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第十六話

「ゴァァアアア!!」


 顔を顰めるエビルオークの合図と共に、周辺にいたオーク達が続々とレイに向けて突撃してくる――ところが。


 レイは疾風怒濤の如く、目にも止まらぬ速さで大量のオーク達を軽々と斬り裂いていく。


「ギャァ!?」

「ゴァァ!?」


 相手の攻撃を軽快な動きで交わしながら、拳と蹴りによる打撃で相手の態勢を崩し、剣の一撃でトドメを刺す戦法には一片の隙もない。


 どれだけ取り囲まれても、オークからの全攻撃を簡単に回避してしまうレイの勇ましさを見たゴンゾウは、ただただ驚愕するしかなかった――。


 瞬く間に大量のオーク達が倒されたと思えば――残されたのは、エビルオークただ一体のみとなっていた。


 追い込まれたエビルオークがヤケになって棍棒を振り回し、レイがその攻撃を剣で受け止めた――が、剣の耐久が持たなかったのか“パキンッ”と折れてしまった。


 間合いを取るためにレイがバック転を数回繰り返して着地すると、ゴンゾウを回復していたリネットが唐突に「レイ様!!」と叫んで()()を放り投げた。


 ゴンゾウがそれを目で追うと、何やら“ブレスレット”のような形状をしている。


 それを片手で受け取ったレイは、腕に巻いたブレスレットを胸へと押し当てた。


 な、何をするつもりなんだ……?


 その所作を不思議に思ったゴンゾウだったが、レイの体が発光し始めたかと思いきや――足元から徐々に上へ向かって、漆黒の鎧とマントが出現してくる。


 最後に頭を仮面兜が覆うと、“カシャンッ”という音と共に目元が開いた。



 レイが瞬く間に――仮面騎士へと“変身”を遂げたのである。



「あ、あれは……俺のと違うのか!?」


 彼は仮面騎士として闘う際に鎧を装着していたのではなく、不思議なブレスレットの力によって変身していたのだ。


 走り出した仮面騎士がエビルオークの懐に入り――力を限界まで溜めた拳を鎧の上から腹部にめり込むほど打ち込んだ。


「ゴッ!?」


 何とエビルオークの巨大が街の場外まで吹っ飛ばされてしまった。即座にその後を仮面騎士が追っていく。


 どんだけ怪力なんだあいつ!?


 リネットの魔法によって回復したゴンゾウは目を疑ったが、すぐさま立ち上がって走り出した――。


 街の外にある荒野へ出ると、仮面騎士と腹を手で抱えるエビルオークが、互いに睨み合いながら対峙していた。


 仮面騎士がゆっくりと背中の鞘から蒼い剣を掴んで抜き取り、おもむろに構えた途端――エビルオークが動揺を誤魔化すように地面へ“ドンッ”と力強く棍棒を叩き付けて激昂した。


「ゴ、ゴアァァ!!」


 咆哮が飛び出た刹那――瞳を光らせた仮面騎士が剣先を下へ向けて一歩踏み込み、息を飲む静けさを纏う切り払いで(くう)を切る。


 漆黒の騎士が描いた蒼き聖剣の研ぎ澄まされた太刀筋は彗星のように輝き……儚くも見る者の時を奪うほどに美しかった。




 ――覇閃(はせん)――。




 突如、一瞬の間を置いて発生した凄まじい衝撃波がエビルオークの巨体を跡形もなく木っ端微塵に斬り刻み、荒野の大地が地割れの如く真っ二つに割れるほどの斬撃痕を残した――。

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