第16話 皆の住処を作りましょう
アリスの配置も決まったことだし、後は皆に話して実行するかどうか決めるだけだな。
「宴会場の皆さんはもう起きていらっしゃいますよ。朝食は昨夜の残り物で済ませているようです。」
結構な量の料理を作ったからなぁ。そりゃ余るか。
「お酒は全て飲み干していたので、ゴーレムにお茶を運ばせておきました。」
酒樽で山が出来る位の酒を用意していたはずだが…。あれを飲みきったのか…?
リアルなら二日酔必死だろうな。薬を用意するか…。もしくは状態異常回復魔法って二日酔に利くのか…?
そんな事を考えながらケイとアリスを引き連れて宴会場へ向かった。
「おはようございます、ご主人様。」
「「「「「おはようございます、ご主人様。」」」」」
俺が部屋に入るとクイーンと従者、兵隊さんが一斉に挨拶をしてくる。全員一同に会したのは初めてだからちょっと驚いたぞ。
「おぅ嬢ちゃん。おはよう。」
エドガーも遅れて挨拶をしてくる。見たところ誰も二日酔になってはいないようだ。どんだけ酒に強いんだ…?
「皆さんおはようございます。よく寝れましたか?」
「ええ、床もふかふかですしよく眠れましたよ。」
皆を代表してクイーンが答える。この部屋は総絨毯張りだから普通の床よりは寝やすかっただろう。
皆顔色よさそうだし体調面は問題なさそうだな。
「朝食は皆済ませているようだし、これからの事をお話しするね。」
皆を席に座らせ、今後の方針を伝える事にしよう。
「ではつまり、私達はダンジョンに住まわせて頂く代わりに労働力を提供するという事で宜しいのでしょうか?」
「ええ、でもまずは住処となる街を作るところからかな…?」
クイーン達に働いて貰う事を伝えると、反対もなく快諾してくれた。むしろもっと使って欲しいとねだられたくらいだ。
エドガーなんて家を用意してもらえる上に鍛冶場も与えられるということから感謝しっぱなしだった。
「嬢ちゃん本当にいいのか?わしら恩をもらいっぱなしになるんだが。」
「いいんですよ。エドガーが作ったものを頂いたり、こちらから何か依頼して作ってもらえれば十分な利益になるしね。」
俺が造ってもいいのだが、正直面倒なので自分の分以外はエドガーに丸投げする気満々である。
「まぁ嬢ちゃんがそれでいいのならばわしは構わんがな。」
そういって豪快に笑う。この辺はドワーフのイメージ通りだな。
「で、まずは何をすればいい?」
「まずは街を作る事からかな。作り直しは簡単に出来るらしいから一度大まかに作ってから修正していけばいいと思う。」
ここに来る前にフロア建造についてケイに教えてもらったのだが、ダンジョンに蓄えられている魔力を使って建物など作る事ができ、また壊すことも魔力を使えば容易らしい。
それで、どうやってダンジョンに魔力が溜まるかというと…。ダンジョン自体が巨大な魔法陣になっており、周りから魔力を集めるそうだ。
そして集めた魔力でダンジョンの拡張、設備の拡充ができ、ダンジョンの上にある世界樹の成長にもこの魔力が使われているそうだ。
ちなみに世界樹は魔力があればあるほど成長するそうなので…。あんまりこの先は考えないほうがいいな…。
「ふむ。じゃあまずは作ってもらってからだな。」
「ええ。ケイまかせてもいいかしら?」
「お任せください。5分ほどで出来上がります。」
そう言うとケイは姿を消す。5分って早いなおぃ…。
「そうだエドガー。鍛冶場ができてからなんだけど、兵隊さん達の武具を作ってもらえるかな。」
蟻人族の兵隊が持っている武具は大蟻の甲殻や牙から作ったもので、このダンジョンで使うには少々心持たない。
なのでここの素材を使って武具を作り、装備したほうがいいだろう。
「人数分となると少々時間がかかるが問題ないぞ。材料は嬢ちゃん持ちでいいか?」
「ええ。材料は転移門で送らせるから大丈夫よ。」
さて、どんな材料を送り込もうかな…。やはり最高級なものにするか?
そんなことを考えているとケイが戻ってきた。
「ひとまずですが、フロアの建造および51階への配置転換を終えました。あとは細かな調整を残すのみですね。」
ほんと早いな…。これで性格がアレじゃなければ優秀な秘書なんだがな。
「何か言いましたか?」
だから心を読むな…。
新造した51階へ皆で転移した。その51階の様子はというと…。正直驚いた。
旧51階の牧場のように一面の青い空、輝く太陽、そして立ち並ぶ中世ヨーロッパ風の家々と石畳で舗装された道路。
ここダンジョンじゃなかったっけ…?
「ここは天井を高くして、空と太陽は幻術で再現しています。街の建物と道路はテンプレートのものをそのまま使っていますね。」
牧場や養殖場の空や太陽もこれと同じ方法で作ったんだろうな。あと街のテンプレートはゲームの時と同様だ。
「私としては街並みはいい感じだけど、クイーン達はどう?住み難くないかしら?」
人族などの街に住む種族にとっては問題ないだろうが、先日まで地下の巣で暮らしていたクイーン達はこの街は馴染みないだろう。
「私達は問題ありませんよ。何処にでも対応できる種族ですので。でも大蟻たちはどうしましょう…?」
そうか。クイーン達はよくても大蟻達のことを考えないとだめか。
「では街の隣に蟻の巣を建造しましょう。それならば問題ないかと思います。」
そういうとケイは早速蟻の巣の建造に取り掛かる。ただ建造といっても大蟻達が掘る事のできる区間を設けるだけなんだがな。
「あとはできれば私達は1つの建物で纏って暮らした方がよさそうですね。大きな建物を用意できますか?」
「用意する事は可能です。3階建ての建物を建造します。」
クイーン達は纏っていたほうが何かあった時に対応しやすいだろうしな。ケイもそう考えてすぐに実行してくれた。
そういや水道とかのライフラインはどうなっているんだろう?
「水周りとかのライフラインはどうなっている?」
「全ての家に上下水道を完備して、魔力路も繋げてあります。」
魔力路というのは魔力を流す回線のようなもので、現実の電気みたいなものと考えればいいだろう。
この魔力路に魔道具を繋げれば自身の魔力がなくても魔道具を使う事ができる。
これで明かりを灯したり、火を起こして調理する事もできるだろう。転移門も設置して繋げれば使用可能だ。
「後はエドガー一家の家ですね。」
エドガーの家は住居、店舗、鍛冶場の3つを併設しているためそれなりに大きい。特に鍛冶場は設備が充実しているようだ。
「里の設備よりもこっちのほうがいいぞ!?」と本人談。
まぁいい事に越した事はにだろう。
「後は実際に住んでみて、細かい所をその都度調整する感じかな。」
「ええ、それで問題ありません。」
「わしも問題ないぞ。」
これで皆の家は出来上がったが、結構空き家が残ったな。
そのうち誰かに住まわせるか。
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この世界はどうやら飲兵衛が多そうです。




