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ノンシリーズ ミステリー短編

『小説家になろう』に投稿している作品の感想に名無しの奴から無味乾燥な言葉が届いたから、誰が犯人か推理してみる

作者: 髙橋朔也

 あらすじでも書きましたが、本作はフィクションです。ご注意ください。

 俺はとある潰れかけた古本屋でアルバイトとして働く剣崎(けんざき)(ごう)(25歳)。幼い頃から本が好きで、小学校四年生で小説の執筆を始める。中学三年生で小説投稿サイト『小説家になろう』の存在を知り、高校受験に合格してから『通称・なろう』で執筆活動を開始する。スタートから二ヶ月で、ある作品のブックマークが100を超えて底辺作家を卒業。現在なろうでの執筆活動は五ヶ月を過ぎ、出版社から書籍化の話しが来ないか待ち続けている。

 そんな俺には同棲する彼女がいる。彼女は俺と違ってアルバイトではなく、ちゃんとした定職に就いている。顔良し頭悪しスタイル良しの三拍子そろっている(二拍子かー)彼女は、俺の唯一の心の()り所だ。交際して、もう三年になる。結婚はしたいが、俺には勇気がない。親にもまだ紹介出来てない。なのに怒ることのない彼女の器の大きさに、毎度助けられている。

 古本屋でのアルバイトを終えた俺は、彼女が全額家賃を払うマンションの一室に帰る。彼女と別れたら、親に嫌われている俺は住所不定のフリーターになるのか。

「ただいま──って、誰もいないが」

「お帰りなさい!」

 返事が返ってきたから驚いた。さきほど説明した、俺と同棲している彼女・間宮清花(まみやさやか)(24歳)だ。

「あれ、今日仕事は?」

「今日は付き合い始めて三年と一ヶ月記念日だから、豪のために早く仕事を切り上げてきたんだ~」

 女というのは、記念日をやたらと作りたがる。一ヶ月刻みに交際してから〇〇記念日なんて、男のことも考えろよ。が、可愛いから許す。

「そうか、覚えてたのか」

「うん。豪も覚えてたんだね」

 俺は覚えてない。嘘だ。

「おっと、今日の分の小説をまだなろうに投稿してない!」

 俺は連載小説を投稿していて、毎日二話(一話が二千文字)投稿をモットーとしている。早速スマートフォンを取り出し、スライドさせてなろうのホームを開く。すると、赤字で『感想が書かれました』と表情されていた。その文字を見ると、口元が緩む。だが、まずは投稿だ。連載小説を二話投稿し、安堵のため息をもらす。

 胸を撫で下ろしてから、どんな感想か確かめる。すると、今投稿したばかりの連載小説に届いた感想だと知った。その感想の内容は、良い点の部分に『ない。』とだけ記されていた。

 感想は制限無しにしてあり、この感想はログインしてない状態で書かれたものだ。名前のところには『空白』とある。

「どうしたの、豪?」

「うん。こんな感想は初めてだ」

 清花にも、感想のことを大まかに話した。

「やっぱり、ネットって怖いね」

「......」

「どした?」

「ムカつく」

 俺は腹が立った。PVを見る限り、まったく読んでないのに感想を書いた感じだ。誰か突き止めて、運営に報告してやる。

「俺は『空白』を探す!」

 清花に宣言した。

「どうやって?」

「なろうは、ユーザーの名前の検索も出来るんだ」

 普通は『名無し』とか『名無しさん』にするが、『空白』は珍しい。もしかすると、こいつが本来使っているIDのユーザー名と関係しているかもしれない。俺は『(そら)』とか『(しろ)』で検索してみた。だが、該当者はいない。どうしたものか......。

「ほら、もう諦めて晩ご飯食べようよ」

 清花が急かす。俺は必死になって考え、もしかするかもしれないと確信した。

「まあ、晩ご飯食うか」

「うん!」

「今日の晩ご飯は?」

「カレーだよ!」

 俺はテーブルに並べられたカレーと白飯を口の中に掻っ込む。清花は料理がうまいな......いや、ゴミ箱にレトルトカレーの袋が捨ててある。


 清花が風呂に入っている間に、スマートフォンをいじって犯人を発見した。でも、犯人のやりたくなる気持ちは良くわかる。ここは、気づかないフリをして犯人の望み通りになろう。

 犯人は清花である。俺は、小説家になろうをやるときは夢中になって清花との会話はしなくなる。清花はそれが嫌だから、執筆活動で心を折らせるために感想で『ない。』と書いたのだろう。清花は几帳面だから、感想で句点を使ってしまっていた。また、機械音痴だから名前を書く欄に『  (空白)』を入れたが駄目だったのだと思う。だから、漢字で『空白』と打ったんだ。考えれば単純な話しだ。

 すると、後ろから気配を感じる。振り返ると清花がいた。

「清花!」

 ちなみに、俺は清花のスマートフォンをいじって犯人かどうか確かめている最中だった。清花はもう風呂から上がったのか。

「私のスマホ!」

「ご、誤解だ!! 信じてくれ!」

 一瞬で間を詰められ、腹に衝撃を感じる。腹にワンパンで、数メートル吹っ飛んだ。その夜、この家の中はめちゃくちゃ荒れた。でも、別れはしなかった。俺が広大な心で清花を許してやった。それから俺達が結婚したかしないかは、また別の話。

 今回の短編の主人公である剣崎が底辺作家を卒業しているなんて驚きですよ((((゜д゜;))))!

 すごく悔しいですね!! 私も底辺作家を卒業出来るように頑張らねば......。

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