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3話 これから、町に入ります

前回からだいぶ遅れてしまい申し訳ありませんでした。

バヤンガ町に向かっている道中俺は改めてアマロさんから元々護衛として雇っていた冒険者たちのことを聞かせてもらっていた。


「いつもは冒険者ギルドに護衛の依頼を申請して、高ランクの冒険者たちを護衛として雇っていたんですよ。街道沿いは安全と言われているのですが、先程のようなこともありますし」


どうやら、この世界にはゲームなどでお馴染みの「冒険者ギルド」というものが存在するらしい。その、冒険者ギルドの主な依頼内容は人物の護衛、薬草採取、魔物討伐の3つらしい。その他にも稀にペット探しや不倫調査など生々しい依頼もあるそうだ。そして、依頼を無事に達成すれば依頼内容に見合う報酬が支払われ、依頼を失敗してしまうと違約金を支払う羽目になってしまうらしい。


「しかし、今回は不運なことに高ランクの冒険者は他の依頼に全員が出払っており、冒険者ギルドに居た冒険者たちは、低ランクの冒険者たちしか居なかったんですよ・・・」


どうやら、アマロの話によると今回は不運なことに冒険者ギルドには高ランクの冒険者はおらず、低ランクの冒険者たちを雇うしかなかったようだ。

だが、何故アマロさんは低ランクの冒険者だと知って護衛として雇っていたのだろうか・・・?


「何故、アマロさんは低ランクの冒険者だと知って護衛として雇ったのですか?」


「実は、今回護衛として雇った3人の冒険者たちはそれぞれ【剣術】【魔法】【身体強化】のスキルを持っていたため護衛として雇ったのですが・・・、まさかこんな事になるとは思いもしませんでしたよ・・・」


「なるほど、それで護衛として雇ったということですか」


アマロさんが低ランクの冒険者たちを護衛として雇った理由は、3人の冒険者たちがそれぞれ【剣術】【魔法】【身体強化】のスキルを持っていたかららしい。


そんなことを話しながら歩いていると、俺とアマロさんは魔物の襲撃に合うことも無く、無事にバヤンガ町の城門に辿り着くことができた。城門の前には、40代ぐらいと20代ぐらいの衛兵が2人立っていた。恐らく、変な輩が町に侵入しないように城門の前で見張っているのだろう。


「あれ?アマロさん、お早いお帰りで」


アマロさんが、衛兵の横を通り過ぎ町内に入って行こうとした時、衛兵のおじさんがアマロさんに話しかけた。話し掛けられた、アマロさんは流石に無視することはできず衛兵の横で足を止めた。


「いえ。実は、先程ベアー・コングに襲われてしまい商品が全て駄目になってしまい戻って来たんですよ」


「なるほど、それは大変でしたね。ところで隣に居る方は?」


「彼はハルトさんと言い、ベアー・コングに襲われていたところを救ってくださった私の命の恩人です」


「・・・どうも、ハルトです。今は旅人をしてます」


俺は衛兵のおじさんに名前を名乗った後、本当にベアー・コングを討伐した証拠を見せる為に、アマロさんの荷馬車と一緒に収納空間の中に収納しておいたベアー・コングの生首を衛兵のおじさんの前に出した。


「た・・・確かに、これはベアー・コングの首だな」


衛兵のおじさんはベアー・コングの首に驚いているのか、発している声はどこか震えていた。


「だがしかし、冒険者でも無い旅人がベアー・コングを討伐することは可能なんだろうか・・・?」


やはり、アマロさん同様この衛兵のおじさんも俺が「旅人」ということにどこか引っ掛かっているようだ。

もう1人の若い衛兵の人も「本当に旅人なのか?」と呟いていた。


「・・・・・・まぁ、世界は広いからな。ベアー・コングを討伐できる旅人がいてもおかしくないかもしれないな」


衛兵のおじさんは考えることは諦めたのか、そう結論づけた。そして、1度咳払いをし再びアマロさんの方に向き直りこう言った。


「ところで、アマロさんは護衛の冒険者は雇っていなかったのですか?普通は護衛を雇うものだと思いますが・・・」


「いえ、冒険者ギルドから3人ほど護衛として雇いましたよ」


「では、その冒険者たちは今どこに?」


「それがベアー・コングに襲撃された際に、逃げ出してしまい、残念ながら私にもそこからの動向は分からないのです」


衛兵のおじさんが、アマロさんに「護衛の冒険者は雇わなかったのか?」と尋ねるとアマロさんは、素直に衛兵のおじさんに3人の冒険者を雇ったことを話した。

アマロさんの話しを聞いていた2人の衛兵の表情どこか険しい表情に変わっていた。


「アマロさん、その3人の名前は分かりますか?」


「確か、ミヤ、ハマ、ナベと言う名前でした。それぞれ、【剣術】【魔法】【身体強化】のスキルも持っていましたね」


「なるほど、分かりました。こちらから、冒険者ギルドに話しを通しその3人を緊急に指名手配しますね」


「はい、お願いします」


「・・・・・・えっ、指名手配!?」


衛兵のおじさんの口から飛び出た「指名手配」と言う単語に俺は思わず大声を出してしまった。


「うん?どうしましたかハルトさん、いきなり大声を出して?」


「えっ・・・いや・・・、なぜ指名手配を?」


「この国では、人命に関わる依頼を勝手に放棄するのは犯罪になるんだ。もし冒険者になるのなら君も気をつけろよ」


「な・・・なるほど。肝に銘じときます」


どうやら、この国では人命に関わる依頼を勝手に放棄してしまうと犯罪者となってしまい指名手配されてしまうらしい。確かに、アマロさんだって俺が助けるのがあと1歩遅れていたら命を落としていた可能性もあるしな。当然と言えば当然か。


「では、その3名が見つかり次第改めてご連絡しますね」


「はい、お願いします」


衛兵のおじさんがアマロさんにそう言った後、俺はアマロさんに続いてバヤンガ町に入って行った。

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