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すみません!
投稿忘れてました!
遅ればせながら10章71話です。
打ち合わせも終わり、全員帰宅の途に着く。
僕もそのまま寮に戻り夕食後勉強。
そろそろ冬季試験だし、準備は進めておかないとな。
そんなことをしてたら月が中天に差し掛かったので就寝。
そして次の日の昼休み。
「ニフェール、今日空いてるか?」
「大丈夫なはず。
試験勉強か?」
「あぁ、いくら記念受験状態でもどんな試験かくらいは知っておきたい」
レルカたちから頼まれて放課後に騎士科の勉強をすることになった。
……なぜかフェーリオ達も参加する様だが。
「だってなぁ……騎士科特有の科目ってあまりにも特殊過ぎてなぁ」
「そうですわねぇ、対数ほどでは無いけれど理解するのに手間かかりますわねぇ」
二人とも気持ちは分かるんだけど、微妙に妖しい笑顔はなんでだ?
僕が説明するの見て楽しむとかじゃないよな?
「まぁ、放課後ざっくり説明程度でいいか?
それと使えそうな書物をついでに教えておこうか。
後は一年の頃からの学んだ流れとそれらの繋がり辺りか?
フェーリオ、場所確保しておいてくれないか?
どっかの教室使って説明してやるよ」
「おっ? なんかガチっぽいな」
「仕方ないだろ、お前らがヘタレたこと言い出すからだよ。
何度も繰り返す位なら一発で理解してくれ。
今度いつ時間が取れるか分からないんだから」
「それは理解できる。
まぁ、そのあたりは今日の説明次第だがな」
「あまり期待しないでくれ、教師目指しているわけじゃないんだから」
そんなことを言いつつ昼食の時間を過ごす。
なお、本日はミートソース大盛 with サラダ大盛。
飯をたらふく食えるってなんて幸せなんだ……。
昼食を終えてクラスに戻ると、何故か皆各所に集まってコソコソ話している。
いや、それなりに筋肉質な奴らが小さくまとまるのは怖いぞ?
「ホルター、何している?」
「え、あ、いやいや、特に何もしてないぞ?」
なんだよ、その慌てた雰囲気は?
スロムは……アイツも同じか。
というか、クラス全体が変だぞ?
「なぁ、ホルター?
正直に話せ?
お前等何考えている?
頭砕く前に説明をしてくれると助かる」
「怖えよ!!
……さっき食堂で聞こえてきたんだが、フェーリオ殿たちに勉強教えるって?」
「あぁ、レルカとクレイ――文官科のツートップ――が三科試験に参加する。
なので勉強……というか、騎士科試験の科目とコツを教えることになったが?」
「……俺たちにも教えられるか?」
ハァ?
ナニイッチャッテンノ?
「まず、お前等科目も理解してないわけじゃないだろ?
そんな奴がここにいたら来年三年になれないだろう?」
「いや、その辺は流石に分かる。
コツってのが知りたいんだ」
「それこそ無理じゃね?
だって、あいつらの知識とお前らの知識を一緒にするのは無理だろ?
文官科の勉強したこと無い奴に『ある科目と同じだよ』とか説明できないだろ?
お前等に合わせたコツを教えるわけじゃないんだからな?
あいつらが理解している文官科の知識を有効活用するためのコツだからな?」
流石に文官科の知識なんて持っていないホルターたちは押し黙る。
「第一レルカたちとお前等では一緒にやるのは無理だろ?
というか、あいつら文官科で首席争いする位の実力だぞ?
あの二人に教えるレベルとお前等に教えるレベル合わせること自体が無理だ」
「なんだよ、そんなに俺たちと違いがあるってのか?」
え、本気で言っちゃってんの?
「筆記で僕に匹敵する位の成績出してから言えよ。
最低でも騎士科の一般教養は教えないぞ?
アイツらの方がより詳細な知識を持っているからな。
確実にアイツら騎士科の一般教養は満点ラッシュになるだろうしな」
算術一つとっても差がデカすぎる。
「今回軽く指導するのは騎士科特有の教科。
でも、それも一部は文官科でも学んでいるから説明もアッサリだろうな」
『兵站』と『管理業務』って似た科目があるしね。
多分アイツらが困るのは薬草学とかの類と戦術系のあたりかな?
『戦術史』は歴史系の授業受けてれば大体大枠は分かるはずだし。
「……なぁ、もしかしてお前以外の騎士科生徒は完敗すると思ってないか?」
「今回は事前準備がままならない中の試験だから完敗まではいかないかな。
でも、八割くらいは確実に負けるだろうね。
なんせ算術や言語系の試験でお前らが勝てるはずないし。
で、騎士科特有の科目を今回経験したら、次回は完全敗北だろうね」
「そんなに実力差があるのか?!」
ホルター、何バカなこと言ってやがるんだ?
「第一、相手は僕レベルの化け物だぞ?
それも文官方面に特化したやつ。
そんな奴らにお前らが勝てる要素が何処にある?
第一、フェーリオやジル嬢に前回の試験でボコられてるだろ?」
「へ?
いやそんなこと無い……かどうかは知らんけど」
え?……あれ?
何で……もしかして?
「もしかしてあいつらの成績を知る機会ってないのか?」
「機会がないと言うのとはちょっと違うが……わざわざ調べないな。
だって、あの面々が成績上がっても騎士科に来るわけじゃ無し。
騎士になるメンバーとは無関係な立場だ。
なら気にする必要性も無いだろ?」
あっ!
騎士になるかならないか、それだけしか見ないのならあいつらは無関係か。
居てもいなくても自分の成績に何ら関わりが無い。
そりゃ気にもしないか。
「ふむ……ただ、あいつらが無双し始めると、確実に平均点が上がるぞ?
つまり、現時点で成績が平均点程度の奴らは評価下がるんじゃないのか?」
「あっ!」
なんか顔青ざめてきてるけど?
「一応王宮側での評価基準がどうなっているのか知らないけどさ。
全体の平均点以下の成績しか出せない学園生は切り捨てとかなったら……?」
「ま、待て!
冗談だろ?
そんなことなったら絶対騎士に合格できないじゃねえか!」
「いや、そのあたりの条件は僕も知らないよ。
でも、危機感は持っておいた方がいいんじゃない?
確実に順位は下がり平均点が上がる。
騎士になる際の試験でどのような情報が渡されているか分からない。
なら平均位は取れているという実績って大事なのかなと思ったんだけど?」
現実見えたっぽいけど、どうしようもないからね?
「で、大元の話。
今回はレルカたちの為の指導であって、お前等の為じゃない。
なので、お前等への説明はしない。
ただし、参加者たちの許可が得られれば条件付きで僕の話を聞くのは可能」
「……条件は?」
「発言禁止。
質疑応答はレルカたちのみ。
お前等は聞くのみ」
「え、質問できないのか?」
何を聞くんだよ?
あいつらに説明するコツなんてお前らに影響ないだろうに。
「そりゃ、誰のための勉強会だと思ってるんだよ。
レルカたちの為であって、お前等の為じゃないぞ?
元々の目的と違う行動をとる気はないな」
「……仕方ない、お前の我儘に付き合ってやるよ」
「僕の我儘じゃないよ! ひっでえな!
そんなくだらない文句言うのなら見学禁止!!」
「すまん!
お前の指導見学させてくれ!!」
即刻謝罪してきたホルター。
他の奴らも大人しく見学に徹するようだ。
そのまま午後の授業も終え放課後。
「で、彼らも見学するということか?」
「あぁ、可能ならいさせてやって欲しい。
なお、発言禁止・質疑応答は駄目と伝えてある。
破ったら力づくで追い出すからそこは安心してくれ」
「……壊すなよ?」
「確証は無いな」
なんかビビってるけど、あいつらの我儘に付き合う気はないからな?
「さて、レルカ、クレイ。
騎士科の今の科目、それと一・二年で習った科目について説明する。
では――」
そうして一通りあいつらが学ばなければならない部分について説明を始める。
とはいっても前に話題にもなった通り一般知識はアイツらの方が得意だ。
実際、算術の進み具合を説明したら呆れられていた。
「騎士科ってその範囲までしか進めないのか……」
「あぁ、なので二人からすると楽に高得点取れる科目となるな。
その分騎士科特有の科目が大変なんだろう。
とは言え、その科目も実は同じというのもあるんだがな」
そう言って、『兵站』と『管理業務』の類似性について説明する。
「マジかよ、ここで文官科と騎士科の接点があるんだ」
「僕も知ったときにはびっくりしたよ。
ちなみに、領主・淑女科には類するものは無い。
なので、フェーリオ達は苦労していたよ」
「あの科目は確かに……」
「何も無い所からの勉強でしたからねぇ……」
二人の記憶を呼び覚ましてもらったが、めっちゃ嫌そうだな。
まぁ、僕が何も知らない所から学んだ時を思い出せば同じ表情にもなるだろう。
「そんなわけで、二人が気にする科目はそこまで多くは無い。
文官科で既に進めてあるところがほとんどだしな。
後は完全に騎士科特有の科目だけ注力すればいい。
そのあたりで詳しい資料は――」
一通り勉強に使える書物を説明。
「――こんなところかな。
説明は終わりだけど、何か質問ある?」
「今の資料は図書室にあるんだよな?
なら後日読んでみるから特に無いかな。
一部面倒そうではあるが何とかなりそうだな」
「そうだね、ニフェールが言う位だから一部の科目に注力して終わりそうだ」
レルカもクレイも余裕そうだが……。
「まぁ、二人の苦手要素が僕も分からないからなぁ。
後はこの情報を元に試験受けてみてくれ。
そこで想定外の疑問が出てきたら説明するよ。
実際、フェーリオ達も兵站で苦労したからなぁ……。
地理的要素が苦手みたいだ」
「あぁ、そこは文官科でも苦手な奴がいたね。
王都の外に出たこと無いとか言ってて苦労していたよ」
あぁ、ジル嬢タイプね。
イメージが湧かないんだろうなぁ。
「そういう苦労は実際勉強して見たり試験受けて見ないとね。
だからこそ今回は試験のイメージを掴むために受けてみな。
まぁ、フェーリオ達から既に説明されてるかもしれないけどね」
「確かに、二人に領主科と淑女科の説明受けた時も同じこと言われたな。
そこはどの科でも共通なんだ……」
「まぁ、今の所だけど文官科の算術、対数の説明より苦労するのは無いはずだよ?
多分そこはフェーリオ達も納得してくれると思う」
「「その通り!!」」
二人とも声を大にして宣言していた。
だよねぇ、あれだけ訳の分からない説明は他になかったし。
「んじゃ、説明はこれまで。
ちなみにフェーリオ達も含めて質問ある?
ついでだから教えるよ?」
「ん~、特に急ぎで知りたいのは無いなぁ。
ジルはあるか?」
「いえ、大体勉強の仕方は理解できたと思ってますので、特に無いですね。
ちなみにニフェール様は?」
あ~、今のところは無いかな……。
あ、一つだけ聞いておくか。
「僕も今のところはないかな?
ちなみに、レルカたちも含めて教えて欲しいんだけど。
これまでの授業で対数レベルの説明って出て来た?」
「今の所あれだけだ。
というか、あれで終わって欲しい……」
「分かる、だからこそ聞いたんだ。
あれでいきなり勉強が止まっちゃったからなぁ」
五人でウンウン頷く。
見物している騎士科の奴らは困惑が半分、ビビってるのが半分かな?
「この五人を困らせる説明って……」って声も聞こえてくる。
いや、すんごいんだって!
「んじゃ、今日の説明はこれにて終了ということで。
騎士科の面々、発言禁止の条件解除。
というか、こんな感じなんだけど、聞いて何したかったの?」
そう聞くと、困惑した感じでスロムが代表して答えて来た。
「いや、分からない問題とその答えとかやり取りするもんだとばかり……」
「そう言うのは基本自力で学んで解くからなぁ。
どうしようもなくなったらそりゃ聞くよ?
でも、レルカたちはこれから学ぶんだぞ?
現時点で質疑応答するには情報足らなすぎじゃないかな?」
「あ……」
あれ、もしかしてこいつら……?
「なぁ、もしかしてお前等は皆で一緒に勉強会みたいなの想定していた?」
そう聞くと、コクコク頷く騎士科の面々。
「そう言うのは基本やらないな。
余程訳の分からない内容が出て来たとかならともかく。
そんな訳でそう言う勉強会は想定してない。
それと、元々目的が異なるからねぇ。
騎士科の試験についての説明がメインだからなぁ」
「あれ、でもコツを教えるって……」
「うん、だから『兵站』と『管理業務』の説明したでしょ。
後都合のいい資料の説明とかも」
「それがコツ……?」
何となく、お互いの認識のずれが分かった気がする。
そりゃ、お互いの認識違い過ぎるわな。
なんかフェーリオ達も僕と騎士科の面々との認識のずれに気づいたようだ。
と言っても何かしてやる気はないしなぁ。
「……なぁ、ニフェール。
少しフォローしてやったらどうだ?」
フェーリオの発言に大喜びする騎士科の面々。
でもねぇ……。
「フェーリオ、既に幾つか指導はしているよ?
それがうまくいくか判断するのは冬季試験の結果。
それ以外は手を出す気は無いよ。
そうじゃないと、僕の指導が意味あるのか分からないでしょ?」
「あぁ、なんか教えたとか言ってたな。
そりゃ過去の成績と比較対象にならないからダメか」
「うん、今回はダメ。
冬季試験の結果でうまくいけてたら彼らも僕の指導を受け入れやすくなるしね。
なんで、今回はいくら言われても教えません」
なぜか呻き声を出して膝を付く奴らが量産されてしまった。
そこ、泣いてるんじゃない!
いや、お前ら自力で勉強すればいいじゃねえか。
僕に期待し過ぎるなよ!




