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距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる  作者: 歩く魚


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2/12

プロローグ

 気付けるかどうか。

 その違い一つで、人生の輝きはすり抜けていく。

 人の一生には、何度か「輝ける瞬間」があると言われている。

 でもそれは、いつも後になってからしか分からない。

 今この瞬間、俺は自分の血で視界を赤く染めながら――それでもはっきりと思う。


 これが、俺にとっての「その時」だ。


 全身を走る痛みは、もう遠い。

 アドレナリンが理性を焼き、鼓動のリズムだけが現実だと実感させる。

 焼け付くような悲鳴、誰かの泣き声。

 気がつけば、身体が動いていた。

 逃げろという声が頭の奥で響いていたのに。

 それでも――俺は走った。


ーーーー


「……あの、本当にありがとうございました!」


 深く頭を下げる女の子は、リボンの色からして一つ下の、一年生のようだ。

 当然ながら名前は知らないが、彼女は感謝してくれている。

 たぶん、これからも誰かにちゃんと「ありがとう」を言える人だ。

 内容としては大したことじゃない。

 駅の階段で足を滑らせそうになったその子を、反射的に腕を伸ばして支えただけ。

 よろけた拍子に荷物をばらまいたのを拾って、簡単なやりとりをして、終わり。誰にでもできることだ。


「ぜんぜん気にしなくていいよ。でも、これからは気を付けてね」


 そう言って笑いかけると、彼女は一瞬だけきょとんとして――それから、頬をほんのり染めた。

 見上げる瞳が少し潤んでいるように見える。


「も、もし良かったら、連絡先とか……」


 言い終える前に、俺は首を横に振った。


「いや、今日は遠慮しておくよ」


 決して強くはない声だったが、それで十分だった。

 彼女はすぐに口をつぐみ、恥ずかしそうに視線を逸らす。

 もう大丈夫そうだ。

 俺は軽く手を挙げ、いつものようにその場を立ち去る。

 背後で何か言いかけた声があったが、それが何だったのかは聞き取れなかった。


 俺は人間が好きだ。関東――とりわけ東京には冷たい人間が多いという話を聞くことがあるが、意外と親切な人はいる。

 彼らも日々を懸命に生きていて、勝手に親近感を抱いている。

 だから、人々が困っていれば助けたいと思う。

 しかし、そこから一歩関係性を縮めてみると、俺は途端に人間嫌いになってしまう。


「そんな人だとは思わなかった」


 お互いがお互いに対してこう思う。

 そんな人というのは、理想を押し付けているだけだというのに、勝手に期待して、勝手に失望する。

 その点、人助けの距離感は心地よい。

 相手の人生では、俺は「一生いい人」のままだし、俺は「感謝してくれた人」と思い続けられる。

 だから俺は人間が好きだし、人助けが好きだし……人間が嫌いだ。


 しかし、神様は妙なところで意地悪で、俺の認識を覆したいのか、単に嫌がらせをしたいのか、この壁を乗り越えようとする刺客を送り込んできた。

 それが、よりによって俺が距離を置きたい女子たちだとは……思ってもみなかった。

久しぶりの現代ラブコメです!

6話まで我慢して読んでください!


一章終了時点で伸びが悪ければ完結の予定なので、長く読みたいという方や少しでも面白いと思ってくださった方はブクマ、評価等お願いいたします。

どれも感謝ですが、評価、ブクマ、いいねの順で嬉しいです。

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