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24. 爆エン!の風が再び!?『あなたを愛する宣言!』で再結成!わたしの新たなる挑戦……

 武道館ライブを無事に終え、『結婚』サプライズ発表を成功させたわたしは、その後もシンガーソングライターとしての道を進んでいた……。



 再び、人生が大きく動き出したのは、わたしが26になる頃。



「笹竹さん、お話というのは?」


「あぁ、秋から始まる新番組のMCをやらないかというオファーが来ている」


「MC!?」


「深夜帯だけど、音楽番組だ。まぁ、バラエティ番組とも言えるかもしれないが……」


 笹竹さんは、わたしの前に企画書を出した。


 そこには、『爆エン! MUSIC!』の文字があった。


「えっ……!?」


 中を見ると、『みんなの爆笑エンターテインメント!』を制作していた馴染みある方々の名前が並んでいた。


 秋から始まる新番組とは、もと爆エン! 製作陣による深夜帯の音楽番組だった。


 そして、MCの欄には、わたしの名前と風上さんの名前が並んでいた。


「これって……」


 わたしは思わず、笹竹さんの顔を見た。

 言葉にしないものの、笹竹さんの顔には、“あの風上さんとだぞ?”と書いてあった。

 そして、どこか少しだけ、わたしを疑うような目をしている気がした。


 不倫ランドというスキャンダルはあったものの、むしろそれをネタに、風上さんとわたしのコンビは、何かと爆エン! では人気だった。そして、風上さんは音楽にも割と詳しい。だからこそ、このキャスティングなのかもしれない。


 不倫は未遂だ。

 そうでなければ、このキャスティングはできない。

 そのぉ、あのキスは、なかったことにしてくれ……。


 実際結婚してからというもの、風上さんには会うこともなく、仕事で絡むこともほぼなかった。

 わたし達の婚姻届の証人欄を書くような風上さんだ。そんな間違いは、今後ともないはずだ。

 いや、あってはならない。


「是非、やらせてください!」


「分かった」


 笹竹さんの目は“お前を信じるぞ?”という様子で、わたしの返答に、それ以上何かを聞くことはなかった。


 風上さんも当然このオファーを断ることなく、わたし達は久々にMCとしてタッグを組むこととなった。


「お久しぶりです。よろしくお願いします」


「おお、またよろしくな!」



 『爆エン! MUSIC!』の冒頭は、フリートークだった。

 わたし達は、1週間の間にあった出来事や事件をお互いに話し、盛り上がった。

 風上さんは、トークがうまいので、話を広げるのもお手のもので、わたしはいつもナチュラルに笑わせてもらっていた。

 ブランクがあったにも関わらず、これまでずっと掛け合いをしていたかのように息も合っていて、MCはやりやすかった。


 我々の様子は、視聴者にもフレンドリーに映っていたようで、


『このコンビの掛け合い最高w』


『不倫コンビ仲良しすぎるw』


『やっぱり不倫してるwww』


 など、SNSで番組検索をすると、割と草が生えていた。


 しかし、これは音楽番組だ。

 なので、当然毎週CDやアルバムのランキングなども発表する。そして、発売されたばかりの新曲や、今注目の曲についても紹介していた。


 そして、わたし自身の曲についても、番組内で語ったり、披露させてもらったりと、わたしの中でこの番組は、とても充実していた。


 けれども、この番組は“爆エン!”でもある。

 なので、その名残りも残していて、人気コーナーや我々のスキャンダルきっかけで始まった人気企画『超! 暴露会!』を年末はやるなど、バラエティ番組要素もあった。

 それを懐かしむ、求める声もあり、わたし達もそれに応えたいという想いがあった。


 爆エン! が終わった時、わたしには音楽しかない。わたしはシンガーソングライターだ! と、音楽の旅に出たわけだが、気付けば爆エン! という今は無きはずのホームに、わたしはいた。


 番組は好調で、翌年になっても続き、『爆エン! MUSIC!』は、わたしの新たなレギュラー番組となった。




 そして、更に4月から、わたしは新たなレギュラー番組を持つこととなった。


 それは『平成お笑い同世代!』という、ワンクール限定のお笑い番組である。今注目の若手芸人を何組か集めたコント番組。


 ん? この響きはどこかで聞いたことがある。

 そう、まさにそれは、嘗ての『爆笑エンターテインメント!』だった。


「もう一度、爆エン! みたいな番組をどうしても作りたくて! 佐藤さん、爆エン! みたいな番組『また機会があれば、やってみたいです』っておっしゃってましたよね? 僕、当時ADだったんです!!」


 わたしは熱烈なオファーを受けた。

 あのお笑い愛をチェックされたドッキリ番組を見ていたのだろう。

 まさかドッキリの返答が現実になるとは……。


 これもまた運命と思い、わたしはこの番組に参加することにした。


 爆エン! が始まった時は、わたしは一人だけ10代で、一回り上の人達に混じって番組をすることになり、メンバーの中で浮いていた。

 周りもどう取り扱ったらいいか分からなかったはずだ。


 でも今回は、その名の通り“平成同世代”だ。

 他のメンバーとの年の差もあまりなく、むしろ同い年であったりと、同世代と番組ができることに、わたしはワクワクしていた。


 しかし、現場に行くと妙な緊張感があった。

 それは、あの“爆エン!”で先輩とコントをしていた人……という印象が逆についており、同世代のメンバーに、先輩扱いされていたのだ。


 これは良くない! 意味がない!!

 わたしは打ち解けるために、わたしにはタメ口で! というルールを提案した。


 最初はおろおろした様子のメンバーも、話してみたら、ジェネレーションギャップもないので、次第に友達のように仲良くなっていった。


 番組テーマソングも依頼され、わたしは『青春だ!!』を制作した。

 何歳からでも、人生は永遠に青春だ!! そんな意味を込めている。

 そして、メンバーみんなでレコーディング。はじめましてのメンバーなのに、なんだかどこか懐かしい光景に感じられた。


 佐藤美空が、再び爆エン! のような番組を若手芸人と始めるということで、『平成お笑い同世代!』は話題の番組となった。


 テレビから消え、お笑いからも離れていったように思われたわたしだったが、気付けばまた以前のようにお笑いの中にいた。



 そして、わたしは佐藤美空として『June Brideですよね宣言!』をリリース。

 あの爆エン! から誕生したお笑いアイドルユニット『爆エン! 恋のキューピット』の楽曲『ですよね宣言!』であり、セルフカバーでもあり、リメイクでもある。


 さらには、時を経て『ですよね宣言!』のアンサーソングも制作することとなった。

 その名も『あなたを愛する宣言!』である。

 それはつまり、『爆エン! 恋のキューピット』の再結成である!!


 『ですよね宣言!』は恋の曲、『あなたを愛する宣言!』は愛の曲。そんな想いを込めながらわたしは制作した。


 みんなの恋を応援する恋のキューピットは、今ここに、永遠の愛を誓う。


 爆エン! というホームは無くなってしまったものの、メンバーは集まってMV撮影をした。三栗屋さんと結婚後の共演は、まさかのここだった。


 番組がなくなっても曲をリリースという展開に、爆エン! ファンは歓喜した。

 再び爆エン! の風が吹き、わたしにとってこの番組がどれほど偉大なものだったのかを改めて思い知らされた。




 ワンクール限定の『平成お笑い同世代!』は、ラストに番組イベントを行った。


「青春だ! 青春きらり! 僕ら夢の中〜! 青春だ! 青春響け! 僕ら笑いの中〜! イェイ! なんだってやれる〜 まだまだやれる〜 僕ら平成同世代〜」


 番組テーマ曲『青春だ!!』の歌唱から始まり、ネタ披露や大喜利などイベントは大盛況だった。


 ステージ上から客席を見ると、みんなの笑顔がキラキラしていた。今の若手を応援する若い客層に、時代の移り変わりも感じた。


 そして、このイベントで『爆エン! 恋のキューピット』は、『ですよね宣言!』を歌いながらサプライズ登場!


『あなたのハートを鷲掴み! キュンキュン! ピンク担当、ももこ!』


『あなたの悲しみは、わたしが引き受けます! 青担当、そら!』


『あなたにトキメキ、元気なパワーを注入! 黄色担当、ひかり!』


『あなたに癒しをお届け! 緑担当、ふたば!』


『あなたの心をあたためます! オレンジ担当、かえで!』


 久々のこの自己紹介に、ちょっとドキドキした。

 随分と懐かしく感じる。


「あなたを愛する宣言 一生恋をしますよと あふれる想い ときめく気持ち あなたを愛する宣言〜」


 このステージで、恋のキューピットは、新曲『あなたを愛する宣言!』を歌唱した。


 爆エン! は、永遠だった……。




 わたしの新しい挑戦は、まだまだ続く!

 新曲作りや、お笑い番組をやる中、ステージイベントにも力を入れ始めていた。

 自らのプロデュースで、シンガーソングライターとしてのライブだけでなく、イベントも開催することにしたのだ。

 それが、『佐藤美空のトークライブ』と『佐藤美空の二人っきりナイト』である。


 この『佐藤美空のトークライブ』とは、佐藤美空が今もっともトークしたい方をお呼びし、様々な話を聞く90分ライブである。

 こちらには、芸人、俳優、アーティストなど、これまで話したことのない方々をお呼びし、トークを繰り広げた。


 そして、『佐藤美空の二人っきりナイト』とは、アーティストを中心に、二人っきりで、ひたすらに歌い続ける90分ライブである。

 互いの曲を歌ったり、一緒にハモったり、これまで一人で歌うことばかりだったわたしにとって、とても新鮮で刺激的なものとなった。

 二人っきりナイトは、トークライブでより仲良くなった方にお声がけすることも多く、不定期でこの2つのライブは開催されることとなった。




 再び季節が秋になる頃、27歳になるわたしは、ノートに『くるみ』という文字を書いた。


 これから来る、未来に思いを馳せながら……。

何かを始めるのに遅いことはない!

バンド始めます!?


次回、最終話!!

約半年間、ありがとうございました。

どうかしている、わたしのサクセスストーリーの最後を、是非見届けてくださいm(__)m

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