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八章を一通り書き上げました!
なので、今日から章の終わりまで毎日更新とします。
7/13(日)に93話を投稿して章終了の予定です。
さて、九章ネタ考えないとな……。
「さて、そろそろ処刑に入りますか。
……すいません、騎士の方々。
この二人のうち、カタリナの方を少し後ろに下げて頂けますか?」
「まぁ、その位なら。
でも、どうされたんです?」
「僕の武器は双剣なんですよね。
兄のように一回振ったら二人の首を飛ばせるわけでは無いので。
左剣で一人、右剣でもう一人の首を落とします。
そうなると、真横に並ばれると斬りづらくて……」
予定では左剣でカタリナを、右剣でイマエルを斬る予定だからねぇ。
バランス考えないと。
名残惜しいがラーミルさんの手を離し、双剣を鞘から抜く。
「さて、二人とも。
これからあなたたちの首を斬り落とします。
ですが、その前にあちらの方をご覧ください。
カル、すまんが手を振ってくれ」
「こんな感じか?」
「あぁ、それでいい。
お二人、あの手を振っている人物の方を見てくださいね?」
良く分かっていないようだが一応従ってくれた。
「ではカル、ルーシー。
見せてあげて?」
二人が位置をずらすことで後ろにいたティッキィが露わになる。
「さて、気づきましたか?」
「え……。
あ、あ~!!」
二人とも気づいたようだ。
ついでにティッキィも調子に乗って親指で首を切るジェスチャーまでし始めた。
期待通りではあるけど、ノリ良すぎでないかい?
「あなたたちが仕込んだ人物は商会襲撃前に僕の味方となりました。
分かります?
あなたたちの策は襲撃前にほぼ全て潰し終わっていたんですよ?
さて、説明は終わりです。
では、さようなら」
「お、お前、ティッ――」
ザ ス ッ !
ズ パ ッ !
下手に名前を呼ばれる前に殺しておく。
左、右と二人の首を落としてそのまま駆け抜ける。
斬ったところにいたら血塗れになるからねぇ。
その後、騎士たちに二人の死骸をどけてもらう。
次のオルスが待っているからサクサク片付けられる。
「さて、オルス。
待たせてすまなかったね」
「いえ、ここまであの二人を追い詰め続けるとは……。
本当に敵対したことが誤りだったのが分かります。
……昨日の裁判でも幾つか仕込んでいたでしょ?」
ほ ぅ ?
「そりゃまぁね。
というか、オルスも気づいたんだ」
「あ、裁判中は気づきませんでしたよ?
ですが、昨晩あの二人を罵倒しまくった後、落ち着いて考えてみたんです。
何で偶然あの二人が私の嫌いな臭いを漂わせているのか?
何でサンドラがバラの香水をつけているのか?」
そこまで言えれば、答え分かってるんじゃないの?
「ニフェール殿、あの香水、仕込みましたね?
私が不快に思い、二人を罵倒するだろうと推測付けたのでは?」
「……その通りだよ。
とはいえ、最初の頃はアンドリエ側についてたのは僕も驚きだった。
あの時点ですぐに罵声を浴びせだすと思ってたからなぁ。
暗殺対象になったこと教えたら一気にこちらに傾いたようだけどね」
苦笑すると、オルスも似たような表情をして笑い出す。
「実際、あなたの思う通りになった。
それが全てでは?」
「まぁ、そうなんだけどね?
この歳で色々苦労させられてるから、少しでも有利な状況にしたいと思う。
でも、うまくいかないんだよねぇ」
「この成果で愚痴ってたらいつまでたっても終わらないのでは?」
……そこで皆なんで頷くの?
マーニ兄、馬鹿笑いするんじゃない!!
「……さて、オルス。
これから首を斬り落とすが、何か言いたいことあるか?」
「……ベルハルト様、それとお隣の方。
結婚する気あるってことでいいです?」
「あぁ、まだ彼女のご両親にお会いしてないが、そのつもりでいる」
「では、お二方、お幸せに。
正しい選択をしてたら結婚式の際に言えたのでしょうが……。
これ以上見ることができません故、この場にて」
「あぁ、ありがとう」
次に、ラーミルさんの方を向く。
「ラーミル様、ニフェール様とお幸せに。
……何となく、ベルハルト様より先に結婚しそうな雰囲気ではありますがね」
「それは無いわね。
ニフェールさんの親御さんから学園卒業まで待つよう指示されてるから」
あぁ、母上ですね。
「……卒業までにベルハルト様は結婚できますか?」
「……全力で尻叩くつもりよ?」
そこ、覚悟決めた表情で言わない!
「本気でやった方がよろしいかと。
最悪、ニフェール様にご協力頂き向こうの親御さんを説得してもらうとか?」
「そこは既に検討中よ。
とはいえ、可能なら自力で成し遂げて欲しいとは思っているの。
なので、最悪の場合の手段としてお願いするつもりよ」
なんか、ベル兄様凹んでますね。
でも、今までが今までだからねぇ。
「最後にニフェール様。
ラーミル様をよろしくお願いします」
「分かった。
とはいえ、そこは既に十分証明していると思うが?」
なんせ学園生の立場で婚約者の家の事態を解決。
スホルムを制圧。
オルスは知らないだろうけど、暴動の鎮圧までやったんだから。
「そうですね、何も言わなくても勝手に幸せになりそうな気がします。
とはいえ、あなたに斬られる者の最期の望みです。
必ず叶えて頂きたい」
今までで一番真面目な表情。
これに適当な返答は失礼だろう。
「分かった。
ニフェール・ジーピンの名においてラーミル・ノヴェールを必ず幸せにすることを誓おう」
「……よかった。
言うべきことは言いました。
さぁ、処刑を」
オルスは頭を前に出し、首を斬りやすいような体勢になった。
特に声をかけることも無く、右手用の剣を抜き、首を落とす。
叫びもせず、全く声を出さずに斬られる。
多分、傍から見ていた貴族共はこう思うだろう。
アンドリエの兄妹は無様に死んだ、オルスは最期に真人間に戻れたと。
その後、陛下の処刑終了宣言を持って一通り終わりとなった。
スホルム案件の関係者は皆会議室に集合する。
「さて、ニフェール。
この件はこれで一通り終わりか?」
「最後に明日の夕方、セリナ様を修道院に送ります。
それで全て終了になりますね」
まぁ、明日は連れて行くだけだから大して苦労は無いかな。
ホルターが何処まで落ち着くかにもよるけど。
「カリム、ナット。
セリナ様は?」
「部屋に戻って着換えたところでホルター様がやって来たんで、そのままデート。
取りあえず暴走はしてなかったよ。
それと途中邪魔も無かった」
「ならよし」
後は明日以降の話か。
「明日の流れですが、学園放課後にホルターとチアゼム侯爵家へ。
ラーミルさんと合流後王宮へ向かいます。
そこでセリナ様と合流。
四人で馬車に乗り修道院へ。
そこで引き渡して終わりですね」
ここまで、長かったよなぁ……。
「ちなみに、王宮で馬車出していただけます?」
「そのつもりだ。
目だたないようなのにしておく。
それと、マーニを含めたスホルム部隊を護衛として付ける。
流石に実家が邪魔することは無いだろうが、念の為な」
ジャーヴィン侯爵、フラグ建ててない?
「念の為双剣持っていきますよ」
「死体量産は避けてくれな?」
「一応努力します。
後は……スホルムの新しい領主って?」
「お前の知らない人物だ。
事前に指示は出しておいたから、明日にでも向かうんじゃないかな?」
なら、二週間後位にはペスメー殿が戻ってくると。
「次はホルターの親御さんの説得とかに巻き込まれそうな気が……」
「あいつの親は……領地持ちか。
なら年末の会議に合わせて来るのではないか?」
あぁ、そっちに合わせるか。
急ぎ来る可能性ばかり考えていたけど領民のこと考えたらそっちが正しいか?
「なら、少しの間は学園でちゃんと授業受けれるかな?」
「……神にでも祈っておけ」
チアゼム侯爵、何その反応?
「絶対無理!」とか顔に書いてますけど?
後は特に話すことも無く、解散。
だが、一部の人たちは別件で居残り。
「で、ニフェール。
昨日行ったんだろ?
どうだった?」
マーニ兄、何ウキウキワクワクしてるんです?
「【死神】の事をとてつもなく低く見積もっていたようです。
なので、代理でボコりました。
その結果、実力差をたっぷり理解したようです。
ですが、その後の会話で厄介な単語が出てきました」
「薬か?
人身売買系か?」
あ、そっちじゃないです。
「元ラング伯が話題に出てきました。
第一部隊で世話になっている奴が多いと聞いてます」
愕然とした表情をするラクナ殿。
並行して胃に手を当てるのは何とも見慣れた光景になった者だ。
サッサと薬飲みな?
「冗談……じゃないんだよな?」
「こんな冗談は言いませんよ、ラクナ殿。
スピル殿も含めて結構いるみたいです。
ちなみに、アイツが処刑されたこと知らなかったみたいで驚いてましたよ?」
「ええ……うっそだろ?
夜勤組にも情報展開してるぞ?」
え、本当なの?
「ちょっと、チェックした方がいいと思います。
第一部隊のメンバーが何処で働いているのか?
いつの時間働いているのか?
この辺り適当過ぎる感じがします。
もしかすると夜勤しかやってない人いるんじゃない?」
「……そういう人物がいたとして、何やってるか分かるか?」
無理無理、それは分からないよ!
「いえ、無理ですね。
とりあえず、事前に決めたシフトを守らない奴らをチェックすることからでは?
そいつら何しているのか調査すれば、埃がたっぷり出てきそうな気がします」
「だよなぁ……。
何で、こんなガタガタになっちまったんだか……」
ん~、多分第一部隊でも真面目な方はいると思うんだよねぇ。
でも、同時にロクデナシも結構いるんだろうなぁ。
「ちょっと確認ですが、第一部隊にいる人はどうやって所属できたの?
試験でもしたの?
それとも、推薦とか?」
「どちらもだな。
基本は他部隊から入るのを望む者たちの実力を測って合否判定する。
だが、一部は貴族からの推薦で入ってくる奴もいる。
どうしても、第一部隊だと箔が付くと考える輩が多くてなぁ」
「……以前、禿の時のこと覚えてる?
僕とマーニ兄と対戦した時の事」
ジャーヴィン侯爵の所でやらかした騎士いたよね?
「あぁ、覚えている。
あの時問題だった騎士共なら皆推薦側だ」
「……スピル殿は?」
「……推薦だ」
やっぱり……。
「推薦組の動向を調べて。
誰が推薦したか、今どの仕事しているのか。
もしかすると、推薦組で固まって仕事しているかもしれない。
まずその辺りから調べましょ?
その結果を見て次考えたらいい」
というか、今できるのそれくらいしかないからねぇ。
「ニフェール殿、この情報を元に文官側でも動くということでいいか?」
「クーロ殿の方は前回お願いした修道院の女性たちの動向調査をお願い。
集まったところでまた相談しよ?」
急ぎたくはあるけれど、事実と想像の切り分けからじゃないかな?
「第一、情報源となっているのがスピル殿でしょ?
信用という点で不安しかなくて……」
こちら側としては情報収集するには役に立たなそう。
あちら側としてはトカゲのしっぽ要員にしかならなそう。
「あぁ、確かにな。
とりあえず……俺とラクナ殿の間で進捗だけ確認するわ。
んで、一通り纏まったらニフェール呼んで話し合おう。
その間位は学園生活楽しんでいてくれ。
……いつまでだか分からんがな?」
「ちょ、止めてよ!
僕の平和な生活壊さないで!」
なんか大人たちが笑ってるんですけど、結構本気ですからね?
話し合いも終わり、侯爵家に戻り、内輪で打ち合わせを行う。
「打ち合わせって言ってもなぁ、何話すんだ?」
「今後の事だね。
まずラーミルさん。
ベル兄様の婚約について。
顔合わせのスケジュールって決まった?」
「次の休日に行うそうですよ。
私も参加してきます」
ん~、多分大丈夫だと思うけど……。
「一応念の為。
裁判や処刑について、僕の指示で色々やったということにしといてください。
実際事実なんだけど、あちらの親御さんが受け入れてくれるか分からないので。
仮に、嘘だとか言い出したら、次回僕を連れて来るとでも言ってください」
説明すると、なぜかルーシーが挙手しだした。
何だろ?
「ニフェール様、それやったらティアーニ様のご両親倒れるんじゃない?」
「本当にありそうだからやめて……。
とはいえ、納得させるなら行った方が早いからなぁ」
「精神的に追い詰めに?」
「いや、懇切丁寧に説明するだけだからね?!
ベル兄様に不利なことはする気無いよ?」
カル達まで笑ってやがるし……。
「次にカル。
婆さんの所に行く日、何時にする?」
「そうだな……さっさと済ませるか。
明後日辺りはどうだ?」
イベントは特に無いし……大丈夫だろ。
「なら、それでいこう。
寮から抜け出してここで合流の流れで行くよ?」
「……あまり無茶な質問はするなよ?
ある程度は善意で答えてくれるだろうがな」
「そこは気を付けるつもりだよ」
僕だって、婆さんたちを味方にしたいんだから。
「後は……王都にいる元暗殺者たちを味方にしたいんだが……」
「はぁ?
あぁ、もしかして以前言っていた奴か?
ニフェール様が爵位賜ったときに部下にするって話?」
そうそう。
出来るのなら有用な人欲しいなって思う。
「で、それカルとルーシーの方で情報持ってない?
どのあたりで何してるか分かるとありがたいんだけど?」
「そうね……一応分かる範囲では教えられるわよ?」
そこまでは情報持ってるんだ?
「なら、カルとルーシーはその面々の中でまともそうな奴らを選んで。
そしてティッキィ。
カルたちから教えてもらった奴らに会うことできるかな?
王都に戻って偶然会ったって感じで」
「……まともの範囲って?
多分ダッシュはダメよね?
ビスティーさんはアリ?」
「どう使うかは今後考えるけど、アリだね」
「なら、分かる範囲全員アリだわ。
ティッキィさんも知っている面々だから、顔合わせは出来るわよ?」
「なら、それで。
ティッキィ、顔合わせた上でチェックしてほしいのが数点。
まずちゃんと暮らせていけてるか。
次にティッキィに拒否反応を起こすかどうか」
キョトンとしてるが、言ったこと分かるか?
「一つ目は、今の生活で成功してるのなら邪魔しないであってるか?」
「そうだよ、無理にこちらに巻き込む必要はないからね」
「二つ目は……過去を忘れたい奴らには関わらないってことか?」
「よくわかったね、その通りだよ」
まぁ、仲良くできそうもない人物と関わっても苦労するだけだしね。
「ふむ、まぁ分かった。
休みの日にでも少し見回っている。
懐かし気な感じで近づけばそれなりの対応はしてくれるだろうさ」
「なら、頼む。
急ぎじゃないから、慌てないでね?
それとカリムとナットはちょっと休んでいて。
今までの話の結果によっては依頼するかもしれないけどね」
二人とも頷いてるが……ナット、何か狙ってるな?
「ナット、休日にカリムとデートしてきてもいいぞ?」
「……バレた?」
「バレバレだ。
遠慮しないでいい、遊んできな」
「うん!
カリム、どこ行こっか?」
あぁ、カリムがタジタジになってるし。
カル、この位軽い調子でルーシー誘え?
アイツは待ってるぞ?
「僕は今日寮に戻って、明日放課後にまた来るから。
んじゃ、解散!」
そう言うと皆出ていき、ラーミルさんだけが残る。
「ニフェールさん、お疲れさまでした♡」
「ラーミルさんもお疲れさま♡」
ちょっとだけ(?)イチャついて、二人で話し合う。
「スピル殿の件ですけど……ラングの名前が出ていたんですよね?
ってことは厄介事になるのは確定ですよね?」
「確定でしょうねぇ。
ただ、ラングので止まってるのか、その上も関わっているのか……」
確か、テュモラー侯爵家でしたよね。
あれが関わっているとなるとディーマス家並に面倒になるんだよなぁ。
「最悪、国を二分しかねない気がしますけどね」
「各派閥に入り込んだラング派……テュモラー派でしたか。
誰が裏切ってるのかも分からないですからねぇ。
多分、厄介事まき散らすんでしょうね」
二人で面倒臭そうな未来に溜息を吐く。
「ニフェールさん……無茶しないでくださいね?」
「大丈夫ですよ。
オルスに誓ったこと、現実にするつもりですから」
ボ フ ッ !
いや、そこまで恥ずかしがらんでも。
というか、あの場にいた貴族に情報駄々洩れなんだけど?
「学園卒業、期待して待ってますね♡」
「卒業まで我慢できるかなぁ……」
そんなこと言いながらイチャつき始める。
キスシーン中にルーシーたちが部屋に入り、僕たちが慌てるまであと十五分。




