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前半イチャイチャ回が入ります
◇◇◇◇
家庭内打ち合わせも終わり、皆部屋に戻る所でラーミルさんに呼び止められる。
え、何だろう?
「その、ちょっとお越しいただけませんか?」
「は、はい」
……え、なんだろう?
先日のおっきくなっちゃったときの再現でも?
妄想まみれな頭でついて行く。
そうすると、ラーミルさんに割り当てられている部屋に呼ばれることとなった。
……え、僕、食べられちゃう?
気持ち的にはとても嬉しいけど自分が暴走しそうで怖いんだけど!
「その……商会で仕事するちょっと前にご褒美のおねだりされたの覚えてらっしゃいます?」
「ええ、キスした時の奴ですね、覚えてますよ♡」
「それで……お義母様の指示に反しない程度でご褒美を差し上げたいのです……」
「是非ッ!」
全力で返答したら驚かれたのと同時に……なぜでしょう。
ラーミルさんの後ろにとある女性たちの幻影が見える……。
具体的に言うとカールラ姉様とロッティ姉様がサムズアップしている。
となると、エロいことですね!
あの二人の幻影が見えて何もないはずがない!!
「で、そちらの椅子に座って、目をつぶって頂けますか?」
ここですね。
指示された通り大人しく座り、目を閉じる。
ごそごそ
プチン
何か音が聞こえる。
その音で推測するには僕の経験が足らなすぎる。
何だろう……。
ドキドキしながら待っていると……。
僕の膝……というか太腿の上に座り、って、ちょっと待て!
太腿の感触から、多分対面している状態なのだろう。
となると、マーニ兄が珍しく勉強してた本に書いてあった【対面座位】って奴?
ラーミルさん、それ以上は!
【サクランボ】が消えてしまう!
母上から制裁対象になっちゃうって!
「ニフェールさん、始め……ますね♡」
パ フ ッ !
え?
パ フ ッ !
ええ?
パ フ パ フ ッ !
ええぇぇ!!
ちょ、ちょっと待って、これって……。
父上が隠していた本に絵入りで書いてあった技では?
確かその本では暗い部屋で女装した男性に顔を胸で挟まれると絵入りで書いてあったが。
まさかラーミルさんがやってるの?
ってことは今顔挟んでいるのは……ラーミルさんの巨乳?
え、ちょっと待って、いや、もっとやって欲しいけど!
興奮しすぎて頭が回らない。
いや、幸せ過ぎて怖い位なんだけど!
ナニコレ!
ナニコレ!!
こんな夢みたいなことあっていいの?!
色々頭の中で驚きと興奮の単語がフル稼働する。
同時に、触れる肌のしっとりした柔らかさとかに心が浸食されていって……
……キュウ。
◇◇◇◇
ロッティから教えてもらい。先ほどからやっている「乳挟み」。
またの名を「パフパフ」をしていると……。
なんだかニフェールさんから反応が無くなってきているんですけど?
先ほどまで大慌てとしか言いようのない手の動きをしてました。
なので個人的には安心していたのですが……。
あぁ、安心って女性として見てもらえるってことです。
どうしてもニフェールさんとは少々年齢差がありまして……。
やはり女としてはちゃんと見てもらいたいというのがありましたし。
それはともかく、どうしたんでしょう?
胸で挟むのを止めて様子を見てみると……。
ニフェールさんの表情が緩み切った上に白目向いてるし!
ちょ、ちょっと待って、いや、顔緩んでるのは嬉しいけど!
叫んで助けを呼ぼうかと思いましたが……。
実際に叫ぶとうちの愚兄やマーニさん、そしてカル達が一斉に入ってきますよね?
そこにいるのは私の胸の谷間で気絶しているニフェールさん。
ちなみに、上半身裸とかじゃないですよ?
胸元のボタンを外し挟んだだけです
なので、仮にニフェールさんが目を開けても谷間しか見えません。
乳首は見えないように気を付けたのですが……。
まぁ、おまけで乳輪が見えるかもしれませんが、そこはちょっとサービスということで。
ニフェールさんなら……見られても♡
それはともかく、その状態で見つかったら不味すぎます。
確実に笑われ、呆れられ、後で克明にあれやこれやを問われることになります!
流石に恥ずかしいのと、命に別状はないはずなので、服を元に戻して起きるのを待ちますか。
……パフパフって殺人技とか拷問とかじゃないですよね?
あれ?
今までニフェールさんが気絶するなんて……見た記憶ないのですけど。
もしかしてパフパフ最強説浮上?
◇◇◇◇
…… は っ !
どうした!
何が起こった!
僕が気絶するなんて……何が?
周囲を確認しようとすると、ラーミルさんが抱きしめてきた。
僕の頭をかき抱くように……胸を押し付けるように……って、ああ!
そうだ、ラーミルさんの胸で顔を挟まれて、頭の中が暴走して……気絶したのか。
……ええ感触だった。
……できれば見たかった。
「ニフェールさん、ごめんなさい……」
え、ラーミルさん、なぜ謝るの?
「えっと、大丈夫ですよ?
嬉しすぎて興奮して、頭の中で処理しきれなくなって気絶したみたいです。
なので、謝罪は不要です。
それと……」
「それと?」
「とても幸せな時間でした♡」
ボ フ ッ !
ラーミルさん、顔真っ赤になってますよ?
いや、狙い通りではあるんですけど。
その後、お別れ (と称してたっぷりねっとりキス)して自室に戻った。
イカン、興奮して眠れない……。
さて、悶々とした朝。
目覚めは……精神的には徹夜明けのテンション。
肉体的には微妙に疲れが取れてない状態であまり本調子とは言えないな。
「ニフェール、大丈夫か?
寝てないのか?
まさかラーミル嬢と……」
「マーニ兄、母上に殴られたくないからそういう冗談止めて!
冗談抜きで物が二重に見えちゃうから!」
ちょっかい出してくるマーニ兄を念の為制しておく。
マーニ兄だって、何度も殴られて二重に見えた経験あるでしょ?
あれ……ルーシー?
ナットもか?
なんで顔赤いんだ?
……確か、部屋配置は……ルーシー、ラーミルさん、ナットの順だったか?
……もしかしてパフられたの感づいた?
ジッと二人を見ると、顔真っ赤にしてそっぽを向く。
……これは感づくどころか妄想追加させてない?
ちょっとラーミルさん経由で黙っとくように伝えるか。
最悪、男性陣に教えなければ女性陣内で共有可としておこう。
さて、本日は農家側への説明。
大人しくしてくれればいいけど……無理だろうなぁ。
「ニフェール、あまり無理するなよ?」
「そこまで心配されるほど僕の顔酷いの?」
「いや、顔の方は少し寝不足気味に見えただけだ。
けど、今回の説得は簡単にはいかなそうだからな」
「それは覚悟の上だよ。
むしろ、別の方が気になるし……」
「あぁ、そっちもあるか」
「とはいえ、泣き入れてられないんで、どうにかするよ」
「……分かった」
心配かけちゃったなぁ。
マーニ兄に安心してもらえるように頑張りますか。
衛兵から一人派遣され、第八部隊八名とマーニ兄配下二名。
そしてカル、カリム、僕の合計十四名で畑の方に赴く。
「衛兵さん、基本的には農家の皆さんを集めるのをお願いします。
説明は不要、王都から来た騎士が農家の方を集めているとだけ伝えてください。
その後の説明は僕がやりますので」
「は、はい、それは構わないのですが、大丈夫なのでしょうか?
犯罪者扱いする時点で彼らは暴れ出すと思いますけど」
「そこはこちらでどうにかします。
そして、暴れられてもあなたの失点とはしませんのでご心配なく」
それを聞いて少し安心したのか、ひとっ走り農家の皆を集めて来る。
こちらの側の人を集めるまでの間に各自に指示を出す。
「騎士の皆さんは集まったら彼らを包囲してください。
とはいえ、武器で脅すとかは不要です。
それと、必要とあらば殺気ぶちまけますんで、覚悟決めておいてください」
第八の面々も包囲の説明ではチョロそうな顔していた。
だが、殺気ぶちまけると宣言したところで顔真っ青になっている。
「な、なぁ、冗談だろ?」
「どこに冗談の要素が?
農家の皆さんは自分たちが犯罪者だと思ってません。
清廉潔白とも思っているでしょう」
商会のろくでもない行動を知らなければ、確実にそう思うでしょうね。
「そんな方々が犯罪者であると言われたら騒ぎ、暴れ、最悪殺しに来る。
特に、一部の商会とズブズブな奴らは、これを幸いと僕らを殺すでしょうね。
ただ、できることなら罪を知った上で償う行動をして欲しいと思う。
それにはまず、会話を成立させなければならない」
そこは理解できるようで頷くが、じゃあどうするか?
「単純に話すだけだと絶対に反抗する。
ただでさえ、僕は若すぎますからねぇ。
なら、こちらが絶対勝てない相手であると理解させる必要があります」
「それが殺気って訳か」
カル、正解。
「ええ、ここにいる者たちは僕の殺気を浴びたことがあります。
動けなくなったり、怯えたり、気絶したりと色々あったでしょ?
それを農家の面々にぶちまけることで理解させます。
逆らったら……”死”だと」
騎士たち、そこまで顔青くしなくていいから。
そろそろ慣れてくれないかい?
昨日だって二度ほど感じたでしょ?
そうこうしているうちにこの辺りの農家の皆さんが集まってきた。
「お待たせしました。
これでこの辺りは全員です」
「ありがとうございます。
皆さん、お集まりいただきありがとうございます。
国王陛下より命を受けこの地に参りましたニフェール・ジーピンと申します」
ざわつく農家の皆さん。
予想通り、「国王陛下より命を受け」なんて言葉を聞いたら真面目に聞く気になった様だ。
「で、集めた理由を説明する前に。
皆様ご家族ごとに分かれて頂き、家長の方を先頭に据えて頂きたいのです。
そして、皆様の家長の方のお名前をお教えください。
その方が説明しやすいので、ご協力いただけますか?」
困惑しつつも皆さん従ってくれる。
これで、僕のすぐ前は家長。
一番殺気ぶつけやすい位置に連れてこれた。
これで少しでも被害が減らせればいいんだけど……。
各々の名も確認し、商会のリストにほぼ全員名前があることを確認。
……この辺りで商会に関わらなかったの一家族だけかよ!
他、金払って終わりなのが四家族、ズブズブが一家族か。
「はい、ご協力ありがとうございます。
さて、皆さん。
我々が王都から来た理由なのですが、大きく二つの理由があります」
なんか緊張感が高まったように感じるが?
自分たちの行動がまずい事理解してんじゃね、これ。
「一つはアンドリエ商会が国の法に反して作物の値段を勝手に弄る。
かつその作物を王都の貴族に膨大な額で売りさばく。
そして貴族側に部下を潜り込ませてバレないようにしていたこと」
ザ ワ ザ ワ ッ ! !
想像通りではあるけど、とてもざわつき始めた。
「もう一つは領主が商会のやっていることを黙認。
それどころか国にバレないように全力で協力していたこと。
この二点の為に昨日領主と商会を捕らえました」
……いや、領主のことでざわつかないんかい!
そこまでダイナ家は関心持たれてないのか?
哀れに思えて来た……。
「そして商会側の書類を調査しました。
その結果、商会は皆さんを巻き添えにしたことが発覚しました。
それぞれ額は違いますが、法に決められている以上の報酬を受け取ってます。
国として、法に基づき報酬の返還を求めます」
「ふっざけんなぁ!
そんなこと受け入れられるはずないだろ!」
やっぱり騒ぎ出すんですね、え~っと、ロキシさんですか。
商会とズブズブな農家ですね。
「受け入れるかどうかではなく、大人しく刑に服するかどうかです。
ちなみにロキシさん、あなたはもっとひどいことになりますよ?」
「はぁ?
もっとひどいってなんだよ!」
「アンドリエ商会とズブズブの関係だったようですね。
なので、ただの報酬の返還だけでは済まされません」
「済まされないってなんだよ!」
「家長であるロキシさんは王都で裁判を受けることになります。
その結果、鉱山奴隷として数年。
もしかすると十数年働くことになるかもしれません」
事実を説明すると、唖然とした表情を見せる。
ついでに、事情を追加説明するか。
「ちなみに、アンドリエ商会は昨日商会長の兄妹を除き、皆処罰しました」
「……え?」
「当然じゃないですか。
商会とは名ばかりの犯罪者集団を生かしておく理由はどこに?
今商会に行ったら死体を見つけられますよ。
もしかすると蠅がたかって物凄いことになっているかもしれませんがね」
……この程度で恐怖に怯えるのなら反抗しなきゃいいのに。
「ちなみに、今回陛下から犯罪者共が反抗的な行動を取った場合、殺すことを許可受けております。
当然、あなた方も法に違反しているのですから対象となりますよ?
ただし、大人しく刑に服するのであれば殺すことはしません。
さて、どうされます?」
ブ ワ ッ !
王都で騎士たちと初顔合わせでやったように強度:弱で殺気をバラまく。
……って、ロキシ!
お前が最初に倒れてどうする!
他の農家の面々や、その家族は辛そうだけど意識保ってるのに……。
殺気を抑え話を進めていく。
「ここに集まられた方々ですと……。
無罪が一家族。
金銭で解決するのが四家族。
最後に金銭に加えて家長が鉱山行きとなるのがこちらのロキシさん一家。
なお、金銭についてはそちらの状況により物納という手もあります。
また、支払う期間を延ばす形で一度に支払う額を減らすことも相談に乗ります」
驚きの表情でこちらを見る皆さん。
なんだよ、そんなに僕たち極悪非道な行動取るとでも思われたのかな?
「ただし、この優しさはちゃんと支払うことが大前提です。
皆さんが逃走したり反抗したりするのなら、商会の者と同じ未来が待ってます」
全力で首を縦に振る農家の皆さん。
理解が早くて何よりです。
「で、予定通りなら明日、この街で済ませられる範囲の裁判を行います。
時間等は後ほど改めて衛兵の皆さんから周知されます。
それまでの間、家長の皆さんは領主館の牢屋に入って頂きます。
大半の方は一日だけですし、無罪の方には関係ないんですけどね。
そこで支払える金額もしくは物納を調整して、明日の裁判で周知して終了となります」
四家族は無茶な話ではないことが分かり、ホッとしたようだ。
「なお、ロキシさん一家の方はどなたかもう一人一緒にお越し頂けますか?
ご当人は王都経由で鉱山行きになります。
なので、こちらに残る方が金額調整する必要があります」
「金額調整のために行くものは牢屋には?」
「特に入らなくて結構です。
まぁ、ロキシさんとのお話をしたいと言う希望がありましたらご連絡ください。
他の方々との調整中に牢屋でお話しして頂くこと調整します」
「わかりました。
長男が向かいますので、一緒に連れて行ってください」
「かしこまりました。
では、騎士の皆さん、半数はこちらの家長さんたちを連れて領主館へ。
ロキシさんの長男さんは客間に、他は全員牢屋へお願いします。
連れて行ったら街の反対側の方に来てください。
残りの半分は僕と一緒に反対側で残りの農家への説明に向かいます」
予想より騒がれないで済んだことにホッとしつつ指示を出す。
「なぁ、ニフェール様、俺達のどちらか領主館について行こうか?」
「……そうだね、カリムは領主館へ。
特に長男さんが不愉快なことにならないよう調整してあげて欲しい。
カルは僕と説明に」
「かしこまりました。
終わったら反対側に行けばよろしいですか?」
「そうだね、騎士の人たちと一緒に来てくれればいいよ」
その後反対側にいる農家の皆さんにも同様の手口で説得……と言う名の脅しを行う。
予想以上に順調に話が進んだので正直驚いてしまった。
やはり恐怖……!
恐怖は全てを解決する……!!
【スホルムの農家】
ロキシ:ヒドロキシ基から




