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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
7:義兄救援
202/356

100

本日一回目の投稿です。

二回目は20時台を予定してます

◇◇◇◇


 僕とカルが飛び込んで取り合えず手前の数人を切り刻む。

 パッと見た限りプロブや元先生方はいないな。



「マーニ兄、入ってきて!

 奴らはいないみたい!!」


「分かった、後は任せろ!!」



 ここは【死神】が暴れるから生き残る敵はいないだろう。

 急ぎ、カルの案内に従いザイディの部屋に向かう。



「げぇっ、カルが来た!

 カルが来たぞぉ!!」


「何でだよ!

 暗殺者ギルドが何で来るんだ!」



 あれ?

 カルってそこまで怖がられてるの?



「カル、どんだけこいつらを脅かしたんだ?」


「いんや、単純に暗殺者と言う立場に怖がってるだけだろ。

 こんな優しい小父様が怖いだなんて、なぁ」



「だよなぁ、ルーシーの想いにいまだに返答できてないヘタレが、なぁ」


「グフッ!!」



 つまりギルドが怖いだけで、カルはそこまでって感じかな?



「まぁ、狼の皮を被るだけで相手が勝手に騙されてくれるならありがたいしな。

 怯えてくれている間に殺すか」


「本当に、暗殺者より暗殺者してるぞ?」



「プロからのお褒めのお言葉とは恐悦至極」


「ぜってぇ褒めてねぇ!」



 殺しながら軽口を叩き合っていると部屋に到着。

 声を潜めていると、中で騒ぐ声が聞こえる。

 内容はよく分からないが、話している一人はウィリアム元先生だろう。



 ならこのまま……制圧するか。



 扉に蹴りつけると、蝶番が緩くなっていたのか扉ごと吹っ飛んでいく。



「壊れていたのか?」


「お前の蹴りのせいだろ!」



 ツッコミありがとう、カル。



 さっさと部屋に入りざっと周囲を見渡す。

 ザイディ、ジャン元先生、ウィリアム元先生、プロブを発見!

 中にいた四名を次々に蹴り倒し気絶させていく。



 何と言うか、もう少し反撃して見て欲しい……。

 他の奴らの方がまだ殺る気あったぞ?



 四人とも縛っていくと、カルが呆れつつも文句交じりの発言をしてきた。



「……手加減してるんだな」


「しないと殺しちゃうしねぇ。

 それにこの後の都合上傷めつけ過ぎるのもちょっと……」


「ザイディは分かるんだが、他は?」



「……それはナイショ(ニチャア……)」




 ビ ク ッ !




 カル、そこまで怯えるなよ。

 大したことするわけじゃないし。



「いや、絶対お前ろくでもない事考えてるだろ?!」



「そのついでにザイディの処刑協力を取り付けるつもりだからねぇ」


「やっべぇ、こいつ……またやらかすのか?」



「そんなことはしないよ~♪」


「ぜってえ嘘だ!!」




 なんだよ、その訳の分からない謎の信頼感は?




「はいはい、そんなくだらない事言ってないで。

 縛り終わったから下の片付け手伝うよ?」


「マーニ様だけで終わるんじゃねえの?」


「勝つだけならね。

 さっさと終わらせるには協力した方が早いんでね」



「【死神】と【狂犬】が支え合うってどんだけ人外魔境な環境なんだよ?!」


「ただのジーピン領原産の兄弟ってだけだよ?」



「原産地がヤバいの?!

 元のタネがヤバいの?!」


「タネと畑?」



 だって、タネが【緊縛】で畑が【岩砕】だしね。

 ヤバいの作れて当然でしょ?



「ほら、おしゃべり終わらせて手伝いに行くよ!

 ルーシーに色恋沙汰で悲しませるとか?

 カリムやナットに仕事で呆れられたとか?

 そんなことなったら恥ずかしいでしょ?」


「それ言わんでくれ……」



 凹んだカルをひっぱって一階に向かうと死体の山……というか山脈?

 ナットの仕事が斃すより死体置き場を探すのに苦労しているようだ。



「ナット、大丈夫か?」


「あ、ニフェール様~!

 手伝って~!!

 マーニ様、お強いんだけどゴミ(死体)の処分の仕方が……」



 ああ、ちょっと楽しんじゃってるんだね。

 まきちらかしちゃってるんだ……。



「ちなみに、マーニ兄はどこ?」


「この辺りに動くモノが無くなっちゃたからちょっと部屋ごとに調査するって」



「ああ、他にいないのか調べてくれているのか。

 とりあえずナット、ゴミの片づけはもうやらないでいい。

 マーニ兄の部下にたっぷり働いてもらおう」



「やった~!!(喜)」




 ああ、よっぽど嫌だったんだね。




「いや、死体の片づけは善意でやったんだけど、量が多すぎて……」



 あ、そういうこと?

 仕事として割り振られたのかと思ったよ。



「お、ニフェール終わりか?」


「あ、マーニ兄お帰り。

 ラクナ殿とカリムもお疲れ様!」


「ふむ、久しぶりに動いた気がするぞ」



「明日筋肉痛で泣かないでくださいね?」


「大丈夫だ、年取ると痛みは明後日からだからな!」



 それ悲しみしかないんですけど……。



「まあいいや。

 で、この後ですが、メリッス殿に走ってもらいましょう。

 で、ここの調査と片付けをお願いしたい。

 もし詐欺師ギルドの側も終わらなそうなら……。

 最悪スホルム遠征部隊呼んで全て終わらせます」




 ……ねぇ、ラクナ殿。

 なぜそんなビビってるの?




「な、なぁ、ニフェール殿、今言った方々集めたらどうにかなるのか?」


「なるというか……。

 僕が知っている最強の文官部隊ってスホルムメンバーしか知らないんですよね。

 なら皆を集めてサッサと片付けたいです。

 あ、それともここ、僕たち遠征から帰って来たばかりだからなぁ。

 他の人がやってくれるのかな?」



 ラクナ殿も悩みまくった挙句――




「すまん、そこは判断付かん」




 ――この回答だった。


 まぁ、文官側判断とか騎士側に言っても無理ってのは分かってたけど。



「ナット、そこらに紙とペン無い?」


「どんなのでもよければあるよ?

 誰に書くの?」



「チアゼム侯爵メインで多分ジャーヴィン侯爵?

 ……もしかすると陛下たちも見るかもな。

 でも、すんごい紙が欲しいわけでは無い。

 現場の情報を手紙で送ってこの後判断してくれと言うだけだから」


「うぃ、ちょっと待っててね!」




 ラクナ殿、そんな呆れないで!


 味方のフリした敵(文官犯罪者組)だの罠(第八部隊)だのに慣れ親しみすぎたの!

 そのせいで心がギスギスしちゃっているだけなの!




「ニフェール様、お待たせ!」


「はい、ありがと。

 んじゃ、マーニ兄。

 こちらで手紙書いているうちにメリッス殿走らせて。

 詐欺師側から人の派遣と事態の確認をしてもらって」


「おぅ、で戻ってきたら王宮に手紙出すのか?」


「そうそう。

 お願いね!」




 さて、手紙の内容は――



 ・第五が手抜きしてたこと

 ・隊長・副隊長が邪魔、アパーム・ルーオンを代理で働かせていること。

 ・娼館は守られたこと。当人たちが頑張っていたこと。

 ・正門側の部隊に情報が届いていないので、気が緩んでいたこと。

  情報の確実なやり取りを求む。

 ・学園は一応守られた。

  学生たちに一時的に守らせてる。

  だが、ある程度落ち着いたのならさっさと返した方がいい事。

 ・第四・第六がうまく動けてなくて学園まで制圧できていない。

  団長さんも知ってるはず。

 ・生産ギルドで長の人質騒動あり。対処済み。

 ・詐欺師ギルドで長と部下殺される。犯人は強盗ギルド。

  長がギリ生きている間に情報聞いといた。

 ・強盗ギルド壊滅させた。

  長と傍にいた三名の確保完了。

  運ぶのに人手欲しい。

 ・文官率いて強盗ギルドの調査を望むならスホルムの面々連れてきて欲しい。

  特にサバラ殿、ベル兄様、ラーミルさん、ルーシー。

  可能ならクーロ殿も。

 ・別部隊にお願いするなら、僕たち遠征帰りで疲れたから休みたい!

 ・遠征の情報欲しいのなら明日以降にして欲しい。皆走り回って疲れた!



 ――こんなとこかな?



「ただいまっす!

 向こうと半々に分けてこちらに来てもらいましたっす!」


「お疲れ様です。

 向こうの状況は?」



「死体運びは終わりましたが、調査は正直……」


「文官関係者いないときついかな?」


「そうっすね、かなり苦労してるっす」



 ふむ、やっぱりそうですか。


 なら――



 ・詐欺師ギルド、強盗ギルド双方の調査要員の文官が欲しい!

  僕たちにやらすのなら先程書いた人たち希望!!

 ・現在死体運びで働いている人たちも本来遠征帰りの状態。

  なので、代わりの人アサイン出来たらお願い!!



 ――も追加かな。



「メリッス殿、次この手紙をチアゼム侯爵へ。

 どう判断するか分かりませんが……。

 ベストな場合、僕たち遠征組の代わりに誰か呼んでくれるかもしれません。

 最悪は……」


「……なんっすか?」


「スホルム遠征組文官派もノヴェール家のお二人。

 それに、僕の部下も呼び出して二つの犯罪者ギルドで大暴れします」




「ぴぃっ!!」




 そこまで怯えなくても……。




「という訳で、侯爵に渡してきてください。

 多分、どういう結果になっても道案内役を頼まれると思います。

 なので、こちらに連れてきてください」



「はいぃ!!」



 なんか、詐欺師ギルドに向かうときより速く走ってないか?

 そこまで何に怯えているのやら?



「お前以外に何がある?

 マジでビビってたぞあいつ」


「そんな怖いこと言ったわけじゃないんだけどなぁ。

 運が良ければこれでおしまいになると説明したはずなのに」


「運が悪かったらスホルムでアンドリエの商会でやったようなことやるんだろ?

 あれ見たから分かるが、確実にお前暴走するだろ?」



 暴走って……。



「単に面倒だから早く終わらせたいってだけだよ?」

「その時の表情がアゼル兄のあだ名を彷彿とさせるんだよ!」



 あぁ、【魔王】ね。

 だって、あのタイミングでヘラヘラするのは違うでしょ?



「真面目にやっているんだろうが、第三者から見ると恐ろしいんだと思うぞ?

 世界の半分貰っても関わりたくないんじゃないか?」



 いつメリッス殿は勇者になったのでしょう?



「まぁ、チアゼム侯爵がどう判断するかによるからなぁ。

 とりあえずは戦った者たちは休憩しましょう。

 こちらに来た騎士の方々、すいませんが死体運びをお願いします。

 それと、上に四人ほど捕獲しております。

 そいつらは監視だけしておいてください。

 逃げるどころか縄を外すこともできないでしょうけど」



 マーニ兄、またあの手の縛り方かとか言わない!

 動けなくするだけだよ?

 怪しい類の事はしてないよ?



 死体運びをぼんやりと見つつ体と心を休める。

 すると、どこからともなく馬車の音が……。



 って、スピード上げ過ぎじゃない?




 ギャギャギャッ!!




 ドリフト?


 馬車で?


 誰だよそんな無茶やらかすの!




「ニフェール!

 ご苦労だったな!」




 ブッ!!




 ちょっとジャーヴィン侯爵!!!


 なんで御者席から降りて来るんだよ!



 アンタ何してんの!

 馬車でドリフトしたのアンタか!



「……何驚いているんだ?」


「こんな狭いところに馬車でドリフトしでかすの見て驚かない方が変でしょ!」


「学園生が強盗ギルド壊滅させるほどの驚きはないはずだが……?」



 真顔で言わないで!



「確かに……」



 ラクナ殿、頷かないで!!



「で、なぜ侯爵が御者席に?」


「ん、ああ。

 大急ぎで来るのには誰かに頼むより早いからなぁ。

 って、アイツはどうした?」



 アイツって?

 まさかチアゼム侯爵?


 ヘロヘロになって馬車の中から倒れるように抜け出してきた。



「……オイ、アラーニ。

 ドンだけ無茶するんだお前は!!」


「急げって言ったのはお前だろ、ヘルベス!!」



 あぁ、チアゼム侯爵、顔青いですよ。

 酔っちゃったんですね。

 気持ちは分かります。



「あ゛~、ニフェールお疲れ様だったな。

 とりあえず、これ以上お前らに無茶させるつもりは無い。

 後は騎士、文官部隊を別に用意した。

 お前が送ってきた騎士に先導されてやってくるはずだ。

 なんで、今日はもう休んでいい」



「一応確認ですけど、遠征の情報は?」


「それも明日にする。

 今日はどう考えても異常と言う位に仕事してもらったからなぁ。

 これ以上させる気は無い」


「もう一つ。

 確認していない二ヵ所、第三の酒場街制圧と第七・第八の火災消火。

 こちらはどうなりました?」


「第三は第五のフォローもあり制圧完了。

 火災は第七に第四・第六が手伝って消火完了だ」



 第八をワザと言わなかったということは……チラッと見ると侯爵は頷いていた。


 あぁ……やっぱり働かなかったんだ……。



「すまんが、今日は全員王宮で体を休めてくれ。

 そして、明日から遠征・暴動の対応に全力を挙げてもらう。

 学園戻るのはもう少し掛かるが許して欲しい」



 そんな潤んだ眼差しで見ないでくださいよ、チアゼム侯爵。



「そうですね。

 明日もちょっと夜に外でなきゃいけないので、その時間頂けるのであれば……」


「……今日は王宮で、明日以降はチアゼム侯爵家。

 かつ明日は夕食前で仕事終了と言うのはどうだ?」


「それなら……(チラッ)」



 カルを見ると軽く頷く。

 娼館ギルドに向かうのは明日だな。



「それならOKです。

 では……っと別部隊も来られたようですね。

 なら、引き渡して僕たちは王宮に行きます。

 マーニ兄とラクナ殿は?」


「とりあえず詐欺師ギルドの引継ぎ。

 それと北西部の面倒見させていた部隊が終わっていれば王宮戻って解散かな。

 ラクナ殿も似たような感じじゃね?」


「そうだな。

 通り終わっているだろうし、副隊長と話して問題なければ終わりだな。

 十分大暴れしたし、儂も結構キツイ……」



 ジャーヴィン侯爵が軽く揶揄ってくるが……それは止めた方が。



「おいおいラクナ、そんなキツかったのか?」


「昨年一年間の切り捨てた人数をあっさり今日一日で越えた……」

「ハァ?!」



 ほらぁ……。



「強盗ギルドを潰すときに裏口担当してもらったんですよ。

 表口のマーニ兄に怯えて裏口に逃げた奴らが結構いたんじゃないかな?」


「ニフェールの言う通りですな。

 流石にアレに毎回付き合わされるのは勘弁してほしい……」



 その後、各自残作業を終わらせ、王宮に戻る。

 そこでもそれなりにドタバタはあったが、それは後日……。


 この後、書く書く詐欺化していた複数人デートを終わらせて七章終了となります。

 なお、色々途中すっ飛ばしますが、そこは八章で書きます。

 なんせ、この章は「義兄救援」。

 ベル兄様がハッピーエンドになって章を終えたいので。

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― 新着の感想 ―
投稿感謝です^^ >なんせ、この章は「義兄救援」。 現在「【連載版】狂犬の……」が202話で、うち「7:義兄救援」が今日でとうとう100話到達!? 壮大な救援劇になったっもんだ(^▽^;) サクサ…
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