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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
7:義兄救援
176/360

74

 急ぎ騎士のうち上位者 (うち一人はペスメー殿だった)と顔を合わせる。

 話の流れを説明。待機部屋に連れて行って一人ずつ牢屋に連れて行った。


 その時にやり取りは十分まで。

 それが終わった時点で領主館でのやり取りは終了となること。

 これを確約させた。


 後は任せていいと判断し打ち合わせのために執務室に向かう。

 そうすると、なぜかうちの部下四名にノヴェール家が集合していた。


 ……この場でトップ級会談?



「あぁ、そちらが農家側のために動いている間に商会側も幾つかあってな。

 その相談だ。

 だが、まず農家側の状況説明を頼む。

 この面々の中だけでも共有しておきたい」



 まぁ、サクサクと説明すると、うちの四人とラーミルさんは全く動じてない。

 ルーシーの推測を聞いていたのかな?

 ベル兄様は驚き呆れてはいるが、それだけじゃなさそうだなぁ。



「その手段パクろうかなぁ……」

「……ベル兄様、どんなシーンで使う予定なの?」


「うちの部署の休み時間を考慮せずに無茶ぶりしてくる輩がいるんだ。

 で、事前に同じように軽食作っておく。

 こちらが休みなく働いているんだぞアピールして追い払おうかなって……。

 というか、うちの部下たちもそいつに手を焼いていて対処に悩んでいたんだ」



 ベル兄様をちょっと哀れには思ったけど、そのままじゃ使えないかなぁ。



「むしろ『仕事しているなら依頼してもいいよね?』とか言ってきそう。

 相手が嫌がらせを目的にしているのなら無意味じゃないかな?」

「あぁ……そういう可能性もあるのか……」


「別部署なら……そうだな。

『うちの部署はこの時間仕事受付しません!』と明言して追い払う?

 それと、相手側部署。もしくはその上の部署に文句言うとか?」

「やはりその辺りが限界か……」



 本気でしょんぼりしているのを見ると文官内部も面倒だとしか思えない。

 部署同士のルールでも決めないとダメっぽいなぁ。


 その後、マーニ兄が別商会強襲組の状況を説明してくれた。

 それなりに騒ぎになった様だ。



「まだ乗っ取りが軽微な店は問題なく対象の人物を引き渡してもらえた。

 また、その一部協力者をクビにしていた。

 だが、かなり乗っ取りが進んでいた店は上手くいかない。

 うちの商会員を持っていく気かと騒ぎ出してな」


「え?

 この場合の『うちの商会員』って乗っ取り担当とその仲間たちの事?

 裏切り者を持っていかれるのが嫌だって言ってるの?」




 嘘でしょ?




「嘘だと思うだろ?

 あそこの商会長、本気で言ってるんだよ。

 正直見てて怖くなっちまった。

 とりあえず犯罪者であることから捕縛は必要と説明して連れてきたけど……」


「自分の商会が乗っ取られる寸前であることを理解してないという訳かな?

 それとも既に人が回らず、乗っ取り担当がいないと商会が潰れる?」



 どっちにしても店は潰れるのは確定っぽいなぁ。

 けど、これ理解させるのとても難しい。



「この商会長は今どうしているの?」

「流石にここには連れてきてないぞ?

 自分の商会で泣いてるんじゃねえのかな?」



 ……放置したいけど暴動のきっかけになられても困る。

 説明要員として行ってくるしかないかな。



「……後で商会に行ってみるよ。

 誰か道案内用意してくれるかな?」

「あぁ、それは問題ない。

 すまんな……」


「いや、僕もこんなの想像してなかったよ。

 代わりと言ってはなんだけどさ。

 サバラ殿と一緒に農家側で軽微な人たちの対応お願いしていい?」


「あぁ、こちらは処理しておく。

 こいつらは今日中に賠償を決めておくんだろ?

 裁判は説明に終始する予定でいいんだよな?」


「うん、既に農家側でズブズブだった人たちとの賠償関連の整理は終わってる。

 だから、同じようにやってもらえればOK」

「分かった、こっちはやっておく」



 後は午前中の文官組報告位か?



「サバラ殿、午前中の状況で特に何かありました?」

「特に無いですね。

 王都での事前調査の裏取りができたくらいで、新しい情報はありませんでした。

 まぁ、王都で見つかった情報だけで十分処刑確実なんですけどね」



 なら、あと残っているのは?

 裁判告知・農家側の賠償調整・乗っ取られかけている商会の説得か。

 それと第八部隊の監視とティッキィとの調整くらいかな。



「サバラ殿、この調子なら明日朝から裁判で大丈夫ですかね?」

「大丈夫ですよ。

 むしろさっさと終わらせて問題児たちを王都に連れてった方がいい」


「確かに……なら、住民への周知の方をお願いできますか?

 この街の衛兵たち使えば周知は十分可能でしょうし」

「ええ、明日朝からと周知しておきます」



 これで、大体方向性は決まったかな?



「では、残りさっさと終わらせますか」

「だな、そういや、カル達連れて行くか?」


「……ついでだからもう一つの仕事も調整しておくかな」

「……だな、そっちもついでに行ってこい。

 四人まとめて……だとちょっとまずいか」


「そうだね、カルとルーシーを連れて行って、カリムとナットをノヴェール家の護衛としておこうか。

 二人とも頼むよ?」


「お任せください」

「まっかせて~!」



 ナット、もう少しカリムのように……って無理か?



「カル、ルーシー、一緒に来てくれ」

「分かったわ」

「ああ、ルーシーの護衛のスタンスでいいんだな?」

「それでいい、ちょっと脅すだけだしね」



 それに、二人の出番はそこじゃ無いし。

 というか、カル、気づいてないの?

 まぁ、いいけど。



 各自解散してそれぞれの仕事をこなす。

 と言うことで、騎士の案内で訳の分からないこと言っていた商会を尋ねる。


「すいませ~ん!」

「……なんだ、今日はもう店じまいだ。

 すまんが後日来てくれ」



 なんか、死にかけてるようにしか見えないけど……。

 こいつが商会長か?



「午前中に騎士が数名こちらに来たと思いますが?」

「っ!

 まさか、おめぇその関係者か!!」

「ええ、そうです。

 騎士ではなく、文官側としてきました」



 商会長は僕の発言を聞き、ブチ切れて襟を掴み持ち上げようとする。

 ……とはいえ、この程度の力で僕に勝てるはずもなく……。



「グッ、フンッ!

 なんだ、こいつ持ちあがらねぇ!」



 いや、コツがあるだけなんだけど。

 ぶっちゃけ商会長が下手なだけなんだよなぁ。


 僕の方で商会長のズボンのベルト部分を掴み、左手のみで持ち上げる。



「わっ、ちょっ、お前!」

「会話するつもりがあるのならおろしますよ?

 する気が無いのなら振り回しますけど?

 壁や地面とイチャイチャしたいです?」



 そう言って軽く(・・)振り回してあげる。

 そうすると顔を青くしてと叫び出した。



「分かった、分かったからやめてくれ!」



 ……カル、ルーシー、あんまりそんな目で見ないでほしいな。



「さて、午前中にこちらにお邪魔した騎士から聞いた話です。

 こちらの商会では捕らえられた者たちを連れて行くなと騒いだと聞いております。

 その理由をご説明頂いてもよろしいですか?」



 こちらが問うと、全力でぶちまけて来た。

「そこまで言うのか?」と言いたくなるくらい暴走してやがる。


「うちの商会員を犯罪者呼ばわりしてどうしてこっちが怒らないと思うんだ!

 あの子達は俺を慕って来てくれた――」


「あ、ちょっと待って。

 これ見てください」


「……なんだよ、これ?」



 途中で無理矢理止めて、とある書類を見せる。

 商会長もグジグジ言いながらも書類を見はじめると……またブチ切れ始めた。

 ……一応言っとくが、書類を破るようなことするなよ?



「な、何だよこの書類は!

 アンドリエ商会の書類じゃねぇのか?

 こんなもん見せるなんて何考えてるんだ、お前は?!」


「……え?

 もしかして中身ちゃんと見てないんです?

 確かにアンドリエ商会の書類ですけど、その内容をちゃんと見てくださいよ」


「馬鹿かお前は!

 他商会の書類見るなんて礼儀に反するだろうが!」


「もう商会じゃないですよ?」

「へ?」



 なんでちゃんと見ないかなぁ。

 わざわざ見せた理由もそれ見れば分かるのに。



「あの商会は犯罪やらかしました。

 んで、捕縛され王都に連れて行かれることが決まっております。

 そして、捕縛後の調査時に見つかった情報がそいつです。

 内容はあなたの商会に潜り込ませた乗っ取り担当者からの書類です」



 口をポカ~ンと開けてないで、サッサと書類読んでくれよ。

 まさか書類を読んでくれとは言わないよな?



「その情報からここの商会員の大半があなたを裏切っていたこと。

 アンドリエ商会の為に働いていたことが判明しましたので、捕縛となりました。

 こちらに来ていた騎士が言いませんでしたか?

『アンドリエ商会の犯罪に関わる者を捕縛しに来た』って?」


「あ、あぁ、いや、確かに言ってはいたが……」



 言われたのに信じなかったってこと?



「騎士たちがやろうとしていたのは犯罪者の捕縛です。

 それを邪魔するのは犯罪の幇助として扱われます。

 あなたがやりたかったのはアンドリエ商会の犯罪を手助けですか?」


「い、いや、そんなつもりは……」


「それなのになぜ騎士の邪魔を?」

「いや、だって、アイツらが犯罪だなんて……」



 その謎の信頼はどこから来るんだ?



「一応確認です。

 今回捕縛された者たちはどういうルートでこの商会に来たのですか?」

「あ、ああ、捕縛された者の一人が他の奴らを雇った形だ。

 ちゃんと仕事してくれたから大丈夫だと思ったんだが……」


「その他を雇った人物はどうやって?」


「とある嬢ちゃんから頼まれてな……。

 仕事あぶれて困っているみたいで助けてやれないかと言われた。

 自分の所で雇えないのかと聞いたんだが……。

 いっぱいいっぱいだから難しいと言ってたな。

 我儘聞いてくれたら少し仕事回すと言われて協力したよ」



 ……それってまさか?



「その嬢ちゃんはもしかして、カロリナ・アンドリエ?」

「お、よく分かってんじゃねぇか。

 気前よく仕事ももらえてありがてぇってもんだ!」



 ……この商会長本気でダメすぎじゃね?



「つまりまとめると、アンドリエ商会から頼まれた人物を雇った。

 そいつが雇った部下たちも引き入れてきた。

 結果として商会の大半の人物はアンドリエ商会の手先と入れ替わった?」

「あ……」



 おいおい……。


「もしかして、あっちの手先共が元々の部下より役に立った?

 今まであなたについてきてくれた奴らを切ったりしてない?

 そしてそんなことしたから昔からいた人たちサッサといなくなったとか?」

「……(プィッ)」



 やってるんだ……。



「その結果、乗っ取られ寸前だった。

 そこを僕たちがアンドリエ商会を捕縛しに来たことで運良く生き延びた。

 でも、乗っ取りに来た奴らの仕事っぷりが良すぎ。

 なので、そいつらが捕縛されたらまともに仕事できる奴がいない。

 結果、この商会は壊滅的打撃を受けて潰れるしかないと言った感じかな?

 乗っ取られようと乗っ取られなかろうと、どっちにしてもダメじゃん!」


 アンドリエ商会の乗っ取り+自業自得=壊滅ってことか。

 文官科の算術より簡単な公式だな。



「……な、なぁ、あんた文官としてここに来たんだろ?

 なら助けてくれよ!」


「いや、無理だし。

 自分でも分かってるんでしょ?

 アンドリエ商会側の乗っ取り計画に全く気付かなかったんだから潰れて当然。

 むしろ僕たちが捕縛した結果、乗っ取ろうとする奴らはいなくなったんでしょ?

 なら、後は今までの商売を残ったメンバーで継続していくだけじゃないの?」



「そんなの無理だ!!」



 え、何バカなこと言ってんの?



「無理ってなにが?」

「人がいない、商売相手がいない、売るものが無い。

 どうしろって言うんだよ!」


「人については自業自得でしょ?

 商売相手がいないって、普段どことやりとりしてたんですか?」

「……アンドリエ商会」



 はぁ?



「え、なに、もしかして自発的に商会の僕になってたの?」


「い、いや、そうじゃない。

 だがさっきも言ったがカロリナ嬢の頼みを聞いたことで仕事を回してもらった。

 そしてそれで食っていけたんで……」


「新しい顧客を探すのを止めたと?

 そんなの自業自得じゃないの?

 商人が客探すの止めるって自殺と何が違うの?」

「……」


「それに売るものが無いって何です?

 なら今まで何を売ってたんですか?」


「……あっちがかき集めている食糧をウチに卸してくれてそれを売っていた」


「はぁ?

 なら直接農家から買えばいいじゃないですか!

 当然国で定めた額でね」



 あ、黙っちゃった。

 まさかこいつ、アンドリエ商会のやり口を理解した上で協力してた?

 正直、さっさと牢屋にぶち込みたいんだけど?

 放置しても潰れるだけだからどっちでもいいなぁ……。



「ねぇ、アンドリエ商会とズブズブな関係。

 かつほぼ乗っ取られかけ。

 それに加え商売相手も売るものも無い。

 商会潰した方が早くない?」



「い、嫌だ!

 ここは俺の商会だ!」



「でも、売るものないんでしょ?

 商売相手もいないんでしょ?

 というか、あそことズブズブだったところと商売したい人っていないでしょ?

 商会も領主も消え失せるんだから」

「え゛?」



 なんか驚いているようだけど、なぜ驚く?



「さっき、騎士が言ってたの説明したでしょ?

 何を今さら……」

「いや、領主の事は言ってねぇよ!」


「え?

 商会捕まえといて領主放置なんてありえないでしょ?

 あれだけズブズブの関係なのに!

 あなただって、感づいていたんじゃないの?

 だから領主の事を言ったら反応した。

 領主さえいれば自分は庇護されると思っていたってところかな?」



 ビ ク ッ ! !



 あ~あ、イイ反応しちゃって。


「どうも単純な被害者ではなさそうですね。

 加害者側の方としても調べる必要があるみたいだ。

 捕縛しますので、大人しくしてくださいね」

「ふ、ふざけるな!」



 僕の襟を掴み右手で顔を殴りかかる商会長。

 少しだけ首を縮め、位置調整して……。



 バ キ ッ !



「ぐああぁぁ!」



 なお、「バキッ!」の音は僕の顔に相手の拳をぶつけさせた音。

 正確には頬骨の部分だね。


 叫び声は商会長の声。

 自分で殴って自分で痛がっているんだから、世話ないよね。



「さて」



 ちょっと殺気垂れ流してみるかな♪

 想定通り、ガクガクブルブル震えているが、判断が遅すぎるな。


 ……連れて来た騎士の方、なぜあなたも怯えている?

 ちゃんと仕事してくださいよ。



「王都より来た文官を殴って無罪になるとは思いませんよね?

 捕縛し、話を聞かせて頂きます」

「あ……あぁ……あああああぁぁ!!!」



 現状を理解してしまったのかな?

 それとも殴り倒して逃げ出せばどうにかなると思ったのかな?

 どちらか知らないけど、叫びながら僕に突撃してきた。


 なんか、後ろから「あ~あ、死んだわアイツ」とか聞こえてくる。

 カル、勝手に殺さないでやってくれ。



「さて、商会長さん?」



 全然痛くないけど頑張って殴ってくる相手に一言。



「歯ぁ食い縛れぇ!!」




 ばっちぃぃん!




 同時にビンタ一発喰らわすと……




 ド ゴ ッ !




 壁に穴が開いた……というか、商会長の頭が壁に入り込んだ。



「もろい壁だなぁ」 

「いや、壁に穴開けるほどの威力で引っ叩くなよ!」


「いや、かなり軽く……」

「軽くて壁に穴が開くはずがないだろうが!」


「……なぁ、カル?」

「な、なんだよ?」



 真面目な顔をして一言宣言する。




「うちの家族を実力を思い出したうえで、もう一度言ってみろ?」

「……すまん、アンタらなら軽くても壁に穴開けそうだ」




 分かればよろしい。



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投稿感謝です^^ >王都より来た文官を殴って無罪になるとは思いませんよね? 「王命で」を言わなかったのは商会長を逆上させるため? >壁に穴が開いた……というか、商会長の頭が壁に入り込んだ。 字面だ…
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