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【3章開始】距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる  作者: 歩く魚
二兎芽莉彩/天王洲セラ

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たまたま無限ループを味わいたくなって

「奇遇って……二兎の家ってこの辺だったか?」

「そ、そうですよ!? ざ、雑魚雑魚な先輩だから忘れちゃってるかもしれませんけど、けっこう近所に住んでます!」


 挙動不審な後輩に問いかけると、これまた挙動不審な答えが返ってくる。

 少しばかり嘘っぽい響きだったので最寄駅を聞いてみたが――


「……二駅隣じゃん。こんな時間に、ここを通ることってなくない?」


 お散歩大好き人間でも選ばない、見どころのない閑静すぎる住宅街だぞ。


「通るんです! 今日は……そう、たまたま無限ループを味わいたくなって、周辺を回ってたんです!」

「家でRPGやってる方が楽しいと思うぞ……」


 割と序盤で無限ループ選択肢が味わえるし。

 最近の作品では、そのままバッドエンドにぶち込まれることもあるらしいけど。


「まぁいいや。二兎も気をつけて帰るんだぞ。俺はこれで――」

「ま、ままま待ってください!」


 自宅のドアを開こうとする俺を、二兎が必死に引き止める。

 無意識なのだろうが、手を握られてしまい鼓動が早まった。


「もしかして迷子になったのか? それなら、あの突き当たりを――」

「迷子じゃないです!」

 

 彼女がなにをしたいのか説明を求めると、二兎らしくなく言い淀みながらも、意を決したように口を開く。


「悟先輩……足、引きずってるじゃないですか。どうしたんですか?」

「あぁ、これ? この前ナンパされてる子を助けようとした時に、ちょっと。名誉の負傷ってやつだよ」


 実際は着地ミスっていう間抜けな理由なのだが、見栄を張りたくなるお年頃なのだ。


「それって……あの時みたいな感じですか」

「あの時? あー、まぁ、そんな感じ?」


 俺は頷いたが、それを目にした二兎は顔を曇らせた。


「……病院には行ったんですか?」

「まだだよ。これ以上、悪化するようなら行こうと思ってるけど」

「なら! 私が看病してあげます!」


 唐突すぎる提案に、思わず「はぁ?」と間抜けな声を漏らしてしまう。


「どういう風の吹き回しだよ。二兎は俺のこと嫌いなはずじゃ――」

「どうもこうもないです! 先輩が本当に弱弱だと、楽しくいじめられないじゃないですか!」

「なんだその理由は……」


 少年漫画なら、第三の敵を前に主人公とライバルが共闘するアツい展開っぽいが……。


「大切なのは理由じゃなくて、いま自分が何をしたいかです! 先輩の脳みそはそんな事も分からないんですか!?」

「なぜだろう。言葉だけ聞くと説得力がある」


 その「何をしたいか」が邪悪なんだけど。

 結果から言うと俺は押し切られてしまい、二兎を家に上げてしまうことに。


「ふっふーん! ついに先輩のお家に上陸できました!」


 彼女は謎に上機嫌だが、口ぶりからして俺の家を宝の山と勘違いしているのだろうか。

 俺の家には香辛料……はあるが、現代で手に入れるのは容易だ。


「ま・ず・はぁ〜……ルームツアーからお願いしますっ!」

「ルーム……ツアー……?」

 

「何か文句でもあるんですかっ! 考えてみてください……ええと、もし先輩の足が折れてしまった場合、応急処置のために道具を集めなければなりません。その時、家の構造を知っていた方が迅速に動ける……じゃないですか!」


「それはそうかもしれないけど、えらく独特な話し方をするんだな。まるで暗記してきたような――」

「先輩は女の子のことをそんなに分かってるんですか!? いや、分かりません! 分からないでください!」


 反語もどきみたいな文法で俺を追い詰めようとしてくる二兎。

 よく分からないが、あんまり突っ込まない方が良いみたいだ。

 とはいえ――


「ルームツアーねぇ。自慢じゃないけど、家に女子をあげるのは二兎が初めてなんだよ」


 本当に自慢じゃなくて恥ずかしい。

 しかし二兎はその言葉を聞いて、元から大きな目をさらに目開き、頬を紅潮させる。


「巻島先輩も東堂先輩も来たことないんですか!?」

「あぁ、俺にとっての聖域だからな」


 あの二人を入れてみろ。

 自宅で監禁されるなんて悪夢以外の何物でもない。


「……そっかぁ……灯台下暗しってやつかぁ……」


 彼女の呟きはよく聞き取れなかった。


「とりあえず、入れたのは俺だし一通り説明はするよ」

「お願いしますっ! これから先輩は私がいないと何にもできなくなるんですから、しっかり説明してくださいね? 子供が母親に好きなおもちゃを説明する時みたいに、じっくりと」


 二兎の言葉の節々から少年漫画の色を滲ませるが、実はアニメやゲームが好きだったりするのだろうか。

 それよりも気にするべき言葉があった気がするが、忘れてしまった。

一歩リード…したのか?


評価ポイントをいただけるととても嬉しいので、お手数ですがよろしくお願いいたします!

作品作りにご協力いただけると幸いです!


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