11話 これから、ギルド長と話します
これで、第1章は完結です。
次回は第1章に登場したキャラ紹介を投稿して第2章の王都編に行きたいと思います。
俺はリナさんに案内され、受付けの横にある階段を上がって行った。すると、リナさんは2階の突き当たりにある部屋の前で足を止めた。どうやら、この部屋の中にこの冒険者ギルドのギルド長がいるようだ。
それにしても、ギルド長とはどんな人なんだろうか?
やっぱり、お年を召したご老人なんだろうか?
それとも、筋骨隆々の冒険者みたいな人なんだろうか?
俺がそんな事を考えている間に、リナさんが部屋の扉を数回ノックした。すると、部屋の中から「どうぞ」と言う声が聞こえてきた。それに対して、リナさんは「入ります」と言い部屋の中に入って行った。
「ギルド長。ハルトくんを連れて来ました」
「そう。ありがとねリナちゃん。もう、仕事に戻っても大丈夫よ」
「はい。失礼します」
リナさんの後に続き部屋に入ると、ギルド長と思わし人が俺たちに背中を向けて座っていた。リナさんかギルド長に俺のことを連れてきたと言うとギルド長は椅子を回転させ振り返った。
俺は振り返ったギルド長の顔を見て驚きを隠せなかった。ギルド長はお年を召したご老人でも無く、筋骨隆々の冒険者みたいな人でも無く、高身長でグラマーな体型をしている妖艶な大人の女性だった。
ギルド長が女性だった事に驚いている俺の横をリナさんが通り、部屋から出て行ってしまった。
「さぁ、緊張せずにそこのソファに座ってハルトちゃん」
「ハ・・・ハルトちゃん?」
「あら、駄目だったかしら?可愛くっていいと思ったのだけど・・・」
「えっ、いや、別に大丈夫ですけど」
「なら、良かったわ」
生まれて初めて女性に「ちゃん」呼びをされ俺はかなり動揺してしまった。若干ギルド長からの圧のようなものをかけられ「ちゃん」呼びを認めながら対面式になっているソファに座った。
「そ・・・それで、何故俺はこの場に呼び出されたのでしょうか?」
「そんなこと、わざわざ答えなくってもハルトちゃんなら分かるはずよ」
「・・・・・・もしかして、俺のステータスのことですか?」
「えぇ。あたりよ」
どうやら、俺がギルド長に呼び出された理由は俺のステータスが原因だったようだ。
「そ・・・そんなに、俺のステータスは異常なんですか?」
「えぇ。はっきり言って貴方のステータスは異常なのよ」
「い・・・異常ですか」
「えぇ。まずどこが異常かと言うとリナちゃんは気付いていなかったみたいだけど魔力値と体力値が異常ね」
「魔力値と体力値ですか・・・」
「えぇ、そうよ」
ギルド長が俺のステータスで異常だと感じたのは収納空間とゲートのスキルでは無く魔力値と体力値だった。確かに、魔力値と体力値の平均はそれぞれ5000と4500だがそんなに高い分類に入るんだろうか・・・。
「え・・・えーと、この魔力値と体力値は結構高い分類に入るんでしょうか?」
「えぇ。入るどころか有り得ないぐらい高いわ」
「えっ・・・そんなに高いんですか!?」
「えぇ。確かに魔力値と体力値の平均値は3500と3000と言われているけどこのギルドに所属している僕のヒーローアカデミアたちの平均はそれ以下なのよ」
どうやら、魔力値5000と体力値4500と言う数値は俺が考える以上に高い数値らしい。それにしても、大体の冒険者の魔力値と体力値が平均以下とは思いもしなかったな。
俺がそんな事を考えている中ギルド長は更に話を進めて行った。
「これは、リナちゃんも言っていたかもしれないことなんだけどスキルの数も異常なのよね。大体の冒険者のスキルの数は2つから3つなのよ。でも、ハルトちゃんはそれより多い5つ。しかも、そのうちの2つはレアスキルと呼ばれている収納空間とゲート。一体、ハルトちゃんは何者なの・・・?」
ギルド長は特に話を濁すこと無く、真っ直ぐに俺の目を見てそう聞いてきた。正直言ってギルド長とは初対面だが本当のことを話しても大丈夫なような気はするけど、流石に「神様の手違いによって殺されて、この世界に転生してきました」と言っても信じてはくれないだろう。
「えーと、これはリナさんにも言ったことなんですが俺はただのしがない旅人ですよ」
「た・・・旅人?」
「はい。旅人です」
その為、流石に「異世界からの転生者」とは言えない為、俺は何度も使っている「旅人」と言う設定で話を進めることにした。
「旅人って・・・。それだけじゃ、何一つ説明することができないんだけど・・・」
「説明って言っても・・・。俺の魔力値と体力値が高いのもスキルの数が多いのもただ運が良かったとしか言えないんですけど・・・」
「・・・確かに、ハルトくんの言う通りね。魔力値と体力値とスキルは生まれた時に全て決まることだから運が良かったとしか言えなわね」
何とか、「旅人」と言う設定が話を進められているがどこかギルド長はまだ俺のことを疑っているように見える。
ここは、早く話を切り上げてこの部屋から出て行った方がよさそうだな・・・。
「あ・・・あのー、まだ俺のステータスに関して気になることはあると思うんですけど、仲間が近くの喫茶店で待っているので、もうそろそろよろしいでしょうか?」
「・・・・・・分かった。確かに、ハルトちゃんのステータスについてはまだ聞きたいことはあるけど、それはまた別の機会にするわ」
「はい、ありがとうございます。それでは、失礼します」
「えぇ。また、色々と話しましょうねハルトちゃん」
「は・・・はい」
ギルド長にそう言われながら、俺は部屋を後にしエリスとシリリアの2人が待っている喫茶店「オレンジ」に向かった。
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