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第十九話

 魔王討伐。


 レイは標的となる魔王の情報を収集するために、各地を点々と旅していた。


「――転生者?」

「そう、転生者なら女神から色んな情報もらってるから、色々知ってると思うぜ――」


 酒場で耳にした転生者という人物を探すため、レイが世界中の街を渡り歩いていると、それらしき複数の冒険者と出会うことが出来た。


 話を聞く限り色んな転生の仕方があるらしく、一人ひとり思惑も様々で魔王討伐を放棄する者もたくさんいるという。


 しかし、レイはこの世界の者達が転生者に対して『期待を裏切られた』と呆れ返っているところを、全く別の視点から物事を捉えていた。


 “魂を復活させる”なんてことが可能なのか……ならば――。


 異世界転生などという不合理が罷り通るのであれば“物質の異世界転移”も可能なはず。もし、その仮説が決定的となれば人類は魔王軍に勝利することが出来るかも知れない――と、考えたのである。


 そう。


 レイが思い描いた魔王討伐の筋書きは、この仮説が思い浮かんだ時点ですでに出来上がっていたのだ。


 情緒が不安定で頼りにならない転生者ではなく、この世界に”もっと単純で強力な物”を召喚できないか――と。


 この考えに至ったのには理由がある。


「――()()()とは一体何だ?」

「ん〜と、何て言えばいいのかな……離れた人同士でも連絡が取れる通信機器のことなんだけど――」


 異世界から転生してくる者には前世の記憶がある。そして、彼等には“かなり文明の発達した世界にいた”という共通点もあった。


 これにより、この世界と異世界が“表裏一体、陰と陽”のように密接な関係性にあり、さらに科学が想像を絶するほど発達した異世界には、それに見合う『強力な兵器』が必ず存在するはずだとレイは推測していた。


 実際、転生者に尋ねたところ「――確かに元いた世界には“チート級の兵器”みたいなのはあったよ」と返ってきた。


「ちーと? 何だそれは?」


「ん〜、楽して相手を攻略出来る“裏技”みたいな感じって言えばいいのかな――」


 若者の間で使われるチートという言葉の定義は置いといて、兵器の存在を確証させる発言を得たレイはひとまず第一歩を踏み出した――。


 では、実際どうやって異世界から強力な兵器を呼び寄せるのか。


 それには二つの“重要な能力”が必要となる。


 一つ目は女神の能力。

 

 女神は二つの世界を結ぶ門を開いて死者の魂を呼び寄せ、それをまた返還することも可能。ここで重要となるのが“門を開く”部分、つまり『開門能力』である。


 二つ目は物資を『転移』させる能力。


 転生者は様々な能力を有しており、中には壁や空間を飛び越えて“物質を任意の位置へ移動”することが可能な能力を持っている者がいる。


 レイはその『物質転移能力』を活用することに着目した。


 結論として『開門能力』に『物質転移能力』を融合させれば『異世界物質転移』が可能となり、異世界にある圧倒的な破壊力を持つ『決戦兵器』をこの世界へ召喚させることが出来るのではないかと、レイは発想を転換させたのである――。

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