第11話 猫と猪、月々の下にて
side フィーナ・ラマスティナ
私は、停車した馬車の中から、雨粒の湿気残る夜の森をぼーっと見つめていた。
馬車に外装に吊るされた黒猫対策のランタンの数々が、近傍の木々を橙色に染め照らす。
その先には、月明かりが薄暗い青に照らす木々が無限に続いているだけである。
空中で舞い散る花粉以上に鑑賞に値するようなものは、今のところは見当たらない。
非微視的変化の見られない森のつまらない景色に飽きてきた私は、狭い馬車の中を改めて見渡した。
この馬車も、それを引く馬も、私たちの所有物ではない。
これは今回の遠征の為の冒険者ギルドからの一時的な借り物である。
天井に吊り下げられたランタン一つと、外のランタンからの光が、狭い室内をおおよそ過不足なく照らす。
私の隣では弟がすやすやと熟睡している。
呑気なものである、こちとらお兄ちゃんとリスティアちゃんがどんな目に遭ってるか心配で仕方ないのに…
お兄ちゃんたちが森の方に様子を見に行ってから、もうそろそろ1時間半ぐらいは経っただろうか?
本当に…何にそんなに時間がかかっているのだろうか…?
まあでも…こういうめちゃくちゃ暇な時の時間感覚って、あんまり当てにならないから……
もしかすると、案外40分とか…なんなら10分ちょいぐらいしか経ってなかったりして………後者は流石にないか……
「はぁ………お兄ちゃんたち…もうそろそろ帰ってくるかな…?」
「ああ……あのおふたりさんな……
たぶん…もう…8分41秒くらいで帰ってくるぞ」
私がつぶやいた独り言に対して、馬車の前方の方から、ある一つの低い老いた声に勝手に返事をされる。
別に話しかけたつもりじゃなかったんだけどね…
耳がちょっと良いからって調子に乗らないでもらいたいものである。
お兄ちゃんとリスティアちゃんがなぜ今ここにいないのか問われれば、それは完全にこの老害のせいである。
この老害がこんな夜中に私たちを叩き起こして、挙句の果てに「北の方から…懐かしい声が聞こえた気がしてのお…見に行ってくれないやしないかい?」なんて意味のわからないことをのたまったからである。
はぁ……リスティちゃんもお兄ちゃんも…こんな老害に付き合ってやらなくてもいいのにね……
「…まあ厳密には…おふたりさんじゃなくて…三人………いや…四人じゃがな…」
四人…?どういうことだろう……?
そんなことを数秒だけうっかり考えてまったのち、
すぐに老害の無駄な謎掛けに無駄に脳のリソースを使うことの無駄さに気づき、別のことを考えようかな…と思っていたところ…
私の耳にも、こちらに近づいてくる数人の足音がようやく聞こえてきた。
見ればこちらに歩いてくる人影がひとつ…ふたつ……みっつ………
…………あれ?…三人しかいなくない…?
…もしかして…あの老害、痴呆症で1+1+1すら計算できなくなったのだろうか…?
……っていうかそもそも、どう考えても8分41秒も経っていないではないか……
……一般的に老いると時間の経過が早く感じるようになることは割と有名な事実だが、この老害においてはむしろ逆なのだろうか?
人影のうち1人は、私と同程度の背丈…おそらくお兄ちゃんだ。
そして、もう1人、めちゃめちゃ背丈の低い子、きっとリスティアちゃんだ。
さらにもう1人は…リスティアちゃんよりは相対的に背が高い影……この子は誰だろうか?
「おーい!お兄ちゃーん!リスティアちゃーん!その子誰なのー?」
「フィーナ!…この子は…あー、えっとー
森で迷子になってたらしいです…」
「まあそれも本人いわくだから、しんぴょーせーは0なんだけど…」
「あっ…初めましてなお姉さん!!…初めまして!! わたしノアだよ!!」
それは勢いのあるすごい元気な感じの女の子の声であった…
「あっ………は…初めまして…レイです」
ん?今の控えめな感じの声……も…この子から?
なんで今三回も「初めまして」って言ったんだろうか…?
すぐにその知らない子がランタンの光の範囲にまで近づいて来たことにより、シルエットだけ見えていたその姿がはっきり見えるようになる。
見た限り10歳くらいに見えるアルビノの少女
左目が赤で、右目が青のオッドアイになっており
首にはハート型の青色のペンダントが掛かっていた。
そして、そのボロボロの服とあざだらけの顔には、血のような赤いシミが……大量に付着していた。
さらにその白い髪の上には………猫耳……
「………なんでその子そんな血まみれなの?!!」
真夜中の森でも、月明かりを照り返して一際目立つ赤。そして猫耳。
それを見て、最初に連想するものはきっと皆同じだろう………
この子は…魔女……なのだろうか?
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side レイ
馬車の中からこちらを覗くフィーナと呼ばれたその緑髪の少女は、僕の血まみれの姿に仰天の様子。
まあ、当たり前だ…血まみれ猫耳ロリが目の前に現れたら誰だって驚く、僕だって驚く…
「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて…!レイちゃんが血まみれなのはいつものことだし…」
ノアが僕の口を借りてそう補足する。
ノアが霊体のまま喋ってしまうと緑髪の少年に声が届かなくて不便だから、一旦僕に憑依して喋ることにしたらしい。
「いやノア、全然いつものことじゃないから…」
「…???…もしかしてこの子…ひとりで二人分の会話してる?……多重人格…?」
「…まずはそこからよね…
まあ…かんけつにせつめいするなら…
あのじょーちゃんには、今…ゆーれいが…ひょーいしてるってことよ……分かった?」
「………???」
うーん…その説明で理解できるのはエスパーだけではないだろうか…
「はあ…リスティアさん、その説明で伝わるはずないじゃないですか……」
ほら呆れられてるじゃん…
「えっと…ノアさん…でしたっけ?…フィーナは僕と違って霊感があるので、たぶんその憑依を解除すれば普通に見えると思いますよ…」
「お兄ちゃん?憑依って…どういうことなの?」
『そりゃ、もう、こーゆーことだよ!!
じゃっじゃーん…!わたし…参上!!』
そう言いながらノアは憑依を解除して、
半透明空中浮遊ロリとしての姿をあらわにする。
「えっ!!…あっ…!!…幽霊ってそういう事?!
……あれ?…でもなんで……ランタンあるのに…?」
「まあ、あんたもそう思うわよね……このじょーちゃん…なんでかランタンの光をこくふくしてるのよ…」
これは先程ノアと彼らから聞いて知った話なのだが…
どうやら、この異世界での幽霊は普通、黒猫と同じように、日光や炎の光とかが苦手なものらしい…
つまりは日光の下でも平然と歩けるノアは、普通におかしいとのこと…
さらに、幽霊には本来、自我らしい自我が存在しないはずで…
そもそもノアが普通に筋の通った会話ができていること自体が異常らしい…
「ていうかそもそも……なんで普通に会話が通じてるんですかね…」
『そうそう!!すごいでしょ?!
わたし、スペシャル・オブ・ユーレイなんだから…!
…レイちゃんに憑依しながら、会話もできちゃう…優れもの!!』
なんか優れものって…通販みたいな言い方だなぁ…
「……???……つまりどういうこと……?
よく分かんないなぁ……?」
「それで大丈夫ですよフィーナさん…
よくわかってないのは、僕らもそうですから…」
「ちまみれのほーのじょーちゃんすら、どんなじょーたいか、よく分かってないらしいし……
あのじょーちゃんは…ほんとになんなのかしらね?」
……沈黙が数秒だけ続く
「……ていうかさ……
……そもそも最初の話に戻るけど
……君は、結局なんでそんなに血まみれなの?」
「…あっ…えーと……野熊に襲われて……その怪我で……」
『そうそう!血がばーばーでぼーぼーの、
どばどばやばやばパーティーしてた重傷レイちゃんを、わたしが固有魔法で何とかしたのー! どー?すごいでしょー…?』
そんな賑やかそうな感じじゃなかったと思うけど……
「うーん……えーっと…それってつまり…
それ全部自分の血ってこと…?
それホントなら出血量ヤバくない…?
固有魔法どころか………もはや死者蘇生とかのレベルじゃないの?……」
「まあ…ふつーの人なら、
固有魔法とか使うより前に、まちがいなく2,3回くらいは死んでる出血量でしょーね…」
うーん…困ったなぁ、反論の余地がない……
僕が魔女じゃなかったら絶対に失血死してそうなぐらいの出血量だからなぁ…
『……でもでも、ホントにホントだから……!
………信じて?!』
「……そんな上目遣いされても…さすがにそれを信じるのは無理だよ?」
『…そんなぁ…』
ノアの上目遣い作戦も失敗のようだ…
森を漂っていた血まみれ猫耳ロリと、半透明空中浮遊ロリのコンビが語るこんなトンチンカンな主張を信じさせるのは……やはり無茶なようだ…
代わりになる作り話ぐらいは、事前に考えておくべきだったかもしれない……
ノアは、まだまだ緑髪の少女への無謀な説得力を試みるつもりらしく……
僕はそれを脇目に、リスティアと少年の間で、
ひっそりとコソコソ話が始まっているのに気がつく。
……まあ、コソコソ話とは言っても……
たぶん僕が魔女だからだと思うけど、耳を澄ましたら普通に聞き取れたんだけどね…
「リスティアさん……
あの子たち…やっぱりほんとに拾ってよかったんでしょうか…?」
「はぁ…あんた、なんど言ったらわかるのよ……
あたしに、人を殺すシュミなんてないんだから……
まだ悪いやつらだってかくてーしてない以上、
みすてるなんて、はなはだろんがいよ」
……リスティアがなんでこんなに僕らの擁護側に回るのかはよくわからないが……
なんだかそれにだいぶ助けられている気がする…
この子がいなかったら…今頃僕は野垂れ死んでたか、魔女と疑われて殺されてたかもしれない。
「……それに…あいつらと、あんたらは一生の付き合いになるわけでもないんだから……
ちょっとぐらい別にいいでしょ?」
「ですが……さすがに怪しすぎませんか?…………
特に猫耳の方の子とか……」
まあ…あんな意見を言われてる緑髪の少年らの側からしたら割とたまったもんじゃない気がするが。
「…………なによそれ……もしかしてあたしへの、とーまわしな悪口?」
………???………ん?……
リスティアへの悪口?……何が……?
「あっ…すいません…今のは……そういうつもりで言ったんじゃ」
「…………………………………分かってるわよ……
いまのはただのじょーだんよ……」
冗談……?…本当かな…?
冗談にしてはなんか今の間、長くなかった?
「…………まぁでも……そもそも……それ……
あの子本人のまえでゆーべきじゃ…
ぜったいなかったわよ?
…たって猫人はみんな耳いいから、こんぐらいのおんりょーのヒソヒソ話は、ギリギリ聞こえてるはずよ?」
え?そうなんだ………
魔女同様に猫耳が生えてるとは言っても、てっきり見た目だけのハリボテかなんかだとおもってた……
「あっ……!」
「はぁ…やっぱりあんた…それ…わすれてたのね……」
少年はその言葉を聞いて、めちゃめちゃ慌てふためきながらこちらを見る……
「あ……あの……えっと…………やっぱり………全部聞こえてましたよね……?」
「うん……普通にめっちゃ全部聞こえてた…」
「…………すいません……」
「はぁ………あんた、早くそーゆーおっちょこちょいなところ直さないと…」
…何気ない身振り手振りの一環で、リスティアが片足を少し横にずらしたその時であった、
その足元から、小さくカチッっという音がするのが聞こえた。
「んん…?」
すると次の瞬間、リスティアの足元から突然、
草に隠れていた輪っか状の縄が現れ、締まり、幼女の足を締めつけた。
「はぁ?!?!?!なによ?!?!」「リスティアさん?!」 「え?!なにそれ?!」 『リスちゃん?!』 「リスティアちゃん?!」
リスティアはそのまま縄によって上へと引っ張られ、木の上の方から逆さ吊り幼女の状態になった…
水色の長髪と両腕を地面の方向へだらんとぶら下げている…
ランタンの明かりの範囲外なせいであまり良く見えないのが残念ではあるが、そのシルエットだけでもだいぶ無様な様相であった。
いわゆるくくり罠ってやつである。
これはイノシシとかを捕まえるのに使うトラップの一種だ…
つまりは………あの幼女…イノシシだったのか
「リスティアさん?!…大丈夫ですか?!」
「リスティアちゃん帽子が…!!」
『リスちゃん?大丈夫?』
「イノシシ幼女……?」
「はぁ………こんのぉ………だ馬が!!なにしかけてんのよ!!!
てゆーか馬の足でどーやってこんなもんしかけたのよ!!!」
リスティアは…罠に捕まったイノシシのごとく両手両足をパタパタさせていた…
っていうか…リスティアがスカートじゃなくて本当に良かったなぁ……
だって幼女+スカート+逆さ吊りは普通に絵面がやばいし。
「はっはっはっ……ぴったり8分41秒…じゃな?
……遠足は帰るまでが遠足…
……なにごとも、最後まで気を抜くべきじゃあない……じゃろう?」
え…今喋ったジジイ口調のやつ誰?
「ちょっと老害は黙っててくれない…?」
「はぁ…だ馬のくせに…口だけはたっしゃね!!
あんた馬さしにしてやろーかしら?!」
「まあまあ……リスティアさん…とりあえず一旦落ち着きましょうよ……」
……なんか知らんけど散々に非難されてるなぁ…
老人のような低く大きな声だったけど……今の声はどこから…?
……あと、リスティアが今言ってた"駄馬"とか"馬刺し"とかって…何の話だろう…?
『ねえリスちゃん…今のって誰…?』
「…そりゃ知っての通り…ワシじゃよ…」
…僕とノアはその声が聞こえた方へと視線を向ける。
『あっ…しましま橙色のロバちゃんだ…』
見れば、馬車の先頭にいる馬たちの内の一匹があからさまにこちらへ顔を向けているのに気づく……
少し淡いオレンジ色を基調としたカラーリングで、
うすい茶色のストライプ模様が浮かんでいる。
茶色のヒズメに馬特有の細い頭、間違いなく馬であった。
でも……なんか変な模様の馬だなぁ…
しかし…声の主らしき存在は見た限り見当たらず…
「ワシ…ロバじゃなくてウマなんじゃが…」
…………え?
「………馬が喋った?!?!?!」
僕の無駄に多い上下4つの耳が、その声の主がその馬であるという、非常に奇怪な事実を導き出していた。
馬が喋るなんておとぎ話が何かだろうか?
『……??……レイちゃん?……どうしたの?』
「いや?!だって……?!…なんで馬が言葉を喋ってるの?!?!」
『………??…それがどうかしたの?
…馬は喋るものでしょ?』
なぜだろうか、ノア含め、周りのみんなの頭には、はてなマークが浮かんでいた…
「なんでこのじょーちゃんは…そんなとーぜんのことでおどいてんのよ…?
おんしつそだちのじょーちゃんでも、もうちょいジョーシキあると思うんだけど?」
「ほぅ…わしが喋っただけで驚くなんて…
どうやら明日の槍の酸性雨が降るようじゃな…」
「この子…もしかして……ネグレクトとか受けてたりする?」
「いやぁ…さすがにネグレクトでも…ここまではならないと思いますが…」
…これ僕がおかしいの?
僕はノアに助けを求める視線を向けた……
『あー……レイちゃんは……一応記憶喪失だから……
たまにこんな感じに…常識を知らないことがあるんだよね……』
あー…そういえばノアには記憶喪失ってことにしてたっけ……
「記憶喪失……」
「ほほう……記憶喪失とは…興味深いな…
……わしも酒を飲んだ後に、気が付いたら………グチャグチャになった八百屋の残骸の中で目が覚めてな、見覚えのない大量の人間どもから逃げ惑う羽目になった事が、一度だけあったわい…」
『めちゃめちゃ迷惑ちゃんじゃん…』
それ…あまりにも傍迷惑エピソードすぎないだろうか…?
あと酒で記憶消えるのは、あんまり記憶喪失って言わないような…
……割とこの馬が駄馬とか老害とか言われてるの…結構納得かもしれない……
「あんた…別にさけなんてのまないでしょ…
はぁ……あんたら、こいつほとんどウソしか言わないから…別に話なんて聞かなくていいわよ…」
『ええ…?!…ロバちゃん今の嘘だったの?!』
……えぇ……ホラ吹きなのもそれはそれで駄馬じゃん……
「あとは…そうじゃな……忘れると言えば……
猫耳の嬢ちゃ……おっと今はふた「もうそろそろ老害は黙っててくれないかな…?」
その馬の声は、緑髪の少女の声で強引に遮られる……
今のは…なんて言おうとしていたのだろうか…?
……まあ……さっきの感じからして聞かなくても良いことしか言わなそうだったけどだけど…
「こほん…言い直せば…チビな方のネコミミ「チビでわるかったわね……!!!」
「……ワシ…まだ話の途中なんじゃが……」
……?……ん……?
今の話って…言い方的に……
いやいや……そんなはずは……
あれ…まてよ……思い返してみれば…さっきまでリスティアは帽子を被っていたっけな……
宙吊りの時は、帽子は落ちてたけど…普通に暗くてよく見えなかったし…
「あんなやつ……むしよむし…
話なんて聞くひつよーないのよ…」
僕の隣には、いつの間にか宙吊りから抜けだしたリスティアが立っていた……
その頭に帽子を被って……
『あっ…リスちゃん……!
いつの間に地面に降りたの?!』
僕はその帽子を凝視する……
地味に大きめな帽子だ…
……リスティアのその頭に、たとえば何かが生えてるのなら……強引にその帽子で隠す事が可能なのではないだろうか?
「リスティアって……もしかして……」
たしか、魔女じゃないのに猫耳が生えている人間というのも…稀に居ると聞いていた…
そして、よく魔女と混同されてよく怖がられたり、迫害を受けていた…とも
しかし…その迫害と恐怖の原因が魔女である以上は…
その怖がられるというのは、同じ猫人どうしの間でも十分に起こりうるのではないだろうか…
ならば…普通の猫人が…他人に対して…
…たとえばそれが僕みたいな同じ猫人に対してでも……
そうやすやすと猫耳を見せるものだろうか?
「なによあんた……
……そんなにあたしのアタマをぎょーしして…
……あたしのかみに、虫でも付いてんの……?」
その時、ノアがリスティアに何気なく近づいていったかと思えば……
『……えい…!』
ノアは…リスティアの頭の帽子を…鷲掴みにして、ポルターガイストでそのまま剥ぎ取った……
「はあ?!何してんのよ?!」
「 「あっ…」 」
「えぇ?!ノア!?…直接取るの!?」
その帽子の取れた頭の頂点には…露骨に嫌そうに斜め横に倒れる、二対の三角錐……
これは明らかに猫耳……そのなかでもイカ耳とよばれる状態のものである……
不機嫌な時の猫は耳がこんな感じに横に倒れるらしい…
「猫耳……」
『えぇ…?!…リスちゃん猫人だったの?!』
ノアは気づいてなかったのか……
……え?……ならなんで帽子取ったの……?
「はぁ……あんたらみたいな…しょたいめんの人には…知られたくなかったのに……」
「リスティアさん……大丈夫ですか…?」
「リスティアちゃん…」
リスティアは明らかに不機嫌そうに、僕らふたりを睨んでいた。
「…強キャラ系年齢サバ読みイノシシネコミミ不機嫌幼女か……
これ、このまま行けばそのうちピカソの本名みたいになるかな…」
『わたし…帽子有るより無い方がきっとカワイイって思ったんだよね…!
だからある意味予想的中だね…!カワイイ!!』
「………あんたらふたりともなに言ってんのよ?」




