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第四班

とりあえず、スナイプの入隊の話から始まります!

彼らのことを話すためには新人と言われたスナイプが入る頃へと戻る。

それはは熊のスターダストが現れる一日前に遡る。

都会でよく見るビル群が立ち並ぶ中、一つのビルの前に青と白を基調としたヘッドホンをした金髪碧眼の少女がリュックとスーツケースを持って、緊張した様な表情で立っていた。

少女はリュックから一枚の封筒を取り出す。

そこには『天宮あまみやクララ様』という文字が書かれている。

恐らく、いや、間違いなく少女の名前だろう。

そして、送り主のところに書かれているのは『対星屑組織『スターデナイ』』と書かれているのだ。


「ここが……星屑スターダストと戦う『スレイヤーズ』が集まる『スターデナイ』本部……」


少女はそれを呟くと、少し笑みを浮かべる。


『スレイヤーズ』……数十年前に現れたとある存在に対抗するかの様に生まれた人間たちの総称。

特殊能力を持っており、生物的にも、遺伝子的にも人間ではあるのだが、人智を超えた身体能力、生命力、耐久力、回復力や五感などを持っており、これをもって『星屑スターダスト』ととある存在に挑んだとされる。

地球そのものが対抗するために生み出した存在とされている。

ちなみに、とある存在を退けた『スレイヤーズ』は伝説とされている。


『スターデナイ』……対星屑組織と言われる組織であり、『スレイヤーズ』が増える傾向が出てきた時に設立された組織。

組織自体の歴史はそう古くもなく、できたのも三十年ほど前。

最古参も現役でバリバリという組織である。

ここでは『スレイヤーズ』を束ね、『星屑スターダスト』が出現すると、その対処へと向かわせる組織。

『スレイヤーズ』として生まれた者たちは十六になると招集がかかり、この組織へと赴くことになっている。

勿論、強制はしない。

戦うのが怖い、死ぬのが嫌だ、という者たちもいるため、本人たちの意思を尊重してもいる。


少女……クララも十六になったことで招集がかかり、彼女はそれに参加する、ということを伝えた。

元来、正義感が強く、ダメなことはダメと言える子だった。

クララはその正義感の強さから、星屑スターダストによって、悲しむ人々を出したくないという思いから、招集を了承したのだ。

友達たちからは心配されたり、頑張ってこいと言われたりと様々だった。

クララは友達たちの顔を思い浮かべると、ちょっと寂しそうな顔をする。


「また……会えたらいいな」


スターデナイに所属するということは常に訓練などが待っているだろう。

勿論、契約内容も書かれており、休日もあるが、それ以外は常に出撃に備えている状態。

きっと、休日も疲れから、ほとんど寝てしまう可能性だってあるだろう。

だから、また友達に会えるのかわからない。

だが、その友達たちが一日でも、安心して暮らせるように戦うのもまた、自分の役目なんだと思うと、クララは手をギュッと握りしめる。


―――とりあえず、いつまでも入り口で立ち止まっているのもダメだよね。


クララは一歩踏み出した瞬間だ。


「あぁ、もう! またアンタのせいで遅刻しそうじゃない! なんで歩いて五分の寮から遅刻しそうにならなくちゃならないのよ!?」

「そんなもん簡単だ。俺がメンドくさいから、家でグータラしてたいというのに、そんな俺を無理矢理連れ出そうと、しつこく絡むから、遅刻しそうになるんだ。遅刻はダメだぞ~。後、地面引きずるな。痛い」

「うるさい! 後、原因が自分のせいってわかっている張本人が言うな!」


後ろから聞こえてきた大きな怒鳴り声と気の抜けた低い声。

それに反応して振り返ると、茶髪をツインテールにした少女が黒髪の青年の襟を掴んで引きずりながら、走ってきているのだ。

それもおおよそ少女が……いや、人間が出せない様なスピードで迫ってきている。

自動車よりも速い速度で迫ってくる二人を視認できるはずもない……のだが、クララは二人を見て驚きながらも、スーツケースを持ったまま、軽々とジャンプすると、十メートルくらいは跳ぶ。

その下を少女と青年が通り過ぎ、その後にクララは着地すると、振り返る。

少女は余程急いでいたから、気づいてないのか、青年を引っ張ったまま、ビルの中へと入っていく。

その際、扉が閉まる前に青年がこちらに手を振ったのが見えて、こちらも振ろうとした前に扉は閉じてしまう。

とりあえず、先輩であろう人達と初めて会った瞬間のクララは呆然としながらも、少女が言っていた言葉を思い出す。


「そ、そうだ。私も急がないと! 入隊初日に遅刻はダメだよ!」


クララもすぐさまスーツケースを引いて中へと入っていく。

中へと入ると、普通の会社と同じロビーが広がっており、視線の先には受付所があり、そこにスーツを着た女性がいるのを見て、クララはすぐさま近づく。

受付にいる女性は見た感じ、仕事が出来そうな人だ。


「あの、すみません! 私は」

「お待ちしておりました。本日より『スターデナイ』の討伐部隊に入隊される『天宮クララ』様ですね?」

「え? は、ハイ」


自分から名乗る前に受付の人に言われ、頷くことしかできないクララ。

普通、こういうのは封筒に入っている書類とか見せてから案内されるものではないのだろうか?

コレが普通なのかはクララにはわからないが、少なくともそう思っていたため、さっきの返事が出てしまったのだ。

女性は受付にあるパソコンのキーボードを打ち始め、何かを終わらせるとピー! という音と共に何かを取り出す。

それは一枚のカードであり、それをクララへと差し出す。


「お待たせしました、天宮様。こちらは貴方のスターデナイに所属する証となります、『スターカード』です」

「あ、ありがとうございます」


クララは女性からカードをおずおずとしながらも受け取り、それを両手で持って、眺める様に見る。

半透明で黄色いカード。

だが、そこに自分の顔写真や名前などは書かれていない。

中にデータが内包されているのだろうか、とクララは考えながらも、興味深そうに見る。


「天宮様、後もう少しで貴方が所属されます、『第四班』の隊長が来られますので、それまであちらの椅子に座って、お待ちください」

「あ、かしこまりました!」


クララは女性が向けた手の先を見ていうと、椅子の元へと移動して座る。

女性はクララの案内を済ませると、椅子に座り、パソコンなどを操作して、仕事を始めている。


―――仕事ができる人って、憧れるなぁ。


なんて、思いながら、第四班の隊長が来るまで暇なので、貰ったスターカードを眺めることにしておいた。

何故、スターカードを眺めるのか。

理由はスターデナイが開発したであろうカードだからだ。

スターデナイは確かにスレイヤーズを集め、星屑スターダストと戦う組織ではあるが、それと同時に自衛隊や軍などでも、星屑スターダストと戦える様な武器などを開発しているのだ。

そのため、ここにある物は全て最先端技術と言っても過言ではない。

だからこそ、このスターカードにも何か特殊な仕掛けがあるのではないのだろうかと思って、眺めているのだ。

まぁ、眺めているだけでどうにかできるとは思っていないのだが。

とりあえず、タッチしてみる。


―――反応なし。


振ってみる。


―――反応なし。


もしかしたら、認証タイプからもしれないと思い、目に近づけてみる。


―――反応なし。


「やっぱり、ただのカードなのかな」


いくら最先端技術を扱う組織だとしても、カードに力を入れることはないか、とクララは苦笑いを浮かべる。


「カードに『星力せいりょく』を流し込めば、情報を開示するよ」

「え?」


後ろから聞こえてきた声に反応して振り返ると、そこには優しい笑みを浮かべながら、こちらを見てきている銀髪の青年がいたのだ。

優男だ、と言われれば、誰もが頷きそうなほどの雰囲気を放っており、どこかマイペースささえ感じてしまいそうだ。

クララは突然話しかけてきた青年に驚きながらも、言われた通りのことをしてみる。


星力……その名の通り、星の力と呼ばれる力。

『スレイヤーズ』だけが持つとされており、地球から授けられた魔力の様なもので、『スレイヤーズ』は練習をしなくとも、本能的に扱うことができる。

文字通り、星の力そのものであり、森羅万象の力と言われている。

星屑スターダストを倒せるのは、この星の力を扱うためである。

星の存在を破壊するには星をぶつける、と言った感じでだ。

だが、この力は星屑スターダストも持っている。

彼らはとある存在から生まれた使い魔の様な存在なのだから。


クララの手が淡い光を放ち始め、それがスターカードへと流れ始めると、スターカードが淡い光を放ち始め、クララの目の前にディスプレイが出現し、そこに自分自身の情報が映し出される。


「凄い……! SF小説みたい!」


クララは目を輝かせながら、そこに表示されている自分の情報を確認する。


***


名前:天宮 クララ


コードネーム:『星を撃ち抜く者スナイプ


年齢:十六


能力:銃撃者


所属:スターデナイ本部、討伐部隊『第四班』


スリーサイズ


***


と、そこまで出てきた瞬間、星力を流し込むのをやめて、ディスプレイをすぐさま閉じる。

何故、そこまでの個人情報を開示しなければならないのか、と顔を羞恥で赤くする。

そして、思い出す。

そういえば、今ここに銀髪の青年がいたことを思い出し、振り返る。

青年は変わらず、ニコニコと優しい笑みを浮かべ、こちらを見ていた。


「えっと……見ました?」

「え? 何が?」

「その、私のす、スリーサイズ……」


クララがそこまで言うと、青年は「あぁ!」と納得したかの様に声を出すと、首を横に振る。


「大丈夫、ディスプレイは見てないよ。それが原因で前に酷い目に遭ってる子知ってるから。女性のは見ない様にしてるんだよ」

「そ、そうなんですか」


それを聞いて、ホッとするクララではあるが、次は自分からスリーサイズと言ったことに恥ずかしさを覚え、顔を再び赤くする。

それを見ていた青年は苦笑いを浮かべる。


「とりあえず、自己紹介しようか。初めまして、僕の名前は天楯てんじゅん 優紀ゆうきです。君が所属することになる、討伐部隊『第四班』の隊長をさせてもらっています」

「は、初めまして! 本日より『スターデナイ』で働くことになります、天宮 クララです! よろしくお願いします、隊長!」


クララはすぐさま立ち上がり、軍人がよくやる様な敬礼をする。

それを見た青年……優紀はクスッと笑う。


「そんな堅苦しくしなくていいよ。僕たちは討伐部隊と言っても、軍人でもないしね。敬礼はいらないよ。隊長も任務の時だけでいいよ。クララさん」

「わかりました。それでは、よろしくお願いします。優紀先輩」


それを聞いた優紀は笑顔で頷き、握手を求める様に手を差し出してきて、それに反応したクララは優紀の手を握り返して、握手をする。


「それじゃ、部隊へ案内するよ」

「ハイ!」


優紀はそういうと歩き出し、クララはすぐさまスーツケースを引いて、優紀の後についていく。

少し歩くと、扉が閉まっているところまで来る。

優紀は扉のすぐ近くにあるカードをスキャンする機械にスターカードを当てる。

ピピッ! と機械の音が聞こえてから、扉が開き、優紀が通ると扉は再び閉まる。

それを見たクララはスターカードを一度見てから、同じ様にスキャナーに当ててみる。

すると、ピピッ! という音を出した後に、扉が開く。

それを見て、嬉しそうな顔をするクララは扉を通る。

やはり、初めて体験するようなことにはワクワクする。

それもこんな風にテレビなどでしか見なかったことをすれば余計にだ。


「ようこそ、『スターデナイ』の討伐部隊部署へ」


笑顔で言った後、優紀は歩き出し、クララはその後についていく。

少し廊下を歩いている間に色々な人とすれ違う。

どれも討伐部隊の人なのだろうか、と思いながらも、珍しそうに辺りをキョロキョロと見渡すクララ。

テレビがある場所、交流する場所であろう椅子とテーブルがたくさんある場所。

食堂と書かれた部屋の前も通り過ぎた時だ

食堂の部屋の扉が開き、赤髪の女性が出てくる。


「いやぁ、食った食った!」

「ハハハ、朝からよく食べるね。カラナ」

「お、優紀じゃない! ここにいるってことは……ははぁ? アンタがアタシたちの部隊に入隊するルーキーだねぇ?」


女性……カラナと呼ばれた女性はニヤニヤとしながら、クララに近づき、値踏みするかの様に見始める。

クララはそれに緊張しながらも、カラナを見続ける。

それと同時に疑問に感じたことがある。

討伐部隊の人という割には肌の露出が多い服を着ており、こんな格好で戦うのだろうかと思ってしまう。

更にはその服装によって大きな胸が目立つ。

実際に道行く男性の隊員たちも、カラナの胸へと視線が行ってたりする。

だが、そんな視線に気づいていないのか、知らんぷりをしているのか、クララをジロジロと見ている。


「ふむふむ、期待のルーキーと言ったところかねぇ? アタシは竜崎 カラナだよ。よろしく」


カラナは白い歯を見せて笑う。


「あ、ハイ! よろしくお願いします! 私は」

「あぁ、いいよ。とりあえず、部隊の部屋に行って、残りの二人と一緒に自己紹介は聞かせてもらうからね。いちいちするのも面倒だろう?」

「わかりました!」


クララは緊張した様な面持ちで頷く。

そうだ、もうすぐ自分が所属する部隊の部屋へと到着するんだ。

となると、残りの先輩とも顔を合わせることになる。

優しい人達だといいな、と思いながらも、歩き出した優紀とカラナの後に続く。


「それにしても、可愛い子が入って、アタシは嬉しいねぇ」

「か、可愛い!? 私がですか!?」


カラナがこちらに振り向きながら言った言葉にクララは驚きの声を上げる。

それにより、視線が集まるが、そっちよりもカラナが言った言葉の方が気になってしまう。


「そ、そんなことないですよ」

「いやいや、謙遜しなくてもいいんだよ。学校でも、それなりに告白されたんじゃないかい?」

「ぜ、全然ですよ!」


クララは首が飛んで行ってしまうのではないのだろうかというくらいの勢いで左右に振って否定する。

それが微笑ましいのか、優紀はニコニコしながら、二人を見ている。


「そりゃもったいないねぇ。こんな美少女なのに」

「そ、それを言ったら、カラナ先輩もスタイル良いし、美人ですし」

「嬉しいこと言ってくれるねぇ!」


カラナは嬉しそうに笑みを浮かべながら近づき、クララの背中をバシバシと強く叩く。

痛い、なんてクララは思いながら、苦笑いを浮かべる。

姉御とか言われてそうだな、なんて思ってたりする。


「さてと、そんな話をしている間に到着だよ」


優紀とカラナの足が止まったことに反応して、クララも足を止める。

そこには『第四班』の表札が張っており、部屋の扉前まで来たクララは再び緊張で、少し顔が強張る。

心臓もバクバク言っており、どんな人が待っているのかと、怖い人もいるんじゃないかと少し不安になってきたりもしている。

すると、誰かに少し乱暴にだが、頭を撫でられる。

確認してみると、カラナの手であった。


「心配しなくても大丈夫だよ。後の二人も良い奴らさ。まぁ、一人は扱いには苦労するだろうけどねぇ」

「え? それはどういう」

「会えばわかるさ。さぁ、入ろうじゃないか」

「そうだね」


そういって、優紀がノックしようとした瞬間だった。


『アンタは! いい加減にしなさいよ! ギリギリまで寝ていた癖にまだ寝るの!?』

『寝てはない。グータラしてるだけだ。知ってるか? 寝るのにも体力使うんだぜ』

『知るか! それに寝てなくても、グータラしてたら変わらないわよ!』

『あぁ、うるさいぞ。流石に他の人の迷惑になるぞ』

『誰のせいだと思ってんのよ!?』


中から聞こえてくる怒声と気の抜けた様な声。

それもこの怒鳴り声、クララにとっては聞き覚えがある。

まさかと思い、あの時見かけた二人組を思い出すと、段々不安と緊張が不思議と無くなっていく。

なぜか、と聞かれたとしても、何故かなくなっていった、としか言いようがないのだから、仕方ない。

その響いてくる怒声に優紀はアハハ、と困った様な笑みを浮かべており、カラナは大笑いしている。


「アハハハハハ! またやってるよ、あの二人!」

「クララさんが入隊の日なのに、変わらないな。まぁ、あの二人らしくていいと思うけどね」


そういって、優紀がノックしてから、扉を開けて、中へと入っていく。

カラナもその後に続く様に入っていったので、クララもすぐさま二人の後に続いて入っていく。

中に入ると、そこにはあの時見かけた茶髪のツインテールの少女と黒髪の青年がいた。

いたのは良いのだが……少女がソファでうつ伏せに寝ている青年の背中を踏みつけた状態であり、クララ達が入ってきたことにより、固まっている。

そして、少女の視線は優紀、カラナと行き、次にクララを見る。

クララを見た途端にピタッ! と止まり、しばらく石像の様に動かなくなってから……素早く足を青年から退けて、スカートの裾を引っ張ったりして身嗜みを整えてから、笑顔を浮かべる。


「初めまして、貴方が新人さんね? 私は鶴城つるぎ 紗彩さあや! 十八よ。歳も近いから仲良くしましょう!」

「後、私はこわ~いから、気を付けてって、付け加えないと」

「そうそう、私はこわ……誰がよ!」


未だにソファにうつ伏せになっている青年の言葉にノリツッコミの様なことをする紗彩。

紗彩は焦ったかの様にクララを見る。


「コイツが言ってるのは嘘だから気にしないで! 私、そこまで怖くないから! 後輩なんて、初めてだから、少し浮足立ってるところはあるかもしれないけど、決して怖くはないから!」

「は、ハイ……」


必死過ぎる紗彩に少し引いてしまったのは言うまでもない。

そして、青年は起き上がるのが怠いのか、立ち上がる気配が一切しない。


「脩太! アンタ、自己紹介しなさいよ」

「ん? あぁ、そうだな。じゃあ、俺は」

「立ち上がりなさい!」

「いてっ」


紗彩が脩太の頭にチョップを叩き込むも、たいして痛がってなさそうな……いや、棒読みな言葉が聞こえてきた。

青年は渋々という感じでゆっくり起き上がり、眠っていたのでは、と思われる閉じた目をゆっくりと開く。

そこから露わになったのは、血の様に紅い瞳。

その瞳でクララを見てくる。


「初めまして。俺の名前は望都のぞみ 脩太しゅうた。俺も十八だから、まぁ、歳近いし、仲良くやっていこうや」

「は、はい」


やる気を感じさせない声だな、なんて思ってしまうクララだが、本人の態度を見れば、余計にそういう人なんだと思えてくる。

なんでここにいるんだろう、と不思議に思いながらも、自分も自己紹介しないと、と笑顔を浮かべる。


「初めまして。今日より、この『第四班』に入隊することになりました。名前は天宮 クララです! 先輩方、ご教授などよろしくお願いします!」


そういうと、紗彩は嬉しそうに笑みを浮かべ、目がキラキラと輝いている。


「勿論よ! あぁ、初めての後輩だもの……! 色々教えてあげるわ!」

「ハイ、よろしくお願いします!」


それほど後輩が欲しかったのだろうかと思うくらいの勢いだ。

だが、それも束の間、ため息をついて、脩太へと視線を向ける。


「だけど、教育係になれなかったのは残念よ。確かに『武器のタイプ』を考えるとアンタしかいないもんね」

「え?」

「俺はぜひとも、譲ってやりたいんだけどな……」

「ダメだよ。脩太、しっかりやってよ?」

「はいはい、隊長さん」


どういうこと? と思っているクララをよそに話は進んでいる。


――――確かに新人を教育する人はいるけど、まさか……脩太先輩が?


脩太は頭をボリボリと掻きながら、クララを見る。

何処か怠そうにしている様な、のほほんとしている様な目でだ。


「つうことだ。お前の教育係になるんだわ。とりあえず、伝えることは一つ……。死なない程度に頑張ればいい、以上。教育終わり「じゃないわよ!」いてっ」


それだけで教育を終わらせようとする脩太に再びチョップをかます紗彩。


「しっかり見なさいよ! しばらくアンタと行動を共にする子なのよ!?」

「大丈夫さ。クララならしっかりやれる」

「アンタはクララの何を知ってんのよ!? しっかりやりなさい!」

「アハハ……」


ギャーギャーと言い合い(紗彩だけが声が大きいだけだが)を始めたのを見て、苦笑いを浮かべるしかないクララ。

それと同時に思う。

この人が教育係って、大丈夫なのかな……と。

再びクララに不安を覚えさせる脩太であった。

アドバイスなどあれば、よろしくお願いします!

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