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開発部

自己紹介から数分後。

優紀から『午前は自由行動』と言われており、各々好きなことをして過ごすことになった。

と言っても、優紀はクララが提出した書類を出してこなければならないので、そのために午前中は自由行動となっているのだ。

午後からは訓練だと言われており、その間に色々するといいよとも言われた。

カラナは午前中は自由行動だと聞くなり、どこかへと行ってしまった。

今、第四班の部隊部屋に残っているのはソファにポツンと座り込んでいるクララ、その対面のソファに満面の笑みを浮かべながら、クララを見ている紗彩。

そして、一つの横長ソファを寝そべって陣取っている、クララの教育係だという脩太のみである。

脩太はあの自己紹介後、再びソファに寝そべってしまったのだ。

何か困ったことがあれば、脩太に聞けばいいのだろうが、クララはこの人に聞いていいのだろうかと思ってしまう。


「クララ、何か聞きたいことはある? 脩太コイツはメンドくさがりだから、適当に答えるかもしれないし」


後輩ができた嬉しさからか、ぜひ頼ってほしいというオーラが滲み出ている。

そのオーラにクララは苦笑いを浮かべるしかないが、後輩ができた時の嬉しさはわからないわけでもない。

そして、紗彩の言葉に反応してなのか、ソファに埋もれていた顔を横に向けて、二人を見る脩太。


「失礼な。最低限のことくらいは教えるっての」

「最低限でしょ? アンタの場合、適当に言って終わらせそうだもの」

「最低限は教えるって言ってるだろ」


脩太は少し不機嫌そうに眉をひそめながら言う。

とはいうものの、クララは紗彩の言葉に確かにそうかも、と共感する。

何せ、会った時からこの態度だ。

それも「死なない程度に頑張ればいい」で教育を修了しようとしたほどなのだから、余計にだ。


「じゃあ、やってみなさいよ。私は何も言わないから」

「よし、任せろ。俺がやる気を出せば、できるんだって見せてやるよ。戦闘以外もできること教えてやる」

「はいはい……」

「バカにしてるだろ」


適当にあしらわれたことに再び眉を顰める脩太。

だが、そんな紗彩の反応もすぐに無視し、立ち上がってクララへと近づく。


「行くぞ」

「え? 行くって、どこに……」

「施設を案内してやる。どこに何があるかわからないと困るだろ?」

「あ、ハイ! お願いします、脩太先輩!」


クララはせっかくやる気を出してくれたのだから、と思い、笑顔で立ち上がる。

脩太はクララを一瞥してから、部屋を出ていき、すぐさまクララはその後についていく。

そして、部屋にポツンと一人取り残された紗彩。


「……待ちなさいよ! 私も行くわ。アンタだけじゃ、頼りないから!」


そういって立ち上がり、紗彩もすぐに部屋を飛び出していく。

結果、三人で廊下を歩いており、すれ違う人達は珍しそうな目で脩太を見ていた。


「脩太が紗彩に引きずられずに歩いてるぞ……!?」

「嘘だろ……!?」

「アイツ、飯とトイレと風呂と戦闘の時以外は紗彩に連れ回されてるばかりなのに」


この先輩、どこまでメンドくさがりなんだろうか、と感じてしまうクララ。

更に今の言い方からすれば、常に脩太と紗彩は一緒なんだろうと思う。


―――思えば、朝も紗彩先輩に連れられてきていたな……。


同期だからなのか、紗彩が面倒見がいいのかはわからないが、よく毎日同じことができるものだ。

クララも人助けをいつもしているために、人のことは言えないのだが。

脩太の後についていく様に歩いている間に紗彩と色々な会話をしていた。

他愛ない世間話だが、それでも女性同士ということで話は盛り上がる。

その間に一つの部屋に脩太が入り、クララもそれに続く。

中に入ると、広い部屋に長いテーブルと椅子がたくさん置かれている食堂へと辿り着く。


「ここが食堂だ。まぁ、来る途中で見かけただろうから、わかってるかもしれねぇけど」

「そうですね。だけど、まだ中に入ったことはなかったので、来れてよかったです」

「そうか。まぁ、小腹が空いたりした時に来るのもいいし、三食きっちりだけでも大丈夫だ」


適当に言うのではないのだろうかと思われたが、意外とそんなことはなく、しっかりと説明してくれる脩太。

それを珍しそうに見る紗彩。


「アンタがちゃんと教えるなんてね……。今日は槍の雨でも降るのかしら?」

「それくらいできるって言ってんだろ。だから、お前はどこか行けよ」

「嫌よ。アンタをしっかりと見張ってないといけないし、クララとも親睦を深めたいしね」

「お前は俺の母親か」

「代わりみたいなもんよ。昔からそうでしょ?」

「確かに昔からだが、母親代わりはないだろ」

「え? 二人は元々友達だったんですか?」


それなら、同期だろうと面倒を見ているのは納得がいく。

それでも、面倒見は良すぎな気はするが。

今の発言が少し気になったので、思わず聞き返してしまう。


「まぁね。脩太とは長い付き合いよ」

「まぁ、幼馴染っていう奴だな」

「なるほど」


ということは脩太の親からにでも、面倒を見てもらう様頼まれたのだろうと考える。

それなら、紗彩が脩太の面倒を見ているのも納得がいくかもしれない。


「それって、親に頼まれたんですか?」

「あ~……いや、そうじゃないのよ。私個人が勝手にやってるっていうか」


何処か、歯切れの悪そうにしている紗彩に首を傾げてしまう。

まるでどういうべきか迷っているかの様だ。

それを見てか、脩太は頭を掻きながら、ため息をついて、クララを見る。


「俺と紗彩は孤児なんだよ。同じ孤児院で育ってな。歳が同じっつうことでよく遊んでた仲なんだよ」

「あ……その……」

「気にするな。知らなかったんだからな。紗彩もちゃんと言えばいいんだよ。何、歯切れが悪そうにしてんだよ」

「だって、それを言ったら、さっきみたいな反応するでしょ? だから」

「別に気にしてないっていえばいいのによ」


きっと、紗彩はクララが罪悪感を感じてしまうことを考えて、どういうか迷っていたのだろう。

知らなかったとはいえ、興味本位で聞いてしまったこと。

星屑スターダストが存在するこの世界では、親を殺されてしまった子たちがたくさんいるのを忘れていた。

自分の親は生きているが、学校でもいないという子は何人もいた。

だからこそ、聞いてはいけないことを聞いてしまったという罪悪感を覚えてしまった。

元から正義感が強いクララは、気にしていないと言われても、気にしてしまい、それが表情に出てしまう。

それを見た脩太はため息をつく。


「紗彩は何を思っているか、顔に出やすいところもあるけど、お前もなんだな、ルーキー」

「だって、先輩方があまり言いたくないことを聞いてしまったのに……」

「気にしてないって言ってんだろ。それぐらいで卑屈になったりしねぇよ」

「そうですが!」

「ハァ……メンドクセェな、お前」

「メンドくさい!?」


ため息の後に続いた言葉に思わず大声を上げてしまうクララ。

その声に食堂にいた面々が反応して、視線を向けてきたので、クララはすぐさま「すみません」と謝る。

まさか、先輩からメンドくさいと言われるなんて思ってもなかったから、大声を上げてしまったのだ。


「メンドくさいって……」

「そうやって、変に引っ張るのがメンドクセェんだよ。本人が気にしてないって言ってんだから、それでいいだろ? 少なくとも、そうやって変に引っ張られる方が俺はメンドくさいと思う」

「そ、そうですか……」


何処か、さっぱりしている脩太に苦笑いを浮かべるしかないクララ。

いや、昔から経験しているからこそ、今はもう気にしてないのかもしれない。

確かに変に干渉しすぎるのもよくないと聞くし、気にしない方がいいのかもしれない。

それにまだ変に言い続ければ、次は何を言われるかわかったものじゃない。


「紗彩も気にしてないから、気にするな」

「ちょっ、勝手に決めないでよ! まぁ……あ、アンタがいれば、十分だけどさ……」


最後の方は小声でぶつぶつ言っているため、何を言っているのだろうと首を傾げる二人。

五感が人智を超えているとは言っても、変な時には働かないものだ。


「まぁ、そういうことだ。次行くぞ」

「あ、ハイ」

「ちょっ、待ちなさいよ!」


ぶつぶつ言っている紗彩を放っていく様に歩き出した二人に反応して、すぐさま追いかける。

次に向かう場所は『開発部署』と書かれた看板と、この『討伐部署』に入る前にあった同じ扉とスキャナーがある。

スキャナーにカードを当て、ピピッ! という音と共に扉が開き、何食わぬ顔で別の棟へと入っていく脩太の後をすぐに追う。

開発部署の棟に入った後、すぐに脩太に近づく。

討伐部隊の部署は私服でラフな格好をしていたが、開発部署の人達は白衣に身を包み、中はシャツをきっちり着ている。

手には書類を持ち、それを眺めながら歩いていたり、何かの部品などが大量に入った段ボールを持ち運んでいる人など様々だ。


「あの、脩太先輩。なんで、別の棟に来てるんですか?」

「ん? あぁ、いや。俺たち四班が世話になってる開発班『第一班』を紹介しておこうと思ってな」

「世話になってる?」


その言葉にクララは首を傾げてしまう。

自分たちが使用する武器……『ミソロジー』と呼ばれているのだが、それらは全て『スレイヤーズ』が秘めている武器であり、それらを顕現させることで扱う星の武器。

『ミソロジー』の武器名は全て、神話や伝説、物語で登場する神や怪物、人などの名前が使われており、中には偉人の名前を持つミソロジーさえ存在する。

壊れたとしても、再び再召喚を行えば、修復された状態で顕現するので、開発班と関わることはないと思える。


「世話になってるって、どういうことですか? だって、私達の武器ミソロジーは私達が秘めている武器。再召喚さえ行えば、壊れても修復されてますし」

「服は違うだろ。普通の服なら、戦えば簡単にボロボロになっちまうからな。開発班が軍に提供する武器を作るのと並行で、そういうのも見てもらってるんだよ」

「見てもらうって……? 服をですか?」

「脩太、言葉が足りないわよ。できてるって思ってたけど、やっぱりダメね」


やれやれとため息をつきながら首を横に振る紗彩。


「私達の服はね、戦闘でもボロボロになりにくくなってるの。理由はね、この開発班に星力を編み込んだ服を作ってもらってるから。これを着ているだけで、星屑スターダストからのダメージも軽減できるし、破れもしない。私達の……まぁ、個人差はあるけど、耐久力も合わされば、結構なものよ?」

「つまり、服が鎧の役目を担ってるんですね?」

「まぁ、そんな感じだな。鎧よりも強固で軽くて、動きやすい。星力は星そのものの力だからな。何でもできちまうんだよ。他にもあるけどな」


そういわれて、なるほどと納得するクララ。

つまり、討伐部隊第四班を専門としている開発部の第一班に会いに行き、クララの服を作ってもらうのだろう。

そうこうしている内に第一班と書かれている立て札を見つける。

どうやら、ここが第一班の部屋の様だが、脩太は扉の前で止まると、ノックするべきか迷っているかの様な素振りを見せる。

それに首を傾げるクララ。


「どうしたんですか? 脩太先輩」

「あ、いや……」

「あぁ、なるほどね。ここ、隊長に言われてクララを連れてきたのはいいけど、メンドくさい人が今日いるの忘れてたって顔ね」

「え? メンドくさいって」

「つまりは脩太があまり関わりたくない人よ。まぁ、私もだけど」

「なぁ、紗彩。俺は待ってるから、お前が代わりに「脩太君が来ている気配とニオイを感知し、私から開けてみる!」げっ……」


紗彩に押し付ける前に扉が開くと、そこから出てきたのは腰まで伸ばしてある黒髪がボサボサの眼鏡をした女性。

女性を見た脩太は露骨に嫌そうな、面倒そうな顔をしている。

そして、女性は脩太を視認するなり、目を輝かせる。


「来たんだね~!」


なんと、脩太に飛びつき、抱き締めるとよしよしと頭を撫で始める。


「あぁ、可愛い私の脩太君。そんなに私に会いたかったんだね~! 君から会いに来てくれるなんて、滅多にないもんね~!」

「違う! 離れろ!」


あの脩太が大声を上げながら、訴えかけるも女性はそれを無視、というよりも聞こえていない。

自分の子供をあやす様にも見えるが、女性が脩太に甘えている様にも見える。

更には気のせいか、空間にハートマークが見えるくらいである。

クララがあまりのことに呆然としていると、脩太の顔が助けてくれ、と訴えかけているのに気付く。

とは言っても、どうすればいいのかとクララがあたふたしていると、紗彩が脩太と女性に近づく。


「はいはい、麗華れいかさん。今日は用事があって来たんです。貴方に会いに来たんじゃないので、脩太から離れてください」

「嫌ァァァ!」

「イタタタタタタタ!?」

「離れてください!」


紗彩が無理矢理引き剥がそうとするも、麗華と呼ばれた女性は更に強く抱き着き、脩太は痛みで苦悶の表情を浮かべているも、それに気付いていないのか、二人は引き剥がそうと、引き剥がされまいとしている。

脩太は痛そうにしながらも、顔をクララに向けて、必死に助けを求めている。

正義感が強いクララはそれを見て、すぐさま行動に移す。


「あ、あの!」

「ん?」


聞き覚えのない声に反応したのか、麗華はクララへと顔を向ける。


「あの、脩太先輩が苦しそうなんで、そろそろ解放してあげてください!」

「……君は?」


目を細めて、カラナの様に値踏みをするかの様にジロジロと見てきている。

気のせいだろうか、カラナと違うところがあるのは嘗め回す様に見られている気がするのだ。

それに少し不快感を覚えながらも、まっすぐと麗華の顔を見る。


「今日から討伐部隊部署の第四班に配属になりました。天宮クララです! よろしくお願いします! えっと、麗華先輩……?」


名前はこれであっているはずと思いながらも、可愛らしく小首を傾げながら言う。

その瞬間、目がキラン! と光った様に見えた瞬間、脩太から離れたかと思うと、次はクララに抱き着いてきたのだ。

いきなりのことにクララは呆然として、目を白黒とさせてしまう。

だが、そんなクララに気付いてないのか、無視しているのか、麗華は頬ずりし始める。


「かっわいい~! この子、可愛い!」

「え? え?」

「何この子! 小柄で、それに合った可愛い顔立ち! ふむふむ、少し胸は大きいね……」

「ひゃあ!?」


クララが呆然としていて動けないのを良いことに、麗華はクララの体をまさぐり始め、最後には胸を揉み出す始末。

その光景をちょうど廊下を行き交っていた男性職員たちが目を奪われるのも仕方ないことだろう。

そして、胸を揉まれたことで意識が現実へと引き戻されたクララは顔を真っ赤にする。


「や、やめてください!」

「ほぉほぉ、いいねぇ。Eぐらいあるかな……? 小柄で巨乳で可愛いとか、男の子を殺しにかかってる? 私は女性だけど」

「た、助けてくださぁい!」


脩太とクララの助けを求める順番が逆転した瞬間であった。

後輩の叫びを聞いて、再び紗彩が止めに入る。


「いい加減やめてください! 麗華さん!」

「うるさいよ、貧乳ツンデレ! ツインテで貧乳でツンデレって、テンプレすぎでしょ!」

「テンプレって何がですか!? っていうか、胸の話はもういいでしょ!?」


気にしていることを言われたからなのか、余計に大声を上げる紗彩。

脩太の時にやった様に引き剥がそうとするが、また同じ様に引き剥がされまいとクララに強く抱き着いている。

その力の強さに体が悲鳴を上げている。

『スレイヤーズ』であるはずの自分の体が悲鳴を上げているのだ。

どれだけの力で抱き着いているのだろうか、と考えてしまう。

もし、これを一般人にやれば、恐らく……いや、間違いなく粉砕骨折を引き起こしてしまうだろう。

『スレイヤーズ』の耐久力のおかげで耐えきれているが、痛いものは痛い。

ギャーギャー言い合う二人を見て、ため息をついた脩太は助け船を出すことにした。


「麗華さん、紗彩が言っていた通り、用事があって来たんだが」

「用事!? 何々!」


脩太のその一言に目をキラキラと輝かせながら、顔を目と鼻の先まで近づける麗華。

それに顔を引きつらせ、苦笑いにも見える笑みを浮かべる脩太。


「あぁ、用事ってのは」

「もしかして、私にプロポーズ? うんうん、それなら受けるよ! 何せ、私は脩太君が大好きだからね!」

「いや、だから」

「子供は何人欲しい? 私は三人くらいだと思うんだけど、脩太君が望むなら何人でも」

「毎度いうけど、人の話を聞いてくれ……」


メンドくさそうな顔をし始める脩太。

その顔は疲れている様にも見えている。

それでも尚、麗華の暴走は止まらず、次々と何かを言っている。

その光景に、クララも引いてしまう。


「あの、麗華さんって」

「あぁ、可愛い者好きと後は……なぜか、脩太をやたら気に入ってる女よ。一方的に話しまくる人なの。基本的に人の話はあまり聞かない」

「アハハ……」


紗彩も疲れた表情をしているのを見て、苦笑いを浮かべるしかないクララ。

そうしている内に開発部第一班の部屋から、眼鏡をかけた一人の男性が姿を現す。


「ま~た、何を騒いでるんですか、班長」

「脩太が私と結婚したいって!」

「言ってない言ってない」


首を横に振って否定する。

それを見た男性はまたか、という感じでため息をつく。


「またですか。いい加減にしてください。優紀さんから頼まれてるものを作らないといけないのに」


そういって、男はクララを見つけ、手に持っている資料を見てから、近づいていく。


「初めまして、君が新しく入隊した天宮クララだね? 僕は杉崎すぎさき じん。この第一班の唯一の班員なんだ。よろしく」

「よろしくお願いします」


男……陣が笑顔で握手を求める様に手を差し出すと、お辞儀をしてからそれを握り返す。


「それじゃ、早速採寸とかしないといけないな。こういうのは僕より班長……」

「何! クララちゃんのあんなことやこんなことを調べるの!? 任せて!」

「は危なそうだから、紗彩。手伝ってくれないかい?」

「わかりました」

「それまでは脩太。班長の相手、頼んだよ」

「え゛っ?」


たった一言だけ残し、陣はクララと紗彩を連れて、中へと入っていく。

「私もやる~!」と言った麗華だが、陣が何か言うとピタッと止まり、グルリと回れ右をして、獲物を狙う獣の様な目で脩太を見てくる。

それに脩太は頬を引きつらせ、体を少しずつ後退させ始める。


「ま、待ってくれ。俺も中に」

「骨は拾ってあげるわ、脩太」

「あの……」

「気にしてなくていいよ。ああでもしないと仕事できないからね。ほら、行くよ」


クララは心配そうに脩太を見たが、陣に連れられて、そのまま奥へと入っていく。


「い、嫌だァァァァ!」


扉が閉まったと同時に脩太の叫び声と麗華の何かしらの声が響き渡り始める。

それに反応するクララだが、陣は気にしなくていいと再び言って、紗彩に採寸を頼んで始める。

採寸中も聞こえてくる悲鳴にクララは何度も反応していた。

シリアスばかりは難しいから、少しギャグに走ってみようかとやってみました。

それではまた次回。

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