いつかの私へ。あるいは今の私へ。
もう後悔したくありません。
空が泣いている。
鱗みたいな空が割れた。
太陽は少しだけ顔を覗かせたけど、涙は全然とまらない。
少し覗いた太陽がつくり笑いのように見えて、昔のあの子と重なった。
私がどんなに手を伸ばしても。
あの子の顔には触れられない。あの子の涙は拭えない。
……ああ、虚しいな。虚空を握った掌が。
もっとしっかり、触れたかったんだ。
触れて、なにか言葉を紡いで、それであの子の涙を止めたかったんだ。
……でも、今の私には届かない。
時間の壁が厚すぎるんだ。
でもさ、君ならさ、五年前のあの日、言えるんだ。
泣くなって。私がいるって。
そっと手を掴めるんだ。
五年後に後悔したくないだろう?
将来ずっと後悔したくないだろう?
君が今、なけなしの勇気を振り絞ってさ、手を伸ばせ!
そしたらきっと未来が変わる。
今の私はこれから勇気を振り絞るよ。
未来の私が後悔しないために。
君は私みたいに後悔してはいけない。
とどけ、五年前の私に。
進め、今の私。
読んでいただきありがとうございます。