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異世界転生トラック君のお仕事  作者: 真碑
第1章 異世界転生トラック君の初仕事
11/18

11.【回想】異世界転生トラック

 場所は彼女(ターゲット)の会社から最寄り駅まで続く大通り。


 駅までの途中、3つの交差点がある。


 この界隈は牛丼屋や喫茶店、レストランなどの飲食店は充実しているため日中は人通りが多いが、アルコールの飲める店、つまり"飲み屋"という類いの店はほとんど無く、ここより少し離れた通りに集中している。


 そのため23時を過ぎたこの時間には人通りはかなり少ない。


 予定の場所(ポイント)は2つ目の交差点。


 彼女(ターゲット)がその交差点に差し掛かった時、信号は赤になる。


 そこからが俺の出番だ。


 俺は所定の位置につき、"例の上司"から支給された、出し入れ自由の『魔法のトラック』に乗り込む。


 アクセルをふかせ、エンジンの回転数を上げていく。



『来たぞ。GOだ!』



 俺の待機地点から予定の交差点まで多少の距離がある。


 その距離も計算に入れて、発進の合図がかかる。


 彼女(ターゲット)が交差点に差し掛かる。


 他の歩行者は彼女(ターゲット)を除き二人だけ。


 信号が赤になり、歩行者たちは足を止める。


 だが彼女(ターゲット)だけは、藤堂(とうどう)のオッサンがかけた錯覚の魔術により、青信号に見えている。


 他に車の通りは無い。


 今からそこに到達する、俺の大型トラック以外は。


 彼女(ターゲット)が道に一歩踏み出す。


 車の通りが少ないため、周囲の者からはただの信号無視に見えた事だろう。


 そこへ俺の、法定速度をはるかに超えて加速したトラックが突っ込んでくる。


 運転席から見た俺の光景。


 彼女(ターゲット)に到達する最期の瞬間、その一瞬、わずかにこちらを見た。


 その彼女の最期の表情が俺の脳裏に焼き付き、それは一生消える事は無いだろうと、瞬時に思った。




 その時の彼女は、笑っていた。



 目からは涙が(こぼ)れていたが、



 笑っていた。




ドンッ!!!!!!!






 彼女の、この世界での人生は終わった。


 そしてこれから、異世界での新たな人生が始まるのだ。

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