表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ぼくのさがしもの

作者: 貴嶋 司

 目がさめたらぼくだけだった。

 なにもないところに、きのうまでいっしょにいた人のかげすらなかった。


「おはよう」そういってもだれもこたえてはくれない。

 クリスマスの日のあさ、ぼくは孤独(こどく)をあたえられた。


 きせつはふゆ、ぼくのいたとこには みなれない大人がきてこういった。

「かわいそうに、よりにもよってクリスマスの日にすてられるとは」


 ぼくは すてられた子。

 みんながプレゼントをもらう日に、ぼくは すてられた。

 まるでいらない つつみ紙 みたいに。



 あの日から近くにすんでいたおねえさんがぼくを助けてくれる。


「どうしたの?おなかすいてる?ごはんいっしょにたべよう」


 みすてられたぼくに声をかけてくれるお姉さん。

 ぼくはまだ一人ではなにもできないからお姉さんに助けてもらった。


 でもぼくにはお金もなければたよる人もいない。


 ずっとあまえたままじゃお姉さんにわるいと思うんだ。

 なんとかしてお母さんをみつけなくちゃ!


 そう、ぼくにはお母さんがいる。

 こないだまでいっしょにいたおじさんがいっていた。


「おまえのお母さんはすごくやさしくて、すてきな人なんだ」と。


 でも、ぼくのそばにいないのにやさしいっていわれてもわかんなかった。


 ぼくのお母さんは赤いふくをきていた。

 そんな写真をみせてもらったことがある。


 そうだ、赤いふくを目印にさがそう。

 きっとどこかでお母さんにあえるかもしれない。


 ぼくは あてもなくテクテクとあるいた。


 ゆきがふって、口をあけたら すぐとけちゃってつまらないや。

 わたがしみたいにあまければいいのに。


 おなかがすいたけど、学校は休みだからごはんはもらえない。


 それよりお母さんをさがさなきゃ!



 テクテクとあるいてあるいて 歩きつかれたころ

 どこかでみなれたところにやってきた。


 ここは!お母さんとよくいたところだ!

「お母さーん、お母さーーんっ」

 こえをあげてもお母さんはこなかった。


 ぼくはないた。声がかれるまでないた。

 お母さんとはぐれてもおじさんがいっしょにいてくれたからさみしくなかった。

 でもそのおじさんもいない。



 ぼくは ひとりぼっちだ。



「お母さんっ、さみしいよー。おかあさーんっ」


 ないても、さけんでも、だれもでてきてくれない。

 お母さんも、おじさんも。


 あしがつめたい。

 ゆきがふりつもって からだがつめたくて もっと悲しくなる。


 ここにいても だれもでてこないのに

 ぼくには帰るばしょなんてどこにもないんだ。


 きのうまでいたところならお姉さんがたすけてくれたのに。

 でも帰りかたもわすれちゃった。


 あそこだったら、あったかくて、やさしいお姉さんのそばにいれたのに。

 お姉さんにあいたいよぅ。やさしいお姉さんのそばにいたいよぅ。


 かなしくなって、さみしくなって きづけばお姉さんをよんでいた。



「おねえさーん、おねえさーん」



 ないてもきてくれないってわかってるけど お姉さんのそばにいたかった。



「おねえさーん、おねえさーん」



 ないて、なきつかれて、しろい雪がおちてこないところでぼくはまるくなった。


 ぼくはさみしかった。きっとここでしんじゃうんだっておもった。

 だって、もう おおきな声もでない。おなかもすいた。


 帰る場所もわかんないこんなところでしんじゃうんだって。

 いままでお姉さんにありがとうっていえずにしんじゃうんだって。



「お姉さん、いままでありがとう」


「たくさんごはんありがとう」


「やさしくしてくれてありがとう」


 お姉さんにありがとうっていっていたら


「さんちゃん!」ってお姉さんの声がきこえた。


 ゆめなのかもしれない。



「お姉さん、たくさんありがとう」



 そういったら あたたかい手がぼくをつつんだ。

 てんごくってあったかいところなのかな。

 そうおもっていたら


「さんちゃんっ やっとみつけた!」


 そういってぼくをつつんでくれたのはお姉さんだった。 


 ぼくをだきかかえて、しらないおじいちゃんのおうちにつれてかれて

 おしりにへんなのさしこまれて、ちくんってされた。


「あたためてあげたらだいじょうぶですよ」

 おじいちゃんがいってた。


「さんちゃん、よかったねぇ」

 お姉さんがぼくをのぞきこんであたまをなでてくれた。


 ぼくは またお姉さんに助けてもらった。




 あれからぼくはお姉さんのおへやにすんでる。

 だれかのそばにいるのが しあわせなんだっておもった。



 ぼくのさがしものは お姉さんのそばにあった。 


 ぼくのしあわせは お姉さんからのおくりものだった。


ぼく について


ぼくは 捨てられたネコです。

お隣のおねえさんに連れられておじぃちゃん先生に

体温計をお尻にいれられて、ちくんとする注射されて

いまは、おねえさんのお部屋で住んでいます。


しあわせは おねえさんのそばでヌクヌクとしていることです。


登場人物の説明や、ひらがなが多すぎて分かりにくいとの事でしたので

時間を見つけてなおしていきます。


余談で言うと、クリスマスなのでサンタのサンちゃんと名付けました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] にゃんこでしたか! 優しいお姉さんに引き取られて良かったですね。
2023/04/30 15:39 退会済み
管理
[一言] ネタバレありの感想です。未読の方はご注意ください。 しっかり叙述トリックにやられてしまいました。一人称の語りは全部信じてはいけないのに、すぐに騙されてしまいます。そして騙されるのが好きです…
[一言] 小さな男の子のお話にしては何かおかしいなと思って読んでいたら、なるほど、僕は猫ちゃんだったのですね。 それなら納得です。 小さいうちに突然捨てられたらビックリですよね。 それもクリスマス。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ