5.魔物最終防衛前線
ポータル前の交差点の所に着いた頃には他の魔法師と武芸者達が魔物と戦っていた。さっき焦がしたレッサースモールゴブリンよりか一回り大きいレッサーゴブリン。
そして、2回りほど大きな成人男性と同じくらいの背丈のノーマルゴブリン。
それらと対峙していた。
防戦一方の魔物陣営。対して有利だが気を抜かない人間側。
もう少しで全て方が付きそうな状況だった。
すると、ゲートから突如として、ゴブリンライダー率いるゴブリン集団が現れた。
これはまずいと思い彼らの元に咲良は駆け始めていた。
対して千春は動かなかった。
『燃上熱火』
再びそう言うと、彼女が駆け走っていた左側をその炎が通り掛かる。
「危ない!!!!」っと叫び
横に避ける。
その炎はゴブリンライダーを除く下級ゴブリン達を全て根絶やしにするほどの勢いだった。さっきまで20匹くらいいたのか今や1人しか立っていない。
先に戦っていた彼らも目を疑うかのようにして視線を戦っている魔物からそらす。
が、集中力が落ちた訳では無い。その魔物達は視線を逸らした後すぐに炎の魔法弾を放ち、倒した。
しかし、その魔弾の大きさはさっきのを見ればちっぽけとしか思えなくなった。
―――◇◇◇―――
それから、日本では自衛隊とハンター達が協力して魔物駆除にあたった。
魔物たちはポータルという次元の裂け目を利用して地球にやってくる。魔物たちはモンスターと呼ばれ、甚大な被害をもたらしていた。
―――◇◇◇―――
魔物最終防衛前線。中部地方を覆うほどのモンスターの領域。モンスターからしたら天国のような存在だ。
数多のハンターたちはその最終防衛線を維持するために国からの補助金を貰い、駆除(討伐)に当たっている。次に新しいポータルが発生したのは、全世界に発生したポータルが全て閉じた頃だった。
それからは、今回みたいに一気に発生するケースはなく、順調のはずだった。
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魔物最終防衛前線がができる前、いくつかの防衛戦があった。だがその防衛戦は何度も貼り直され、今の最終防衛線ができるまでに至る。
次元融合によって、ポータルはモンスターが出てこれるようになったのだ。
実は、大規模で世界を襲ったポータルは、次元融合が、今のポータルと比べて早かった。だから、決して、次元融合が起こっていなかったわけではなかった。
ある一定の期間放置されると、次元と次元を繋いでいたポータルが融合する。そしてモンスターたちが外に出てこれるようになる。
ポータルはモンスター達が出てくると閉ざされる。それが原因で
当時、まだハンター覚醒者が少なかった頃は、手が回っていなかった。
その結果、都心が最初は重要視されていた。
東北、九州、四国はポータル発生数が比較的少なかったのと、ダンジョン数のランクが、一つ星級と二つ星級で低かった。そのため、人間側に部があり討伐はあまり苦戦しなかった。
だが、中部地方の中の方に、三つ星級ダンジョンポータルが発生。その異常なまでのモンスターの強さは人間達の兵器を軽々凌駕した。そして中部地方からモンスターたちの進行という形でひろがり、モンスター領域へと化していってしまった。
ハンターが中部地方の三つ星級ポータルを能力者協会に報告。その後事実確認がされ、状況が理解されたあと、政府によって、防衛省(自衛隊)によって、防衛前線が配置され、安全地帯を作るため、たくさんのハンターたちが、前線へと送られ、自衛隊と連携して討伐に当たった。
当然モンスターたちは生半可な攻撃じゃ、人間の科学武器を上回ったため、戦車や装甲車。重機などが用いられた。
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千春は覚醒後、自分は能力者であると周りに宣言した。それを疑うものはいなかった。ある超次元的な存在によってランダムに選ばれる。マルシャ達があのモンスター進行の後に宣言したからだ。
千春はハンターの第一人者となったのだった。強く、能力覚醒者協会を作ることを希望して、政府に意見を申した。
結果、直ちに作られることになり、ハンターたちは覚醒者登録を義務付られ現在の覚醒者数や、高ランク覚醒者達を把握するのに役立っている。
―――◇◇◇―――
システムは平等に与えられるのではなかった。不公平と思うものも沢山居た。ずっと喧嘩っ速い奴、裏で悪さをしてる中坊。
そんなの関係なしに元々魔法、武術習得者以外はランダムにマルシャによってハンターたちは選び出された。
与えられた者は、慣れるまでに多少の時間を要したが、その後モンスターの討伐に当たることとなった。
もちろん命懸けで。
それでも、ハンターたちはモンスターの死骸と、それから発生するコアを求めて全力で立ち向かった。
金に目がくらんで。
ほとんどのハンターは金が稼げるから、能力に覚醒したらモンスターの討伐に挑んだ。
その稼げる金額は膨大だ。世界の一部のところでは国家レベルに並ぶ資産家も、ハンター覚醒後現れたほどだった。
その中でもコアは特別で、魔力を持っていた。たくさんの魔力を貯えるコアは、高レベルモンスターを倒すと手に入れられることがわかっている。
そして、ポータルはある問題も解決する鍵だと各国は踏んでいた。資源的問題だ。
地球の化石燃料は年々減少していた。各国は資源の再利用、再資源化、資源の有効活用などを急いでいた。資源が枯渇していたからだ。その資源枯渇問題がポータル、そしてマルシャの存在とともに一変し、ハンターの発生によってポータルにハンター達が入り、攻略を通して、持ち帰って。
そのダンジョンから持ち帰った資源は余ることなく政府によって買い取って貰える。もちろん自分の装備として使用振ることも可能だ。
ボスモンスターが討伐されるとポータルが閉じるため戻らなければならないが。
ボスモンスターが討伐されると数十分のうちにポータルが閉じるため、資源収集は出来なくなる。だから討伐せずに収集して、最後に討伐する。これが基本となっていた。
そして、ポータルの中で得られる武器や装備などは、ハンターたちにとってステータス以外での必品だった。それらは途方もない高価格で取引されることさえある。
―――◇◇◇―――
魔法士たち、武芸者達は、マルシャ達によってシステムの1部として扱われることになったのか、全員盛れることなく世界で能力覚醒者となっている。
いくつもの学びと修行、または研究によって得られたその力達は消えることなく、マルシャシステムに採り入れられ、スキルとして
加えられている。今まで使えていた魔法は使える。
ただ、魔法、武術は一朝一夕で身につけられるものではなく、習得できても1-2個の魔法、武術を覚えられるくらいだった。
だからか、システムの恩恵を受け始めても、3つ4つ魔法が使えるという訳ではない。
例外としては居たが。
そういう者は元々適性がその属性の魔法ではなく、違う属性に相性が良かったものとか、そもそも魔法ではなく武術に適性があったもの達は、システムからスキルが与えられてた。
そのため、その反例達は3つスキル所持することがあったのである。
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システムを入手してからは、魔法士達は発動までの時間にタイムロスが無くなっていた。
今までだったら必然として発動までの時間を有していたのだが。
魔法は魔法構築をすることで発動できる。
だが、システムによってマナを再構築するまでの工程が省かれる。そのため唱えるだけですぐに発現するのだった。覚醒者たちは
そのおかげで、マナの構築する時間が無くなったのだった。
マナというのは魔法士たちの間ではまだ理解されてはいませんでした。なんせ魔法の歴史はとてつもなく浅いですから。
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