1話 これから、転生します
「いきなりですが、貴方は死んでしまいました。本当に申し訳ありませんでした!!」
「は・・・はぁ」
俺の目の前には、深々と頭を下げている金髪の女性が居た。そんな女性の背後には今まで見たことも無い神秘的な景色が広がっていた。だがそんな神秘的な景色に反して、今俺が座っているのは1枚の座布団の上だった。座布団に座っている俺の前にはレトロなちゃぶ台が1台置かれていた。
そして、目の前に居るこの女性はなんと神様らしい。神様と言っても本人が言っているだけで何の証拠も無いがこの状況からして嘘をついている訳ではないだろう。そんな、神様が言うには俺は神様たちが管理している「寿命の蝋燭」というものを間違えで消されてしまい死んでしまったらしい。
確かに微かに残っている記憶を辿って行ってみると、学校が終わりいつもの様に家路をたどっていると突然心臓に痛みを感じそのまま地面に倒れてしまった。
「今までこんなミスは無かったのですが、今回寿命の蝋燭を担当した神は新人だった者で確認を怠ってしまったらしく、本当に申し訳ありませんでした」
「なるほど。俺は神様のミスで死んだわけですか・・・。そうなると、ここは天国ということになるんでしょうか?」
「いえ、天国ではありません。ここは、天国より上にある神たちが住む場所天界です。本当は人間が来れる場所では無いんですが、今回はこちら側のミスの為水篠晴人さん貴方の魂を天国から連れ戻したのです」
「なるほど」
俺は一応死んでも天国に行くことはできるんだなぁ・・・
と思いながら神様の話を聞いていた。
「それで、俺はこれからどうなるんでしょうか?まさか、このまま天界で暮らすとか・・・?」
「いえ、天界には神だけしか暮らすことができないので、貴方には別の世界で生き返って貰うことになります」
「それって、元の世界では生き返ることはできないんですか?」
「・・・はい、1度死んでしまった人間を元の世界で生き返らせることは天界のルールで禁じられているのです」
「なるほど、それで別の世界でと・・・」
「はい、こちらの都合で本当に申し訳ありません」
俺はこのままこの天界で生きて行くことになるのか?
と思いながら神様に質問をしてみると、神様は別の世界で生き返らせることになると返答してくれた。
俺はそれに対して元の世界で生き返ることはできないのか?
と思い再び神様に質問をしてみた。すると、神様は天界のルールで1度死んだ人間は元の世界では生き返らせることはできないと言った。
「なるほど。それで、俺がこれから生き返る世界はどんなところなんですか?」
「えーと、文明とかは君が元いた世界と比べると少し劣っているけど、魔法とかの文明は発達している世界ですね」
「魔法?ってことは、俺もその世界に行けば魔法が使えるようになるんですか?」
神様が言うには、俺がこれから生き返ることになる世界の文明は俺がいた地球と比べて結構劣ってるらしいが魔法などの文明は結構発達しているらしい。
魔法が発達しているということは、俺にも魔法が使えるんだろうか・・・。だとしたら、少し楽しみだな。
「魔法ですか・・・。それは、貴方の特典次第ですね」
「特典?」
「はい、これから貴方には特典を選んで貰います」
「それって、どう選ぶんですか?」
「特典は、これで選んで貰います」
神様は空中に手をかざすと、俺の目の前に100枚近いカードがズラリと並んだ。全てのカードが裏側を向いているため、どんな特典があるかどうかは不明だが、恐らく大体の物が役に立つものだろう。
「これって、どれぐらい選ぶことができるんでしょうか?」
「はい。通常は5枚選ぶことができるんですが、今回はこちら側のミスの為特別に10枚選ぶことができます」
「じゅ・・・、10枚?そんな、選んでいいんですか?」
「はい、先程も言いましたが貴方が死んでしまったのはこちら側のミスなので、せめての償いとして15枚選べるようにしました」
通常このカードは5枚しか選ぶことは出来ないらしいが、なんと俺は10枚も選ぶことができるらしい。なんとも太っ腹なんだろうか・・・。
「それでは、ご自由にお選び下さい」
「分かりました」
俺は神様に促されながら、考えること無く次々と空中に浮かんでいるカードを選んでいった。
そして、考えること無く選んだお陰かカードを選んだ時間は僅か5分程度だった。
「えーと、取り敢えず選び終わりました」
「はい、では1枚目から発表していきますね」
神様はそう言い、俺が選んだ10枚のカードを読み上げていった。俺が選んだ10枚のカードは、以下の通りだった。
1つ目 身体強化
2つ目 超回復
3つ目 錬金
4つ目 鑑定
5つ目 収納空間
6つ目 魔法
7つ目 ゲート
8つ目 剣士
9つ目 世界地図
10つ目 サーチ
何枚かは使い道は分からない特典はあるが、自分でも結構良い特典を引いたと思ってる。
「おぉー!これは、大当たりですね!」
「そうなんですか?」
「はい。収納空間とゲートはレアスキルに分類されてます」
「なるほど」
まだ、収納空間は名前からしてどんな特典なのかは分かるけど、ゲートはどんな特典なんだろうか・・・。
うーん、まぁ、そこら辺のことは生き返ってから試してみるか。
「それでは、特典も選び終わったことですし、そろそろ生き返らせますね」
「はい、色々とお世話になりました」
「いえ、元を言えばこちらの失態ですので」
神様はそう言うと、俺の頭に軽く手をかざした。すると、俺の身体は暖かな薄い光に包まれた。
「こ・・・これは?」
「安心してください、この光は貴方を生き返らせる神々の光ですので」
「なるほど」
「ではこれで」
神様のこの言葉を最後に、俺の意識はフッと途絶えのだった。