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そんなこんなで再出発。
運良く天候も崩れることなく最初の宿泊予定地へ。
宿を取ると姉様たちが顔を赤くしてモジモジし始めた。
視線は……やっぱり兄たち。
……早えよ!
……夕飯食ってからにしてくれ!!
兄たちは……目が死んでますね。
これからを想像したからでしょうか?
まぁ、自業自得ですからフォローする気も無いですけど。
両親もこの件については兄たちを見捨てるつもりのようで、知らんぷり。
なんか兄たちの背中が煤けてますね。
まぁ、兄たちは放置しておいて僕はラーミルさんとおしゃべりしたりアムル&フィブリラ嬢と一緒に遊びましょうか。
なお、四人での遊び(トランプなんですが)はフィブリラ嬢の圧勝でした。
ババ抜きも七並べも神経衰弱もどれも勝てず。
【才媛】と【狂犬】が全力で当たっても一勝もできませんでした。
どころか毎回二人でビリ争い。
二人で「勉強とゲームの強さは別物である」と身に染みた戦いでした。
さて、そんなこんなで夕食時。
僕たちは既に楽しんだ(特にアムルとフィブリラ嬢)のだけど、これからお楽しみ(比喩表現)の方々は……食欲旺盛な女性陣と食欲の衰えた男性陣。
喰わんと夜持たないよ?
そんなことを考えつつ食事をしていると、他の客の声が聞こえてくる。
武器を見えるように持っているとなると護衛か傭兵か?
「ディーマス侯爵が捕まってるって本当か?」
「事実らしいぞ。
まぁ捕まるのはいつもの事だしな。
どうせすぐ出てくんだろ?」
「それが、それなりに時間たっているらしいが出てきてないらしいぜ」
こんなところでそんな話してるんじゃねぇよ。
うちらジーピン家の者からすれば全部丸聞こえだぞ?
「……王家が本気で貴族派潰しに来たのかもな」
「もしくは動かざるを得ない位の愚かなことを貴族派がやらかしたか?
……どちらもあり得るな」
「これは、貴族派の仕事は受けない方がよさそうだ」
「確かに……王家派か中立派に伝手は?」
「少しだけはあるが、正直期待できん」
「……とりあえず声かけて見て無理そうなら護衛ギルドに相談か?」
ほう、平民側でもその程度は情報が流れるのか。
うちの四人に侍従侍女になってもらった後も情報収集のために街で情報収集してもらうこともありかな。
「すまんが先に寝室に戻るよ。
カールラ、行くよ?」
「俺も戻るわ。
ロッティ、来な?」
兄さんたちは覚悟を決めて戦場に向かうことを決めた様だ。
死兵となった兄たちがあの二人を倒……せる訳無いな。
明日朝に起きれる程度には手加減しなよ?
「僕らも寝室に行こうか?
それとも少し遊ぶかい?」
「フィブリラちゃんと遊びたいです!」
「わ、わたしもアムル君と……」
チラッとラーミルさんを見ると微笑みつつ頷く。
「父上、母上、先に寝室行きます。
おやすみなさい」
「あぁ、あまり遅くまで遊ぶんじゃないぞ?」
こちらに苦笑しつつ返事をくれる母上。
とはいえ呆れたりはしてないようだ。
まぁ、アムルと同年代でたっぷり遊べる友人って記憶にないしなぁ。
性犯罪者っぽい奴が多かったから大半は三兄弟で追い払ったし、まともそうな奴はまとも故にアムルとはある程度距離を取ってたしなぁ。
領主の息子だから仕方ない部分もあるけどね。
なんとなく、アムルの頭をガシガシと強めに撫でて――
「よかったな、アムル。
フィブリラ嬢とお友達になれて」
――この一言に対してアムルは最高の笑顔を返してくれた。
ヤバい!
ちょっと待て!
姉様たちなら溶けるから!
ラーミルさんどころか僕までダメージ喰らってるから!
何とか溶けずにゲームをしたけど、どうあがいても僕とラーミルさんのビリ争いにしかならず。
通算最下位は十回中六回最下位の僕が頂いた。
わ、ワザとじゃないんだからねっ!
ホンキだったんだからね(涙)!
そんなこんなで移動→柔軟→夕食→罰ゲームを繰り返し、三日目の午後、夕方直前くらいに領地に到着。
館の面々と明日結婚の報告と陞爵、叙爵の報告ができるよう各地域代表に通達してもらう。
領はそう大きくないので、今日中に周知は可能だろう。
多分遠い地域は村長とか地域のまとめ役が代表でやってくるのだろう。
夕食後、いつも通りモジモジし始めた二組のカップルに念の為確認する。
「一応確認なんだけど、アゼル兄たちはオシオキは終わったと思っていい?」
「大丈夫よ。
明日はちゃんと仲良い夫婦を見せつけられるわ」
「仲良さだけにしてね?
見せるべきでは無い表情とか止めてね?
領民に特殊性癖追加するのは勘弁してほしい……。
マーニ兄の方も大丈夫だね?」
「えぇ、こちらもだいじょうぶよん♡」
兄たちに聞いたのになぜか答えるのは姉様たちというのは少々気になるが、まぁ良しとしておこう。
「ニフェール、オシオキは終わりなんだよな?」
アゼル兄、なぜそこまで必死に聞いてくる?
「オシオキとしてはね?
後は夫婦や婚約者同士で好きに楽しんでください。
そこまで僕が口出しするのは違うと思いますし」
ねぇ、アゼル兄、なぜそんなに絶望に満ちた表情するの?
「アゼル兄、まさか夫婦間の夜の関係の制御を僕に求めるとか言わないよね?
そんなのは自分たちでやってください。
カールラ姉様だって会話できない相手じゃないでしょ?
最初は昼も夜も一緒にいるのに戸惑うかもしれないけどそこは慣れなきゃ」
「いや、それは分かるんだが、カールラの暴走が……」
そこまで暴走してる?
「アゼル兄、王都から今日までの毎日の暴走回数言える?」
「え……♡?」
アゼル兄、頬を赤らめないで。
「あの……その……」
「こっちから推測するけど、王都の最終日と昨日の夜で回数減ってるんじゃないの?
正確な回数は知らないけどさ?」
少しモジモジした後、コクンと頷くアゼル兄。
乙 女 か !
「以前侯爵に伝えたんだけど、学園卒業から結婚までの期間――会えなかった期間――が長すぎた結果暴走しているって言ったよね?
あれ、聞いてたのはマーニ兄だったかな?」
「アゼル兄は聞いてないかもしれないぞ?
確か、フェーリオ様に説明させた奴だろ?
式の次の日の朝だからアゼル兄はベッドから出れなかったはずだ」
あ……そうでしたね。
昼くらいにいろんなところにキスマークつけて起きて来たんだっけ。
「まぁ、そんなわけでカールラ姉様が落ち着くのは会えなかった期間を補完できるくらいイチャついたら落ち着くと思うよ。
それまではどうしようもないんじゃない?
無理に押さえつけるより、今のうちに満足してもらった方がいいと思うよ。
後で恨まれるの嫌でしょ?」
コ ク コ ク コ ク ッ !
「ちなみに、マーニ兄もロッティ姉様がカールラ姉様と同様に暴走することを考えた方がいいかもしれない。
とはいえ、新たな仕事が何処で何をどれだけやるのか分からないだろうし、そこは状況把握が優先かもしれないけどね」
「あぁ、そこは理解している。
とりあえず王都に戻るまではたっぷりイチャついておくさ」
それが一番安全かな。
カールラ姉様に加えてロッティ姉様まで暴走されたら大変過ぎて……。
ただでさえティアーニ先生が暴走しているのに……。
「ニフェール、ま~たなんか抱えているのか?
話せ」
カンがいいですね、母上。
ですが、威厳たっぷりに聞かれても正直家の問題ではないからなぁ。
「今の所は二つ。
とはいえ、一つ目の貴族派で姉様たちのお友達を逃がす件は現時点で何もできない。
調査中なので、取り合えず保留。
二つ目がラーミルさんの兄上のベルハルト様――以降ベル兄様って呼ぶね――が僕の法律の先生であるティアーニ先生と仲良くなりました。
ただ、ベル兄様がアゼル兄並にぼっちでヘタレで、かつティアーニ先生が姉様たち並に暴走していて……」
「それは……また……」
母上、呆れるのは分かる。
「一応、学園での授業で暴走したら止めるようクラスメイトには頼んできたけれど、止まるかは何とも……。
それと、性格的に姉様たちに近いみたいで、頑張って自制していると思うけど……」
「暴走し始めて止められるような人物が思いつかない……と?」
「うん。
まぁ学園内では教師もいることだしある程度自制できると思うけど、その分プライベートで会ったときにどうなるか、想像できるけどしたくないというか……」
ほぼ確実にベル兄様お持ち帰りだよね?
喫茶店でお茶飲んでいたら気づいたらベッドインなんて流石に……。
「お義母様、ニフェールさんの発言に追加で。
女性方面はアゼル義兄様より慣れてないので、デートも経験無いはずです。
どころか大した知識もないかもしれません。
食事に誘われて怯える位なので……」
天を仰ぐ母上。
まぁ普通そんな反応でしょうね。
「ニフェールはどうするつもりだい?」
「正直、できることはほとんどないんだよね。
学園で暴走するのは何とかフォローできたとしても、プライベートまで口出す気は無いし。
とはいえ、ヘタレボッチで、ある意味乙女より乙女らしいベル兄様が女性恐怖症でもなったら流石に寝覚めが悪い」
何となくだけど、あのベル兄様なら女性=清らかという誤解をしていそう。
カールラ姉様やロッティ姉様を見ているとそれが妄想だってことは分かるはずなんだけど、ヘタレボッチの為その辺りの情報が入ってきてないんじゃないかな?
それに加え、ラーミルさんはヨゴレ系な行動は慎んでいそうだし。
「ちなみに、結婚式の日から二人は会っているのか?」
「情報なし。
ラーミルさん分かる?」
「最後に実家に戻ったときには『ドウシヨウ、ドウシヨウ』とブツブツ言ってたので、まだデートはしていないはずです」
「うわぁ……」
ベル兄様、予想以上だった。
え、本気でこれどうしよう……。
「……なぁ、ニフェール?
この件、まずベルハルト殿のボッチを解消してやらないと進まない気がするんだが?」
……マーニ兄、どうしたの?
その、ろくでもない悪戯思いついた表情は?
母上が昔を思い出して叱る準備(拳握りしめ)をしているよ?
「言うことは分かるんだけど、そんなの簡単に解消できないでしょ?」
「まぁ普通はそうなんだが、一つ思いついたことがあってな」
なんだろう?
面倒事に巻き込まれそうな雰囲気がプンプンしているんですけど?
「ずばり、ダブルデート!」
は?
「つまり、恋人たち複数グループ集めてボッチを餓狼の餌にすることを防ぐってこと?」
「……ニフェール、言い回しを考えろ。
とはいえ、認識は合っているがな」
「ん~、確かにいい案なんだけど、ダブルだと……」
「なんだ?
どこか問題があったか?」
不満そうなマーニ兄。
案としてはいいんだけどねぇ。
「ぱっと思いついたのが僕とラーミルさんが参加してのダブルデート。
ただ、妹とその婚約者に監視されてると思われないかと……」
「あぁ……」
まぁ、実際監視することになるんですけどね。
凄くいい案なのになぁ……って、そうか!
「マーニ兄、ロッティ姉様と一緒に参加する気ない?」
「へ?
俺とロッティが?」
「そう、他にも巻き込めればいいんだけど、四組、五組くらいのメンバーで動けばそこまで緊張しなくても済むかなと思って」
「……休みが合えばだが、構わんぞ」
「ありがとう!」
これで、ベル兄が一歩踏み出せればいいんだけど……。
「ニフェール、お前妙に苦労してるな?」
「母上、その辺りは僕もその理由を知りたいくらいです」
母上と二人して溜息を付く。
本当になんでだろうな。
まぁ、苦労の報酬が良かったからまだ我慢できるけど。
例えばラーミルさんGetしたとか?
やっと本章書き終えました。
33話で終わります。
さて、6章検討に入るか……




