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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
7:義兄救援
172/355

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 今まで3/8、6/5がアクセス数一位・二位を占めていたのですが、いきなり一昨日(11/27)&昨日(11/28)に急激に増えたようでして、現状11/28、3/8、11/27、6/5の順といきなり一位&三位となっております。

 いや、前回の更新(11/27)後の時点で既に驚いていたのですが、更新してない昨日(11/28)がアクセス数一位になるとは……。

 どうも、調べたところ「注目度ランキング」で十位以内に入っていたようで、新しく見てくださった方が増えたお陰のようです。

 ご新規さんがこの話(7-70)までたどり着いてくれるか分かりませんが……ちょっとだけ期待しちゃってます。


 新規・古参問わず皆様のおかげで作者は書き続けられております。

 また、誤字脱字を垂れ流す作者の節穴な目をフォローしていただけること本当に助かってます。

 本当にありがとうございます。


 今後もニフェール達をよろしくお願いいたします。

 領主館に向かうと、あちらもそれなりに血塗れな事態があった様だ。

 まぁ、想定通りだけど。



「マーニ兄、今大丈夫?」

「おぉ、お帰りニフェール。

 もしかしてそっちは終わったのか?」



 妙ににこやかなマーニ兄。

 ちょっと頬に血がついているよ?



「うん、商会にいた者達は既に連れて来た二人以外は皆処分した。

 後、書類の方は商会に手を貸した人物、金の流れの確認は済んだ。

 あ、隠されていた金も見つけたから一緒に持って来たよ」


「おっし、十分な対応だな。

 こちらも同様に十名ほど殺したらやっと大人しくなってくれたよ。

 領主とその妻は捕えた。

 それと領主側がやらかしたことについては文官の皆が調べている」



 サバラ殿たちの進捗次第だけど順調って感じかな?



「領内の治安維持は?」

「大丈夫だ、衛兵の大半は残ってくれた」



 残ってない衛兵は殺したんですね。



「領内の文官は?」

「腰抜かしてた。

 まぁ、全員とまではいわないが、数割くらいは残せるんじゃないかな……」



 まぁ、そこは調査次第ですね。



「基本この館を拠点とするとして、飯食えそう?」


「一応料理人たちは大人しく従ってくれているから何とかなると思うぞ。

 恨みの視線とか感じないし。

 それと、侍従侍女で恨みを持ちそうな奴らは既に捕らえた。

 仕事の邪魔だったんでな」


「それでいいんじゃない?

 公務執行妨害って奴でしょ?」

「そうだな。

 なんで、今日期待していた成果は十分に出ているよ」



 それなら、この後文官組を手伝うか。



「なら、僕らが泊まる場所教えてもらった後に文官組手伝うよ。

 それと、その後に商会に手を貸した人物を捕らえたいな。

 なんで、この街の衛兵と顔合わせる機会が欲しい」


「あぁ、それは夕飯後に会えるように調整しておいた」



 流石マーニ兄!

 あぁ、最近だと「さすマニ」とか言うんだっけ?


 ホルターが僕の事をなんか言ってた気がする。

 確か……「さすニフィ」だったか?



「ん、じゃあ、カル達とベル兄様たちは一旦荷物を置いてきて欲しい。

 その後、こっちで頑張ってる文官組の皆さんのフォローに回ろう」


「おぅ、それはいいんだが、案内は?」


「こちらの侍女さんについて行ってくれ。

 荷物置いたらここに戻ってきてほしい。

 ……ニフェール、どうした?」



 袖掴んだのでマーニ兄が反応してくれた。



「すこし、人の居ないところで話をしたい (こそっ)」

「……分かった」



 別の部屋に入り、話し合いに入る。

 わざわざこんな対談を希望したことから嫌な予感はしているのだろう。



「んで、どうした?」

「第八部隊の件だけど、今後どうする?」


「ん?

 この後……と言っても明日か?

 商会の部下的な立場にいた奴らの逮捕に使うかと思ってたけど?」



 やっぱそうだよね。

 初めはそう思ってたんだけど……。



「どうも、あいつら商会制圧の時にまともに働けてないくせして『楽な仕事だ』なんて言い出すんだよねぇ……。

 それと金貨の袋の山を見て目の色変えてるし。

 念の為カル達に監視させたら舌打ちしているし……」


「あぁ……そういう方向かぁ。

 自分たちが役立って無いの理解してないのか」


「うん……で、ちょっと嫌な予感がして相談なんだけど、第八部隊って実力無いだけ?

 それとも性格的にも問題だらけ?」



 答えづらいかなとも思ったけど、あっさりと答えてくれた。



「実力・性格とも問題だらけだ。

 なので、何が起こってもおかしくない」




 断言ですか……。




「となると、僕らの努力を奪おうとか言い出しかねない?

 もしくは、僕らの功績に泥を塗ろうとするとか?」

「十分あり得るな」



 え゛?

 ってことは……。



「例えば、農家側の犯罪者を捕らえるときにワザと逃がすとか?

 そして、その失敗を僕に押し付けるとか?」

「……いや、ちょっと待て。

 冗談だろ、それ?

 流石にそこまではしないと……う~ん」



 悩む程度にはこいつら信用できないんですね?



「となると、金貨の管理もだけど、捕まえた兄妹の管理もアイツらにはやらせられないね。

 あっさり逃がしてしまうかも」


「……以前の文官みたいに?」

「そう、それ」



 二人で見つめ合い、同時に溜息を付く。



「ありそうだな」

「だよね」



 兄弟そろって溜息吐いて呆れても好転するわけでもなく……。



「とりあえず、念の為夜間に牢屋周辺への監視体制つくるか?」

「お願いできる?」


「あ、ついでに少しスキを見せるか?

 そしてそこを突いて逃そうとしたら、そのまま切り捨てるってのはどうだ?」



 おぅ、流石悪戯好きのマーニ兄、素晴らしい案だ。



「個人的には賛成。

 後はタイミングだね。

 今日すぐやるとは思えないんだよなぁ。

 やるなら農家側の犯罪者も集めた後の、裁判の前日かな」



 そのタイミングでやられたら国としても騎士団としてもダメージでかいよね。



「あぁ、逃げられたら取り押さえきれないタイミングか……」


「とりあえず今日はマーニ兄の部下の方々に監視体制を作ってもらおう。

 嫌な予感が当たっている場合、チラチラ覗きに来たり体制の情報を得ようとするんじゃないかな?」


「んじゃ、それ確認したうえで処分日決めるか」

「だね」



 僕たち兄弟の中で第八部隊の処分が決まったなんて、アイツら想像もしないだろうなぁ。

 ちなみに、十人中何人生き残るかな?

 ゼロだったら笑うけど。



「お、ここにいたのか」

「あぁ、すまん。

 ちょっとマーニ兄と話し込んでた」


「……面倒事か?」

「可能性を否定できないな」



 カル、そのすっぱいブドウを食べたような表情は……。



「今情報展開する必要は?」


「すぐには無い。

 夕食後にでも教える。

 今はサバラ殿のお手伝いを優先しよう」


「分かった」


「んじゃ行きますか。

 あ、マーニ兄、今日は第八部隊の面々もう使わないから、そっちで使ってあげて。

 死体運びくらいしかしてないから体力有り余っているはずだよ!」


「おぅ、なら遠慮なくこき使うか」




 マーニ兄の声が聞こえたのか第八部隊の面々から呻き声が聞こえる。

 呻くほど仕事してねぇだろ?




 皆で文官メンバーの仕事場に到着すると、サバラ殿たちの表情が凄い勢いで変わっていった。


 部屋に入った時点では落ち込みと疲労、そして諦観の表情だった。

 そこで僕たちを見たところ、地獄に神が降りてきたような表情を浮かべた。


 商会側の今日の分が終わったことを伝えると驚愕に満ちた顔に。

 そして、手伝うと言った時の天にも昇る表情。



 ……皆さん、お疲れなんですね。

 まぁ、中堅が一斉に犯罪者になりましたからお気持ちは分かります。



 以前から手伝った四人。

 それに加えベル兄様&ラーミルさんと言う超強力な助っ人追加。

 この二点によりブースト掛かりまくったようで、一気に仕事が進んだようだ。


 なんかサバラ殿から拝まれてしまったけど、ご利益はほとんどありませんよ?

 まぁ【狂犬】と知り合いになるとか、ジーピン家(特攻一族)との伝手くらいじゃない?



 流石に全ての調査は出来なかったが、この調子なら明日にも終わるだろう。

 夕食時になったので、皆で領主館の食堂に向かうと久しぶりに塩っ気の少ない料理が!



 素朴な料理ではあったが量も多く、とてもありがたかった。

 他の面々も口には出さなかったが、やっと普通の飯だと喜んだことだろう。



 夕食後、この街の衛兵の方と面会。

 捕縛対象の農家・商人の一覧を見せ、住処を確認。

 全員居場所は分かるそうなので、順番に捕縛して行こう。


 明日朝からの捕縛協力を依頼し、衛兵方とのお話は終了。



 後は……カル連れてティッキィの泊っている宿に向かうか。

 三泊分ほど部屋確保しとけば十分だろ。




 カルと先日泊まった素泊まり宿に向かい、三泊分の金を払う。

 そのままティッキィの部屋に向かい情報共有を行う。



「おぅ、数日ぶりだな」

「ええ、軽く情報共有に来ました」


「殺気ばらまきまくってたので商会壊滅したのは分かったよ。

 商会長兄妹は生かしているのか?」


「ええ、王都で裁いてもらうつもりです。

 で、明日商会側についた奴らを捕縛する予定です。

 並行して領主側の書類調査を進めます。

 順調に行けば明後日には裁判になるかもしれません。

 確定したらまた情報渡しますけどね」



 なんか、とても驚いているんですけど……。



「もっと時間かかるもんじゃないのか?」


「前回お会いした時にお教えしましたよね?

 ルーシーがこの手の仕事に強いって」

「あぁ、確かに言ってたが」


「それに加え、超強力な助っ人二名を追加してます。

 想像以上の速度で仕事を終えることで、相手の対応が間に合わない状態を作り出してます」


「……それは、この街に来るのもか?」

「ええ。

 王都での調査を全力で終わらせて、かつ王都の情報が届かないようにした結果が今回の奇襲です」



 ……なんで顔ヒクつくの?



「カル、俺の想像以上にお前たちの今の上役は恐ろしいな」

「えぇ、何と言うか相手が対処する前に勝ち筋を見つけるのが好きなようで。

 俺もある意味その被害者です」

「は?」



 あ、言っちゃうんだ。

 まぁいいけど。



「ニフェール様の兄上、ご長男の結婚式に襲撃するって依頼がディーマス家から依頼されました。

 そをうちの禿――ダッシュの弟子――が受けてしまって……。

 式場である教会に当時のうちのほぼ全戦力をぶつけてます」

「全戦力って……」


「その結果、生き延びたのは五名」

「五名?!」


「事前にニフェール様の方についていた二人。

 襲撃に参加しなかった俺とルーシー。

 そして、傷つきはしたけど何とか逃げ延びた禿。

 これだけですね」

「はぁ?!」




 驚いてる驚いてる♪




「ちなみに、その時にダッシュは奥方にぶん殴られて地面と水平に吹っ飛んでいます。

 それを長兄殿が大剣で上下に切り分けたと聞いております……マギーさんから。

 なお、奥方はマギーさん時代に酔った勢いでギルド崩壊させた片割れです」

「え゛?」




 あぁ、あったねぇ。




「それと、禿はニフェール様にクロスボウで撃たれてます。

 その後、師匠であるダッシュの元に逃走しましたが……。

 追いつかれて両手両足切り落とされ騎士たちに引き渡されてます」

「……」


「そして、今言った件はほぼすべてニフェール様の策によるものです。

 一部その場の勢いで考えた部分もあるのでしょうけど」

「……マジ?」




 ええ、マジです♪




「また、ここが一番不味い事態なのですが……。

 今回、ニフェール様の婚約者ご一家が商会の毒牙にかかりかけてました。

 それを手伝うために兄君――ジーピン家次兄――が手を貸してます。

 とりあえず王都分は陛下たちを巻き込んだ形で大体捕らえてます。

 後は答えの分かっている裁判くらいしか残ってませんがね」



 だねぇ。

 面倒だけど、念の為裁判参加しないとダメかなぁ。

 貴族の中で暴走する奴らがいないとも限らないし。

 あぁ、授業ちゃんと受けれない (泣)。



「なお、ニフェール様が本気でブチ切れたら今回の商会程度では済みません。

 先には話した教会の外にたむろっていた暗殺者ギルトと貴族派騎士の合同部隊……いや、軍ですね。

 あれを、次兄とお二人で壊滅させてます。

 ええ、生き延びたのは禿だけ、それも追いつかれて追い打ち掛けられてますけどね」



 ええ、いっぱい追いつめて叩きのめしました♡



「そして、自分の婚約者が危険に晒されて黙っているような人物じゃありません」

「いや、そりゃ分かるんだが……」


「ニフェール様が手っ取り早く本件を終わらせるために提案されたことがあります」

「……なんだ?」


「ジーピン家関係者総出で突撃。

 つまり、暗殺者ギルドを二度もぶち壊した面々。

 生きているギルド員や二人のギルド長。

 この辺り連れてこの街まるごと潰す」




「ま、待て!

 それは商会潰すとか領主捕らえるとかのレベルじゃないだろ!

 蠅殺すのに神剣持っていくようなもんじゃねぇか!」




 あぁ、分かるんですね。

 大体合ってます。




「それを実際に提案しております。

 なお、陛下や王妃様が心惹かれたようです。

 ですがやむなく、本当にやむなく策の変更を求めたくらいです。

 確実に今の騎士たちを連れて行くより強い。

 そして文官たちを連れて行くより早く調査が終わる。

 それが分かっているけれど、街が消えるのは流石に不味いということでしょう」


「街が消えるって……」


「自分の婚約者、兄弟の婚約者、新しい義理の娘。

 守るために全力で協力するでしょう。

 その為なら街一つくらいなら消えても……」

「……」


「ちなみに、次男が一緒にこの街に来ています。

 騎士の代表として」

「(ヒュッ)」


「分かりますか?

 今この街は暴力方面において王都で最凶最悪な存在を二人送り込まれてます。

 いつまた殺戮が起こってもおかしくない危険地帯なんですよ」



 あぁ、黙っちゃった。

 情報が多すぎたもんねぇ。

 できればゆっくり話して上げられれば良かったんだけど。



「ティッキィさん、俺としてはお世話になった、かつ信頼できる方と思ってます。

 だからこそ、下手な判断はしないでくださいね。

 最近で最悪の判断をした者は王都で捕まり裁判待ちです。

 最良の判断をしたのは……俺ですね」



 まぁ、一歩間違えたら殺してたしねぇ。

 ティッキィ殿もかなり汗を掻いているようだ。

 もう秋、それも晩秋と言ってもいい位なのにね。



「……俺に追加で希望することはあるのか?」

「いえ、それは今のところありません。

 ただ、事前に伝えた本気で僕を狙うこと。

 他の者は狙わないことを確実に履行して欲しいです」



 大きく息を吐き、ティッキィ殿は一言。



「分かった、そこは確実に行おう。

 明日もまた来るんだろ?

 その時に詳細教えてくれ」

「ええ、そこは確実に」



 そのまま僕とカルは宿を出て領主館に向かう。


 先日よりも人が少ないと感じるのは僕らが大暴れしたからかな?


 街の飲み屋には補填できず申し訳ないけど数日耐えてもらえると助かる。

 できるだけ早くこの街から消えるからさ。



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― 新着の感想 ―
ティッキーさん、あの日偶然商会から出るの目撃されてニフィが気まぐれ起こさなかったら、あるいは今頃商会裏に山積みされて埋葬待ちになってたかもなあ。 かなり現実的なラインで。 こういう職の人間にはこういう…
投稿感謝です^^ 今話は純粋に怖いお話でした^^; 辛い物超苦手な人間が激辛料理レビューを覗き見ているようなめくるめく戦慄めいた楽しさをお届けいただきありがとうございます( ̄▽ ̄;)
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