9.
ふわりと頬を撫でた風で目が覚めた。
…あれ。どれぐらい寝たかな。
2時間ぐらいか。太陽の傾き具合いからそう判断した。
欠伸をしながらグッとのびをする。
あー満足。さわさわと揺れる木漏れ日が寝起きの私には気持ちいい。
さて、これからどうしようかな。
もう少し森の中に入ってみようかなー。
タッと枝を蹴って空中に舞ったその瞬間。
ゴオッと突風が吹いて身体が吹き上げられた。
えっ?
状況を把握しようと下を見下ろすとドラゴンンンン。
えっ、ドラゴン?!なんか怒りを買った?!
私なんかしたっけ!して無いよ!寝てただけだよ!!心当たりが無さ過ぎるよ!!
えええええええええぇぇぇぇぇ____
──────────
ドラゴンに連れ去られた先で降ろされたのは、森の奥にあるドラゴンの巣だった。
森の真ん中にあるでっかい木がドラゴンの巣だとは知ってたけどさ…。
なんで私連れ去られたの……。
空の旅は楽しかったけど!魔法で飛べるんだよ!私は!!
いったい何なんだ!!
今日という日が平和に終わる事は無いと分かった時点でやる気を無くす。
嗚呼、神様。私が何をしたと言うんですか。むしろ、何もしてないんですが。