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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
7:義兄救援
199/359

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本日二話目です。

次話は明日16時台投稿です


 第四・第六の駐屯地を後にして次はノヴェール家に向かう。

 特に邪魔もされずすぐに到着。

 サンドラさんを呼んでもらい、屋敷内で化粧を整えさせてもらう。



「そうですか、皆様無事でアンドリエ家と領主は捕えたと」


「ええ、後は王都で裁判をやって処刑して終わりかと。

 商会も完全に潰しましたし、次の一歩を踏み出すときかと思いますよ?」


「ですね……。

 やっとあの面倒な輩がちょっかい出してこないとなるとホッとします」



 なんだか「これでうちの坊ちゃんも……グフフ」とか笑い出して怖い……。


 いや、確かにアンドリエ側が勃たないと考え出す位だしねぇ。

 不安なのも理解してますけど……。


 そんなことを考えつつも化粧を終わらせる。

 カル達も……クッキー食ってるのは分かるが、口いっぱいに詰め込むな!

 特にナット!



「だって、美味しいんだもん!」

「うまいのは否定しないけど、そろそろ綺麗な食事の仕方を覚えてくれ……」



 頬袋の拡張機能でも持ってるんじゃねぇのか?

 課金したら入れられる量が増えるとか?



「大丈夫だよ、誤魔化すときにはちゃんと淑女化できるから!」

「そこはかとなく不安だ……」



 カリム、すまんがこれの面倒頼むぞ!



 満足したようで、第一・第二部隊のいる場所に向かう。

 推測だが、生産ギルドの本部に行けば誰かいるんじゃないかな?

 多分ラクナ殿だから大半は終わらせているだろうが……。



 カルの案内で生産ギルドの本部となる場所に向かう。

 ラクナ殿とマーニ兄が合流していた。

 ……ねぇ、二人とも渋い顔しているんだけど?



「お!

 ニフェールやっと来たか!」



「じゃ、帰るね!」



「待て待て待て!

 なぜ逃げる!」



 いや、逃げたくなるでしょ。

 騎士団で信用できる二人が渋い顔してるっていう時点でヤバいでしょ?

 面倒事が起こる予感しかしないんだよ?



「だって、滅茶苦茶嫌な予感するんだもの……。

 ラクナ殿とマーニ兄が二人して嫌そうな顔してるんだよ?

 誰が喜んで近寄りたがるの?」


「そこは兄が苦しんでいるのを助ける弟を期待したんだがなぁ……」


「弟に苦労させないカッコいい兄を期待するのはダメですか?」



「いや、正面から来る奴は全力で目立ってやるけどな。

 でも、今回ちょっと俺一人じゃ難しいんだよなぁ」




 へ?

 なんで?




「いや、無理だとは言いたくないんだが……生産ギルドの長が人質になってる。

 そして二階の窓から晒し者状態になってる」




 は ぁ ?




「んで、殺されたくなければ金を出せと俺たちに言っている」




 は あ ぁ ?




「ついでに、それ以外にも一階のギルド員たちを人質にしている。

 つまり、一人で突撃したらどっちかが血の海」




 は あ あ ぁ ? !




「え、冗談でしょ?」


「現実を見ろ、ただの事実だ。

 むしろ、こんな面倒事無ければさっさと殲滅するっての。

 お前だって想像つくだろ?」


「いや、まぁ、そりゃねぇ」



 うっわぁ、本当に面倒くさいことを……。



「で、カル達の手も借りたいんだ」


「だろうねぇ、騎士は皆そっちの方は苦手だろうし」



 マーニ兄も武器がアレだけに侵入とか救出とか得意とは言えないんだよねぇ。

 多分一人でどうにかしようと思ったのかもしれないけど……無理だろうしなぁ。


 僕でも一人じゃ……かなりキツイ。

 余程運が良くないと人質死なせてしまうな。



「ニフェール殿、本当に申し訳ないんだが……あの長を助けてやってくれんか?

 我々騎士では対応しきれるとは思えん。

 それに、中にいる人質を死なせたくは無いのだ」



 ラクナ殿も苦渋の選択と言った感じで頼んでくる。

 ……これでダメとは言えないなぁ。



「……情報ください。

 それとこの後マーニ兄と遠征に行った第二部隊の面々を借りたいです」


「情報は構わんが、借りる理由は?」




「この暴動を仕掛けた奴らを叩き潰したい」




 ラクナ殿の目を見て宣言する。

 すると、こちらが何やらかそうとしているのか何となく分かってくれたようだ。

 そして詳細は言いづらいことも。




「……人手は足りるか?」


「正直分かりません。

 とはいえ、人質とかは無いと思うんで、マーニ兄連れてけば何とかなる。

 後は一部は犯罪者捕獲、残りは死体処理ってくらいなので……」



 少し悩み、ラクナ殿は許可を出す。



「必要とあれば呼べ。

 儂だけなら手を貸しに行っても影響ないだろう?」




 ……本気?




「僕の面倒事にズッポシ関わってしまいますよ?」


「何を今さら、薬物関連・とあるギルド関連・ニフィ化・そして今回の件か?

 既にたっぷり沼ってるぞ?」



 まぁ、そうなんですけど。

 実際この後はとあるギルド関連のパワーアップキットって感じだし。



「こちらの指揮は?」


「副隊長にやらせるさ。

 人質を助けられたなら、後はあいつ一人でも十分対応できる」



 ふむ……。



「なら、初めっから皆で行っちゃいますか?

 個人的にはさっさと終わらせたいですし」


「ふむ……そうするか。

 どこに行くかは決まっているのか?」


「詐欺師ギルドと強盗ギルドですね。

 場所は……カル、教えて」



 カル、そんな呆れないでよ。



「詐欺師が北西、ここから近い。

 強盗は北東、そこまで遠くない、中央通りに近いところだ」


「なら、人質救出・詐欺師へ突撃・強盗壊滅の順かな」


「だな、ならさっさと済ませようぜ。

 どうせ、その後も仕事たっぷりだろ?」



 カル、フォローになってない……。

 いや、正しいけどさ。



「まぁ、この後の苦労はともかく、情報下さい。

 それと……提案ありがとう」


「まだ若いんだから気にするな」


「胃薬が離せない人たちだからなぁ」


「なら手加減はしてくれ。

 情報だが、まずは……」



 と言うことで、得た情報を整理すると……。


 まず商業ギルドは長が生きている。

 かつ中央通りから外れたところの店も守り通したこと。

 それが終わってラクナ殿と合流したところで今の事態になったこと。


 侵入者は四名、一名は二階に、三名は一階にいるらしい。

 裏口はあるけど下手に入ると人質殺されてしまうので動けなかったようだ。


 また、一階で騒動起きたら二階の人質を殺すそうだ。

 逆もまた然り。


 それ故、別の階にバレないように侵入者を処分、人質を救出が必須。



「……裏口側の二階って窓ありますかね?」


「空いているかどうかはともかく、あるとは思うが……」



 あ、カリム、感づいたのか?

 諦めろ、お前らにも協力してもらうからな?



「大体の見取り図ってあったり、もしくは書けたりします?」


「いや……」


「大体でよければ分かるぞ」



 ラクナ殿が否定しようとしたところ、カルが割り込んできた。

 なんで知って……もしかしてギルド関連で行き来があったのか?



「(サラサラ……)こんな感じだな」


「……裏口側二階窓から侵入、先行して一階潰してその後二階潰す。

 僕たちが逃げるときには裏口から逃げればいいかな。

 ここまで情報用意できるってことは、カルはあのギルドに知り合い結構いる?」


「そんな多くは無いが顔見知りはいるぞ?

 むしろカリムとナットの方が気安い知り合いは多そうだが」



 え゛?



「別にギルド間で喧嘩しているわけじゃねえんだから。

 知り合い作っちゃダメなんて言わねぇよ。

 同年代の知り合い増やしておけば、互いに上の立場になったときに楽だからな」



 ちゃんと考えているんだねぇ。

 ちょっとびっくりしたよ。



「ちなみに、ナットが一番伝手が多いな。

 と言っても各ギルドの若い女性陣がメインでたまに蠅が少々。

 次がカリム。

 若い男どもと一部女性陣がメイン」


「ん~、いいんじゃない?

 一番騒ぎそうな子たちを安心させられるのならむしろありがたいし」



 恐怖に負けて騒ぐ可能性が減ると思うしね。



「ちなみに、ナットの蠅は関心持たれていない野郎どもって想像つくんだ。

 けど、カリムの一部女性陣って?」


「ナットから奪おうとするNTR信者と若いツバメが欲しい飢えた獣共」


「前者は『ナットが好きなのは分かってるんだけど、我慢できなくて……♡』?

 後者は『お姉さんが教えてア・ゲ・ル♡』』?

 まぁお姉さんどころかおばさんかもしれないけど」


「理解度高すぎて怖えよ!!」



 だって……ねぇ。



「前者はともかく、後者はねぇ……。

 僕やアムルが女装した時の二人の姉様方のお友達の事としか……」


「……なぁ、まともな知り合いいないのか?」


「僕の女装に堕ちたフェーリオとか?

 女装した僕に女性として宣戦布告するジル嬢とか?」


「……もういい、聞いた俺が馬鹿だった」




 虚しい勝利だった……。




「カリム、ナット。

 すまんが二人には侵入者の討伐と若人の面倒をお願いしたいんだけど」


「大丈夫ですよ」


「うん!

 生産ギルドは信者も獣もいないから……」



 ……ナットも気にしてるんだな。

 カリム、ちゃんと支えてやれよ?



 さて、簡単な打ち合わせを終えて潜入開始!



 遠回りして裏口に回り込んで二階を見ると、予想通り窓がある。

 調べてみると、結構簡単に開いてしまった。


 侵入し放題じゃねえか、ちゃんと鍵位かけろよ!



「なぁ、ニフェール様。

 まさかあの窓からか?」


「後どこに入れる場所がある?

 あそこまで僕が連れて行くから、安心して侵入してくれ」


「常識とか色々壊れてしまいそうだ」


「常識が間違ってただけじゃないか?

 よく言うじゃん、『筋肉は全てを解決する』ってね」


「絶対違うと思うぞ」



 上司と部下の小粋なトークを終わらせて、侵入開始。

 おんぶして二階の窓にへばり付き、窓開けて侵入してもらうのを繰り返す。



 全員二階に侵入完了して一言。



「本当に二階人いないのな」


「それな」


「まぁ、監視が緩いと考えるべきかもしれないけど。

 まずは一階だな」



 四人で一階に移動し、バレないようにこっそり覗き込む。

 受付に一人、両端に一人ずつの計三名。


 三名とも人質にナイフを当てて逆らえないように抑えている。

 侵入者全員男で人質全員女って……こいつら見目だけで選んだとか無いよな?


 受付の一人はすぐにでも制圧できる位置にいるけど、他二人がなぁ。


 僕が目立つようにどちらか倒そう。

 その間にカリムとナットで残りの一人を潰してもらうか。


 カルには一人目を殺した後に人質の面倒を見てもらおう。



 他三名に二階に上がる合図をして皆で作戦会議。

 カルと僕メインで策を練る。



「……と言う感じで進めたいんだけど、どうかな?」


「最初の一人は問題ない。

 残り二人だな……。

 片方ならニフェール様は確実に倒せるか?」


「左右どちらであっても一方なら倒せるよ。

 なんで、もう一方をカリムとナットに頼みたい」



 カリムたちは二人で相談した結果。



「左を俺たちが殺します。

 ただ、右を先行して殺して欲しいのと、目立って欲しいです」



 ……それってまさか?



「もしかして、僕が右を殺して意識が僕に向いたところを暗殺?」


「ええ、正直うまく目立たずに左を殺す手口が思いつかなかったので」


「あ~、そうか……。

 なら、右の殺し方を少し目立つ殺し方に変更するか。

 たとえば首筋の血管切るとか?」


「……血で汚れたニフェール様を連れ帰ったらラーミル様が悲しまれるかと」



 カリム、僕を説得する手段を着々と覚えてきてるなぁ。

 的確過ぎて何も文句言えないよ。



「なら……ナイフ持った右手を始めに、色々なところを握りつぶすとか。

 あぁ、声は控えめにしなきゃいけないから口塞いだうえでだけど」


「……それならこちらとしても大丈夫かと」



 手口を互いに確認し、再度一階へ。

 事態は変わらず、生産ギルドの者たちは怯えている。

 侵入者はニヤニヤ笑顔を見せているが、微妙に頬が引き攣っているな。



 まさか、ここからどう動くか考えてないのか?

 もしかして相手側も綱渡り?

 少しは考えて襲撃しろよ!!



 相手の行き当たりばったりな行動に呆れつつもこちらは予定通りに襲撃。



 受付にいる侵入者に近づき……。

 他二人の視線が受付側を向かないタイミングを狙って――




 ゴ キ ッ




 ――首をへし折る。


 そのまま受付の人質の口を右手で塞ぎ、左手で死体となった侵入者を支える。

 カルに視線を送ると頷き人質を受け取って小声で説明し始めた。



 死体を静かに横たえ、他二人の侵入者の様子を見る。

 どうも、こちらに気づいてないようだ。


 カリムとナットを見ると、左側の侵入者を狙う準備は出来ているようだ。


 チラッと右側の侵入者周辺を見ると、人質以外近くに人はいないようだ。

 壁を背にしているってことは後ろから襲われないようにしているのだろう。

 ……なら上からだな。



 ギリギリバレなそうな辺りまで近づこうとすると、都合よく壁役がいた。

 結構がっしりした男性が最前部にいるのを見つけてしまった。


 ……すまないが、イロイロ使わせてもらおうか。



 その場でジャンプして壁役の男性を土台代わりに使い二段ジャンプ!



 ガ タ ン !



「グギャ!」



 土台代わりにした壁役はその場に倒れる。

 左右二人の侵入者の視線が男性に向く。


 僕は空中から右側の侵入者の頭に手を伸ばし――



 ゴ キ ッ

 バ キ ッ



 ――首と、続けて右肩をへし折る。



「お、おま――」



 ブ ス ッ !

 ザ ク ッ !



 左側の侵入者をカリムとナットが処分し、一階の安全が確保された。



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― 新着の感想 ―
投稿感謝です^^ ふと気づいたんですが、胃薬常用組ってこの境遇を胃薬だけで乗り切れている時点でとてもタフ&有能? ジーピン家に慣れちゃうと「常識」の再学習に手間取りそう? だから領主にして視界から…
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