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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
10:東奔西走
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62

 その後カルが娼館ギルドに赴き、スケジュールを確認する。

 明日の夜に集まるそうだ。



「ならそこでキンスンの処刑と詐欺師ギルド詐欺師部門の制圧だな。

 そのまま北部からの情報を探して見つかれば王宮にプレゼントとしようか」


「ババア達にもそこは伝えてある。

 北部の騎士が馬鹿晒すのが見てみたいが我慢するそうだ」


「むしろそれ見て笑い過ぎて顎外れるとか無いよね?

 いい年なんだから気を付けないと」


「……ありえるな」



 敵がやらかすのを見るのは楽しいからねえ。

 婆さんが喜び過ぎそうで怖いなぁ。

 あぁ、何て年上に優しいんだろう、僕。



「絶対に当人に言うなよ?

 本気であのババアが怒り狂うぞ?」


「流石に当人には言わないよ。

 内輪でのネタ話でしかないんだし」



 本気で婆さんとは今後も仲良くしたいんだから、そんな危険な発言しないよ。

 まぁ、こんな馬鹿話も軽く流してもらえる程度の友好は保ちたいけどね。



「明日はどうすんだ?」


「放課後は学園後は王宮行ってこの件について話すよ。

 夜は皆で一緒に娼館ギルドだね」


「その後詐欺師部門を調べるのか?」


「出来るならサッサと終わらせておきたい。

 それと、情報を隠されるわけにはいかないからね。

 詐欺師部門の中でどれだけの面々が裏切っているのか。

 それを知りたいな」



 それ知らないと裏切り者が暗躍しちゃうからねぇ。



「なので、娼館ギルドでキンスンを色々壊してみようかなって考えている」


「……壊す?」


「つま先から少しづつナイフで削ってあげるとか?

 骨を細かく砕いてあげるとか?

 そんな程度のつまらないネタだよ。

 もっと期待に応えらえるような策が思いつけばいいのだけどねぇ。

 アイディアが枯渇気味で……」


「十分すぎるからこれ以上考えるな!」



 チラッと他の面々を見るとカリムとナットが顔を青ざめていた。

 ティッキィとルーシーは呆れ、ラーミルさんはいつもの事かって感じですね。



 一通り話し合いも終え、寮に戻り就寝。

 次の日、放課後に王宮へ。



「いつものことながら無茶なことをあっさりと終わらせるなぁ」



 ジャーヴィン侯爵から呆れの言葉を貰った。



「そんなこと言われても、こちらはやるべきことをやったまでなんだけどねぇ。

 とはいえ、後は今日の夜に詐欺師部門の長を潰して書類を調べてってとこかな」


「何かあればいいのだがなぁ」


「そう簡単には見つからないでしょ。

 むしろ見つかったらそっちの方が驚きだけど」



 見つかってもどう使うかねぇ。

 北部を追い詰めるためのネタの一つでしかないし。

 それで潰すなんてできないしなぁ。

 よくて北部出身騎士を少し潰せるかどうかって感じかな?


 まぁ、どう使うかは見つけてから考えればいいか。

 もし何なら両侯爵に面倒事押し付ければいいし。



「……ニフェール、今何考えたか言ってみ?」


「大したことは考えてませんよ?」


「お前の雰囲気が少々変わったからなぁ。

 どうせ儂らに面倒事押し付けてやれとか思ったんだろ?」


「それは普段からですからねぇ、今更何をとしか……」



 あ~、侯爵拗ねないで。

 ちゃんと仕事してるんだから文句言わないでよ。



「あ、話変わるけどストマ・ディーマスから情報とか来てます?

 アイツには情報提供することで自分の立場を確保しろと言ったんだけど?」


「少しは来てるぞ。

 とは言え、有用な情報はないがな」


「……本当に無いの?

 もしかしてアイツの尻叩いた方がいい?」



 いや、ガチでやる気無さげなら潰した方が早いと思うんだけど?



「無いと言うか、お前の情報が有用過ぎてなぁ。

 あの者たちが送ってくる情報の価値が相対的に下がっておるのだよ。

 なので、尻叩いて焦らせても無意味だ。

 まぁ、最もやる気出させる為に尻叩くのもありかもしれんがね」


「……アイツらは小出しで情報を出してますか?」


「そうだな。

 ……ディーマス家に手を貸すか?

 調べる能力が無いのなら人手を出すとか言うか?」



 ……それ、僕に行けと?

 ちょっとなぁ……。


 イヤそうな顔をすると、侯爵が困惑した声で問うてきた。



「そんなに嫌か?」


「確かに言いたいことは分かります。

 相手が受け入れるかは別としてですが。

 嫌がった理由は別です。

 ルーシーが……」


「……もしかして?」



 流石侯爵というべきか、すぐ分かったな。



「チアゼム侯爵からは聞いておられないようですね。

 今後も互いに内緒でお願いします。

 僕は偶然知ったまでで、カルも知らないことです。

 で、当人の元実家に仕事とは言え昼間に行くのは……」


「むぅ……とはいえ、ルーシーの能力は貴重だ。

 ちょっと当人と相談してみてくれ。

 まぁ、あちらが調査要員不要と言い出したら別だがな」


「……あまり不愉快な思いをさせたくありませんが、仕方ないですね。

 まずはストマに状況を聞いてからですけどね。

 何となく小出しにしていることバレてないと思ってるかもしれません」



 ルドルフの奴がこちらを甘く見過ぎているとか?

 ストマがこちらをまだ下に見てるとか?

 その辺りかなぁと思うんだけど。

 あ、大穴でマリーナがストマに訳の分からない邪魔してるとか?



「そこも含めて学園で話をしてみてくれ。

 明日話をして明後日報告してくれると助かる」


「了解です……ちなみに、その時の話で提案なんですが……。

 フェーリオ達を調査要員に当てては駄目でしょうか?」



 一気に表情が曇っていった。

 そこまで嫌?



「二月上旬の事前訓練のつもりか?」


「ええ、ついでにサバラ殿辺りにも協力頂けると助かります。

 ディーマス家で訓練して、その流れで二月に対応すればやり易いかと。

 ついでにジル嬢が暴走するかの見極めもしたらよいのでは?」


「……苦労掛けるが、頼む。

 ヘルベスには儂から伝えておく」



 親御さんの許可も頂いたしちょっと考えてみるかな。

 とは言え、今やれることなんて大したことはできないんだよなぁ。

 とりあえずやらせてみてどうなるかって感じだし。



 その後、マーニ兄の様子を見てから寮に戻る。

 ちなみにまだメラムは動いていないようだ。

 気づいてないだけかな?


 夕食を食べ急ぎチアゼム家へ。

 化粧を終え出発準備完了。



「んじゃ、皆で行きますか。

 あ、それと今日一通り終えた後少しお話があります。

 今度の建国祭までに終わらせておきたいことが一つ増えました」


「あんまり仕事増やすなよ……」


「ごめん……。

 とは言え、ちょっとやっとかないとマズそうな気がしてね。

 詳細は後ほど。

 まずはキンスンの処分を優先しましょうか」



 皆で娼館ギルドに向かい、婆さんに挨拶する。



「今日はキンスンの処分だね?」


「追加でアイツらの本拠地に向かいます。

 北部とのやり取りが見つからないか調べようかと」



 あれ、困惑してる?



「殺せば終わりだと思うんだがねぇ?」


「キンスンへの指示を出した証拠があれば、それを王宮に流そうかと。

 オブスの所では何も見つからなかったので」


「強盗ギルドの面々に書類の整理ができると思ってるのかい?

 あのバカ共が?」



 いや、そりゃ期待はしなかったけどさ。



「出来るかどうかと契約書を残してあるかは別の話ですしね。

 馬鹿だからこそ理解も出来ず適当に放り投げておく可能性も期待してました。

 まぁ、捨てたのか書類を残さなかったのかは分かりませんがね」


「……捨てたに金貨一枚」


「賭けになりませんねぇ」



 婆さんと二人でほくそ笑む。

 何でカル達やトレマ殿達がヒいているのか分からないんだけど?



 そんなたわいもない話をしていると黒服さんが呼びに来た。

 全員揃ったようだ。



「さて、遊びに行くかねぇ」


「え、参加者から生気を吸い取りに行くんじゃなくて?」


「……人を何だと思ってるんだい?」


「え、【妖魔】でしょ?」


「おや、【狂犬】は愛玩犬にでもなる気かい?」


「いや、キンスン潰すのは僕だよ?

 まぁ、ラーミルさんのバター犬にはなりたいけど」


「そこの二人!

 もう少し穏当な会話してくれよ!」



 カル、お前は……。

 この程度のほのぼのとした会話でビビってどうする。



「カル、もう少し腰を落ち着けな。

 そんなビクビクしてちゃベッドで話になんないよ?」


「そんなんだからルーシーを待たせるんだよ……。

 ねぇ、まさか緊張し過ぎて勃たないの?」


「だからなんでもそれに結びつけんなや!!」



 なぜか後ろでトレマ殿が涙するカルを慰めている。

 お前等、同病相憐れむって奴か?



 軽い会話を経て会議室に向かう。

 その前に配置変更してカルを前に出し僕は期待の新人のふりをする。

 まぁ、今までもこれでやってきたし早々バレないだろう。

 というか、知っている人が大半だしね。




 会議室に入ると全員集まっていた。

 と言ってもメンバーがほぼこちらの味方だからなぁ。


 僕たちはカルの後ろに控えておく。




「さて、集まってくれてすまないねぇ。

 今日集まってもらった理由はカルから説明してもらう」


「ババア、少しは説明してくれてもいいんだぞ?」


「お前の出番を奪う気はないねぇ。

 サッサと話しな!」



 ブツブツ言いつつもカルは説明を始める。

 オブスが王宮の騎士とギルドで会話をしていたこと。

 その騎士は王宮を裏切り北部に付いていたこと。

 オブスがその騎士の説得に折れ、北部側に付こうとしたこと。


 この時点で詐欺師ギルドの三名は唖然としている。

 まぁ、騎士の話は説明しなかったからなぁ。


 強盗ギルドのパン爺さんを除いた二人も驚いていた。

 だが、裏切りは可能性があると思っていたのかもしれない。

 詐欺師の三名よりかは驚いて無さそうだ。


 ついでにそのままスケッツオの紹介もしていた。

 挨拶してたが、やはり緊張しているようだ。



「こんな感じでオブスは処刑しておいた。

 詐欺師ギルドの三名。

 依頼受けた時に伝えているがこれをもって完了報告とさせてもらう」


「承った。カジノ担当として礼を言わせてもらう」


「貸金側も了解した。

 カル殿、ありがとう」


「……」



 キンスン、ちゃんと演技しないとお友達(他二人)にバレちゃうよ?

 顔真っ青だけど大丈夫?



「キンスン、何をボッとしている?」


「然り、貴様礼も言えんのか?」



 ほらお友達(他二人)も何かおかしいと感づいちゃったんじゃない?



「あ、あぁ、カル殿、完了報告承った。

 予想以上に早くケリがついたので、驚いていたのだ」


「ハハッ、約定通り今年中に終えただけだぞ?

 そこまで驚くことは無いだろ?」



 カル、にこやかに睨みつけてどうする。

 キンスンが怯えてるぞ?



 そんなことを考えていたらカルから視線が……。

 色々、そう「ルーシーにも送ってやれよ」とか茶化したいが我慢して軽く頷く。



「それともう一つ報告がある。

 ニフィ、説明しろ」


「かしこまりました。

 先程話題となりましたオブスが騎士と話しているところを発見した者です。

 二人の話を聞いていると話の内容がおかしい所が数点ございました。

 簡単に言うと、以前ここにいる全員が集まりましたね?

 元詐欺師、元強盗の整理についての話です」



 皆頷く……キンスン、お前も頷いておけよ。

 怯えているのバレバレだぞ?



「その時の話し合いの内容を騎士が何故か知っておりました」



 ザ ワ ッ !



「それ故、僕としてはカル様と相談しパン様にご協力を頂くようお願いしました」



 パン爺さん、笑わないの!


 僕はカルの席の後ろから歩きながら他ギルドの後ろをゆっくり移動する。

 僕が通ると皆ビクッと反応するんだけどなんでだろう?


 別にそんな怖がること無いんだけどなぁ。

 ちょっとオブスの部下の首を捻って折ったくらいじゃない?



「また、同時にカル様の方でも一部の方と話し合いをしております。

 ピロヘース様、アルツ様、レビー様……キンスン様。

 詐欺師ギルドとしてダメンシャ様の弔いとしてオブスを消す提案ですね」


「ま、待て、あれは……」



 キンスン、お前、何でそこまで怯えまくってんだよ!

 最期なんだからもう少し堂々としてくれよ、全く。



「何でしょうか、キンスン様?」


「……いや、何でもない」



 ケッ! ヘタレが!



 移動してそろそろ詐欺師ギルドの三名の後ろに到着。



「話を続けます。

 パン様の調査で約一名が騎士と繋ぎを取っていたことが分かりました」



 キンスンの後ろに到着。

 クルっと右を向き、奴の背中が丸見えの状態。


 カリム、ナット、そんなに怯えるなよ。

 僕そんな怖い顔したか?

 ただ獲物を見つけただけなのに……。



「ねぇ、キンスン様?」



 ガ シ ッ !



「ヒッ!!」



 軽く肩を掴んだだけなのに……怯えすぎだろ、これからなのに。



「騎士メラムに情報を流したのはあなたでしょう?」



 グ シ ャ ッ !



「ギャアアアアッッ!!」



 なんか皆さん目を逸らしたりされているようですけど?

 ちょっと両肩を握りつぶしただけなのに……。



「声を出すならもっと静かにしなさい。

 娼館に来られているお客様が不安になるじゃないですか」



 ボ キ ボ キ ッ !



 おや、アルツにレビー?

 何をそんなに怯えているので?

 左右の二の腕をへし折っただけですよ?


 あぁ、キンスンの叫び声は気にしなければよいのです。

 どうせ、いつまでも騒いでいることしかできないでしょうしね。



「さて、キンスン様?

 そろそろ正直にお話しいただけませんか?」


「な、なにをだぁ!!」



 何って、そりゃあねぇ。





「まずはいつから裏切っていたのかですねぇ。

 ダメンシャ様がご存命の頃からですか?」


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