第二章 「正夢」
第二章 「正夢」
早朝、昨夜見た夢の女性の事を考えながら仕事へいく支度をした。
「それにしても美しかった……」
そんな事を考えながら職場へ行った。
夕方になり同僚の
「圭司」が話しかけてきた。
「先輩! いい店見つけたから飲みに行きません?」
別に断る理由もなくOKし、店へ向かう事になった。
圭司は一軒のバーの前で立ち止まると話し出した。
「この店なんか感じいいんすよね〜 さっ!先輩入りましょう。」
取り敢えず店へ入る事にした。
店は確かに圭司の言う通りキレイで、居心地の良い店だった。
「ん!?この店は夢の中の……」
カウンター席には夢の中でみた男性が座っていた。
空いていた隣の席に座る。
「まさか…あの女性に会えるのでは!!」
胸が高鳴っていた。
「先輩!!どうしたんですか? 」
「いや、別に…… いい店だなって思っていた、だけだよ。」
「なら良かったです。 気に入って貰えて嬉しいです。」
圭司は楽しげだった。
俺に至っては圭司の何倍、いや、何十倍 楽しげに見えたのだろうか……
暫くすると店のドアが開いた。
「カラァン… 今時めずらしいドアベル… 」
それと同時に一人の女性が入って来た。
が、残念ながら日本人の女性であった。
「なんだ… 違うのかぁ… 期待を裏切られた。」
でも、ここまで夢の中と同じなら期待して当然である。
しかし…… 女性は隣の男性の元へ歩き出す。
「行動が似ている……」
女性は男性の耳元で何か話している。
が、次の瞬間!!
彼女が持っていたカバンからキラリと光る物が見えた。
「な、ナイフだ!!」
女性は、カバンからナイフを取り出し突き刺そうとした。
一部始終を見ていた俺は、間一髪の所で止めに入った。
「シーン……」
辺りは静まり返った。
女性を取り押さえた俺は震えていた。
自分が取った行動が怖かったからだ、 ナイフを持つ人間を前に怖い訳がない。
少しすると誰が呼んだのか、すぐに警察が来た、 警察に色々聞かれた俺は、くたくたになった。
とんだ災難だ……。
圭司は、俺の事を待っててくれた様で署のロビーに佇んでいた。
「先輩!すみません… 僕があの店に誘ったせいで…」
「いや、圭司のせいじゃないよ。」
俺は落ち込んでる圭司の肩を叩き優しく言った。
「今日は、疲れたから帰ろうか。」
「はい、分かりました。」
圭司と別れ、俺は自分の家へと向かった…。
第二章 「正夢」
完