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間章

 黒川たつみとは中学生の時から一緒の学校だった。髪はものすごく長くて美しく、金色の髪は男子たちの注目の的だった。


 僕は黒川たつみが大好きだった。この世の者で一番美しい彼女は、廊下ですれ違うときも教室で授業を受けているときも、ときどき僕と目を合わせてきた。


 そうか、なるほど、彼女は僕のことを好きなんだな。


 わかってしまってからは早かった。まったく最近の女子中学生はおませさんばっかりでしょうがない。告白くらい女性からしてほしいものだ。なんで僕から告白しなければいけないのだろうか。どうせ両思いなら、彼女からして欲しかった。そっちの方がシチュエーション的に燃えるというのに。


 アァ黒川たつみ。君はなんて可愛いのだろう。僕は毎日彼女の写真を見てオナニーした。すごいときには彼女の顔を見ただけで射精してしまったほどだ。それくらい可愛い女の子。それが僕の元にもうすぐやってくる。手に入る。最高じゃないか!



 ところが僕が黒川たつみに告白したその日、盛大にフラれた。


 

 なんだこいつ、と思った。一度ならず何度も何度も僕に好き好きアピールを送っておいてなんなんだこの女は! むかついた! そして彼女は言ったのだ。


「あたし、今がめっちゃ楽しくてしょうがないんだよね! だから今んところ誰かと付き合おうとかは考えてないって言うか! ごめんね!」


 ふざけんなよぉおおお~~~~~~~~~! ふざけんな! 本当にふざけるな! じゃあ僕のことも好きになってなかったって言うのか! ふざけんな! 思わせぶりな態度とっておいて僕を振りやがって!


 絶対に、絶対に許さない! 僕は彼女の写真を切り裂いた。いつかその長い髪の毛を切ってやる! そうして大事な者全部全部奪ってやる! 僕を振った罪だ。せいぜい悔やむがいいさ、そうしたら僕がどれだけ君にとって大きな存在だったかがわかるだろう。


 憎い。あの女がとにかく憎かった。あいつのせいで、僕は次の日から『無謀にも黒川たつみに告白した哀れな男』と言われた。とにかく学校中を歩くことが辛くなった。頭のてっぺんはストレスではげ始めて後ろの席の生徒から笑われることもあった。同性からならまだいい。だけど女性からも笑われるようになった。あの時期の僕にとってそれがどれだけ辛かったことか。


 あいつが、あいつが僕のことを振らなければこんなことにはならなかったんだ……。ならなかったんだよ………………!


 僕はもう一度ハサミを握りしめた。憎きあの女に復讐してやるために。


 どうなったっていい。あいつの大切なモノすべてをぶち壊してやる。

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