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第3話 幽霊

「はぁ....ほんとに死ぬかと思った...」


動かなくなったフェレットを見つめながらそう呟いた。


「右腕は... 」


途中からなくなった右腕を見る、大胆な傷にも関わらず、あまり大きな出血はしていなかった。


というか、今気づいたけど。この右腕、痛みがない?


いや、痛みがないというのはちょっと語弊があるかもしれない、

もっと細かく言えば、痛みという情報は感じていたが、その感覚には全然つらさなどが含まれておらず、異様に無機質だったのである。


「なんで...」


そんなとき、いきなり知らない少女の声が聞こえた。


『ねぇ? いつまでその演技してるの?』


「えっ.... 誰?」



気が付くと、目の前に一人の少女がいた。

だが、その体は半透明で、宙に浮いていた。


ブロント髪に青い目、服は淡いオレンジのトップス、白いスカート、年は僕の体と同じくらいだろうか。



「ほ...本物のおばけじゃん...

僕、悪霊退散の呪文とか知らないんだけど...」


『いや、わたし悪霊じゃないから!』

『と言うか"僕"って何? ホントにわたしに似せる気ある?』



なぜだか睨まれているが、あんまり威圧感はない、というかむしろ可愛い感じになってる。



「えっと、演技とか、似せるとかって何の話?というか、ホントに誰?」


『え? なに? もしかしてわたしが寝てる間に記憶喪失にでもなった?』


「記憶喪失...まぁ、多分そんな感じなのかな。」



話を聞いてる感じたぶん、この体には元々別の持ち主がいたんだろう、そこに憑依転生的な感じで、僕の魂が入った的な。

だからこの身体の本来の記憶はないし記憶喪失って言っても間違いではないと思う。


『え? うーん....? それホント?? ウソじゃない??』


なんでかすごい怪しまれてる。



「えっと、そんな嘘ついて何か意味あるの?」


『そりゃ、邪悪邪悪な悪逆非道魔女と、頭空っぽちゃんじゃ、ものすごい差があるよ!』


悪逆非道魔女って、前の僕ってそんなに酷いやつだったの?


というか、記憶喪失のこと、頭空っぽって表現しないで...


「えっと、信じられないかもしれないけど。僕、ホントにきみが誰かわからなくて...」


『えー?………… まぁ、とりあえず、いまはそういうことにしてあげるよ、頭空っぽちゃん...』


口ではそう言っていたが、その目は、明らかに未だに僕のことをいぶかしんでいるようだった。


というか、僕の呼び名、頭空っぽちゃんで固定なの?


「あの、頭空っぽちゃんじゃなくてね、僕には理崎りざき れいっていうな立派な名前があるから。」


『え?記憶喪失じゃなかったの?』


「あー、こ、これは、えーと。そっ、そう、僕が今考えた名前だよ。」


『ふーん....?』


当然あんまり納得いってなさそうな様子である。


『まぁ、とりあえず、その……あーなんだっけ、

リザード・キリングだっけ? で今後呼べばいいの?』


「全然良くないよ? レイって名前だからね?」


『わかった、レイちゃん。』


『……あ、というか記憶喪失ってことなら、わたしも自己紹介したほうがいいかな?』


正直、なんでそんな幽霊みたいな姿をしているのかすごく気になっていたところだから説明してくれるとありがたい。



『私の名前はノア・アーバンティア。その体の、元の持ち主だよ。』


……………どういうこと?


「えっと、元の持ち主っていうのは、どういう?」


『つまり、レイちゃんは魔女で、わたしの死体に今寄生してる状態ってわけ。』


?????、寄生? 聞き間違えかな?


「えっと、魔女って聞こえた気がするけど....」


『うん、魔女ちゃんだよ』


「その、"魔女"ってなに?」


『…………え?!そこからなの?!』


え、そんなに驚く?


「うん。」


『うーん…………そうだね.... どこから説明しようかな.....』

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