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『未来からの予言』

 一昨日、仕事が終わり家に帰ると、テーブルの上に一枚の紙が置いてあった。


   お前は明日、財布を無くす。


   お前は明後日、会社をクビになる。


   お前は明々後日、人を殺す。


              未来より


 世の中物騒な世界になったもんだと思った。

 俺は一人暮らしだ、今までの彼女にも鍵は渡した事は無い。遠くの家族にはスペアを渡してあるが、むしろこういう冗談は大嫌いな人たちだ。と言う事はドロボウが入ったついでにふざけたのかもしれない。

 俺はとりあえず貴重品の確認をしたが、特に無くなった物は無かった。というか、貴重品なんてもともと俺は持っていなかった。

 まぁ酔っぱらった時かなにかで書いたのがたまたまここに落ちたのだろうと決め付け、俺は寝ることにした。


 だが次の日、俺はこの紙に書いてある通り、財布を無くした。

 財布を無くした悲しさより先に、まさかあの紙と同じことをするなんてと、自分の馬鹿さ加減に呆れた。


 そして今日だ。昨日は自分の馬鹿さ加減からなる単なる偶然と思っていたが、出勤すると、そこにはもう俺の席は無かった。部長にリストラの旨を伝えられ、荷物を詰め込んだ段ボールを抱えながら、俺の頭の中はあの紙のことでいっぱいだった。


 俺は明日、誰かを殺すのか? 誰を? 何故?

 

 俺は布団に包まり、恐怖でガタガタと震えた。

 どうしたらいいんだ? 明日一歩も外に出なければいいのか?

 大体これはただの偶然が重なっただけじゃないのか?

 意味のない憶測が堂々巡りする。


 俺は、決意した。


 ベランダの出て、空を見上げる。

 俺はそこから飛び降りた。

 誰かを殺すぐらいなら、俺は自らの死を選ぶ。


 その時時計は、午前0時を指していた。



 

    ○   ○   ○

  



「以上が今回のケースのあらましです。もちろん彼は自殺ですので、我々や貴方が罪に問われる事はありません。費用は当社専属のスリ師への報酬と会社への裏金などを合わせました諸経費と、最初にご説明しました基本プラン料金とを合わせまして合計一千五百万円になります」

「本当に大丈夫なんですよね?」

「はい、もちろん大丈夫でございますよ。当社は『安全・安心・最速』が売りの殺し屋ですからねぇ」

……ちょっち無理があるかな?

少なくともこれは罪にはなるよね。自殺幇助罪とか?

てかこの場合はそのまま殺人罪になるのかな?

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