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はじめまして、作者の影シャドーです。


数ある作品の中からこの物語を見つけてくださり、本当にありがとうございます。


実はこの物語、私が将来的にゲームとして完成させたいと夢見ているシナリオが元になっています。

まだイラストやボイスを用意する力はありませんが、まずはこの世界の雰囲気やキャラクターたちのことを知ってほしくて、物語の核となる「共通ルート」の部分を小説として公開することにしました。


もしこの物語を読んで「面白い」「続きが気になる」と感じていただけたら、ブックマークや評価、感想などをいただけますと、今後の制作の本当に大きな励みになります。


それでは、彼らと彼女たちの物語の始まりを、どうぞお楽しみください。

「……っ!」


スッと目を開くと、薄暗い部屋の天井が目に入る。息は荒く、シーツは汗で濡れていた。目を覆っていたアイマスクを投げ捨て、両手で顔を覆う。掌に伝わる熱と湿り。もしかしたら、汗だけではないのかもしれない。


「またあの夢か……」


はぁ……今度で何回目だろう。同じ夢を見るのは。あの雨の夜、両親の事故、そして最近現れ始めた謎の少女……


一年前からときどき見る悪夢。両親の事故。あの日の雨。でも最近は、その夢に見知らぬ少女が現れるようになった。いや、見知らぬ、というわけでもない。どこか懐かしい気配を持つ少女。でも名前も顔も、はっきりとは思い出せない。


ベッドサイドの小さな時計を見る。文字盤が淡く光り、針は午前5時27分を指していた。外はまだ暗い。


「はぁ……」


俺は両手で顔をこすり、目の下を指でなぞる。鏡を見なくても、いつもより濃くなった隈が目の下に広がっているのがわかる。腕に巻いたスマートウォッチの睡眠記録を確認すると、わずか3時間2分の睡眠時間が表示されていた。深い眠りはそのうちの40分ほどだ。レム睡眠に至ってはわずか15分。


「最近は3時間も睡眠が取れれば上出来か……」


もう慣れちゃったな、この生活に。でも体は正直だよな……こんなんじゃ体力もたないだろうし、見た目も最悪だろうな。


上体を起こし、ベッドの端に座る。頭がズキズキと痛む。これも慢性的な睡眠不足の症状だろう。もう一ヶ月以上続いている。いや、正確に言えば、両親を失ってから、まともに眠れた夜はない。休日なら日中に仮眠で補えるが、平日はそうもいかない。


「薬も効かなくなったな……」


医者に処方された睡眠薬は、最初の二週間は効いた。でも今では、効果が薄れてきている。量を増やすのも怖い。依存性があるらしいから。


ほんとは倍飲みたいくらいなんだけどな……でも先生に「絶対に用量は守ってください」って念を押されてるし。まあ、薬物中毒になったら元も子もないしな。


俺はゆっくりと立ち上がり、カーテンを開ける。春の朝日が差し込んでくるが、その光さえも俺には遠く感じられた。窓ガラスに映る自分の顔は、まるで幽霊のようだ。青白い顔に、虚ろな目、そして何より目立つ黒い隈。


うわ……マジで死人みたいな顔してるな。こんな顔で学校行ったら、また青木に「死体が歩いてる」とか言われるんだろうな。


窓の外の景色は、朝靄に包まれた住宅街。小さな公園の木々が風にそよいでいる。鳥のさえずりが聞こえる。世界は確実に動いている。生きている。でも、俺の心は止まったままだ。


リビングを見渡す。静まり返った空間。誰もいない。テーブルの上には、昨夜の夕食の跡。カップラーメンの空き容器と、途中まで飲んだペットボトルのお茶。


「まあ、当たり前か」


この静寂も慣れたもんだな……最初は寂しくて仕方なかったけど、今はむしろこの方が楽かも。誰もいないから、気を遣う必要もないし、朝から「おはよう」なんて挨拶する相手もいない。


この部屋で一人暮らしを始めてから半年。最初は寂しさを感じていたが、今では麻痺してしまったようだ。独りでいることに慣れてしまった。それとも、ただ感情を感じなくなっただけなのか。


俺は冷蔵庫を開け、中を覗き込む。牛乳パック、卵のパック、昨日買ったおにぎり。朝食を作る気力はない。おにぎりを一つ取り出し、ラップをはがす。鮭の香りが鼻をつく。数口で平らげる。


味なんてよくわからないな……とりあえず栄養さえ取れればいいかなんて考えちゃってるけど、これじゃダメだよな。母さんの手料理が恋しいな……


洗面所で顔を洗い、歯を磨く。鏡に映る自分の顔は、まるで他人のようだ。憔悴した表情、生気のない目、そして何より目立つ黒い隈。顔にかける水は冷たく、一瞬だけ感覚が鋭くなる。


「見苦しいな……」


女子に見られたら間違いなく引かれるレベルだな……まあ、もともとモテなかったから関係ないけど。でも青木はよくこんな俺と付き合ってくれてるよな。


制服に着替え、カバンを手に取る。教科書とノート、音楽プレイヤー、充電器……必要なものが入っているか確認する。そういえば、宿題はやったのだろうか。いや、数学は途中までしかできていなかった。


「まあ、いいか」


どうせまた青木が助けてくれるだろう。あいつには頭が上がらないな……でも、俺も何かしてあげたいんだけど、何もできることがない。


部屋を出る前に、もう一度振り返る。誰もいない静かな部屋。両親の遺影が、小さな仏壇に置かれている。本当なら、今頃は朝の忙しい時間帯で、母さんが朝食を作る音や、父さんが新聞を読む音が聞こえているはずだ。


「行ってきます」


小さく呟き、玄関を後にする。


外に出ると、春の朝の空気が肌に心地よい。暖かい陽射しと木々の緑。季節は確実に動いているのに、俺の心だけが静止したままだ。


でも、今日もまた一日が始まるんだよな。同じことの繰り返し。でも、それでも時間は過ぎていく。いつかはこの状況も変わるのかな……


通学路は、いつもと変わらない風景。古い神社、小さな商店街、川沿いの道。でも、通学路で出会う人はほとんどいない。失眠のおかげで、いつも誰よりも早く家を出ることになる。今日も、学校に着くのは始業の一時間以上前だろう。


「ま、人混みがないのはいいことか」


コンビニの前を通りかかると、中で働いている店員が見える。夜勤明けのようだ。疲れた顔で商品を並べている。俺と同じように、眠れない夜を過ごした人なのかもしれない。


あの人も大変そうだな……夜勤って体がキツそうだし。でも、働いてるだけ偉いよな。俺なんて高校生のくせに、何の目標もなく、ただ毎日を過ごしてるだけ。


「おはようございます」


入り口で店員と目が合い、彼女が小さく会釈する。俺もうなずき返す。知らない人との、些細な交流。でも、それだけで少し心が軽くなる気がする。


こういう何気ないやり取りが、今の俺には大切なんだよな。人とのつながりを感じられる瞬間。


店内をぶらつき、お昼用におにぎりを追加で買う。ついでに缶コーヒーも。レジで会計を済ませ、外に出る。


「ありがとうございました!」


店員の声に、手を軽く挙げて応える。こういう何気ないやり取りが、今の俺の社交のほとんどだ。


学校までの残りの道のりも、誰とも会わなかった。校門に到着すると、警備員のおじさんが早くから出勤していた。


「おう、椎名か。今日も早いな」


「おはようございます」


この警備員のおじさんは優しいよな。いつも俺のことを気にかけてくれる。


「最近、顔色悪いぞ。ちゃんと寝てるのか?」


「……はい」


嘘をつく。警備員のおじさんは心配そうに眉をひそめるが、それ以上は何も言わない。彼もきっと、俺の状況を何となく察しているのだろう。この学校の皆が知っている。椎名晓は、去年の交通事故で両親を亡くした、と。


嘘つくのも慣れちゃったな……「大丈夫です」「ちゃんと寝てます」「心配いりません」……全部嘘だけど、本当のことを言ったら心配かけるだけだしな。


校舎に入り、靴を履き替える。廊下は静まり返っていて、自分の足音だけが響く。まるで学校という空間が、俺だけのために存在しているかのような錯覚を覚える。


この時間の学校って、なんか不思議な感じするよな。普段は生徒でごった返してるのに、今はまるで廃墟みたい。でも、この静寂が今の俺には居心地いいかも。


教室に着くと、予想通り誰もいなかった。窓際の自分の席に座り、カバンから耳機を取り出す。そっとそれを耳に当て、音楽プレイヤーのボタンを押す。


『Ever Night』のファンキーでジャズの要素が混じったサウンドが、静かな教室に流れ込む。このバンドの音楽だけが、俺の感情を少しだけ揺さぶる。音楽を聴かなければ、世界はただの平坦な風景でしかない。


「リズムが良いな……」


Ever Nightの音楽って、なんでこんなに心に響くんだろう。特にベースライン……あの重低音が、なんか俺の空っぽな心を少しずつ埋めてくれる気がする。


目を閉じ、音楽に身を委ねる。ベースとドラムの絡み合うリズム、サックスの甘い音色、そして低く囁くようなボーカル。俺の心に染み込んでくる。特にベースライン。低く、しかし確実に心を揺するベースの音色。


この曲は「Whispers in the Dark」。アルバム「Midnight Blue」の中の一曲。夜の静けさと、そこに潜む何かを表現した曲。俺のお気に入りの一つだ。


窓の外を見る。朝日が校庭を照らし始めている。朝練の部活動の声が、かすかに聞こえてくる。彼らは何を目指して、あんなに早くから活動しているのだろう。目標があるということは、どんな感覚なのだろう。


あいつらは何かに向かって頑張ってるんだよな……俺も昔は何かに夢中になったことがあったっけ?今となっては思い出せないけど。


「Midnight Blue」が終わり、次の曲「Silent Echo」が始まる。より静かで内省的な曲調。ボーカルの声が、まるで俺の心の奥底から響いてくるよう。


どれくらいの時間が経っただろうか。教室のドアが開く音がして、生徒たちが徐々に入ってくる。彼らの笑い声や会話が、俺の音楽の世界を少しずつ侵食していく。


あー……現実の時間が始まるのか。もう少し音楽の世界にいたかったんだけどな。


「よう、死人面」


右隣から聞こえる声に、俺は片方の耳機を外す。


「相変わらず失礼な挨拶だな、青木」


青木透。クラスで唯一、何となく話せる相手。彼自身が言うには「典型的な陰キャ」らしいが、口は悪くても根は悪くない。なぜか、俺と波長が合うらしい。


毎朝の恒例行事だな、これ。でも青木がいなかったら、俺は本当に誰とも話さない一日になっちゃうかも。


「お前に言われたくないわ。まるで墓場から出てきたみたいな顔してるくせに」


「人の顔の批評してる暇があるなら、自分の性格を直した方がいいんじゃないか」


「ふーん、今日はちょっと反応がいいな。よっぽど気分がいいのか?それとも……」


彼は少し身を乗り出し、俺の顔をじっと見てくる。まるで何かを探るように。


あれ?今日の青木、いつもより観察眼が鋭くない?もしかして俺の調子がいいのバレてる?いや、気分がいいわけじゃないけど……でも確かにいつもより少しマシかも。


「いや、冗談だよ。ただ、お前の隈、昨日より濃くなってないか?」


「……気のせいだろ」


「気のせい、ねぇ。お前、また全然寝てないだろ」


「……」


こういうところが、青木のうっとうしいところだ。あまりにも観察眼が鋭い。でも、同時にありがたいところでもある。俺のことを本気で心配してくれてるのがわかるから。


こいつは本当に……俺のこと、家族みたいに心配してくれるよな。血のつながりもないのに。


「ま、いいや。お前の健康問題について話しても始まらないしな」


彼は席に座り、自分のカバンから教科書を取り出す。


「……昨日の数学の宿題、やった?」


「ああ、一応な。お前は?」


「寝る前にやったけど、途中で力尽きた」


実際は、問題を見た瞬間にやる気が失せて、そのまま布団に倒れ込んだんだけどな……それも「途中で力尽きた」に含まれるよな?


「途中って……何時に寝たんだよ」


「……覚えてない」


正直なところ、昨夜はずっと天井を見つめていた気がする。時計の針が動くのを見ながら、睡眠薬が効くのを待っていた。


「はぁ……本当にお前という奴は……」


彼はため息をつき、自分のノートを差し出してくる。


「ほら、写せよ。でも写す前に、少しは考えろよ」


「……ありがとう」


いつものパターンだな……でも本当に助かる。青木がいなかったら、俺の成績はとっくに最底辺になってるだろうな。


珍しく素直に感謝を口にする。青木との関係は、こんな風に小さな会話と小さな助け合いで成り立っている。深い話はしないが、互いの存在を認め合っている。それだけで十分だった。


「で、どうなんだ?」


「何が?」


「昨日の……その……彼女との」


「あ〜あ、それか。うまくいかなかったよ。二回目のデートだったんだが……」


青木にも恋愛事情があるんだよな……羨ましいような、でも大変そうでもあるような。


「フラれたのか?」


「フラれたって言うか……お互い会話が続かなくて。俺、なんか彼女を退屈させてたみたいだし」


「お前が?冗談はよせよ」


青木って口が悪いけど、結構話上手だと思うんだけどな。少なくとも俺よりは全然コミュニケーション能力高いし。


「いや、マジで。俺、人と話すの下手なんだよ」


「それは友達の前だからだよ。好きな子の前だと全然違う」


「へぇ……」


青木でも緊張するんだな……なんか親近感湧くわ。俺なんて女子と話すどころか、目を合わせるのも恥ずかしいのに。


「お前に言っても仕方ないか。恋愛経験ゼロの奴には」


「おい」


「冗談だって。ま、俺たち似たようなもんだよ。根暗同士」


確かに、俺たちって似てるよな。どちらも人付き合いは苦手だし、クラスでも浮いてる存在……でも青木がいてくれるおかげで、俺は完全に孤立せずに済んでる。


教室は徐々に賑やかになり、友達同士の笑い声や話し声で満たされていく。俺は周りの様子を窺いながら、ノートを広げる。青木のノートから数学の宿題を写す。彼の字は小さくて整っている。


「俺の字、汚いだろ」


「まあな。でも読めるからいいんじゃないか」


「お前って、本当に……」


「本当に何だよ」


「いや、何でもない」


優しいんだよな、本当は。口では悪態ついてるけど、こうやって毎朝宿題見せてくれるし、俺の体調も気にかけてくれる。友達っていうのは、こういうもんなんだろうな。


青木は時々、思ったよりずっと優しいところがある。口が悪くて刺々しいのに、実際の行動は親切だ。そんなところが、彼と一緒にいて安心できる理由かもしれない。


宿題を写し終えた頃、俺はふと青木の横顔を見た。彼は真剣な顔で自分の教科書を読んでいる。案外勉強熱心なところもあるんだよな、こいつ。


「あのさ、青木」


「ん?」


「いつも、ありがとな」


「は?どうした急に。気持ち悪いぞ」


「いや、思っただけだ」


素直に感謝の気持ちを伝えるのって、結構恥ずかしいんだよな……でも言わなきゃ、青木には伝わらないし。


「……お前、本当に大丈夫か?熱でもあるのか?」


彼が手を伸ばし、俺の額に触れようとするのを、俺は軽く払いのける。


「熱なんかじゃない。単に礼を言っただけだ」


「……まあ、いいけどさ」


彼は少し困惑した表情を見せたが、すぐにいつもの調子に戻った。


やっぱり素直に感謝の気持ちを伝えるのって、お互い照れくさいもんなんだな。


教室の後ろを見ると、少しずつクラスメイトたちが集まってきている。グループごとに固まり、それぞれの話題で盛り上がっている。彼らから見れば、俺と青木も一つのグループに見えるのだろうか。それとも、ただの疎外された二人に見えるのだろうか。


でも俺は、青木とこうして話せてるだけで十分だな。無理してグループに入る必要もないし。


その時、教室の前方でちょっとした騒ぎが起きた。田村って男子が、持ってきた新しいゲームのことでみんなに自慢している。


「これすげーんだよ!グラフィックが半端ない!」


周りの男子たちが興味深そうに集まっている。


「マジで!?これ昨日発売のやつじゃん!」


「いいなー、俺も欲しかったんだよね」


「徹夜でやっちゃったよ。マジで面白い」


徹夜ゲーム……俺もそんな風に夢中になれるものがあればいいのにな。最近は何をやっても心から楽しめない。


青木が興味深そうにその様子を見ている。


「お前、ゲームとかやるの?」


「最近はあんまり……集中力が続かなくて」


「あー、わかる。俺も最近は読書の方が多いかな」


「読書?」


青木が読書……意外だな。もっとゲーマーっぽいイメージだったけど。


「いや、別に大したもんじゃないよ。ラノベとか漫画とか」


「どんなの読むの?」


「最近は異世界転生系が多いかな。現実逃避には最適だよ」


「現実逃避か……」


わかるな、その気持ち。俺も音楽聞いてる時は現実を忘れられるし。


「今度貸してやろうか?面白いのいくつかあるし」


「ありがとう。読んでみる」


こんな風に、青木との何気ない会話が続く。周りでは相変わらず田村の自慢話が続いているが、俺たちには関係ない。俺たちは俺たちのペースで、ゆっくりと朝の時間を過ごしている。


チャイムが鳴り、担任の佐々木先生が教室に入ってくる。背が高く、眼鏡をかけた40代の女性教師。厳しいが公平な先生だ。


「おはようございます。出席を取る前に、大事なお知らせがあります」


クラス全員が静かになり、先生の話に耳を傾ける。


お知らせか……また面倒な行事の話かな。正直、学校行事には積極的に参加したくないんだよな。


「来月の第二週目に、年に一度の芸術祭が開催されます。例年通り、各クラスから参加者を募ります」


クラスメイトたちの間で小さなざわめきが起こる。芸術祭は、この学校の一大イベントの一つだ。去年は見に行かなかったが、規模の大きな催しらしい。


芸術祭……去年は完全にスルーしたけど、今年はどうしようかな。でも参加するほどの才能もないし、見に行くだけかな。


「今年のテーマは『共鳴』です。ペアで作品を制作し、展示することになります。絵画、写真、彫刻、インスタレーション……形式は問いません。ただし、必ず二人一組で取り組むこと」


「へぇ、共鳴か。なかなか難しいテーマだな」


「俺には関係ない」


ペアで作品制作……一番苦手なパターンだな。人と協力して何かを作るなんて、考えただけで疲れる。


「そう言うと思った」


「各ペアには、顧問の先生が一人つきます。相談や資材の調達に協力してくれます。参加者には特別な評価もありますので、進学を考えている人にはいい機会になるでしょう」


佐々木先生の説明が続く。彼女は熱心に芸術祭の意義について語っている。芸術による自己表現の重要性、共同作業の価値、そして何より、人と人との『共鳴』の素晴らしさ。


先生の話を聞いてると、確かにいい経験になりそうだけど……俺に共鳴できる相手なんているのかな?青木とペア組めればいいけど、あいつも乗り気じゃなさそうだし。


「参加希望者は、来週の月曜日までに申し込み用紙を提出してください。詳細は後ほど配布します。もし相手が見つからない人は、個別に相談に来てください」


先生の説明が続く間、俺は窓の外を見つめていた。春の青空。飛んでいく鳥。どれも遠くに感じる。芸術祭なんて、今の俺には縁のない世界だ。


「……お前、本当に参加しないのか?」


「当たり前だろ。そんな余裕ない」


「まあな……」


彼も、俺の状況を理解している。両親を亡くして以来、学校の行事に積極的に参加したことはない。文化祭も体育祭も、ただ義務的にこなすだけ。それ以上でも以下でもない。


でも、たまには何か新しいことに挑戦してみるのもいいのかな……いや、でも今の俺には荷が重すぎる。


「……それじゃあ出席を取ります」


名前を呼ばれる度に、クラスメイトたちが元気よく返事をする。A、B、C……と名前が呼ばれていく。そして――


「椎名晓」


「はい」


かすかな声で返事をする。先生は一瞬俺を見つめ、少し心配そうな表情を見せたが、すぐに次の名前へと移っていった。先生たちも、俺の状況を知っている。だから、あまり強く言ってこない。それが有り難いのか、それとも悲しいのか、自分でもよくわからない。


先生の視線が、なんとなく同情的に見えるんだよな……きっと「この子は大変な状況にいる」って思ってくれてるんだろうけど、正直複雑だ。


出席確認が終わると、隣の青木がこっそり話しかけてきた。


「なあ、お前さっきから先生の話全然聞いてなかっただろ」


「え?バレてた?」


「バレバレだよ。ずっと窓の外見てたじゃん」


やばい……授業態度も最近悪くなってるのかな。でも集中力が続かないんだよな。


「芸術祭の話、正直どうでもよくて……」


「まあ、お前らしいな。でも一応情報は収集しておけよ。後で必要になるかもしれないし」


「青木は参加するの?」


「俺が?無理に決まってるだろ。芸術的才能なんてカケラもないし」


「でも、写真とかは?」


「写真か……まあ、それなら多少は……でも誰とペア組むんだよ」


確かに、ペアを組む相手を見つけるのが一番の問題だよな。俺たちみたいな陰キャには、なかなかハードルが高い。


そんな会話をしていると、授業が始まった。


授業が始まり、いつもの日常が流れていく。しかし、今日は気分が違った。青木との会話のおかげで、少し心が軽くなっている。それに、芸術祭の話も、遠い世界の出来事だと思っていたが、少しだけ興味が湧いてきた。


国語の時間。『夢十夜』という夏目漱石の作品について先生が説語る。夢と現実の境界について。俺はふと、最近見ている夢のことを考える。あの少女は、夢なのか現実なのか。あるいは、俺の頭が作り出した幻なのか。


夢と現実……確かに最近は境界が曖昧になってるかも。特にあの少女の夢は、あまりにもリアルで、起きた後も記憶がはっきり残ってる。


「夏目漱石は、夢の中の出来事を通して、人間の深層心理を描こうとしました。夢は時として、現実以上に真実を語ることがあります」


先生の話、なんか今の俺に関係してる気がする……夢の中の少女、あれは俺の心が作り出した何かなのかな。


青木が小声で話しかけてくる。


「お前、最近変な夢でも見てるのか?さっきからぼーっとしてるぞ」


「……まあ、ちょっとな」


「どんな夢?」


「女の子が出てくる夢」


「おー、ついにお前にも春が来たか?」


「そういうんじゃないよ……なんか、知ってるような、知らないような……」


青木に説明するのは難しいな……あの夢の内容を詳しく話したら、心配されるだけだろうし。


「記憶の中の誰かとか?」


「かもしれない……でも思い出せない」


「まあ、お前のことだから、きっと二次元の女の子だろ」


「失礼な……」


でも、確かに俺の恋愛経験なんてほぼゼロだからな……二次元の女の子の方が身近かもしれない。


数学の時間は、方程式を解く。一つ一つの手順を追いながら、俺は機械的に問題を解いていく。数学には答えがある。明確な答え。人生とは違って。


「この二次方程式の解は、判別式を使って求めることができます」


数学って単純でいいよな。答えが一つに決まってて、曖昧さがない。人生もこんな風に、明確な答えがあればいいのに。


隣の青木が、数学の問題を解きながらぶつぶつ言っている。


「なんで数学なんて勉強しなきゃいけないんだろうな……将来使うのかよ、これ」


「でも、論理的思考は鍛えられるだろ」


「まあ、それはそうかもな……でも、もっと実用的なことを教えてほしいよ」


「実用的なこと?」


「人間関係の築き方とか、お金の管理の仕方とか」


確かに、そういうことの方が人生には役立ちそうだな……俺も人間関係は苦手だし、一人暮らしの家計管理も適当だし。


「そういうの、大学で学べるんじゃない?」


「大学か……行けるかな、俺たち」


「……がんばろう」


正直、将来のことなんて全然考えられないけど……でも青木と一緒なら、なんとかなるかも。


英語の授業では、海外の文学作品を読む。「透明人間」という古典。見えない人間についての物語。見えないということは、存在しないということなのか。それとも、ただ認識されないだけなのか。


「The invisible man struggled with his isolation from society...」


透明人間……見えないけど存在する。なんか今の俺みたいだな。クラスにいるけど、存在感が薄い。


「透明人間って、ある意味最強だよな」


「え?なんで?」


「だって、誰にも見られずに好きなことできるじゃん。テストの答案見放題だし」


「それは卑怯だろ」


「でも、お前だったら何に使う?透明になる能力」


透明になる能力……うーん、俺だったら何に使うかな。


「……人を観察するかな。みんなが本当はどんなことを考えてるのか知りたい」


「へー、意外とまじめな使い方だな」


「青木は?」


「それは……秘密だ」


絶対ろくでもないことを考えてるな、こいつ……


そうして昼休みがやってきた。


「いつものでいいか?」


青木が立ち上がりながら聞いてくる。昼休みには、いつも彼がパンを買いに行ってくれる。二人分を。


「ああ、焼きそばパンで」


「了解。じゃ、行ってくる」


いつものパターンだな……でも、こういう何気ない気遣いが嬉しい。青木がいなかったら、俺は昼食抜きで過ごすことも多いだろうな。


彼が教室を出て行くと、俺はデスクに突っ伏す。これが平日唯一、少しだけ眠れる時間だった。周りの喧騒も、空腹も気にならない。ただ、意識が遠のいていく感覚に身を委ねる。


「……星野……」


誰かの名前が頭の中で響く。そして、夢の中へ。


夢の中で見えるのは、学校の廊下。誰もいない。夕暮れ時の、オレンジ色に染まった廊下。窓からは校庭が見える。そこには誰もいない。


ただ一人の少女が、窓際に立っている。長い髪が風にわずかに揺れる。制服を着ているが、どこかぼんやりとして、はっきりとは見えない。


彼女はゆっくりと振り返り、こちらを見る。その表情は……見えない。でも、何かを訴えかけるような気配がある。


この少女……いつも夢に出てくる子だ。でも、いつも顔がはっきり見えない。誰なんだろう。


彼女は何かを探しているようだ。何を?誰を?


俺は彼女に近づこうとするが、距離が縮まらない。歩けば歩くほど、彼女は遠ざかる。まるで、俺から逃げているかのように。いや、違う。彼女も俺に近づこうとしているのに、何かが二人を引き離している。


なんで近づけないんだろう……この子は俺に何を伝えようとしてるんだ?


彼女が口を開く。「椎名くん……」


その声が聞こえた瞬間、心に痛みが走る。なぜだろう?彼女は誰だ?なぜ俺の名前を知っている?


彼女がもう一度口を開こうとした瞬間――


「おい、椎名!起きろよ」


肩を揺すられ、俺は目を覚ました。


「まったく……いつもより熟睡してたな」


ぼんやりとした頭で、目をこする。


「何時だ?」


「もう昼休み終わるぞ。ほら、パン買ってきた」


彼は焼きそばパンの入った袋を差し出す。


「……ありがとう」


また、あの夢を見た……最近頻繁に見るようになってるな。あの少女、一体誰なんだろう。


俺はパンを受け取り、急いで食べ始める。しかし、頭の中では先ほどの夢が反響している。あの少女。どこかで見たことがあるような……いや、知っているような気がする。でも、思い出せない。


「青木、俺……変な夢を見た」


「ん?珍しいな、お前が自分から話すなんて。どんな夢だ?」


「女の子が……廊下に立ってた。俺の名前を呼んでた」


「ほぉ、モテ期到来か?」


「馬鹿言うな。でも……なんか変なんだよ。この一週間、同じ女の子の夢を見る」


同じ夢を何度も見るって、何かの兆候なのかな……もしかして、俺の精神状態がヤバくなってる?


「同じ女の子?誰だ?」


「……わからない。顔がはっきり見えなくて」


「まあ、睡眠不足が続くと、妄想とか幻覚が出ることもあるらしいぞ」


「……そうか」


青木の言う通りかもしれない……でも、あの夢はあまりにもリアルで、単なる幻覚とは思えないんだよな。


そう言いながらも、胸の奥に引っかかる違和感。その女の子は、妄想なんかじゃない気がする。どこかで会ったことがある。でも、思い出せない。まるで霧の向こうに隠れた記憶のようだ。


「あのさ、ずっと言おうと思ってたんだけど……」


「何だよ」


「お前、ちゃんと精神科とか行ってるのか?」


あー……ついにこの話題になったか。青木も心配してくれてるんだよな。


「……」


急に真面目な顔になった青木に、言葉が詰まる。


「いや、心配してるんだよ。お前、両親のことで……あれから、ずっと一人だろ?」


「別に大丈夫だって。医者には行ってる」


実際、月に一回は心療内科に通ってる。でも、あまり効果は感じられないんだよな。


「そうか……なら、いいんだけど」


彼は少し安心したように肩の力を抜いた。


「……別に、そんなに心配することないよ」


「へえ、珍しいじゃないか。お前から俺を気遣うなんて」


「ただ、余計な心配かけたくないだけだ」


でも、本当は青木に心配してもらえるのは嬉しいんだよな……一人じゃないって感じられるから。


「まあ、そんなもんだろうな」


チャイムが鳴り、午後の授業が始まる。しかし、俺の頭の中は午前中よりさらに混乱していた。授業中、何度も窓の外に視線を向ける。まるであの少女が、どこかに現れるのを期待するかのように。


もしかして、あの少女は実在する人なのかな……でも、学校で見たことないし、街でも会ったことない。


数学の教師が黒板に問題を書いている。ぼんやりとそれを眺めていると、教室の後方ドア付近に人影が見えた気がした。振り返るが、誰もいない。廊下側のドアは閉まったままだ。


「気のせいか……」


俺は小さく首を振り、黒板に集中しようとする。でも、頭の中には依然として、あの夢の少女の姿が残っている。彼女は何を探していたのだろう。そして、なぜ俺の名前を知っているのだろう。


俺の記憶の中から、誰かが消えてしまってるのかな……大切な人のことを忘れてしまってるとか。


「星野……」


その名前を心の中で繰り返す。どこかで聞いたことがある。でも、いつ、どこで?


星野……確かにこの名前には聞き覚えがある。でも、顔が浮かばない。もしかして、俺の記憶に何か問題があるのかな。


英語の時間。先生が英文を読み上げる中、俺は窓の外を見つめていた。春の陽光が校庭を明るく照らしている。体育の授業をしているクラスがある。走る生徒たち。笑い声。青春の一コマ。でも、それらは全て俺とは遠い世界の出来事のように感じられた。


みんな楽しそうだな……俺も昔は、あんな風に何かに夢中になったことがあったのかな。


「椎名くん、次の段落を読んでください」


突然名前を呼ばれ、はっとする。


「え……あ、はい」


慌てて教科書を見るが、どこを読めばいいのかわからない。


青木が小声で「37ページの3段落目」と教えてくれる。


青木、マジで救世主だな……いつも俺の失敗をフォローしてくれる。


「Thank you...」


つまづきながらも、何とか英文を読み上げる。先生は少し心配そうな顔をするが、特に何も言わずに次の生徒に移った。


最近、授業中の集中力が本当にダメだな……このままじゃ成績も落ちる一方だ。


「助かった」


「集中しろよ」


「……わかってる」


でも、わかっていても集中できないのが問題なんだよな。頭の中がいつもモヤモヤしてて、一つのことに意識を向け続けるのが難しい。


放課後のチャイムが鳴る。一日が終わった。教室内が騒がしくなる。部活に向かう生徒、友達と買い物に行く生徒、それぞれの放課後が始まる。


「帰るか」


カバンを肩にかけ、教室を出る。廊下では青木が待っていた。


「よう、一緒に帰るか」


「ああ」


いつものパターンだな……でも、一人で帰るより青木と一緒の方が楽しい。


二人で並んで歩きながら、校舎を出る。春の夕暮れが、校庭を黄金色に染めている。


「それで、芸術祭のことだが……本当に参加しないのか?」


「言っただろ。俺には関係ない」


「まあ、そうだよな。でも……」


「でも?」


「いや、ふと思ったんだ。お前、絵とか描くやつ、クラスに誰かいるか知ってるか?」


「さあ……あまり周りを見てないから」


確かに、俺はクラスメイトのことをほとんど知らないな……青木以外とはまともに話したことないし。


「柏木って子がいるだろ。後ろの方の席の。あの子、すごく上手いらしいぞ」


「柏木……?」


「柏木ゆかり。めちゃくちゃ大人しい子で、ほとんど誰とも話さないんだが……美術部にいるらしい」


「ふーん……」


確かに、クラスの後ろの方に、いつも一人で絵を描いている女の子がいた気がする。でも、話したことはない。というか、ほとんど存在を意識していなかった。


俺も人のこと言えないな……クラスにいるのに、お互いの存在をほとんど意識しない。


「まあ、お前も人のこと言えないけどな」


「……」


確かに、俺もクラスの大半の生徒とはほとんど話さない。青木が唯一の例外と言ってもいい。


校門を出て、いつもの道を歩き始める。日が傾き始め、空が徐々にオレンジ色に染まっていく。街灯が一つ、また一つと点灯し始める。


「そういえば、お前は参加するのか?芸術祭」


「俺は?冗談言うなよ。俺みたいな陰キャが芸術祭に参加する訳ないだろ」


「でも、結構話題にしてたから……」


「それは、お前を参加させようと思ってな」


「はぁ?なんでだよ」


「いや、少しは学校行事に参加した方がいいかなって……」


青木なりに、俺のことを心配してくれてるのか……でも、正直そんな気力ないんだよな。


「俺に心配はいらないよ」


「はぁ……相変わらずだな」


途中、掲示板の前で足を止める二人。新学期の部活動勧誘ポスターが所狭しと貼られている。音楽部、美術部、写真部、演劇部、科学部……様々な部活のポスターが色とりどりに並んでいた。


「そういえば、お前ずっと帰宅部だよな。本当に何か部活とかやる気ないの?」


「ない。そんな気力も時間もない」


部活か……昔は何かスポーツでもやってみたいと思ったこともあったけど、今の俺にはとても無理だ。


「青木はどうなんだ?部活」


「俺?ああ、一応物理部に籍はあるけど、ほとんど顔出してないよ」


「やっぱりな」


「何だよそれ」


青木も俺と同じか……でも、それでいいのかもしれない。無理して人付き合いを増やす必要もないし。


ポスターを眺めながら歩いていると、あるポスターが目に入った。天文部の勧誘ポスター。星空の写真と、「宇宙の神秘を一緒に探求しませんか?」というキャッチコピー。そして部員の名前が記載されている。


「……星野……茧……?」


その名前を目にした瞬間、胸が締め付けられるような感覚があった。なぜだろう?この名前に見覚えがある。でも、思い出せない。頭の中に霧がかかったように、記憶がぼやけている。


この名前……確かに知ってる。でも、いつ、どこで聞いたんだっけ?夢の中で聞いた名前?


「ん?どうした?」


「いや……なんでもない」


もう一度ポスターを見る。「星野茧」。その名前を繰り返し心の中で読む。そうだ、さっきの夢でも、自分はこの名前を口にしていた。でも、誰なんだろう?


星野茧……この名前には確実に聞き覚えがある。でも顔が浮かばない。もしかして、俺の記憶から消えかけてる人?


「青木、天文部の星野って知ってるか?」


「星野?……あ〜、たしか三年生の」


「三年生?」


「ああ、その子なら知ってる。すごく目立たない子だけど、星に詳しいらしい。なんでも星座の名前を全部言えるとか」


三年生……だから直接知り合う機会がなかったのか。でも、なんで俺はこの名前を知ってるんだろう。


「ふうん……」


「なんで急に?」


「いや、何となく」


本当は、夢のこととこの名前が関係しているような気がしたが、あまり変に思われたくなかった。


青木に夢の話をしても、心配かけるだけだろうし……でも、この星野って子と俺の間に、何か関係があるのかな。


「じゃ、この辺で。また明日」


「ああ、また明日」


別れ際、もう一度掲示板を振り返る。『星野茧』の名前が、夕日に照らされて輝いているように見えた。


「星野……誰だ?」


もしかして、あの夢に出てくる少女って、この星野茧って子なのかな……でも、なんで俺の夢に出てくるんだろう。


そのまま家路につく。しかし、胸の奥にある違和感は、消えることはなかった。むしろ、より強くなっていくようだった。この名前は俺にとって重要なものだ。けれど、なぜ重要なのか、その理由が思い出せない。


今夜も、あの夢を見るのかな……今度こそ、少女の顔をはっきり見てみたい。そうすれば、きっと思い出せるはずだ。


アパートに向かう道中、俺の心は複雑だった。新しい謎が生まれたような気がする。星野茧という名前。天文部の三年生。そして、俺の夢に出てくる謎の少女。これらの間に、何か関係があるのだろうか。


明日、学校で星野先輩のことを調べてみようかな……でも、どうやって?直接会いに行くのは勇気がいるし。


そんなことを考えながら、俺は静かな住宅街を歩き続けた。夕暮れの空が、徐々に夜の暗さに変わっていく。街灯の明かりが道を照らし、家々の窓からは温かい光が漏れている。平和な日常の風景。でも、俺の心の中には、まだ解けない謎がくすぶり続けていた。

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