第9話 アリスの誘惑?
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読んでいただいて本当にありがとうございます。
女王が俺に一族の全てを委ねるという決定は大きな混乱は特になく、すぐに巣の中全体に伝えられた。
大蟻にも女王がいるそうだが、こういった交渉や一族の運営方針は全てこちらの蟻人族の女王に任せているそうだ。
女王が2人いると混乱しそうだしな。というよりも1人と1匹か…。
「自分で言いながらなんですが、本当にいいんですか?」
女王を席に着かせ、念の為、女王に確認を取る。
「ええ、一族の事は全て私が決めますし、それに私達に死ねと言うつもりはないんでしょう?」
この女王は俺の心情を汲み取った上で決断したようだ。その方が手っ取り早いしありがたいな。
「もちろん、貴方達の全てを委ねられた訳ですからそう簡単に死んでもらっては困りますね。」
彼女達を受け入れるメリットはないと言ったが、彼女達全てを委ねられたなら如何様にも使い道はある。
まぁ主に労働力としてだけどね。
「当面は蟻人と大蟻の皆さんには私の拠点で働いて貰う事になりますね。」
地下ダンジョンの生産拠点は今はゴーレムが働いているが、人工知能を積んでいない為融通が利かなかったり細かな事が出来なかったりする。
そこで蟻人族が代わりに働けば融通も聞くし、大蟻達も力が強いため、資材等の運搬には持って来いだろう。
そのうちダンジョン内の警護や狩りに出てもらってもいいかな?
「そのくらいでしたら十分可能でしょう。私も働きに出てもいいですし。」
いや。女王自らが働きに出るってどうなのよ…?
「いえ、むしろ女王には全体の指揮統括をお願いしますので家に居て頂く方がいいですね。」
そういうと女王は少し残念そうな表情をした。働きたかったの…?
「そうおっしゃるのならご指示に従いますご主人様。」
「「ご主人様っ!?」」
俺とアリスが驚いて声を上げる。ってか何でアリスまで驚く…?
「ええ。私達は貴女様に仕えるのでそう呼ぶのが正しいかと。」
「じゃあじゃあ、私もご主人様って呼びます!」
親子揃って何なんだ…。女王は悪戯っ子みたいに微笑んでるし、アリスなんて眼を輝かせてこっちを見ているぞ。
「まぁ…。呼び方は任せますが、女王の事はクイーンと呼ばせていただきますね。」
「私としましては『お前』と呼ばれてもいいのですが…。」
そう言うとクイーンは頬に手を当てて微笑む。それ狙ってるよね…?
「まぁ呼び方は追々で…そういえばこの巣には何人何匹くらいいるのです?」
そう言えば人数聞いてなかったなと思いながらクイーンに尋ねる。
「蟻人族が30人、大蟻が50匹くらいですかね。」
思ったより少ないな、10人とか1000匹単位だと思っていたよ。
「襲撃される前はもう少し多かったのですが…。襲撃でかなり数を減らされてしまいまして…。」
俺の心を読んだのか、申し訳なさそうにクイーンが答える。
「いえ、それだけ危機的な状況だったと推察できますし気にしませんよ。それにその位の数なら十分賄えます。」
「ありがとうございます。それでご主人様。そんなに丁寧な言葉を使わなくてもよろしいですよ?」
エドガーにも言われたが俺の話し方って丁寧な部類に入るらしい。まぁ身に染みちゃってるから仕方がないか。
「嬢ちゃんはまるで箱入り娘だよな。社会の常識には疎いのに話し方や行動やしぐさが貴族みたいだもんな。」
「わかったわ。クイーンもそんなに気を使わなくても大丈夫よ。あとエドガー。私は別に貴族ではないからね?」
「ふふ、ありがとうございます。」
「嬢ちゃんが貴族だったらわしなんぞ助けはしないだろうからな。」
クイーンは頭を下げて答え、エドガーは笑いながらわかってると言った。
「それでご主人様。もう外は日が落ちて暗いですので、今夜はここに泊まっていかれる方がいいかと思いますがいかがなさいますか?」
クイーンとの会談を終え、そのまま一緒に食事を取り終えると泊まらないかと提案してくる。
「もうそんな時間ですか…。泊まったほうが無難かな…?」
エドガー達のほうを向いて一応確認を取る。
「泊めて貰えるならそれに越した事はないと思うぞ。今の森で野宿するのは流石に危険すぎる。」
あれだけ盗賊が居た上に魔獣もいるからな。ここに泊めて貰うのが一番安全か。
「では寝室の準備をさせますね。」
そうクイーンが言うと従者達が一斉に動き出す。
「ごしゅじんさまごしゅじんさま…。」
いつの間にか俺の脇に来ていたアリスが袖を引っ張りながら呼ぶ。
「ごしゅじんさまと一緒に寝てもいい…?」
ってこの子は何を言い出すのか…。どう考えてもだめだろ…?
「あら、ご主人様モテモテですね♪」
クイーンが口に手を当て嬉しそうに微笑む。ってか母親なら止めろや…。
「いや普通母親なら止めるでしょうが。」
「いえいえ、私は構いませんよ?」
蟻人族は触角をあわせて声に出さずに会話する事が出来るそうだが、そういやさっきクイーンとアリスは何か話してたみたいだな。
アリスが一緒に寝たいだなんて言わないだろうし…。クイーンが黒幕か…?
「…。だめ…?」
アリスは眼を潤ませ、上目遣いで懇願してくる。こんな事されたら断れないわな…。
「はぁ…。仕方のない子ね…。」
ため息を吐き、微笑みながらアリスの触角の付け根を転がすように頭を撫でる。
「はぅ…。はぅ…。」
アリスは眼を細めて気持ちよさそうな顔をしている。
「ふふ…。よかったわね♪」
「全部計算ずくですか…。まぁいいですけど。」
やられっぱなしも何だし、少し反撃するようにいうが女王は何処吹く風のようだ。
「寝室の準備が整いました。お部屋にご案内します。」
従者達が戻ってきた。タイミングよすぎないか…?
「それでは今日はこの辺りで…。ご主人様の拠点への移動はいつ頃からよろしいですか?」
「明日私の拠点に向かいますので、そのとき一緒に行くのが一番いいかな。」
エドガー達を大蟻に乗っけたほうが移動速いしな。どうせなら一緒に行くほうがいいだろう。
「わかりました。では今夜中に出立の準備を済ませますので明日の朝食後でよろしいでしょうか。」
「私はそれで問題ないよ。エドガー達もそれでいい?」
「おう。問題ないぞ」
これで今夜はここに泊まり、明日はダンジョンに戻る事が決まった。
予定より一日遅れるが問題はないだろう。
「それではお休みなさいませ。」
部屋に案内され、ベッドに腰掛けると隣にアリスも腰掛ける。
エドガー達はここよりも大き目の部屋に通されたみたいだ。まぁ家族で居たほうが安心できるしな。
「えへへ…♪」
アリスは体を寄せ、俺の腕を抱きしめて頭を擦り付けてくる。リアルに俺の妹もいたが同じように甘えてきてたな。懐かしい思い出だ…。
「アリスは本当に甘えん坊さんね…。」
そう言いながらアリスの頭に頬ずりする。俺も大概この子に甘いな。
「ご主人様の事大好きだから…。赤ちゃんも欲しいし…♪」
ちょっと待て、それはいけないし危ない。
「こらこら…私一応女よ…?」
中身男だし、体も男になる事は出来るんだが今言うのは危ないだろう。
「んっ…。アリスはご主人様が女でも赤ちゃん作れるよ…?」
はい…?どういうことだ…?
アリスに事情を聞くとこういうことだそうな。
・蟻人族は女性しか存在しない。
・強い血を残すために多種族と交わって次期女王を作る。
・兵隊蟻人などの次期女王以外は魔力で作る。
・多種族との交わり方は交尾の他に摂食によるデータ採取がある。
男の蟻人族見かけないと思っていたのだが、そもそも男は居ないらしい。
というよりも…。アリスを受け入れると俺喰われるって事か…?
「それじゃ私はアリスに食べられちゃうのかしら…?」
そう言うとアリスは思いっきり頭を左右に振る。凄い必死だな…。
「ううん、違うの!全部じゃなくて…。髪の毛とか血でもいいの!」
なるほど…。喰い殺されることはなさそうだ…。ちょっと安心したな。
「ごしゅじんさま…。アリスの事嫌いになった…?」
アリスが不安そうにこちらを見上げてくる。びっくりはしたけどそのくらいなら嫌ではないか。
「ちょっとビックリしただけよ。」
頭に手を載せ、指の間に触角の根元を挟んでこねる。
「はぅはぅ…。」
アリスは顔を蕩けさせ、気持ちよさそうに眼を細める。
「でも今すぐはだめね。そのうち…ね?」
「うん。えへへ…♪」
アリスは俺に抱きついてきて胸に顔を埋めて甘えてくる。本当に甘えん坊な子だ…。
「それじゃ、明日は忙しくなるからそろそろ寝ましょうか。」
「うん、ごしゅじんさま…ぎゅってしてもいい…?」
「仕方のない子ね…。ほら…おいで…?」
ベッドに寝転がり、隣にアリスを招くと抱きついてくる。
「それじゃ…。おやすみなさい…。」
アリスを抱きしめ返し、おでこにキスをして俺は眼を閉じた。
蟻人族の増える方法がちょっとあれですが…。大丈夫だよね…?
問題があれば書き直します。




