信じれば伝わる愛もきっとある
はじめまして。今回初めて筆を取ってみました、つたない文章で読み辛い部分も多いと思いますが、最後まで読んで頂けると幸いです(>_<)
素直になれない幼なじみと少しずつ打ち解けていく感じで展開出来たら良いなーと長い目でやって行けたらなーと考えてます。
1
「今回も私の勝ちね」
そう言って勝ち誇ってるのは"朝比奈 葵"、このクラスの学級委員長。俺の幼なじみであるこいつは何かと理由を付けて俺に衝突してくる。
「さてじゃあ言うとおりにして貰いましょうか」
俺とこいつは事あるごとに勝負をして勝った方が相手の要求を飲む、という行為を繰り返している。
「ま、待て!そもそもこれは俺の仕事じゃないだろ!?」
目の前にはクラス中から集められた教師に提出する課題の山
「まぁ無理強いはしませんが、課題提出が遅れた上に勝負で負けてうじうじ言うのは男らしくありませんよ?」
「くっ…」
確かに格好悪いしこのままでは埒があかないだろう。
「わかった、運べばいいんだろっ…」
ようやく観念して教師に提出しに行こうとすると…
「ほら半分持ってあげるから早く行こっ」
「はっ…?」
「べ、別に手伝ってあげないなんて言ってないんだから」
「む、確かに…」
ここは甘えておこう、流石に40人分の課題を運ぶこと自体苦ではないのだがわざわざ断る理由もない。
「しかし、最近勝てないなぁ…」
「ん?何か言った?」
「いや、何でもない」
提出の道中思案するのは、今回の勝負について。
勝負の内容は"ジャンケン"だった。
俺は彼女とのジャンケンでほとんど勝てたことは無かった。
(なぜあんなに強いのか?)
疑問を投げ掛けてもその問いに答える声はない。
「まぁ負けたことを考えていても仕方ないな」
結局、考え事をしている間に提出を終えてまた教室に戻ってきた。
「お疲れ様、これからどうするの?」
「お疲れ、どうするも普通に帰宅するけど…」
放課後に勝負をふっかけられたので、本来ならもう帰りたい気持ちで一杯だった。
「そう…」
何故か悲しそうに呟いたように思えたが
「じゃあまたね」
平常時と変わらない声色で続く別れの挨拶に違和感は消されていく。
「あ、あぁまた…」
生徒会にも所属している彼女はまだ帰らないらしい。
放課後にまで縛られるなんて自分なら御免だね。
今日は金曜日だし、週末を謳歌するべく急ぎ足で帰るとしよう。
…
「はぁー…」
溜息が溢れる
今日もまた素直になれなかった。
(こんなはずではなかったのに…)
心の中で私はいつも後悔する。
幼なじみである"月宮 雫"との接点を保つために始めた"勝負"。
男子には女子と遊ばなくなる時期があるが、私にとってそれはとても辛いものだった。なぜなら、私はその時既に彼に恋をしていたのだから…。
彼との距離が離れることが嫌で変な態度を取っているうちに随分と拗らせた性格になってしまった。
(このままでは駄目だ!)
と気持ちに発破を掛けて次こそは素直になろうと誓い、生徒会室に向かった。
…
…
2
「ねぇお兄ちゃん」
「なんだ?妹よ」
「せっかくのお休みなのに外に遊びに行かないの?」
「ふっ…甘いな…」
と"主人公"は含みのある間を置いて
「せっかくの休みだからこそ、積んでいる推理小説を消化するべきなのだ!!」
「はぁ…」
あまり心に響いていない様子のこいつの名は月宮 杏、1つ歳下の妹だ。俺と違って落ち着いて読書に興じたりしない、完全アウトドア派であり、今年受験生だがスポーツ推薦枠で俺の高校にほぼ内定が決まっているスーパースターだ。いくら推薦とはいえ勉学にも時間を割いて欲しいのが兄心というものだが、いくら言っても聞かんのだから仕方がない。
「なんかオタクっぽいね」
「ほっとけ」
推理小説の良さが分からん奴に教えを説くほど俺も暇ではないのだ。今日は推理小説を読破して行くと決めている。
だが妹の一言で大分予定が変わることになった。
「そう言えば午後から柚香が来るって」
「柚ちゃんが?」
柚香ちゃんというのは朝比奈 葵の妹で杏と同い歳、この娘も俺の幼なじみである。昔から俺たちの後ろを付いてくる大人しい娘でとても可愛がったものだ。
「勉学教えて欲しいんだって~」
「今年受験だしな」
というか妹よ、お前も見習って欲しいのだが
「まぁ俺に教えられることなら」
俺が得意なのは文系科目だが、暗記のポイントや押さえておきたいヤマなんかも教えてあげられるだろうか
「というか姉に訊けば良いのにな」
生徒会にも属している彼女は成績も優秀で得意科目は理系だが、文系も苦手ではなかったはずだ。
「今日は生徒会の用事で出掛けてるんだって」
「なるほど」
「それに週明けに模試があるから早めに解らない所は減らしておきたいんだって」
「おい」
(模試あんのかよ!少しは勉強しておけ!!)
と心で盛大にツッコミを入れる。
「仕方ない、推理小説はまた今度だな」
…
ピンポーン!家のチャイムが鳴り、インターホンから聞き覚えのある声が響く。
「こんにちは、柚香です」
「あぁいらっしゃい、鍵開いてるから入ってきていいよ」
「はい」
丁寧に入ってきた少女を出迎えると
「お邪魔します、お久しぶりですお兄さん」
「あぁ久しぶり柚ちゃん」
優しく微笑む幼なじみにほっこりしていると
「お姉ちゃんとは仲良くしてくれてますか?」
「あぁー…それは…」
中々答え辛い質問だ、葵とはお世辞にも仲良くしてると言えるのだろうか?会えば口論やお決まりの"勝負"ばかり
だがここで心配を掛けさせるわけにもいかないだろう。
「うん、まぁまぁだよ」
「そうですか良かった~」
心底安心した様子だ。
「お姉ちゃん、よく部屋で溜息ついているのでお兄さんと何かあったのかと思って心配だったんですけど問題無さそうで安心しました~」
「は…はは…ソウダネ…」
こっちは不安になってきた。
…
「それで今日は…」
「あっはい、杏との勉強会に来ました」
ん?勉強会?杏と?
「俺に教えて欲しいところがあるってあいつから聞いてたんだけど…」
「お兄さん教えてくれるんですか!凄く嬉しいです、模試対策しようと思っていたので凄く不安で」
(話が噛み合わない、まさかあいつ…!?)
一抹の不安が過り妹の部屋に突入した
「おい杏!」
そこに妹の姿はなく机の上に置き手紙が遺されており、そこに一言
「任せた」
(おいぃぃぃぃぃ!!!?)
窓が開いてるのでここから脱出したのであろう、運動神経に極振りしたステータスを活かしやがって…
「やっぱり逃げられちゃいましたね…」
「申し訳ない…」
せっかく来て貰ったのに肝心の相棒が居ないんじゃ勉強会もお開きであろう、と考えていたが
「じゃあ私だけでも勉強教えて貰えませんか?」
…
3
(なんてことなの…)
生徒会室で不安気に資料を作成している葵
それは今朝に遡る…
…
「お姉ちゃん、今日も制服着てるんだね」
「えぇ、生徒会の仕事があるからね」
「へぇーお休みの日にまで仕事なんて大変だね」
「学校をより良くするためだもの、仕方ないわ」
学生の代表として頑張ろうという気持ちはあるが、本心は来年入って来る妹達が過ごし易い環境を作っておきたい気持ちの方が強いのだ。
「柚は今日の予定はどうするの?」
「今日は杏の家で勉強会だよ」
「え?」
杏ちゃんは雫の妹で私達姉妹とも幼なじみの関係だ。柚香と杏ちゃんはずっと仲が良く私が彼と遊ばなくなった後も親交は続いている。
(いやでも流石に彼と遊ぶわけではないし、杏ちゃんもいるし!)
想い人の家に妹が行くと訊き一抹の不安を抱える葵
素直に遊びに行ける妹に羨ましく思いながらも、それが出来ない自分に嫌気が差す。
(私だって雫の家に遊びに行きたいのに!)
そんな想いを抱えながら生徒会の作業も終わりが近づき、
「朝比奈さん」
同じ学年で生徒会の会計をしている沼津 仁美が話し掛けてきた。
「この後暇かな?会長達が歓迎会を開いてくれるんだって」
「歓迎会…」
この学校の生徒会は学生達の悩み等にも親身になって相談を受け付けているのでとても評判がいい、特に現会長は去年から副会長として活躍していた人物だったのでほぼ当確だったと聞いている。
「そう固く考えることはないさ」
まさに今考えていた人物も会話に加わった
「軽く皆でお茶でもして親交を深めたいだけさ」
霧原 心咲、2年生で生徒会長、教師はおろか、生徒にも学年問わず慕われる絵に描いたような理想的人物。
女子でありながら女子生徒からの支持は絶大で凛とした立ち居振舞いにドキっとさせられる。
「霧原生徒会長…」
「ははっあまり苗字は気に入ってないんだ、名前呼びでお願いするよ」
「では心咲会長で…」
さばさばとした性格も人気の秘訣なのだろうか
「うんいい感じだ」
満足気に頷いている
「では皆で行こうじゃないか」
…断るタイミングを逃した…
4
「それでは新たな生徒会の誕生を祝って」
「「「乾杯!!」」」
高校生にも大人気のファーストフード店で歓迎会を行う一同
「今年は優秀な新人も入ったことだし、私の任期も半年しかない…だからこそ色々なことにチャレンジしていきたいね」
生徒会長としての責任感の強さもまた魅力の1つだ
私も尽力しようと誓う。
「少し失礼します」
しかし今気掛かりなのは妹と幼なじみのこと、彼の妹もいるとはいえ1つ屋根の下に若い男女しかいないのはやはり心配である。
席を外し妹に連絡を取ろうとした瞬間、
「あれ?あお姉じゃん」
聞き覚えのある声にびくっと反応してしまう
「え!?杏ちゃん!!?」
本来此処にいる筈のない人物が登場したことですぐに平静を保つことが出来ない
「いやー久しぶり~今日は生徒会だって聞いたけど」
「え、えぇもう用事が済んで皆でお茶をしているところで…」
しかし落ち着いてきたところで疑問が浮かんでくる
「えっと…杏ちゃん、今日は柚と勉強会と聞いていたのだけれど」
「あぁーめんどくさいから兄ちゃんに丸投げしてきた」
「ちょっ!?」
つまり妹と彼が二人きりという状況であるという事だ
由々しき事態に葵はすぐさま帰宅せざるを得ないと判断した。
「会長すみません、やむを得ない事情により今日は失礼させていただきます!」
「そ、そうか分かった」
あまりの葵の迫力に流石の生徒会長も押されてしまった。
「はい、ありがとうございます!」
店から出ると一直線に帰路につく。
その様子を見ていた杏は
「青春だねぇ」
と他人事のように呟いた。
5
(どうしてこうなった…)
数時間前に現れた幼なじみの妹とお向かいに座りながら勉強を教える状況になり、雫は頭を抱えていた
(そもそも杏が居ないのに勉強会を続行する必要があったのだろうか)
割りと押し切られた形になり彼女は黙々と模試対策の勉強をこなしている。
(こんなことを葵に知られたらまた突っ掛かって来るんだろうな)
学級委員長であり生徒会の一員という肩書きまで手に入れた我が幼なじみが、こんな男女が1つ屋根の下の状況を許す筈がないのだ。
(柚ちゃんも理解して無いんだろうな~)
無防備過ぎる彼女に男として警戒されてない事実を突き付けられているようで悲しくなる。
「あのぅお兄さん」
「ひゃい!?」
急に話し掛けられ声が上づいてしまう。
「ど、どうしたのかな?」
「ここの暗記の仕方なんですけど…」
邪推していた自分が恥ずかしくなる。
真面目な彼女の問いにはしっかりと応えるしかないだろう。
さっきまでの不安を消しさるべく勉強に打ち込むことにしよう。
「あぁそれはね…」
割りとこんな休日も悪くはない。
…
ー数時間後ー
「あのぅ…」
「ん?」
また何か質問だろうか?そう思い彼女に意識を向けると
「推理小説読むんですか?」
「あぁ…」
棚を見たのだろう。
そこには殆どが推理小説で埋められていた。
「大体読むのは推理小説がメインだね」
「わぁ凄いですね!」
凄いだろうか?別にトリックを考えつけるわけでもないのだが
「私、推理小説読むと誰が犯人何だろうってモヤモヤしちゃって苦手なんです、人が亡くなる話も多いですし」
「確かにね」
人の生き死には苦手な人が多いところだ。推理小説ならば大体絡んでくる。
「ファンタジーならよく読みます!普通の世界じゃ体験出来ないことが想像出来るのが楽しいですよね」
「なるほど」
ファンタジーが好きならば…
と雫は一冊の本を渡した。
「それだったら読みやすいかも」
それはとある冒険家が秘境や洞窟に侵入し、謎解きなどをこなし財宝を手に入れる話だ。シンプルな構成ながらワクワクさせる展開もあり女性人気も高い。
「へぇ~面白そう」
「読んだら感想聞かせてくれる?」
「はい!」
普段大人しい彼女とここまで会話が弾むのは新鮮だった。
最近葵と衝突してばかりだから、柚ちゃんとの距離も計りかねていたのだ。
(あいつとも昔みたいに…)
その時、
「ピンポーン!」
家の呼鈴が客人の来訪を告げた。
6
「ピンポーン!ピンポーン!」
二度三度と鳴り響く呼鈴に急かされながら玄関に向かう雫。
「はいはい!今出ますよ」
ガチャっとドアを開けるとそこには予想していなかった人物が立っていた
「はぁ…はぁ…っ」
「え…あお…朝比奈?」
何年も下の名前で呼んでいなかったから咄嗟に苗字で呼んだ雫に対して少し不機嫌な顔つきになる葵。
だがそれより今は別の問題である。
「柚香は…?」
「え?…あぁ」
柚ちゃんなら二階に…
そう続く前に彼女は家に入り、
「お邪魔します!」
と勢いよく進んでいく。
あまりの展開の早さに呆気にとられる雫だったが、葵の後を追うように急ぎ足で階段を登っていく。
先に柚ちゃんがいる自分の部屋に着いた葵が大きな声をあげている
「柚!何してるの!」
あまりの大きな声に雫と柚香は驚く。
「え!?お姉ちゃん?」
どうして此処に?という疑問を口にする前に
「さぁ帰るよ」
と妹の腕を掴んで促す葵。
「ち…ちょっと」
状況についていけてない雫と柚香に向けて
「柚、私は杏ちゃんとの勉強会だって聞いていたから月宮さんの家に行くのを許可したの」
「だって…」
杏の突拍子の無い逃亡に俺たちも迷惑を被ったことを弁明しようとするが葵は聞く耳を持たなかった。
「とにかく男性と二人きりなんて危険な状況は許しません」
葵の言うことももっともだが、ここまで信用がないと悲しくなる雫
「…んで」
だがここで反論したのは意外にも柚香だった
「なんでお姉ちゃんにそこまで規制されないといけないの!
私が友達の家に行くのがそんなにいけないの?」
雫も驚くほどの声をあげた
「わ、私は柚が心配で…」
まさかの妹にそこまで反論されるとは思わなかったのであろう、葵は激しく狼狽する
「雫お兄ちゃんが悪い人じゃないのはお姉ちゃんも知ってるのにどうしてそんな風に突っかかるの!」
感情的になってるのか、昔の呼び方に戻っている柚ちゃん
「私はお兄ちゃんに勉強を教えて貰っただけだよ、信用してくれないならもうお姉ちゃんなんて知らない!」
そう言って柚香は一人で出て行こうとする
「ちょっと、待ちなさい柚!」
後を追う葵。
ただ一人残され立ち尽くす雫
(参ったな、まさかここまで拗れるとは…)
あとで杏に柚ちゃんのフォローを頼むとして、こちらは葵と何とかして話をしなければと考える雫。
そこに呑気な様子で帰宅した杏の声が聞こえた
「ただいま~、あれ?柚とあお姉いないのぉ?」
玄関に靴が無いことから判断したのだろう
問題を起こした自覚もない妹の様子に呆れた雫
「やれやれだな…」
とりあえず説教と勉強のコンボを決めることを心に固く誓った。
はい、ここまで読んで頂き誠にありがとうございます。もっと上手くまとめられたら良かったのですが、文章構成力が低すぎました(汗)。
もう本当に考えたままどんどん進み続けたので支離滅裂ですね(^_^;)
頑張って続きも書いて行こうと思っているので、続きも読んで頂けると幸いです。