は中が悪かったが、今では2人で訓練をしたりダンジョンで腕試しをするなど仲のいい友達になっている。むしろ戦友か…?
「世界樹の村のほうも区画整理を行い、村の1階下に街を作成しました。こちらには増えた蜂人族が住む予定です。」
レーヌからも蜂人族の人数の増加の申請が来ていたらしく、ケイは既に了承を出したそうだ。
「蜂人族の増加に伴い蜂蜜の生産量も増えておりますので現在結晶化させて保存しております。」
ケイが言うには、世界樹の蜂蜜を結晶化させると魔力を蓄えた石の様になるらしい。まるで人口魔石だな。
「また、エドガー製作の武具も蜂人族の兵隊に回りきりましたので、クイーンの配下で槍術に長けたものが指導を行っています。」
蜂人族の皆に槍がいきわたったら訓練しなきゃと思っていたが、既にクイーンが手を回していたらしい。
「あとラースが蜂蜜をよくつまみ食いするのでシメておきました。」
「お前…。ラースをシメるとはなかなかやるな…。」
「いえ、それほどでも。」
別に褒めてないからな?
「要するにダンジョンにある施設はほぼ手入れが終わったって所かな。」
「そうですね。現状手を入れるところは少ないかと思います。」
それならば予てから計画していた事を実行に移せるな。
「それじゃ、しばらく旅に出ようかな。」
「「えっ??ええええぇぇぇぇ~~~~!!??」」
先ほどまで大人しくケイの報告を聞いていた2人の少女の叫びが屋敷中に響き渡った。
「そういうわけで、しばらく旅に出ようと思います。」
「いや嬢ちゃん…。何処をどうすればそういうわけでってなるのかさっぱりわからんぞ…。」
昼食後の集まりで早速エドガーに突っ込まれた。
「まぁ説明するとダンジョンの整備がひ一段落ついたから外の世界を見てこようと思ってね。」
別にこのままダンジョンに引きこもってもいいんだが、やっぱり色々な所を見て回りたいよね?
「情報を仕入れたいというのであれば私の部下を各地に放ちますが…。」
クイーンがそう提案する。でも蟻人族じゃ色々難しいだろう。
地上の町以外の情報ならそれも手だけど、外見的に町の情報を得るのは難しそうだろう。
「町の情報とか仕入れるのが難しそうかな。それよりも貴方達にはこのダンジョンを守っていて欲しいの。私が帰る場所をね…。」
そう伝えるとクイーンとレーヌは嬉しそうに微笑みながら頷いてくれた。
「主様。わらわはついていっちゃ駄目なのか?」
ラースがそんな事を言うか、お前がついてきたら駄目だろう…。
「護衛の任をサボるつもりか?」
俺は優しく微笑むが、冷たい視線をラースに投げかける。
「ぴいぃぃっ!?冗談なのじゃっ!?」
まったく…。空気を読まんドラゴンだ…。
「ご主人様…。アリスはついていっちゃだめなの…?」
アリスが泣きそうな顔でいかないで、ついてきたいと懇願してくる。
「外では何があるか判らないから…。アリスがもっと色々強くなってからね…?」
アリスに鞭を与えてから戦闘力は格段に向上しているだろう。でも外に出るとなると戦闘力だけでは足りないだろうからな…。
「うぅ…。わかりました…。」
アリスはぽろぽろ涙を流しながら頷いた。
「いい子ね…。ちゃんと時々帰ってくるし、通信もするからいい子にしてるんだよ…。」
転移を使えばすぐに戻ってこれるし、通信で会話もできる。
しかし転移も通信もどの位の距離まで有効かというのは実際にやってみなければわからない。しあkし今までの経験上距離離れていてもできそうな気がするんだよな。
泣きじゃくるアリスの頭をそっと撫でる。
「シュリ、アリスの事よろしく頼むね。」
「うぅ…。はぃ…。」
気落ちしているシュリも一緒に頭を撫でてやる。何だかんだ言っても2人とも甘えん坊さんだからな。
「うぅ…。主様が冷たい…。」
それはお前に原因があると思うぞラース…。
「出立は明日の朝食後。見送りは別にいいからね?」
そう言ったら皆に猛反対された。だって見送りやるとなるとクイーンとレーヌが凄く張り切りそうで大掛かりになりそうなんだもん…。
結局俺は皆の迫力に折れ、朝食後に出立式を行うという事で了承した。
「では準備をしないといけませんね…。」
「わしも準備してくるわい。」
皆が口々に明日の出立式の準備をすると言って会議は終了した。
手間を掛けて申し訳ないと思う反面、なんだか嬉しいと思う俺が居た。
「ご主人様…。今日はずっと傍にいてもいい…?」
アリスが控えめに上目遣いで尋ねてくる。ずっとってことはお風呂とかも来そうだな…。
まぁ今日くらいはいいか。
「いいよ。シュリも一緒においで。」
シュリも々お願いをしようとしたのか、名前を呼ぶとびくっと体を震わせる。
「仕方がないわね。アンタの頼みなら聞いてあげるんだからっ!」
シュリは腕を組んでそっぽを向いているが、顔は赤いし触角と翅が凄い勢いで振れてるぞ?
こうして夕食を3人で済ませ、風呂に入り、3人一緒にベッドで眠るのであった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
とうとうレイが外の舞台に飛び出します。
今後の展開を楽しみにしていてください。




