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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
8:後片付け
295/361

86

 オルスの暴走が始まって三十分。

 未だ罵るのは止まらず。


 長年溜まりに溜まった思いをぶちまけ続けているようだ。

 たまにループしているが、そこはご愛敬という者だろう。



「な、なぁ、ニフェール。

 あれ、止めることできないか?」



 チアゼム侯爵。

 なぜそこまでビクつきながら来るのです?

 別にオルスはこちらに噛みつきませんよ?



「もう少しオルスのトークショーを続けてもいいのでは?

 皆様も気を楽にして聞いていればいいんですよ。

 ほら、集中砲火浴びている二人は涙流して喜んでますよ?」



 イマエルもカロリナも話を聞かずに死んだ目をして泣き続けている。

 まぁ、傍から見たら怯えているように見えるかもしれない。



「絶対ガチ泣きしてるだけだろ……。

 それはともかく、周りを見てみろ。

 他貴族も怯え半分、だらけ半分になっているだろ?

 そろそろケリつけて終わらせたい。

 お前だって昼飯食いたくないか?」


「なんか、僕が食いしん坊であるかのような発言が納得いきませんが……。

 仕方ない、止めてみますか」



 まだまだ元気に罵りまくっているオルスに近づき、肩を叩く。



「――ってうっせえn」



 ギ ン ッ !



 殺気交じりでオルスを睨みつけると、怒りから一気に恐怖の表情に変わっていく。



「あ、あ、あぁぁ」


「落ち着いたか?

 すまんが、まだ裁判は終わってない。

 お前の分はほぼ終わりだが、そこの兄妹やその手下どもがまだなんだ。

 協力してもらえるかな?」



 睨みつけつつ話しかけると、ガクガク首を振り、大人しくなる。

 ちゃんと言うこと聞いてくれるようだ。

 やはり会話は大事だね。


 アンドリエ兄妹も少し落ち着きを取り戻したようにも見える。

 これなら裁判再開できるかな?



「チアゼム侯爵、続きをどうぞ」


「あぁ、すまんな。

 ではイマエル・アンドリエとカロリナ・アンドリエ。

 貴様らの罪を認めるか?」


「ぐすっ、嫌よ!

 わたしたち悪くないもん!!」



 ……カロリナ、幼児化して無いか?




「認めません。

 ラーミル嬢、私たちを助けてくれないか?!」




 ……はぁ?




 チラッとラーミルさんを見ると……Oh!

 顔がオーガに!!



「……イマエル殿、何を訳の分からないことを言っているのです?

 私どもがあなた方を助ける理由が一切ありません。

 こちらの望みはあなた方の処刑のみ!

 助けるだなんてありえません!!」



 ですよねぇ、何でそんな発言をしたんだ?

 想像つかないんだが……。



「だって、君は僕の事好きだろう?」




 ピ キ ッ

 ピ シ ピ シ ッ



 最初の音は世界が凍った音。

 次の音は世界にヒビが入った音。



 氷の世界の中心は……ラーミルさん。




「なぜ、私があなたを好きだと?

 そんなこと言った記憶はありませんが?」

「君が言わなくても分かってるよ。

 僕と一緒になりたいから彼氏もいないのだろう?」




 ビ キ ビ キ ッ !




 イマエル、お前すげえよ。

 何でそこまで素で喧嘩売ってくるかな?

 ラーミルさんのコメカミが血管浮き出てビクビク震えてるぞ?



 あれ、でもよくわからんな?

 オルスは過去結婚していること、今僕が婚約者であることを知ってるよな?


 まさか、オルスは情報流してない?



「ラーミルさん、ちょっと割り込むね。

 オルス、もしかしてお前はイマエルにラーミルさんの情報流さないようにした?

 そうじゃないとこの事態は起こらないはずなんだけど?」



 そう聞くと、ニヤッと嗤い、答えをよこす。



「ええ、教えませんでしたよ?

 だって、乗っ取る予定の家じゃないですか?

 わざわざラーミル様の情報を流しても乗っ取りには関係ない。

 それにご当人も関心なかったようで情報を請求しませんでしたからねぇ」


「オルスッ!!

 気の利かない奴だな!

 その位気づけよ!!」


「いや、無理ですって。

 カロリナ様はちゃんとベルハルト様の情報を求められました。

 なので情報お渡ししましたが、あなたは何も依頼して来ない。

 なら何もしなくて当然では?

 当時、私も執事として色々な仕事で忙しかったですからなぁ。

 不要な仕事はしないのですよ」



 まぁ、執事ってそんな暇な仕事じゃないだろ。

 なら、オルスの言い分も分かるなぁ。



「それと、ラーミル様は学園卒業後に結婚なさってます」

「えっ?!」

「で、今年の初夏あたりに離婚、今は新しい婚約者がおられます」

「えっ?!!」



 ……なんか憐れになってきた。


 ラーミルさんをチラッと見ると、モジモジしながら僕に寄りかかってくる。

 何、この話の流れてイマエル追い詰めろって?


 軽く右手で抱きしめると、オルスもそれを見たからか最後の情報を出す。



「新しい婚約者はそちらにおられるニフェール・ジーピン殿。

 アンドリエ家が成し遂げかけたノヴェール家乗っ取り計画をぶち壊した方です。

 確か、スホルムに行って商会叩き潰したとか牢で聞きましたが?

 その辺りはイマエル様の方がご存じでしょうけどね」


「ただいまご紹介に(あずか)りましたニフェールです。

 イマエル殿はスホルムでお会いしましたよね?

 あなた方の商会を血塗れにした者です」



 あらあら、口をパクパクさせて……空気足らない?



「お、お前がか?

 うちの商会員皆殺しにしたお前が?」


「ええ、犯罪組織を壊滅させるために動きましたが何か?]


「誰が犯罪組織だ!」


「あなたがたでしょ?

 乗っ取り、暗殺者派遣依頼、詐欺、まだまだあるのでは?

 それだけやらかしといて自分たちは悪くない?」



 大きく息を吸って叫ぶ!



「ふざけるんじゃない!!!

 貴様らのやったことは明確に犯罪だ!

 逃れられると思うな!!」



 ……他の貴族の方々、ゴメン。

 うるさかったよね?

 なんか一部倒れている人もいるけど、大丈夫?


 あ、ラーミルさんは大満足して頂けたようで僕の右腕にしな垂れかかってます。

 うん、胸が……それ以上は言わないでおきましょう。

 幸せが逃げるので。



 イマエルはラーミルさんの婚姻履歴にショックを受けた様だ。

 ブツブツ言いながら床をじっと見ている。

 カロリナも隣で気持ち悪がっているので、かなりろくでもない状況なのだろう。



「どうもイマエル殿はまともなやり取りができそうもないな。

 カロリナ嬢、改めて聞く。

 そなたは罪を認めるか?」


「……お兄様が壊れて、もうどうしようもないわ。

 やったことなら認めるわ。

 どうせ、もうどう足掻いても貴族になることはできないのだし」



 足掻くタイミングとやり方が根本的に間違ってますけどね。



「でも、ノヴェール家の者たちよ!

 あなたたちだって未来が無いじゃない!!」



 ザ ワ ッ !



 おいおい、言うに事欠いて何言い出す?



「ベルハルトに嫁貰えるのかしら?

 今まで女っ気無さそうな顔してさ!」



 おや、そのネタに走りますか。

 なら、返してあげないとですね。



「カロリナ嬢、あなたの言い分はベル兄様が婚約者いそうに見えないってこと?」


「そうよ、分かってるじゃない!!

 普通貴族って結構早い段階で婚約者用意するもんじゃないの?

 現時点で嫁も婚約者もいないんでしょ?

 今更新しい女を見つけられるのかしら?」



 おぅおぅ、強気ですねぇ。


 チラッとベル兄様とラーミルさんを見ると、二人とも頷いてくれた。

「やっておしまい!」ってことですね。



 チアゼム侯爵に挙手をするとニヤニヤしながら振ってきた。



「ビーティ殿、お連れしていただけますか?」

「お任せください」



 ビーティ殿も結構いやらしい表情を浮かべてますね。

 まぁ、未来が分かっている以上その笑顔する気持ちは分かりますけどね。



「さて、カロリナ嬢。

 あなたの戯言ですが、確かにベル兄様に嫁はいません。

 婚約者もいません」


「ほら、ごらんなさい!

 これでノヴェール家がどうなるかなんて火を見るより明らかでしょ?」



「ええ、以降も発展するでしょうね」

「はぁ?」



 僕の発言に戸惑うカロリナ嬢。



「あなたの発言は何の意味ももたらしません。

 なんせ、ベル兄様、彼女はいますから」


「え!!!

 嘘でしょ!!!」



 カロリナ嬢、そこまで大声で否定するって……。

 あぁ、ベル兄様、凹まないで。



 そんなところで僕たちの後ろの扉が開き、ティアーニ先生がやってきた。

 ビーティ殿ありが……あれ?


 なんかヘトヘトっぽい?

 もしかして先生暴走した?



「ニフェール君、来たわよ!

 で、何すればいいの?!」



 いや、何と言うか、元気ですねぇ……。

 まぁ、ちょうどいいや。

 この勢いでカロリナ嬢潰してくださいな。



「あそこにいるのがカロリナ・アンドリエ嬢。

 スホルム案件のある意味中心人物。

 あの人がベル兄様って嫁貰えないだろって騒いでます。

 嫁・婚約者はいないけど彼女はいるとは反論しときました」


「あら、そこまではやってくれたのね」


「ええ、で、後は言いたい放題ぶちまけて結構です。

 適当なところで止めますので、それまで遠慮なくぶちまけてください」


「分かったわ。

 さて……カロリナ様?

 初めまして、私はティアーニ・二ータ。

 ベルハルト・ノヴェール様の彼女ですわ」



 ……おいおい、喋ってるのは普通の内容にしか聞こえない。

 だが、表情が物凄いことになってないか?



「私のベルハルト様に何とも侮蔑的な発言をされたようで……。

 あなたがそんなことを言える立場にあると本気で思ってらっしゃるの?

 ご自分のやらかしたことについて――」



 そこから延々と説教しまくっていた。

 特に激高したりせず一定の高さ、一定の速度で延々と話す。


 どう見てもノンブレスで喋っているようにしか見えない。

 どこで呼吸してるんだ?


 ベル兄様は……あ、ダメだこりゃ。

 目がハートマークになってる。


 ラーミルさんとサンドラさんは……なんか諦めてる?



「ラーミルさん、サンドラさん、大丈夫?」


「ええ、ティアーニがここまで暴走するとは思ってませんでしたが……。

 まぁ気にしたら負けかなと」


「……普段からこんな喋り方なんです?」



 サンドラさんが不安そうに聞いてくる。

 と言われてもなぁ、僕も知らないんだよな。



「授業では見たことないですね。

 サンドラさんがこれを喰らうことは無いかと思いますよ?」


「そうであって欲しいですわね。

 なんか、洗脳されそうな気はして……」



 あぁ、何となくわかるかも。




 三十分ほど経って、チアゼム侯爵が縋るような瞳で見つめてきた。

 気持ちは分かるんだけどさ、自分たちでどうにかするようにして欲しいなぁ。

 そんなことを思いつつ、先生の傍に行き、肩を叩く。



 ビ ク ッ



 恐る恐るこちらを見て来たので話しかける。



「先生、相手が壊れかけてるから、そろそろ終わりだよ。

 ベル兄様の傍に行く?

 それともまだやる?」



 そう言い終えたと同時位に淑女科秘伝の歩法でベル兄様の元へ。

 いや、ラーミルさんほど洗練されてないけど、やっぱりできたんだ、あれ。


 カロリナは放置して、僕も元いたところに戻る。



「侯爵、あの二人はもう使い物にならなそうなんで、他の方の話を進めては?」

「う、うむ」



 めっちゃビビってますね?

 気持ちはわかります。

 というか、僕もアレは初めて見たけど怖かったし。



 その後暗殺依頼をした人物、最後に荷を運んだ者たちは全ての罪を認めた。

 まぁ、先ほどの洗脳は絶対嫌だったのだろう。



「では、この者たちの判決を言い渡す。

 グリス・ダイナ。

 本来アンドリエ家を監視する必要があると言うのに、むしろ手を組む。

 それどころか国を騙し、他貴族を貶める行為。

 そなたは領主としての行動は国として許しがたい。

 死刑を申し渡す」



 ガクッと項垂れ嗚咽を漏らすグリス男……いや、元男爵か。


 セリナ様は……いや、気持ちは分かるんですけどね。

 その「ざまぁ!」という表情はここではやめなさい。


 終わったらいくらでもしていいですから!



「次にマイト・ダイナ。

 そなたのノヴェール家での裏切り行為、その後の脱獄に侯爵への侮蔑行為。

 最後に侍女の誘拐未遂。

 貴族としてこのような輩が存在すること自体が許しがたい。

 死刑を申し渡す」



 絶叫し暴れ出すマイト。

 あ、黙らせるために騎士たちに殴られてやんの。


 全く、自業自得だってのに。



「なお、この二名の処刑は明日。

 騎士団第二部隊隊長、マーニ・ジドロの方で執り行う」



 ……あれ?



 マーニ兄の方を見ると、悪戯成功したような表情をこちらに見せて来た。

 以前半数そっちで処分していいよと言ったの上の人たちに伝えたんだな?


 まぁ、前回不参加だったからむしろ遠慮なく楽しんでほしいな。



「次にイマエル・アンドリエ、カタリナ・アンドリエの兄妹。

 そなたの父親がやらかした詐欺事件。

 それによる監視対象であるにもかかわらず、次の領主を篭絡。

 そしてノヴェール家から莫大な額を奪い去る。

 それどころかスホルムの経済を制圧する。

 自分たちの都合のいいように父親の罪を隠蔽、改竄する。

 どこまでも自分勝手で国を侮辱する行為。

 そなたらには死刑を言い渡す」



 二人とも先ほどのショックが大きすぎたのか、全く反応しない。

 ん~、ま、いっか。



「次にオルス。

 アンドリエ兄妹の手先となりノヴェール家乗っ取り策への協力。

 ノヴェール家から金銭を奪う手伝いをしたこと。

 それと王宮からの詰問の自作自演だな。

 そなたには死刑を言い渡す」



 今までの面々の中で初めて、受け入れ頭を下げる。

 皆泣きわめいたり、落ち込んだり、心ここにあらずだったり。

 まともな意識を持って受け入れた奴いないからなぁ。



「なお、この三名の処刑は明日、ダイナ家の後だな。

 学園騎士科のニフェール・ジーピンの方で執り行う」



 オルスだけビビってて、他はまだ現実見えてないようだな。

 まぁ、当日には戻ってきて欲しいけど。


 あ、一つ提案しておこうかな。



 挙手をすると、チアゼム侯爵が怯えた顔して見つめてくる。

 別に侯爵を襲うつもりないから落ち着いて欲しいな。



「な、なんだ、ニフェール?」


「……そこまで怯えなくてもいいですよ?

 それはともかく、一つ提案です。

 アンドリエ兄妹とオルスを別の区域に移すことは可能ですか?」


「……別の区域とは?」

「単純に声があまり届かない辺りに。

 それと兄妹とオルスを向かい合わせに配置したいです」



 僕の提案が良く分かっていないのか、皆困惑している。


 感づいた人いるかな……って、いたぁ!

 ラーミルさん、そんな最高の笑顔されると……照れます♡



「ニフェール、説明求めたい」


「僕らは先程オルスが兄妹に色々ぶちまけていたのを無理に止めました。

 今日を除けばその想いをぶつけるチャンスはありません。

 彼の気持ちを伝える機会を与えては頂けませんか?」



 まぁ、要約するとオルスに兄妹追い詰めさせろって言ってるだけなんだけどね。


 理解できた人は少し増えた様だ。

 皆恐怖に怯えているのは解せないが。


 喜んでくれるのはラーミルさんだけだよ、ホント。



「……こいつやっべぇ (ボソッ)」

「聞こえてんぞ、侯爵 (ボソッ)」



 全く、チアゼム侯爵ったら……。

 こんなかよわい学園生のかわいいおねだり位聞いてもいいじゃない?



「……わかった。

 そなたの提案通りにしようと思う」

「ありがとうございます」



 これで、オルスが大暴れしてアンドリエ兄妹をさらに追い詰めるだろう。

 いやぁ、何ともいい手駒だよ、オルスきゅん♡



「続いて、スホルムの農家・商家の中でアンドリエ商会に積極的に協力した面々。

 そなたらは鉱山奴隷として十年働いてもらう。

 ただし、模範となるほどの仕事をしたなら、より早く解放されることになる。

 スホルムの家族も早く戻ることを望んでいるだろう。

 国としては、そなたらが真人間として早くスホルムに戻れることを切に願う」



 皆、陛下たちに頭を下げ、その後僕たちにも涙を流しつつ頭を下げて来た。

 あぁ、スホルムでの裁判は大成功だったんだな……。



「次、マイト・ダイナに付き従った者たち。

 脱獄の手引きをし王宮を混乱の渦に巻き込み。

 そして侍女の誘拐の画策。

 そなたらは鉱山奴隷として二十年働いてもらう」



 スホルムの面々より長いのは国に仕えているくせに国に喧嘩売ったせいかな?

 まぁ、多分生きて出れないだろうな……。

 鉱山の管理者も国の人間だし、確実に睨まれることになるだろう。



「最後に暗殺依頼と荷を運んだ面々。

 暗殺依頼については重大な問題と見なす。

 それ故、鉱山奴隷十年。

 荷を運んだだけの者たちは鉱山奴隷五年とする」


「ちょっと待ってくれ!

 荷を運んだだけで五年は無いだろ!」



 あぁ、やっぱり。

 多分一番悪いことしてないと思っている奴らだな。



「そう言われてもなぁ。

 お前らが運んだのは市場の五倍増しの食糧という問題だらけの物なんだが?

 つまり、アンドリエ兄妹の犯罪に手を貸したことになる。

 なら、それなりに罪はあるぞ?」


「お、俺はスホルムに待っている娘がいるんだっ!

 頼むっ!

 あの娘に連絡だけでもさせてくれ!!」



 ……えっと?

 もしかして僕殺したかもよ?


 挙手をして話を聞いてみることとする。



「失礼、その娘とはどこで接点があったの?」

「接点って言うか、うちらの商会の窓口担当だよ」


「……殺した可能性が高いと思うけど?」

「はぁ?!」



 そこまで驚くもんかね?



「僕たちがスホルムで領主館と商会を制圧してます。

 商会については『捕まるか皆殺しか選べ!』と言ったら皆殺しを選ばれました。

 なので、遠慮なく殺し尽くしましたよ?

 生き延びているのはそこの二人のみ。

 それと、偶然その日お休みした方くらいですね」



 あ、ショック受けてる。



「もしよろしければ、明日一緒に首落として差し上げましょうか?

 その娘と同じ所に逝けますよ?」



 ……返答無しかい!



 チアゼム侯爵に視線を送ると肩を(すく)められてしまった。



「あ~、後は何か言うことあるか?

 特に無ければ裁判を終える」



 なんか締まりの悪い終わり方だったなぁ。

 ま、いっか。



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