「はじまり」
頭痛を感じて目を覚ました。
酷く頭が痛くて、そのまま横になったまま目を開けた。
周りは、人のいない街のようだった。
……あれ。
自分の両手を見て、絶句する。
前に自分は、ぬいぐるみだったはずだ。
そう、どこかに捨てられたぬいぐるみだった。
「……あ、」
その声を聞いて、さらにびっくりする。
ぬいぐるみは喋れるものではない。
ひとつの物なのだから。
混乱しながら上半身を起こして呆然とする。足がある。手がある。いや、確かにある、あるのだが。
ぬいぐるみの時のような縫い目がない。フェルト生地でもない。紛れもなく人の肌で作られた足と腕だった。目を見開かせてフラフラしながら立ち上がる。何だ、これ。何だこれ。
「余、は、なんじゃ、これは、っ」
そして周りを見渡して更に唖然とした。いつもの廃墟の中ではなく街灯の目立った街の中だった。
ついに自分はおかしくなったのか?まぁあんな廃墟に何十年もいれば当たり前だなと思っていたその時、「あれー?見ない顔ですね、誰ですかー?」と気の抜けた高い声が後ろで聞こえた。
振り返ってみると、そこには少女がいた。
白髪の変わった髪型に白い陶器のような肌、瞳が真っ黒で光の見えないそれは少し不気味に見え、両の頬には黒のペンキでべっとりと塗ったような黒の模様とは言い難いものが白い肌を染めていたが、どうやらそれは肌の1部でペンキで塗っているようではないらしい、と冷静に判断する。
背後にとてつもなく大きな十字架を華奢な体で軽々と持っているのを見る。
何だ、こいつは。
「箱庭シリーズ」投稿となります。
よろしくお願いします