第1話 ここは何処?君は誰?
本編1話目です。更新ペースは聞かないで・・・。
「んっ・・・」
なんだか意識がぼんやりしている…って俺は気を失っていたのか?
目を開けているはずだが、辺りは真っ暗で何も見えない。
意識が徐々に戻ってきて、気を失う前のことを思い出してみる。
「確か運営からのメールで…新しい世界に旅立たないか?だったか…?」
独り言を呟きながら思い返してみるが、そのメールにYESと返事を送った後の記憶がない。
「待て待て…。VR内で気を失うことなんてないだろ…。しかもここは何処なんだ?」
『おはようございます。魔王様。』
突然暗闇に声が響き、目の前に人魂が現れる。
「うぉっ!?」
驚いて仰け反りそうになったが、どうやら俺は椅子に座っていたらしく倒れることはなかった。
「魔王って俺の事か?それに…君…誰…?」
「はい、貴方が魔王様でございます。そして私めは魔王様の補佐のケイでございます。お忘れでしょうか…?」
恐る恐る人魂に訊ねてみると、どうやら魔王とは俺のことで、この人魂は俺の補佐らしい。
「ケイ…ケイかっ!?」
その名前には覚えがあった。FWOで俺のサポートキャラとして設定してた人族の少年だったはずだが…。
「お前なんで人魂に…?」
「魔王様が眠りについてから1000年経っておりますので。肉体は既に滅びましたが、こうして魂だけでお役目を務めていました。」
1000年って…。どういうこっちゃ…?
それにサポートキャラは専用のAIで動いているはずだがどうも人間的な感じがするぞ…。
「1000年ってどういうことだ?そんなアップデートあったか・・・?」
左手の人差し指で虚空をダブルクリックするように動かすとシステムメニューが出るのだが、その項目からメール機能が消滅していた。
「1000年前、魔王様は女神との約束で1000年間眠りにつかされていたのでございます。アップデートというのは申し訳ありませんが判りません。」
サポートキャラはプレイヤーからの質問に答えるヘルプ機能がついていて、アップデートについても答えられるはずなのだが…。
どういうことだ…?
いや…薄々感ずいてはいるのだがVRにしては余りにも生々しい感覚、そして人間味のあり過ぎるサポートキャラ。
これライトのベルでよくある異世界転移か…?
確かめる術は今の所ないし後々調べてみるか。
「それで…ここは何処なんだ?」
とりあえず今必要なのは今いる場所と、情報を集めて何をするべきか決めることだろう。
そう思い。人魂もといケイに訪ねてみた。
「ここは魔王様が御作りになった世界樹のダンジョンの魔王の間でございます。」
そうケリーが答えるとその両脇に灯りが点き、そこから奥へと1対ずつ順番に灯りが点いていく。
周りが明るくなり見渡すとレンガで覆われたかなり広い部屋の中央に赤い絨毯が入り口であろう扉から俺の座っている玉座まで伸びている。
この部屋…FWOで俺が作ったダンジョンの魔王の間だな…。
FWOで魔王となった俺は自身の拠点として世界樹の根元に地下50階のダンジョンを作り、それ以降の階には生産施設やマイホームを設置した。
魔王の間はダンジョンを攻略したプレイヤーを待ち受けるボスがいる場所として作ったのだが一度も使ったことはない。
難易度高くしすぎて誰も来なかったからな…。
「いかがなさいました?」
遠い目をしながら思い耽っているとケイが心配したように話しかけてくる。
「いや何でもない。それよりも今のダンジョンの情報が欲しいがどうなっている?」
心配をかけないようにダンジョンの情報を求めてみる。決して誤魔化した訳じゃないぞ?
「現在1階から49階まで魔物の配置は行われておらず、野良の魔物が住み着いています。50階の魔王の間は見て頂いている通りの状態で、生産施設等は封印されております。」
「封印だと…?使えないのは困るな。」
アイテムの生産、製作ができないのも困るし、今までに集めたアイテムが使えないのも困る。
設備の封印なんてFWOではなかったから解除方法もわからないしな…。
「魔王様の魔力で封印は解除できますよ。」
まるでこちらの心を読んだかのようにケイが答える。ってかマジで心読んでないよな?
「読んでいませんよ?」
「読んでいるじゃないかっ!?」
そう抗議するとケイは「魔王様は判り易いんですよ」と返された。
お前、絶対主人を敬ってないだろ…。
とりあえず、生産施設やマイホームが使えそうなことはよかったとして、封印を解かないとな。
「封印というのはどういうものだ?」
「各施設に魔術障壁が張られておりますので、それに魔王様が触れれば解除されます。」
簡単そうでよかった…。儀式とかやれと言われてもできそうにないからな。
「では案内を頼むぞ。」
そうケイに指示を出し、玉座より立ち上がる。
立ち上がった反動で胸がふるんと揺れる。
ちょっと待て…。そういやレイ・ミカゲのアバターって…。
恐る恐る自分の胸元に目線を下げる。
リアルならありえない胸の谷間と、その胸を押さえる白く細い指。
「待てケイ、鏡はあるか?」
「鏡はありませんが、私目の体をお使いください。」
ケイはそういうと自分の体を2m四方の平たい板状に変え、表面を鏡のように変えた。
そこには長い金色の髪をなびかせ、胸は大きめでそのスタイルをより際立たせるようなドレスで身を包み、目は大きくて顔立ちは可愛さと美しさを備えているが、唖然とした表情がその美しさを台無しにしている少女がいた。
そう…レイ・ミカゲは女性型アバターで製作されていたのだ。
マジかよ…。