『気象異常』
むかしむかし、あるところで「大自然No,1決定戦」なるものが開催されていました。
北風に無事勝利した太陽は二回戦で雨雲と戦うことになりました。
「じゃあ勝負はあそこを歩いている女の人を、より色っぽくしたほうが勝ちとしよう」
「それは難しいな。だがいいだろう。受けて立つ」
色っぽさのジャッジは、いつでも公平な太平洋に頼むことにしました。
受けて立ったはいいものを、太陽はこの曖昧なお題に頭を悩ませてしまいました。
「これは困ったぞ。どうしたらいいものか……。そうだ、前と同じように上着を脱がしてみよう。薄着の女とは総じて色っぽいものだ」
さっそく太陽は女の上でさんさんと輝き始めました。女はその暑さに耐えきれずに上着を脱ぎだし、ついにキャミソール一枚になりました。
照りつける太陽の下に晒された彼女の肌はなかなか色っぽいものでした。
「どうだい、太平洋。なかなか色っぽくなっただろう? 」
しかし太平洋の反応はいまいちです。
「ぼくはいつでも水着の女の子を見れるからねぇ……。まあそこそこかな」
太陽はシュンとなってしまいました。
「じゃあ次は僕の番だね」
雨雲はそう言うと女の上に一瞬だけ大雨を降らせました。
突然の通り雨にあった女の子の服はビショビショに濡れ、キャミソールが体に張り付いて中のブラが透けて見えていました。
会場に詰め掛けていた他の大自然たちは大興奮です。みなスタンディングオベーションで雨雲を讃えました。間違いなく勝者は雨雲で決まりでしょう。
ですが些か興奮しすぎてしまいました。北極の氷は興奮して自分の体を溶かしてしまったり、大陸プレートは興奮で震え、大地震を起こしてしまいました。ほかにもオゾンさんや二酸化炭素さんたちも色々と悶々としてしまったようです。
びしょびしょに濡れた色っぽい女の人はつぶやきました。
「最近、地球環境がおかしいわね」
作者は病気です。