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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
7:義兄救援
122/359

20

「ちなみにカールラ姉様もロッティ姉様も同類です。

 あの場所はそういう人が集まっているのです。

 大道芸人が演じるところでジーピン家の三人が力技の芸を見せたの覚えてますか?」


「あ、ああ、あれは驚いたとともに感動したが……」



 感動ですか……ぶち壊す発言しちゃうけど?



「あれで僕がマーニ兄の上に立ったアムルが宙返りして僕の腕の中に飛び込んだっていうのがあったんだけど覚えてる?」

「あぁ、あれはかなり女性陣に受けていたので覚えているぞ」



「受けている理由はベル兄様と違う理由だよ?」



 少し考え始めて……答えを見つけてしまったようだ。

 表情が硬くなっている。



「まさか……ニフェール君とアムル君の妄想を?

 え、いや、だって、弟だろ?」


「大体合ってます。

 そして、兄弟であることもスパイスの一つになっているようです」



 むしろラーミルさんもいれて三角関係を期待している輩もいたしね。

 あの人たちは妄想を制御しないとどこまでもぶっ飛んでいくんだよ?


 現実を知ったベル兄様はかなりショックを受けた様だ。



「ちなみに、ティアーニ先生も一緒におられたオーミュ先生もカールラ姉様の仲間です。

 つまり……カールラ姉様並の暴走することを否定できない人物です」



 多分、学生の頃を思い出したのだろう。

 当時【女帝】と呼ばれた者がどんなことをしたか。

 学生時代の恐怖を思い出してしまったようだ。



「な、なぁ、ちょっと疑問なのだが。

 今の説明通りならなぜティアーニさんが俺の事を好きであるかのように言い出すのだ?

 ニフェール君とかアムル君とかに告白してもおかしくないだろう?」


「自分の趣味と恋愛感情は別です。

 第一それ言っちゃったらカールラ姉様はアゼル兄と一緒になるなんて考えないでしょ?」

「あっ!」



 そろそろ理解できて来たかな?



「ティアーニ先生の場合、僕が女装して何かすると言ったら全力で最前列を取りに来るでしょう。

 でも僕を恋愛感情を持ってみることはありません。

 そっちに関してはベル兄様しか見てません、そしてベル兄様しか見えません」


「……そこまで恋愛感情を持ってくれた相手を俺は拒絶した?」


「そうですね。

 だけど、そこはちゃんと謝罪すれば済む話です。

 一番問題なのはこのまま互いの接点を切ってしまうこと。

 それだけは何としてでも避けて欲しいです」



 それやっちゃうと、とてつもなく僕の仕事が増えそうなんで本気で止めてね?



「……そうだな、それだけはやらないようにしよう。

 ここまで苦労してお膳立てしてくれた二人にも失礼だ」



 あ、その言葉。

 ちゃんとこちらの努力を理解している感じがちょっと嬉しい。



「んで、スケジュールとしては二日後、もしくは四日後となります。

 どちらになるのかはティアーニ先生たち次第かと」


「二日後は試験最終日だよな?

 四日後ってなんだ?」



 まぁ、普通は知らないよね?

 試験後二日は普通の生徒はお休みだし。



「僕は三科の試験を受けております。

 それ故、一般的な試験最終日の後に二日かけて残りの領主&淑女科、文官科の試験を行います。

 つまり一日一科分まとめて試験するので普通の試験よりハードになります」




 ビ ク ッ !




 また、重複教科はやらないことになっているので、授業内容に違いがある教科だけですけど、それでも大変で……。



「え、え、そんなことやってるのか?」

「あれ、ラーミルさんも同じことしたでしょ?」

「ええ、同じように試験しましたわ……」



 遠い目をしてあの頃を思い出すラーミルさん。


 懐かしむではなく、思い出したくない苦労を思い出してしまったかのように目が死んでいる。

 ですよね、大変ですもんね。



「先生方も一通り試験が終わるまでは学生との接触を控えるという不文律があります。

 なので、僕の三科試験が終わるまでダメなのか、一般生徒の試験が終われば条件クリアなのか。

 こちらでは判断付きませんので、確認してからとなります」



 まぁ、多分四日後だと思うけどね。

 重複教科ならともかく法律だからなぁ、三科試験にも影響する以上接触禁止は変わらないと思うし。



「なので、明日チラッと確認して改めて報告します。

 あ、ちなみにオーミュ先生も来るかもしれません。

 かなりティアーニ先生のこと心配してましたから。

 そこはご了承願います。

 まぁ、こっちは僕とラーミルさんが参加します。

 なので、一応何かあったら止められる体制ではあると思います」



「……何かあったら?」



「一つ目、オーミュ先生がベル兄様にブチギレて物理的に襲いかかる。

 二つ目、ティアーニ先生がベル兄様を我慢できなくて性的に襲い掛かる」

「ちょっと二つ目ぇ!」



 冗談では済まないところがティアーニ先生クオリティだから諦めて。



「まぁ、どうにか守りますから……ベル兄様の童貞も」

「そこまで気にしなくていいから!」



 そんなこんなでティアーニ先生のお見舞い受け入れが決まった。

 やっぱりティアーニ先生のこと嫌ではないんだよな。

 想い過ぎた挙句離れようとしているようにしか見えないし。



 まぁ、仲直りのきっかけまでは準備させていただきましょうかね。

 後はベル兄様のやる気次第だよ?




 その後ベル兄様の部屋を辞し、ちょっとだけラーミルさんとイチャついてから寮に戻る。


 本当にやること増えたな……。

 一部は自分で作っちゃったけど、これ本当にどうやって処理しようか。

 頭抱えつつその日は眠りに落ちた。




 そして次の日。

 普通に試験を受け昼食時。



「お前、また疲れてるな」

「ちゃんと休めてないでしょ?

 もっとちゃんと休みなさいませ!」



 フェーリオとジル嬢に心配されてしまった……。



「いや、ふと放置できない件を思いついてしまって両侯爵に報告したら頭抱えた」

「またぶっ飛んだ話を振ったのか……どんな話か言えるか?」


「詳細は言えないが……お前の姉の結婚式の時に処理した奴らについて」

「あ、それは言えないわ。

 というか言わなくていい」



 おいおい、そこまで言うか?



「いつかはお前も知ることになるぞ?」

「それは覚悟している。

 なので、それまでにこう、ソフトランディングしてほしい」


「あぁ、お前が通るところに暗殺者伏せとくよ」



「それソフト違う!

 ハードどころかヘルだから!」



冥界(マーニ兄の住まい)の近くだね!」

「ぜってぇ違う!」



 そんな和気藹々(?)な会話をしているとやはりフェーリオから昨日の結末を聞かれる。

 ちょっと言いづらいところが多々あるんだがなぁ。



「すまん、あの後厄介な問題が発生して言えるところがない」


「え゛?」

「そこまでですの?」




 うん、言いたいことは分かる。




「正直言うと、ここまで面倒事が発生すると思ってなかった。

 ついでに言うと、僕はどこかのタイミングでお出かけが決まった」


「あぁ、本拠地襲撃か?」


「そう、それで最短二週間は学園休む」

「……そんなかかるのか?」


「勘違いしているようだが、往復に二週間だぞ?

 実処理はどのくらいかかるか全く想像つかないし、正直どうしようかと」

「あ~……」



 大変なんだよ?



「まぁできるだけ王都で終わらせて向こうへは移動と捕まえるのだけにしたいね」


「そこまで順調に行くか?」

「いや、無理でしょ。

 それに面倒事まだ増えそうな気がするし」


「あまりそういうこと言うと現実になっちゃうぞ?」

「ん?

 そんなの関係無いよ?」



 フェーリオとジル嬢が驚きの表情を浮かべる。



「え、良く言うじゃん?

 違うの?」


「違うというか、事前に相手がどんな準備をしているかと言うだけの話だけだし。

 僕らがやることは相手が何をしでかすのか可能な限り想定して現場で苦労しないようにするだけだよ。

 言ったことが現実になったのは推測が当たっただけ」



 納得と呆れが1:2くらいの声を上げるフェーリオとジル嬢。

 まぁ、あまりその手の話は気にしない方がいいんじゃないかな?



「第一、そういうオカルト系は簡単に一言で済んじゃうんだよね。

 触れられるなら壊せる。

 触れられないなら放置」



「……ニフェール、勉強できるのにたまにジーピン家的発言が飛び出すよな?」

「この身体に流れるジーピンの血の呪いか!」

「止めなさい!」



 三人で馬鹿話しながら昼食を食べ、午後の試験に向かう。

 と言ってもまだ自分の科の試験なのであっさり済ませて放課後。



 ティアーニ先生がキュ~ンキュ~ンと甘え声&涙目でこちらを見ている。

 だが、飼い主の如きオーミュ先生が憤怒の表情でティアーニ先生を押さえつけている。


 あなたたち、いつから飼い主と飼い犬のプレイを始めたの?



「大変ですねぇ、オーミュ先生」

「ねぇ、カールラ様ってこんな感じだったの?」


「力技は不要でしたね。

 代わりに僕の方から大人しくしてれば報酬をあげましたから」



 アゼル兄を生贄に引き渡せばかなりコントロール出来ましたよ?



「報酬、無いのよねぇ……」


「そんなオーミュ先生に朗報です!

 報酬になりうる情報をお持ちしました!」


「……なんか、繁華街で安売りの時に言いそうな言い回しね?」



 ……確かにそうでした。



「まぁ、言い回しはともかく。

 一つ確認です。

 教師としての矜持を持ってお答え下さい」


「……なんか面倒くさそうだけど、答えてあげましょう」



 そこでいきなり面倒とか言わないで。



「今回の秋季試験、何時を持って接触期間終了となりますか?

 僕を含めた三科試験担当者への対応を考慮したうえでお答えください」


「ん?

 三科分を考えるのであれば三日後よ?」



「では、三日後にベル兄様のお見舞いを許可します。

 僕がついて行きますので、お二人でノヴェール家に迎えるようスケジュール調整願います」



 この言葉にお二人の反応は真っ二つに分かれた。

 モフモフの尻尾をバッサバッサと振るのが幻視できるくらいに喜ぶティアーニ先生。

 面倒臭さと、それでも見捨てられない変に達観した視線で僕を見るオーミュ先生。



「ねぇ、ニフェール君。

 このタイミングで伝えに来た理由は何?」


「へ?

 昨日我慢できるならお見舞い許可の調整しておくって言ったじゃないですか?

 それ許可貰ったよってだけですが?」


「その日まで、この子が我慢できると思う?」

「先ほど言ったカールラ姉様へのやり方と同じなので、後はティアーニ先生を信じるのみとしか……」



 流石にこの程度の約束も守れないようではお話にならないし。



「……大丈夫、ちゃんと待つわ」

「……信じていいのね?」



 ティアーニ先生の発言に不安そうなオーミュ先生。

 まぁそうでしょうね。

 話通りならティアーニ先生も心が壊れかけた状態だったみたいだし、そりゃ心配もするでしょう。



「あ、それと当たり前ですけど許可するのはあくまでお見舞いです。

 なので、暴走してベル兄様に襲い掛かるのは勘弁してください。

 僕としても先生方を叩きのめすのはしたくないので」


「……ニフェール君が本気で叩きのめしたらどうなるの?」


「本気でとなりますと、死一択なのですが?

 流石にそれは不味いので手加減はするでしょうけど」



 唖然とするお二人。

 ん~、【魔王】【死神】の同期なんだから兄たちのぶっ飛んだ行動は知ってるんでしょ?

 なら僕が同じことできないとなぜ思うの?



「【魔王】は、【女帝】関係以外は暴走しなかったわよ?」

「【死神】も、【女教皇】関係以外は暴走しないわね」


「あら、二人とも猫かぶりうまかったんですね。

 まぁ、今回の件は【才媛】の兄の件だから、暴走は見逃してくださいよ」



 この後、もっと暴れることになるんだし。



「……ねぇ、まだ言ってないことあるでしょ?」

「言えないことならたっぷりと。

 言ってないことはもう少し時間が過ぎてからでしょうか?」



 カチコミはもう少ししてから教えますよ?

 詳細な場所までは内緒ですが。



「あまり無茶しないように、約束できます?」

「無理ですね。

 元々試験と並行してこの作業すること自体が無茶です。

 ですが、色々あり過ぎて無茶しないと終わらないんです。

 ほら、大人って汚いから……」



 そう言うと、二人とも視線を逸らす。

 自覚はあるのね、でも侯爵位にある者たちまで汚いのは想定してないでしょうけど。


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