ぼくのさがしもの
目がさめたらぼくだけだった。
なにもないところに、きのうまでいっしょにいた人のかげすらなかった。
「おはよう」そういってもだれもこたえてはくれない。
クリスマスの日のあさ、ぼくは孤独をあたえられた。
きせつはふゆ、ぼくのいたとこには みなれない大人がきてこういった。
「かわいそうに、よりにもよってクリスマスの日にすてられるとは」
ぼくは すてられた子。
みんながプレゼントをもらう日に、ぼくは すてられた。
まるでいらない つつみ紙 みたいに。
あの日から近くにすんでいたおねえさんがぼくを助けてくれる。
「どうしたの?おなかすいてる?ごはんいっしょにたべよう」
みすてられたぼくに声をかけてくれるお姉さん。
ぼくはまだ一人ではなにもできないからお姉さんに助けてもらった。
でもぼくにはお金もなければたよる人もいない。
ずっとあまえたままじゃお姉さんにわるいと思うんだ。
なんとかしてお母さんをみつけなくちゃ!
そう、ぼくにはお母さんがいる。
こないだまでいっしょにいたおじさんがいっていた。
「おまえのお母さんはすごくやさしくて、すてきな人なんだ」と。
でも、ぼくのそばにいないのにやさしいっていわれてもわかんなかった。
ぼくのお母さんは赤いふくをきていた。
そんな写真をみせてもらったことがある。
そうだ、赤いふくを目印にさがそう。
きっとどこかでお母さんにあえるかもしれない。
ぼくは あてもなくテクテクとあるいた。
ゆきがふって、口をあけたら すぐとけちゃってつまらないや。
わたがしみたいにあまければいいのに。
おなかがすいたけど、学校は休みだからごはんはもらえない。
それよりお母さんをさがさなきゃ!
テクテクとあるいてあるいて 歩きつかれたころ
どこかでみなれたところにやってきた。
ここは!お母さんとよくいたところだ!
「お母さーん、お母さーーんっ」
こえをあげてもお母さんはこなかった。
ぼくはないた。声がかれるまでないた。
お母さんとはぐれてもおじさんがいっしょにいてくれたからさみしくなかった。
でもそのおじさんもいない。
ぼくは ひとりぼっちだ。
「お母さんっ、さみしいよー。おかあさーんっ」
ないても、さけんでも、だれもでてきてくれない。
お母さんも、おじさんも。
あしがつめたい。
ゆきがふりつもって からだがつめたくて もっと悲しくなる。
ここにいても だれもでてこないのに
ぼくには帰るばしょなんてどこにもないんだ。
きのうまでいたところならお姉さんがたすけてくれたのに。
でも帰りかたもわすれちゃった。
あそこだったら、あったかくて、やさしいお姉さんのそばにいれたのに。
お姉さんにあいたいよぅ。やさしいお姉さんのそばにいたいよぅ。
かなしくなって、さみしくなって きづけばお姉さんをよんでいた。
「おねえさーん、おねえさーん」
ないてもきてくれないってわかってるけど お姉さんのそばにいたかった。
「おねえさーん、おねえさーん」
ないて、なきつかれて、しろい雪がおちてこないところでぼくはまるくなった。
ぼくはさみしかった。きっとここでしんじゃうんだっておもった。
だって、もう おおきな声もでない。おなかもすいた。
帰る場所もわかんないこんなところでしんじゃうんだって。
いままでお姉さんにありがとうっていえずにしんじゃうんだって。
「お姉さん、いままでありがとう」
「たくさんごはんありがとう」
「やさしくしてくれてありがとう」
お姉さんにありがとうっていっていたら
「さんちゃん!」ってお姉さんの声がきこえた。
ゆめなのかもしれない。
「お姉さん、たくさんありがとう」
そういったら あたたかい手がぼくをつつんだ。
てんごくってあったかいところなのかな。
そうおもっていたら
「さんちゃんっ やっとみつけた!」
そういってぼくをつつんでくれたのはお姉さんだった。
ぼくをだきかかえて、しらないおじいちゃんのおうちにつれてかれて
おしりにへんなのさしこまれて、ちくんってされた。
「あたためてあげたらだいじょうぶですよ」
おじいちゃんがいってた。
「さんちゃん、よかったねぇ」
お姉さんがぼくをのぞきこんであたまをなでてくれた。
ぼくは またお姉さんに助けてもらった。
あれからぼくはお姉さんのおへやにすんでる。
だれかのそばにいるのが しあわせなんだっておもった。
ぼくのさがしものは お姉さんのそばにあった。
ぼくのしあわせは お姉さんからのおくりものだった。
ぼく について
ぼくは 捨てられたネコです。
お隣のおねえさんに連れられておじぃちゃん先生に
体温計をお尻にいれられて、ちくんとする注射されて
いまは、おねえさんのお部屋で住んでいます。
しあわせは おねえさんのそばでヌクヌクとしていることです。
登場人物の説明や、ひらがなが多すぎて分かりにくいとの事でしたので
時間を見つけてなおしていきます。
余談で言うと、クリスマスなのでサンタのサンちゃんと名付けました。