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第二十七話

 レイが聖剣修行の地に選んだのは、生まれ故郷であるクルタだった。


「――うわぁー、魔王軍の幹部が来ちまった!!」


 予想通り、最初こそ民達から恐れられた仮面騎士ではあったが、魔物を退治していく過程は彼に対する認識を改めさせた。


 声援を受けるようになった頃には、民衆の中にエレナの姿も見えるようになる。しかし、女神にも負けず劣らず美しくなっていたエレナに対して、レイが声をかけることはなかった――。


 覇閃修得に向けてレイが取り組んでいたのは『精神統一』だった。


 剣術や体術、拳闘術においては、もはやこれ以上の修行は必要ない領域に達していたレイに求められるのは、覇閃を繰り出すための“イメージ”である。


 剣神が放っていた覇閃を頭に焼き付けてはいたが、いざそれを実践しようとなれば、自分の身体がどう動作すればいいのか、まずイメージが先行しなければならない。


 ひたすら頭の中で覇閃に繋がる動作を思い浮かべ、イメージに沿った一振りを試す。


 クルタを守りながらも寝食する時間以外は、全て精神統一と動作確認に費やした。


 やがてそれは――“芸術的な新円”を描く見る者を奮い立たせるほど華麗な一振りとなっていった――。


 そんなある日、レイは坊主頭をしたゴンゾウという一人の剣士と出会う。


 見ただけで分かる凄腕剣士の風格。


 街を襲いに来たオークを相手にしながらも、レイはその男の行方に注視していた。


『仮面騎士を演じてくれないか』


 やがてクルタ防衛の役をゴンゾウに引き継いだレイはリネットと合流を果たし、女神の招集に尽力した――。


 そして、約束の日が訪れて再集結した三人。


 久方ぶりに会ったカズオの表情は、より逞しくなっていた。準備期間中にちょっとだけ実家に帰っていたことは本人だけの秘密である。


 招集した女神達の総数は九十二名。その内、助成役となる見習い女神は計五十五名いた。


 異世界に飛んだレイ達は、国防長官から差し出された『兵器借用に関する契約書』にサインし、無事大統領の承認も得ることが出来た。


 そして。


 かつて、ガザフタス捜査チームにいた仲間達や多くの軍人、さらには国防長官の隣にいる大統領まで見守る中――レイ達による決戦兵器の『異世界物質転移』が開始された。


 基地内に描かれた巨大な能力融合魔法陣を中心に、リネットを含めた三十七名の女神達が手を繋いで円を作り、その周りを見習い女神達が囲む。


 その様相は『世界の美女百選』に選出されるような優雅な美女達が立ち並んでいるように見えたため、『どう考えても“撮影禁止”にしたのはミスやろ』と思うカズオの顔は緩みまくっていた。


 そこから念じるように女神達が目を瞑り、魔法陣の中心に座すカズオが真剣な面持ちで集中しながら“転移対象”に手を掲げた。


「――……ぐぬぬぬぬぬ……!」


 すると――転移対象が半透明になり出した途端、周囲で見ていた者達から騒めきが起こり始める。


「わぉ……アンビリーバブル」

「マジか……本当に消えて行くぞ」

「え、マジシャンじゃないのか?」


 しばらくして転移対象が完全に目の前から消失すると、レイは間髪入れずに指示を出した。


「気を抜くな。制限時間の秒読みはすでに開始されている――」


 見習い女神達からマッサージを受けつつ魔力増強剤をガブ飲みしていたカズオは、頷きながらレイに向けて頼もしく親指を立てた――。


 こうして。


 レイが選択した兵器は全て、滞りなく転移を完了した。


 そう、魔王討伐へのカウントダウンが開始されたのである――。

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