『高収入アルバイト』
「日給12万円!!」「初めての方大歓迎!!」「椅子に座っているだけの簡単なお仕事です!!」
俺は一応イラストレーターとして三流SF雑誌に気持ち悪い宇宙人やらなんやらを書いていたのだが、出版社が倒産したため今は無職である。俺は迷わずそのバイトに飛び付いた。
もしかしたら危険な仕事なのかもしれないが、それでも俺には日給12万は魅力的だった。
書いてあった番号に連絡し、指定されたビルに到着した。
「よくきてくれました。今回あなたにしてもらいたい仕事というのが、ちょっと脳波を調べたいんですよ」
そういうとスーツを着たなんとも薄い顔の男はテレビで見たことがあるようなヘルメットに線がいっぱいくっついて脳波測定機を俺に差し出した。
「君はここでただ眠っていてくれればそれでいい。その間に君の脳波を研究のサンプルとして採らせてほしいんですよ」
脳を調べられるというのは少し気がひけたが、脳波だけならなんてことはないだろう。大体こんなにも簡単な仕事だとは思ってもみなかった。
俺はヘルメットをかぶったまま一寝入りした・・・。
「ありがとう、参考になったよ」
「こんなんでいいんスか?」
「あぁもう十分参考になった。その証拠にほら、外の景色を見てごらん」
男がカーテンを開けるとそこには、とてつもなく巨大な宇宙船とオドロオドロしい誰が見ても絶叫するような姿をした宇宙人が町荒らしまわっていた。
「どうだい? なかなかいい出来だろう?作者である君には本当のことを教えてあげよう」
男が言うには彼ら宇宙人は何千年も前から地球侵略を計画していたらしい。
しかしせっかくだから襲う地球人に侵略者として恐れられたい。だけど地球人が怖がるような姿が宇宙人達には分からなかったので、地球人が恐ろしいと感じる宇宙人を書くと聞いた宇宙人が俺の脳を調べ、地球人が一番怖いと感じる姿で侵略することに決めたのだという。
「なんでわざわざこんなことをしたのかだって? ははは、ただの趣味だよ」
そう言うと男達は、俺が考えた地球人が一番恐れる宇宙人の姿に変身した。